映画『この空の花 長岡花火物語』評価は?ネタバレ感想考察/空襲や大震災を振り返る反戦映画

『この空の花 長岡花火物語』あらすじ概要
役者がドキュメンタリー風に演じる。天草の記者の遠藤玲子が新潟県の長岡市を訪れる。長岡は中越地震を体験したため、2011年3月11日の東日本大震災の被災者をすぐに受け入れた。また長岡空襲の生き残りもいるため、玲子は取材を重ねる。それとは別に昔の恋人・片山健一か..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | この空の花 長岡花火物語 |
日本公開日 | 2012/4/7 [予告↓]上映時間 160分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし) |
映画監督 | 大林宣彦 |
キャスト 出演者 | 松雪泰子、高嶋政宏、原田夏希、猪股南、寺島咲 |
配給/製作/画像 | ©PSC、TMエンタテインメント/「長岡映画」製作委員会 |
日本興行収入 | 公表後すぐ更新(興行収入ランキング) |
平均評価★★★★★73(私の評価↓は含まず) |
『この空の花 長岡花火物語』予告動画
ネタバレ感想『この空の花 長岡花火物語』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『この空の花 長岡花火物語』は、松雪泰子の演じる遠藤玲子が新潟の長岡に取材に訪れ、そこで暮らす人たちから、第二次世界大戦中の長岡空襲、東日本大震災、中越地震での苦労話などを聞き、最後は戦争劇と長岡花火を観るというドキュメンタリ風の映画です。
この映画のおすすめ、7つのポイント
- とにかく情報量が多い
- 長岡花火の由来や歴史を学べる
- 長岡空襲や原爆模擬弾について学べる
- 中越地震、東日本大震災を思い出せる
- 裸の大将・山下清も登場する
- 何な映画として印象に残る
- 子どもと一緒に反戦映画として観られる

少し残念?つっこみどころ、4つのポイント
- とにかくめちゃくちゃ
- まじめに見ようとすると混乱するのみ
- 映画というよりエピソードのつぎはぎ
- 言葉の繰り返しや字幕がしつこい
ネタバレ感想や結末
『この空の花 長岡花火物語』は、大林宣彦監督の異端感が満載で、エンターテインメントでないだけでなく、演出もセリフも進行もあらゆる面で万人向けではありません。最初からメチャクチャですが、人によっては最後までついて行けないかもしれません。
テーマを一言でいうなら「反戦」「反原子力」「想像力」です。戊辰戦争、中越地震、東日本大震災の話もでてきますが、観おわった後に強烈に記憶に残ってるのは「長岡空襲」と「原爆模擬弾」のことでした。紙芝居と最後の舞台劇のテーマでもありますので。
冒頭から字幕テロップの使い方やカメラ目線が独特だなと思ってると、急に18年前の恋人との別れの場面になります。そこで別れる理由?の玲子「戦争なんて関係ないのに」に対して、片山の「雨が痛い!」。このシーンだけでこの映画はまじめに見てはいけないのがわかります。
玲子がタクシーで長岡に入る時、過去の学生たちと挨拶します。彼らはたぶん長岡空襲で焼け死んだ赤ちゃんや子どもたちだと思います。ここから過去と現在の境界線がなくなります。まともなSFやミステリではないので、全てが異空間でアンフェアだと考えた方が気は楽です。
変な人もいろいろ現れて「原爆模擬弾」やファットマンの話をしてくれます。私も知らないことばかりだったので勉強になりました。そして長岡は山本五十六の出生地で墓もあります。だからこそ空襲や原爆でもねらわれたという説もあるようです。
しかし原爆投下地については、山本五十六のことは直接関係せず、本当は新潟市に落とす予定だったそうです。長崎の原爆も第一目標は、北九州の小倉市でしたが、天候不良のため第二目標の長崎市になったそうです。これは長崎で被災した玲子の母とリンクしてきます。
山本五十六は、第二次世界大戦(太平洋戦争)でハワイの真珠湾を奇襲攻撃するのを、最後までに拒んでいたそうで、その時の友人への手紙が出てきます。しかし止められず、アメリカ人にも多くの犠牲者を出します。
長岡花火もテーマなので、花火職人も出てきていろいろ解説してくれます。包む紙を厚くした方が、ゆっくり花開くというのも、はじめて知りました。花火設置時にうろついてた、裸の大将・山下清画伯を追い出したエピソードには笑いました。
その後も山下清は生きているように何度も登場します。彼の言葉「みんなが爆弾ではなく、花火をつくれば戦争なんてなくなるのに」は印象的でした。爆弾と花火は製造方法が似ているというのも意外です。
中盤はひたすら長岡空襲の時の悲惨な話です。生き残りの人たちが体験談を語ります。この部分は完全にドキュメンタリーです。焼夷弾は防空壕すら貫通することもはじめて知りました。舞台劇でもでてきますが、防空壕は決して安全ではなかったことがわかります。
長岡空襲で死んだ赤ちゃんの中に「元木花」がいたとわかります。舞台『まだ戦争に間に合う』の脚本は元木花が書いたもので、彼女は頻繁に一輪車でカメラの前を駆け抜けます。そして空襲で死んだ人を「みんな知ってるよ」と言うのですが、見方によるとホラーです。
この映画はカメラ目線が多いのですが、玲子、片山、花は特に多くて、映画を見てる私たちに直接語りかけてきます。最初は違和感あるけど、最後は慣れてしまいました。『デッドプール』の第四の壁を破るのに近いです。
結末/ラストシーン
ラストは元木花が脚本出演と飛行機の効果音までつとめる舞台劇です。出演者たちはほぼみんな幽霊でしょうか。劇の練習で学生たちが一斉に一輪車で走る風景もホラーに感じました。花が一輪車でぶつかって励ました、東日本大震災の被災者の男の子は生きてる子ですね。
この舞台劇もいろいろめちゃくちゃで、焼夷弾や花火の効果が、CGっぽいので、屋外の劇で使うには違和感がありすぎます。練習の時から同じですが。劇にすればいいのに、なぜか紙芝居も混ざります。花火は爆弾を連想するので見ないと言ってたけど、打ち上げ前に帰ったんでしょうね。
最後は長岡花火の打ち上げがあり、山下清が楽器を演奏(たたいてるだけ?)し、被災者のおじさん?がサックスを吹き、一輪車がさよ〜なら〜と去っていきます。「大団円」や「エンドマークは出さずに、未来へ」の字幕はギャグですかね(笑)
ラストまで観ると玲子が片山と別れた理由が「長崎原爆の被災者二世」だからとわかります。「子どもをつくる決心をする」とのことから「(私には)戦争なんて関係ないのに(子どもをつくるのはこわいから別れる)」と言いたかったのだと思いました。
片山の「雨が痛い」はただの狂った発言にしかとれませんが、長岡空襲の焼夷弾を暗示しているのか、または長岡花火が記録的な大雨で中止になりそうになる未来を予知したという深読みも出来る気がします。
山本五十六で結ばれた、長岡とハワイでの合同花火大会は素晴らしすぎるアイデアです。ピースサインが戦勝国だけの平和にならないよう、想像力によって戦争のない世界にしていきたいですね。情報量も多く、変な映画ですが、反戦テーマは重要なので、ぜひ一度は観ることをおすすめします!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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