映画『スティーブジョブズ』評価は?ネタバレ感想考察/iPhone作った男と娘や社員との口論劇

『スティーブジョブズ』あらすじ概要
実話ベース。1984年、Macintosh発表会直前、スティーブ・ジョブズはマシンが「Hello」と挨拶できないことに激怒していた。そこへ元恋人のクリスアンが5歳の娘リサを連れて、認知を迫ってきた。さらに共同経営者ウォズニアックは彼のチームへの謝辞を求めてき..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | スティーブ・ジョブズ |
原題/英題 | Steve Jobs |
日本公開日 | 2016/2/12 [予告↓]上映時間 122分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA R |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | ダニー・ボイル |
キャスト 出演者 | マイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、セス・ローゲン、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ |
配給/製作/画像 | ©東宝東和、 ユニバーサル・ピクチャーズ(USA)/Legendary Pictures |
日本興行収入 | 公表後すぐ更新(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 0.3億USドル [出典] |
製作費 | 0.3億USドル |
平均評価★★★★★71(私の評価↓は含まず)
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『スティーブ・ジョブズ』予告動画
ネタバレ感想『スティーブジョブズ』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
映画『スティーブ・ジョブズ』は、iPhoneを作り出したApple社の創業者の1人スティーブ・ジョブズが、新製品の発表会前に、プレゼン準備中の社員や共同経営者や元恋人や認知してない娘などと激しい口論をするという、実話を脚色した伝記的ドラマ映画です。
この映画のおすすめ、4つのポイント
- ジョブズの人間性や考え方を凝縮
- 会話劇だけで進行
- 経営者としての頑固さ
- 娘に対する考えの変化

少し残念?つっこみどころ、4つのポイント
- ジョブズの出世物語ではない
- 予習しないとついていけない
- 同じ展開を3度見せられる
- 会話のみでエンタメ性が低い
『スティーブ・ジョブズ』ネタバレ感想の総括
ジョブズの映画は数作ありますが、個人的には2013年のジョシュア・マイケル・スターン監督の映画の方が好みです。しかし世間的には今回のダニー・ボイル監督版の方が、評価は高めのようですし、アカデミー賞にもノミネート(受賞は逃した)されました。
今回のは会話劇のみで進行して、同じ人物を扱っていても、全く伝記的ではないので、そもそも比較するのも難しいです。決して2013年版が良い映画だったということではありません。今回のにハマれなかっただけです。
スティーブ・ジョブズの業績やプレゼンや出世物語よりも、人となりや頑固さや考え方を浮き彫りにすることをテーマにしているため、シーンを3つに絞って登場人物もわずかにして、ほぼ会話のみで進める方法は斬新です。
脚本は『ソーシャルネットワーク』のアーロン・ソーキンなので、早口の口論や情報量の多さには納得です。
『スティーブ・ジョブズ』1984年 Macintosh発表会直前
いきなりマックが「Hello/ハロー」と言わないトラブルが発生して、部下のアンディがこき下ろされます。仕事に完璧を求めるジョブズならではのシーンです。
創業時から一緒にやってきた魔法使いとも呼ばれるウォズニアックには、Macintoshの前に開発してたAppleIIのチームに謝辞を述べてほしいと迫られるけど、ジョブズは過去はかえりみず、未来のみを話したいと突っぱねます。これはジョブズを知る者には有名な話です。
ウォズニアックは、ねぎらいの言葉だけでも欲しかったのかもしれません。人間は0と1だけで処理するわけではないので、そんな些細なことでも気持ちが楽になったりするもんですよね。でもジョブズにしてみれば、そんな無駄なことに時間を使いたくなかったのでしょう。
そんな大変な時に、元恋人のクリスアンまでやってきて、5歳の娘を見せて養育費を要求してきます。こんな会話がプレゼン30分前とかにされたはずないのですが、ジョブズならいつこの話をされても、忙しそうに返答してたとは思います。
クリスアンの娘のことについてジョブズは「アメリカ男性の28%が父親の可能性がある」と発言して批判をあびたようですが、仮に自分の娘ではなかったとしてもゲスすぎる発言だと思います。この発言だけで人間性を疑いたくなります。
リサが「(コンピューターに)LISAと名付けたのは、私の名前だから?」と尋ねますが、これが実話だとしても、クリスアンが仕込んだ気がしますね。でも子どもに罪はない、と感じさせてくれるリサの演技は素晴らしくかわいいです。この時のやりとりがラストで効いてきたりします。
しかしLISAと名付けたのは偶然だ、などと純粋な子どもに平然と言えてしまうジョブズこそが子どもだ!と思いました。そう、一言でこの映画のジョブズを表現するなら「大人のような子ども」なんです。
そんなジョブズは「このまま一生砂糖水を売り続けるか、それとも私と一緒に世界を変えたいか?」と言って、ペプシコーラ社からジョン・スカリーを引き抜いてきます。最初は意気投合しますが、やがて彼によりジョブズがAPPLEを追い出されるので、現実は映画より奇なりです。
『スティーブ・ジョブズ』1988年 NeXTcube発表会直前
2番めのステージはApple社を追い出された後です。またしても同じ人物達と口論します。アンディには、NeXTcubeをApple社に買収させて復帰するつもりでしょ?と言われますが、ジョブズは心が見抜かれた感じだったでしょう。
ウォズニアックはまだ同じようなこと言ってきて、最後にはついに「(ジョブズは)何も作り上げてない」と怒り出します。ここでもウォズの憤りは痛いほど伝わってきますが「私は指揮者のような者だ」と言うジョブズに納得です。ウォズは技術者であり、ジョブズは経営者なんです。
ただApple社のようなエンジニア主体の企業で、技術者を大事にしないのは、経営者として失格だった気もします。社員の功績を自分のものにしたり、自分のミスを社員の責任にしたこともあるそうなので、人間的に未熟だったことは確かなのでしょう。
クリスアンには家と養育費を上積みしたのに、また要求してきます。彼女の浪費にも問題がありそうです。リサはこっそり「一緒に住みたい」と相変わらずかわいいのですが、複雑な家庭で育ったジョブズは愛情を返すことができません。不器用なんです。自分が引き抜いてきたスカリーとの関係も修復不能です。
『スティーブ・ジョブズ』1998年 iMac発表会直前
最後はApple社に復帰後です。NeXTcubuにも付いていったジョアンナは、リサを5歳の頃から知っているため、ついにジョブズにリサとの和解を求めて、しなければ自分は転職するとまで言い切ります。自分とジョブズは共犯とも言います。
ジョブズは常に未来を見つめていて、製品の未来にしか興味がないため、子どもにとっての「今」がどれほど「未来」にとって大切か気づいていません。それをずっとそばで見てきたのに、リサのために何も出来なかったジョアンナは、せめてリサの「今後の未来」は考えてあげてほしいと思ったのでしょう。
リサのことを心配してるのはジョアンナだけでなく、アンディもハーバード大学の授業料を支払ってあげていました。ジョブズが腹を立てたのは、アンディに対してよりも自分自身に対してのように見えました。アンディはジョブズに昔脅されたことがトラウマのようになっててかわいそうです。
ウォズニアックはここでもAppleIIのチームへの謝辞を求めてきます。大切なことだろうけど、前に進んでないマイナスな印象も受けます。それを元にスタートして成功したApple社ですが、それが原因で破産しそうにもなったとジョブズは言い放ち、謝辞は断固拒否して決別します。
ウォズが最後にジョブズに言い放った「礼儀と才能は共存できる」は言い得ています。ウォズはそのあと、発表会を聞きに戻ってきます。ちなみにウォズと話す前にアラン・チューリング博士は毒リンゴで死んだ、という小ネタがでますが、映画『イミテーションゲーム』を思い出しました。
辞めさせられたジョン・スカリーもまた来ます。彼は雑誌でiMacをほめる発言をしています。そして紆余曲折あったけど2人は和解します。ジョブズはスタイラスペンは5本指を必要とすると言い、後のiPhoneを連想させます。
ここで驚いたのは、ジョブズがスカリーを説得した時、そのレストランで働いていた人(オーナー?)が、実はジョブズの実の父親だったことです。父親本人には最後まで話さなかったのでしょうか。
『スティーブ・ジョブズ』結末/ラストシーン
発表会直前にリサと口論になります。14年前のタイムズの記事「アメリカ男性の28%が父親の可能性がある」をリサが読んでいたことに、ジョブズはショックを受けます。リサはジョブズの数々の名言をけなして「恥知らずの卑怯者だ」とこき下ろして去っていきます。
ジョブズはいつも9時きっかりに発表会を開始するのに、時間がすぎてもリサを追いかけていき、マシンLisaはリサの名前からとったものだと認めます。ついに認めたんです。14年前に言ってあげれば、リサの子ども時代はもっと明るい気分だったことでしょう。
リサの持ち歩いている音楽プレイヤー(たぶんソニーのウォークマン)を指して、もっと小さくしてポケットで1000曲を持ち運べるようにすると、今度はiPodを作る宣言もします。とどめは、リサが5歳の時にMacで描いた絵を、印刷して持ち歩いていたこともわかります。
ジョブズの脳裏には、リサが子供の頃の記憶がフラッシュバックのように現れますが、常にリサのことは大切に思っていたようです。それをうまく表現できなかったのが、彼の欠点なんです。現実では、リサを認知したそうです。
ジョブズは子どもの頃に愛されなかった期間があったためか、自分の娘の愛し方もわからなかったのですが、やっと妥協に気づいて愛すことができました。しかし経営者としては最後まで妥協できず、ウォズニアックらへの謝辞は頑固に断り続けます。この対比も描きたかったのでしょう。
簡単な振り返りと感想を交えましたが、映画ではもっと情報量が多いです。ジョブズの業績や伝記を期待する人には物足りないかもしれないけど、スティーブ・ジョブズを2時間で知るには最適な作りなので、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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