映画『ブラックスワン』評価は?ネタバレ感想考察

『ブラックスワン』あらすじ概要
アカデミー賞受賞作。ニナは、ニューヨークの一流バレエ団に所属し、人生の全てをバレエの向上に注ぎ込んでいる。ニナの母も元バレリーナで、自分が果たせなかった夢を、ニナに対して過剰..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | ブラック・スワン |
原題/英題 | Black Swan |
日本公開日 | 2011/5/11 [予告↓]上映時間 108分 |
映倫区分 | 日本 R15+(15歳以上)USA R |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | ダーレン・アロノフスキー |
キャスト 出演者 | ナタリー・ポートマン、バンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー |
配給/製作/画像 | ©20th Century Fox、フォックス・サーチライト・ピクチャーズ(USA)/フェニックス・ピクチャーズ |
日本興行収入 | 23.9億円(年間18位) |
世界興行収入 | 3.2億USドル [出典] |
製作費 | 0.1億USドル |
平均評価★★★★★77(私の評価↓は含まず)
|
『ブラック・スワン』予告動画
ネタバレ感想『ブラックスワン』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『ブラック・スワン』は、ナタリー・ポートマン演じるニナが、バレエ劇「白鳥の湖」の主役に選ばれたことから起こる、不安定な心理状態の変化を描いた、サイコ・スリラー映画です。
この映画のおすすめ、6つのポイント
- 白鳥の湖の主役/プリマの重圧感が伝わる
- 白鳥と黒鳥の二面性を演じる難しさ
- ニナの現実と妄想の境界線のあいまいさ
- 誰が味方か敵か見極めるのが難しい
- ナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技力
- ラストで好演できた理由に驚き

少し残念?つっこみどころ、3つのポイント
- どこまでが幻想なのかわかりにくい
- ベスとリリーはどちらか1人でいいと思う
- 場所や人物の区別がつきにくい部分がある
ネタバレ感想や結末
『ブラック・スワン』は、大役に抜擢されたニナがその重圧に悩み、みんなからの期待と演出家トマの要求について考えてるうちに、精神的に苦しんでやがて妄想まで見るようになる物語です。
ニナは公演「白鳥の湖」でのプリマ(主役)の候補3人の中にも選ばれるくらいなので、バレリーナの資質は高いのでしょう。しかしこの役は純真な「白鳥」と官能的な「黒鳥」の二面性を演じる必要があるため、純真なだけのニナが選ばれる可能性は低かったと思います。
そこでニナはトマの所へ行きお願いします。トマの突然のキス(の演技?)は噛んで拒絶しますが、この行為がニナの内面に眠る邪悪性(黒鳥)だと判断したのか、トマはプリマをニナに決定します。ベスに「誘惑したでしょ?」と言われ、ニナは動揺しますが、結果的には図星ですよね。
プリマに選ばれたことの重圧と、このベスの言葉を「ねたみ」ととらえたことにより、ニナの妄想は始まった気がします。だからこの日トマの部屋に呼ばれて行ったのも幻想の可能性が高そうです。ベスとトマがつきあってると妄想し、ベスと自分を置換えたのかもしれません。
それ以降は、リリーに役を奪われるかもしれないとか、母親がニナにがっかりしてるとか、トマが主役交代を考えているとか、ネガティブな幻想をいだき続けます。視聴者にはニナの思考フィルターがかかった世界しか見えないので、周りが全員敵に見えてしまいますね。
母親は元バレリーナでしたが、ニナを妊娠したことにより断念したようです。だからこそ、娘のニナには期待して、(妊娠しないよう)大切に育ててきました。その過度な保護や期待も、ずっとニナの重圧になってたようで、性的な欲求も閉じ込めていました。
トマには黒鳥をうまく演じるためには、性的な魅力や喜びが必要だと言われます。たぶん「もっと官能的に踊るといい」と言いたかっただけと思うのですが、ニナのフィルターを通すと「性的な欲求を満たせ」ということになったのでしょう。自慰行為の時の母親はホラーですが妄想の可能性もあります。
リリーと行ったクラブでは、酒によってドラッグまでやります。そして男性だけでなく、自分の部屋に連れ込んでリリーとも性行為をします。しかし翌日問うと、リリーはクラブで知り合った男性と過ごしてたことがわかります。つまりリリーと自分を置換えてたのです。
おそらくドラッグまでは現実で、それ以降はニナの妄想の可能性がありそうです。ここまで見るとニナの妄想の特徴は「他人と自分を置き換える」や「自分を傷つける」ということがわかります。皮膚やツメがはがれたりしたのは後者です。ブラックスワン化は両方のミックスですかね。
結末/ラストシーン
公演前日、黒鳥化したニナは気絶して、当日に母親はニナは出られないと電話します。ニナのフィルターを通すと、母親はニナに嫉妬してるようにも感じますが、実際にそれは全くないと思います。母がニナの成長をねたんでないのは、公演最後に感動で泣いてたことからも明らかです。
劇場で代役の準備を進めるトマとリリーに、ニナは八つ当たり気味に「代役は不要」と言いますが、そもそも当日になって出られないと無理なこと言ってきたのはニナの母親です。トマとリリーの立場で考えると、引っかき回されて理不尽だったことでしょう。
そんな精神状態でプリマをうまく踊れるわけもなく、第一幕でニナは失敗します。そして楽屋に戻ると、リリーが黒鳥の化粧をしていたので、口論となり割れた鏡で刺して殺害して隠します。これでニナは狂気につつまれ、官能的に黒鳥/ブラックスワンを演じることができます。
楽屋へ戻るとリリーが元気に感動を伝えに来てくれます。ここでニナも視聴者も、あれっ?となります。さっき刺したのはリリーではなく、なんと自分の腹だと気づきますが、そのまま最後幕で白鳥が自らの命をたつ結末を完璧に演じきって、観客席を感動させます。
ニナには不謹慎ですが、この公演を見た人はラッキーでした。人を殺して狂いながら黒鳥を、自分を刺して死にそうになりながら白鳥の最後を演じたのですから。まさに「身をもって」なりきった演技です。『ガラスの仮面』のまや以上です。
いろんな解釈ができそうですが、これはニナの潜在思考が起こした最良の妄想だった気がします。すなわち、リリーを殺したと錯覚させて、官能的に邪悪に「黒鳥」を演じさせた後、自分を刺したことに気づかせて「白鳥の女王の最後」を演じさせたのです。
結局、母親もトマもベスもリリーも、みんなすごく良い人だったのでしょう。見る人によって感じ方や解釈が違ってきそうですが、ぜひ一度は観ることをおすすめしたい映画です!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『ブラックスワン』含む映画ランキングや映画賞
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