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ノーラン映画『ダンケルク』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?時系列を陸海空で?

ダンケルク 映画/ドラマ

クリストファーノーラン監督作。第2次世界大戦時、フランスに進行したナチスドイツ軍はイギリス対岸の港町ダンケルクを陸から包囲。残された40万人の連合軍兵士達はダイナモ作戦の撤退戦を進めるが、軍船は少なく制空権も奪われ絶体絶命。その状況でも好転を目指す人々がいて…(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題ダンケルク
日本公開日2017/9/9 [予告] 上映時間:106分
製作国イギリス、アメリカ、フランス、オランダ
原題/英題Dunkirk
監督・キャストクリストファー・ノーラン
キャスト
出演者
フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、アナイリン・バーナード
映倫区分日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13
配給/製作
(画像出典)
Warner Bros. Pictures/Syncopy Films
日本興行収入16.4億円 興行収入ランキング
世界興行収入5.3億USドル [出典]
製作費1.0億USドル
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.20更新)
80私の評価は含まず)
シリーズ
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クリストファーノーラン映画一覧

ネタバレ感想『ダンケルク』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

映画『ダンケルク』私の感想と評価

クリストファー・ノーラン監督の最新作ですが、今回は史実の戦争映画を選んできたのが意外。しかし観てみるとさすがノーラン色に染められていて、3つの時系列(1週間、1日、1時間)を陸海空から描くという見事なタイムサスペンスに仕上がっています。今まで観たことない形式の歴史映画に感服

総評というか評価するのがとても難しい作品です。複数回観ると新たな発見があって再評価できそうな映画です。3つの違った時系列を並べて収束させていく手法はミステリーでありそうですが、映像作品では『ダンケルク』で初めて観ました。

戦争映画だけど「ダンケルク撤退戦」という史実をもとにしたタイム・サスペンスという方がしっくりきます。BGMのチクタク音はやりすぎ感あるけど、心理的に先が気になるという意味では成功してると思います。ラストの大枠は歴史どおりだろうけど、誰が最後まで生き残れるのかがとても気になります。

花になるような俳優は少なめですが、個人的には桟橋で指揮をとるボルトン中佐(ケネス・ブラナー)と小型船のミスター・ドーソン(マーク・ライランス)が好みです。2人とも職人気質で仕事する姿が魅力的です。ボルトン「あなたは陸軍、私は海軍」やドーソンのエンジン音だけで敵味方機を判断したり、舵で機銃をよけたりしたのは名シーンです。

燃料切れにも恐れずドイツ機を妨害して多くの船と乗員を救ったファリア(トム・ハーディ)の姿勢も素晴らしいです。ラストはナチスドイツの領土で着陸して捕虜として捕らわれたので、あまり良い結末にはならなかったとも想像できるけど、この映画の中では最も英雄に近い人物だと思います。

1週間という時間の長さは感じられなかったけど、最も丁寧に描かれた陸・防波堤・桟橋シーンの主人公トミー(フィン・ホワイトヘッド)は目立つ演技は抑えられてたけど、彼の通る道では、フランス人に助けられた自分、イギリス人を優先する人、負傷兵優先に異を唱える人など様々な「人間」が描かれます。

海のパートではマーク・ライランスが異彩を放ちすぎてて他の人が見劣りしがちですが、PTSDの兵士を演じたキリアン・マーフィーの疲れた感じや、何をすればいいのかわからなくて落ち着かない息子ピーターがラストで父の言うとおりに舵を切って何かを達成した瞬間や、友人の死後に新聞社に掛け合ったことなどは大きな成長につながったように見えます。

ただ、ジョージを突き飛ばした兵士が同情の余地はあるとは言え完全に無罪というのは、ジョージの両親としては納得しかねる気がします。他に気になるのは、3つの異なる時間軸の切替で混乱して物語に集中できなかったことです。2回めは落ちつけますが、多くの人は1回観るだけなので少し配慮はほしかったです。

あと、暗いシーンが多し、名前もほとんど呼ばれないし、若い俳優の顔の区別がつきにくくて、誰が誰だか見失いがちです。本当のミステリーではないので、そこにはこだわる必要ないかもしれませんが、トム、ギブソン、アレックスくらいは区別しやすくしてほしいです。PTSD兵士が誰だかも探しましたし。

クリストファー・ノーラン監督の映画では、個人的には『ダークナイト』が1番好みです。今回もCGを極力使わず、戦闘機や船も当時のものを実際に動かしたり、以前壊したこともあるIMAX専用カメラをまたコックピットに積んだり水没させたりしたそうで、まさに職人監督で次回作も楽しみです!

おすすめ9ポイント

少し残念8ポイント

映画『ダンケルク』ネタバレあらすじ

1940年5月26日から6月4日、第二次世界大戦の初期、イギリス軍とフランス軍を中心とする連合軍の約40万人が、フランスのドーヴァー海峡の港町ダンケルクで、ナチスドイツ軍の猛攻により囲まれて運命を待つのみとなっています。英国ドーバーからは80kmですが、ドイツ空軍が爆撃にくるので撤退は困難です。

ダンケルク 映画/ドラマ

ダンケルクの陸地・海岸・防波堤での1週間

ダンケルクの町では飲食物も尽きた連合軍の若い兵士たちが、他人の家を物色しますがドイツ軍の銃撃にあって逃走します。仲間の中で1人生き残ったイギリス二等兵トミー(フィン・ホワイトヘッド)は、フランス軍の防壁へ逃げのびて、海岸に出て用をたそうとします。

すると仲間の死体を砂浜に埋葬する若い兵士ギブソン(アナイリン・バーナード)を見つけ、水筒の水をもらいます。浜辺には数え切れないほどの兵士たちが脱出する船に乗るために階級ごとに列を作って待ってます。海岸は浅いため、船が座礁しない深さまで桟橋を渡る必要があります。けが人は優先的に運ばれます。

ドイツ空軍の爆撃で、トミーのすぐ近くの兵士も動かなくなります。トミーはギブソンと一緒に負傷兵の担架を持って桟橋を走り、出港間近のイギリス人優先の駆逐艦に間に合うが人数制限のため2人とも降ろされ、桟橋の下に隠れて機会を待ちます。将校の話で40万人のうち約4万5千人しか救出されないと知ります。

ドイツ空軍機は桟橋や船を爆撃し、沈められた船から脱出した兵士達は桟橋めざして泳ぎます。トミー、ギブソンは船と桟橋に挟まれそうだったアレックス(ハリー・スタイルズ)を救います。兵士たちは防波堤で撤退作戦を指揮するボルトン海軍中佐(ケネス・ブラナー)の指令で別の駆逐艦へ乗りこみます。

トミーも他の兵士同様にパンや飲み物を手にします。ギブソンは甲板で1人座り込みますが、Uボートからの魚雷が迫りくるのを見て叫び、浸水する船のハッチを開いて兵士を逃がします。船を放棄して救命ボートで逃げる兵士たちは、トミーとギブソンを定員オーバーで乗船拒否しますが、ひもで引っ張ってやります。

再びダンケルクの海岸へついたトミー、ギブソン、アレックスは途方に暮れて、小舟で沖へ出ようとして失敗する人々や入水自殺する兵士をながめます。トミーらは、座礁してる船に向かうスコットランド兵達に付いていきます。兵士達は船に入り、満潮時に浮くのを待ちます。

ボルトン海軍中佐は士官に、駆逐艦1隻が向かってること、他の軍船は次の戦いのために温存すること、民間小型船がやってくること等を話します。トミーらの乗った船のオランダ人船長が戻ってきます。船の似た位置に銃弾が次々に撃ちこまれ、ドイツ軍の射撃練習とわかりますが、その弾で負傷する兵もいます。

銃撃された穴から浸水してきたので、少しでも軽くして船を浮かそうと考え、アレックスは一言も発してないギブソンをドイツ兵だと疑い船から降りるよう命令します。トミーがギブソンに英語を話してやれと言うと、ギブソンはフランス語で答えます。ギブソンのネームタグは埋めた兵から盗んだ物だったようです。

兵士達はギブソンやトミーに下船するよう言いますが、その後もドイツ機に銃撃され漁船は沈み始めて皆が脱出しますが、ギブソンは遅れておぼれ死にます。トミーらは近くの中型船に救助されますが、その船も爆撃で横転して沈み始め、回りは重油まみれになるので離れます。ドイツ機が攻撃に戻ります。

イギリスから海でダンケルクへ向かう小型船での1日

ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は自分の小型民間船ムーン・ストーン号で、ダンケルクへ行くよう軍から指令を受け、息子ピーター(トム・グリン=カーニー)と友人ジョージ(バリー・コーガン)と共に大量の救命胴衣を積込み出港準備をします。

ジョージは兵士を救いたいと言いダンケルクへ同行することになります。途中で沈没しかけの船?から1人の兵士を救いますが、「Uボートだ」と言いPTSD(心的外傷後ストレス障害)のような症状で、ダンケルクへ向かうドーソンにイギリスへ戻るよう強く主張します。ピーターは彼の船室に鍵をかけます。

3機の空軍機が頭上を飛んでおびえるジョージに、ドーソンは機体も見ずエンジン音だけで「あれは味方のイギリス軍のスピットファイアだ」と言い当てます。ファリアらかもしれません。兵士(キリアン・マーフィー)は鍵をかけられたことに気づき、ハッチから甲板に出て、イギリスへ戻れとドーソンに命令します。

ドーソンはもう1人の息子を戦争で亡くしてるため、今回はなるべく多くの若者を救いたいので引き返えさず兵士ともみあいになり、兵士にぶつかり船室へ落ちたジョージが頭を大ケガします。ピーターにジョージ「人を救えた。学校では何もできなかったが、新聞に掲載されるだろうか。目が見えない」

ピーターは父ドーソンにジョージが重傷なので引き返したいと言うと、ドーソンはすぐダンケルクなので引き返さないと決断します。そこへドイツ空軍機ハインケルが飛んできて、2機のイギリスのスピットファイアが交戦して追尾していきます。スピットファイアの1機が損傷して海に不時着水したので救いに行きます。

不時着したコリンズは飛行機から出ようとするがドアが開かず、浸水して沈みつつありあせります。すると外からピーターが叩いて開けて救い出してくれます。そこでコリンズ「グッドアフタヌーン」の一言。ダンケルクへ近づくと他にも民間小型船が多数向かってるのが見えます。ボルトン中佐は涙を浮かべます。

ダンケルク撤退を支援するイギリス空軍機での1時間

ドイツ空軍機を牽制してダンケルク救出作戦を援護するために、イギリスから3機のスーパーマリーン スピットファイア戦闘機が飛び立ち、余分な燃料は持たないようにします。ドイツ機と遭遇し戦闘になり撃墜するが、リーダー機(声:マイケル・ケイン)も海へ墜落させられ、2機で向かいます。

ファリア(トム・ハーディ)のスピットファイア戦闘機は銃撃されて燃料計が故障し、コリンズ(ジャック・ロウデン)の燃料計報告をもとに残量を計算しながら飛びます。小型船をねらうドイツ機を見つけて交戦中にコリンズ機は銃撃されて不時着水します。ファリアはダンケルクまでドイツ機を追尾します。

ダンケルク撤退作戦中の陸海空

ファリアは燃料の残量がわからず心配ですが、ダンケルクへ向かいます。掃海艇を爆撃するドイツ機を見つけて追うが、その船は横転してガソリン燃料が海に流れ出します。ドーソンは泳ぐ船員を救いに行き、コリンズも手伝いながら「ファリア、やれ〜」と応援します。

ドイツ機はファリアのスピットファイアに撃墜されますが、重油へ突っこみ炎上したので、コリンズはドーソンらに重油から離れろと指示します。燃える海からトミーはピーターに救出されます。トミーは船内にギブソンを非難したアレックスを見つけ目配せします。船内で重傷だったジョージは亡くなっています。

ジョージを突き飛ばした兵士に様態を聞かれたピーター「ジョージは大丈夫」。船へドイツ機メッサーシュミットが迫り、ドーソンは飛行機の動きを見ながら息子ピーターに舵をまかせ職人芸で指示し、機銃を撃ってきたタイミングで舵を切らせてかわします。コリンズにドーソン「戦地で死んだ息子が助けてくれた」

ボルトン中佐は民間船に次々と礼を言いながら、ドイツ空軍機が迫るのをながめ、攻撃をうけるのを覚悟します。その時、ファリアのスピットファイアが撃ち落とします。拍手喝采の中、ファリアの飛行機は燃料切れで敵包囲線の中に着陸します。ドイツ兵に捕まる前にスピットファイア機を炎上させます。

映画『ダンケルク』ネタバレ結末ラスト

イギリスに到着してジョージの遺体も運ばれ、船を降りたトミー、アレックスらはパンや飲料を受取り「生きて帰っただけで充分だ」と言われ安心して列車内で眠ります。アレックスは、新聞でチャーチルが「ダンケルクの戦い」でダイナモ作戦と撤退について演説した記事の見出しを見て非難だと思い読めません。

ボルトン中佐は桟橋の二等兵や士官を小型船に乗せて、フランス兵撤退の指揮をとるため残り、敬礼されます。ピーターは新聞社に亡くなったジョージの写真と活躍内容を持ちこんで、ダンケルクの英雄として新聞記事にしてもらい、ジョージの夢をかなえます

新聞のチャーチル首相の記事を読むトミー「戦争は撤退では勝利しないが、次の攻撃に備えるために多くの命を温存できたことは勝利につながる。我々はあらゆる場所で戦い続け、決して降伏しない。たとえ多くの領土が征服されても、神のご加護のもとで新世界が旧世界を解放するだろう」

私の評価 63/100(60が平均)

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