『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』感想ネタバレ解説考察/勝因と結末は?敵の正体と目的は?
ドラえもん映画41作目。のび太たちは、拾った小さなロケットから現れた宇宙人パピと一緒の時間を過ごします。しかしピリカ星の反乱軍が攻めてきて、のび太たちも宇宙へ出るが…。欠点は長所にもなるがテーマ?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021 |
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日本公開日 | 2022/3/4 [予告] 上映時間:108分 |
監督・キャスト | 山口晋[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/シンエイ動画 |
日本興行収入 | 26.9億円(年間17位) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 76(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ドラえもん映画一覧 前作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』33.5億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ドラコルル(諏訪部順一 )ピリカ星の情報機関PCIA(ピシア)長官。パピを追って地球へ
- パピ(朴璐美)ピリカ星の大統領。体は小さいが責任感は強い
- ロコロコ(梶裕貴)パピの愛犬。言葉を話せるが話が長い。
- 野比のび太(大原めぐみ)どじでなまけものだが、必要な時にはがんばれる少年
- 骨川スネ夫(関智一)のび太の金持ちな同級生。ジャイアンと一緒にいることが多い
- しずかちゃん/源静香(かかずゆみ)みんなのヒロイン。心やさしい少女
- ドラえもん(水田わさび)未来から来たネコ型ロボット
- ジャイアン/剛田武(木村昴)力強く豪快な、のび太の同級生
- ギルモア(香川照之)ピリカ星の将軍。反乱を起こし恐怖で支配する独裁者
- ピイナ(松岡茉優)パピの姉。パピを逃して自分は星に残った。本作のオリジナルキャラクター
ネタバレ感想『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
41作目?リメイク版?監督とキャストについて
ドラえもん映画シリーズとしては41作目。『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)』(1985年)のリメイク作品です。宇宙をテーマにした映画では『のび太の宇宙英雄記』(2015年)もありました。
監督の山口晋は、アニメーター・演出家として多くのアニメ作品に関わっています。前作『映画ドラえもん のび太の新恐竜』でも原画を担当したようです。
主要な声優陣はそのままで、水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一らです。ゲスト声優として香川照之、松岡茉優、ミルクボーイの内海崇と駒場孝に加え、朴璐美、梶裕貴、諏訪部順一らが演じます。
1985年版『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)』は観た気がしますが、全く内容を覚えてません。近年、表現が丸くなったことが長所とも欠点とも言われますが、現代風アレンジがどうなるか楽しみです。
小さな宇宙人の正体は?攻めてきたのは誰?
金持ちのスネオが庭にジオラマセットを作り、ジャイアン、のび太、出木杉とSF特撮映画を制作中。ドラえもんも加わり、ひみつ道具で本格的な撮影開始。のび太は雑用係で不満だったが、小さな宇宙船模型を発見し家へ持ち帰ります。
中から小さな宇宙人パピが登場。パピは、ピリカ星の反乱時、姉のピイナに逃されました。宇宙船の修理をおえるまで、パピはしずかちゃんのドールハウスに住むことに。のび太達もスモールライトで小さくなり一緒に遊びます。
しかし、ジオラマセット内でアストロバギーの撮影中、クジラ型宇宙戦艦が攻撃してきます。ピリカ星のPCIA(ピシア)長官ドラコルルが、ギルモア将軍の命令でパピをつかまえに来たのです。「かべ紙秘密基地」でパピを隠したが…
序盤あらすじは以上。のび太が「外の世界の住人と接触して彼らの世界へ出かける」のはドラえもん映画の定番だし、わかりやすいですよね。必ずのび太が第一発見者になるのは、1人の時間が長いからでしょう。
ピリカ星人は、地球人からは注意しないと見えないくらい小さいけど、クジラ型宇宙戦艦は衝突したトラックとのサイズ比較でもかなり大きいので、地球進入時はNASAとかに見つかるはず。裏山で修理中も。科学で偽装したのでしょうね。
最近のドラえもん映画は、努力できる部分には「ひみつ道具」を使わない配慮があるけど、今回も「ガリバートンネル」「ひらりマント」「通りぬけフープ」は使いません。アストロバギーをスネオが操縦できるよう改造したのはやりすぎですが。
のび太達がピリカ星へ行く理由は?パピの演説内容は?
ドラえもんのひみつ道具「天才ヘルメット」「技術手袋」でラジコン戦車を改造した、のび太、ジャイアン、スネオ、ドラえもんは裏山の宇宙戦艦を倒しに行くが、逆にしずかちゃんを誘拐されます。
パピは、のら猫に交渉してもらい、のび太達の加勢もあってしずかちゃんを救い出します。ギルモア将軍は、ピリカ星のピイナの命と引き換えに、パピに戴冠式への出席を強要。のび太達もスモールライトを取り返すためピリカ星へ同行。
のび太、パピ、ジャイアン、ドラえもんは隕石を偽装してピリカ星へ侵入し地下組織と合流するが、敵に捕まります。ギルモア皇帝の戴冠式で「国民に立ち上がるよう」演説したパピは、のび太達と共に処刑されることになるが…
中盤は野良猫の交渉などストーリーが停滞してやや退屈。しずかちゃんが誘拐される設定は、そろそろ現代では古く感じるし、しずかちゃんの宇宙船居残り理由も納得感なかったです。こわがるスネオは現実的で、いい役割だったのに。
ドールハウスで牛乳風呂に入るシーンも不要と感じます。そもそも、のび太達がいつ帰ってくるかわからない状況だし。敵の侵入時にすぐ服着たのは見事ですが、上着だけで飛び出してればスモールライト解除できたんですよね(笑)
ドラえもん達はスモールライトを取り戻すためにピリカ星行きを決断するが、それは「1人で帰る」と言い張るパピを説得するためです。その理由がなくても、友人パピの姉を救いに行ったのでしょう。なぜなら、スモールライトの効果は…(後述)
パピの力強い演説により「自由を求める」国民が立ち上がるのはこの映画のハイライト。演説を止めないギルモア側はおかしいけど。ただしパピは「地球でしずかちゃんとの交換の約束」を結果的にやぶったままなので説得力に欠けるのですが。
勝因は?テーマ:欠点は長所にもなる?
宇宙船で居残り組となったスネオは、アストロスラスターを改造し、しずかちゃんと共に訓練開始。そして自由同盟には内緒で、のび太達の救出へ。海へ落とされるが、スモールライト効果が時間できれて巨大化し助かります。
一方、処刑の場ではパピの愛犬ロコロコの「長い最後の言葉」が時間かせぎになり、巨大化したのび太がパピを救います。スネオ達も合流し、もとの大きさに戻った皆は無人の戦闘機や戦車を倒します。
ジャイアンはクジラ型宇宙戦艦を破壊し、もともと誠実ではあったドラコルルはあっさり降伏。逃亡したギルモア将軍も、国民に囲まれて降伏し反乱は失敗におわります。地球に帰ったのび太達の上映会で、出来杉君は驚かされます。
終盤はアクションシーンの連続で、子どもも大人も楽しめそう。ただ、勝因でもある「スモールライトの効果が時間できれる」設定をドラえもんが隠してたのはがっかり。「時間は個人差ある」ので作戦に組みこめなかったにしても先に教えてほしいですね。
ロコロコの長すぎる話を止めるために何度も骨を投げたり、宇宙船でスネオがこわがったりして「わざと人の欠点を見せる」演出がつづきます。そして、パピの名言「誰でも1つはできることがある」につながっていきます。
スネオはこわいからこそ、負けないために改造し訓練して恐怖を克服し、絶体絶命のしずかちゃんを体をはって救います。ロコロコの長い話には視聴者もウンザリしますが、その伏線回収が処刑の時間稼ぎだったのは見事な脚本です。
つまり「こわがり」や「話が長すぎる」という「欠点」すら、ある時には「長所」にもなりえるというテーマを感じました。元SMAPの歌曲『世界に一つだけの花』とも似たテーマですね。
ドラコルル長官は、パピよりも約束守ってしずかちゃんを返したり、副官をとめて誰の犠牲も出さずに降伏したりと意外と好感もてるキャラでした。ギリモアの命令を忠実に実行してただけの忠臣だったのでしょう。
『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021』私の感想と評価と続編
昔の『ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)』のリメイク版ですが「逃亡した王子(大統領)が強くなって戻り王位を取り戻す」という普遍的な物語なので、子どもとも安心して観ることができますね。
一方、大人の立場からすると意外性がなく、かなり薄いストーリーだと感じるかもしれません。また、努力や計画ではなく「スモールライトの効果時間」だけで全てが解決したのも残念。社会性もクレヨンしんちゃん映画の方が上かも。
今回のメインテーマ「欠点は長所にもなる」「誰でも1つはできることがある」の見せ方はよかったです。特に話長くてウザがられてたロコロコが、その短所で仲間を処刑から救ったエピソードは好み。スネオもよかったです。
全体的にはうまくまとまった物語に仕上がってたけど、リメイクにしても本筋には何かひねりがほしかったとは思います。あと、しずかちゃんの扱いはもっと現代風にできたはず。飛行機や飛行船に関係ありそうな続編にも期待!
私の評価 62/100(60が平均)
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