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映画『キャプテンフィリップス』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?海賊の動機は?

キャプテン・フィリップス 映画/ドラマ

実話ベースの映画化。アラバマ号のキャプテンのフィリップスは、オマーンからケニアへ援助物資を運搬中、海賊に人質にされます。身代金を要求しようとする海賊に対し、フィリップスは駆け引きするが…(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題キャプテン・フィリップス
日本公開日2013/11/29 [予告] 上映時間:134分
製作国アメリカ
原題/英題Captain Phillips
監督・キャストポール・グリーングラス
キャスト
出演者
トム・ハンクス、キャサリン・キーナー、バーカッド・アブディ、バーカッド・アブディラマン、ファイサル・アメッド
映倫区分日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13
配給/製作
(画像出典)
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/Michael De Luca Productions、Scott Rudin Productions、Translux、Trigger Street Productions
日本興行収入5.7億円 (興行収入ランキング
世界興行収入2.1億USドル [出典]
製作費0.6億USドル
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.25更新)
79私の評価は含まず)
シリーズ
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実話/歴史/時代/西部/戦争映画一覧

ネタバレ感想『キャプテン・フィリップス』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

映画『キャプテン・フィリップス』は、2009年にソマリア海域で起こった、海賊によるキャプテン・フィリップス人質事件を描いた実話ベースのサスペンス映画です。ソマリア海賊たちにも同情したくなる内容です。米海軍特殊部隊ネイビーシールズも出動して緊迫のラストをむかえます。

この映画のおすすめ7ポイント

少し残念つっこみどころ3ポイント

『キャプテン・フィリップス』ネタバレ感想や解説

ソマリア沖の海賊と戦う映画かと思いきや、船長が1人だけで人質となって、その船長と海賊初心者のソマリア人の若者たちとの駆け引きや、米軍ネイビーシールズがいかにして船長を救出したかの静かな攻防や心理戦が描かれます。

だからアクション映画を期待して観た人は、少しがっかりするかもしれません。それにメイン部分が短いからか、前半は貨物の積み込みや船員どおしのコミュニケーションなどを、丁寧に描きすぎてて退屈しそうになります。ソマリア人側の様子は興味深く見れました。

海賊のボートが迫ってきてからの攻防は、今までに見たことない展開だらけで楽しめました。ソマリア人の論法はめちゃくちゃだけど、漁師が海賊化する理由の1つとして寿司を食べる日本人も関わってることをはじめて知り、今さらですが申し訳なさも感じました

そういう風に、ソマリア人からの視点でも語られていることが、この映画に幅を持たせていると感じます。ネイビーシールズの実力はさすがでした。ラストでキャプテン・フィリップスが呆然としてたのは恐怖だけではなく、救えなかった無力感もあるように感じました。

キャプテン・フィリップス 映画/ドラマ

ネタバレあらすじ感想や考察

アメリカでリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)が家族の元から貨物船の仕事に出かけるシーンがあります。フィリップスは妻に「これからの時代を生きる子どもたちにはつらい時代になる」といいますが、これは資本主義の中でさらに効率化がすすみ競争が激しくなるという意味です。

先進国が効率化を追求するにつれ、新興国などにしわ寄せがいき、ソマリアでも漁師として生活できなくなった人々が海賊化したという経緯を示唆したような会話です。

ソマリアの場合は無政府状態時に、その海域が管理者不在となり、欧米や日本が魚を取り尽くしてしまい、地元漁師が生き残れなくなり海賊化したそうです。その海域に放射性物質を投棄した者もいるそうで、ひどい話です。ちなみにその海域には、武装した海賊ももともといたそうです。

この映画は内容のボリューム的にはそれほど長くできないからか、前半の貨物船での様子にかなり時間を割いていますが、この部分に必然性もドラマも感じないため、かなり退屈です。海賊に対する訓練くらいからやっと面白くなります。アメリカとソマリアの出航の対比は興味深かったです。

一方でソマリア側での様子は目新しいので、見てて飽きなかったです。ソマリア人を野蛮集団のように表現せず、生活が困窮した中で必至に暮らしている感じや、海賊になった者とならなかった者のほんのわずかな差が描かれていて、よりリアルに感じました

ソマリア海賊と一言でいっても、その組織の実情についてはほとんど知りません。もちろんこの映画で見られるのもほんのわずかですが、統率者は大きな船で指示を出すだけで、実行メンバーが盗んだ金品の半分以上は上納金として取ります。元漁師は古株ほどいばっていますが、基本的には実力社会です。

海賊というと『パイレーツ・オブ・カリビアン』『ワンピース』を真っ先に思い出しますが、あんな大きな船は必要ないようです。欧米の貨物船は基本的には武器を装備してないことも驚きですが、海賊が小さなボートに4〜5人だけ乗って大型の貨物船を襲うことはもっと衝撃的でした。

貨物船の乗員も拳銃すら持ってないため、完全に海賊になめられている感じなので、せめてセキュリティのような人員を乗せるとか、緊急時に使える銃を金庫などに保管するとかすれば、もっと海賊による人質事件は減った気もします。予算的に厳しいのかもしれませんが。

フィリップス船長は海賊に追われると当然ながら海軍に通信するのですが、その回答が「放水して逃げろ」とかだけなのも、他人事すぎて納得できませんでした。海軍は忙しいので、危険海域を航行する民間の貨物船にはかまってられないのでしょうか。

武器を持たない貨物船ができることといったら、思いっきり高速で逃げることや、高波をたてることや、追いついてきたら放水して近づけないことくらいです。1人2役で海軍に無線通信するふりして空軍機の出動を演じた時は、海賊ボートが1隻逃げていったので大成功でした。

海賊に乗り込まれた後は、フィリップス船長が捕まり、3万ドルでは満足しない欲深い海賊たちと機関室に隠れた船員たちの攻防がはじまります。と言っても船員は武器を持たないため、ガラスを割って床にばらまくなど地味な作戦を実行します。しかし裸足のソマリア人には意外とききました。

乗り込んだ海賊4人も初心者だったので、リーダーのムセもあっさり船員につかまりました。銃に過信しすぎですね。しかし船員らもプロではないので、フィリップス船長が海賊と救命ボートに乗り込んでいる状態で、ムセを返してしまいます。そこからキャプテン・フィリップスは人質になってしまいます。

キャプテン・フィリップスもただの船乗りなので、海賊たちとの駆け引きはあまり上手ではなく、海賊たちも初心者でびくついてるため、やりとりは長く見てても面白みが増しません。ソマリア海賊らが元漁師で、先進国の犠牲になって仕方なく海賊してるのを聞いた時は同情してしまいました。

映画『キャプテン・フィリップス』ネタバレ結末ラスト

米海軍やネイビーシールズが海賊に追いついた後の交渉も、海賊側がシロウトすぎていまいち盛り上がりません。そんな中、リーダーのムセはまんまとだまされて海軍の船に乗り込んでいきます。結果的にはこれで彼だけ命拾いすることになります。

ムセがいなくなった救命ボートでは、キャプテン・フィリップスが急に遺書のようなものを書き出したのが見つかり、今にも銃殺されそうになります。それまで海軍に有益な情報を流したりしてたのに、なぜ急に意味のない行動をしたのか不明ですが、あれこそが死ぬ覚悟の一般人の普通の行動なのかもしれません。

ラストはネイビーシールズが船を急に停めて、救命ボート内で倒れそうになった海賊たちが、ほんの一瞬だけ窓で3人とも見えた瞬間に同時に射殺されました。どこまで実話かわかりませんが、ネイビーシールズの射撃の精度は神がかっていますね。

あの場面で1人でも銃弾がそれると、間違いなくキャプテン・フィリップスが殺されていただろうから、シールズの射撃員のストレスも半端なかったと思います。ただ、ソマリア海賊で一番若くて、フィリップスが遺書を書いてても殺さなかった少年まで射殺されたのは残念でした。

キャプテン・フィリップスは今にも殺されるところで、銃の音がして返り血もあびたので、自分が撃たれたと思ったでしょうね。海軍の船で船医と話す時も錯乱状態が解けてなかったのは当然だと思います。

でも船長はぼう然としながらも、ソマリア海賊が3人とも射殺された事実を知ると、少しは悲しかったのではないでしょうか。特に若者には改心をすすめていましたし。でも彼らが生きていると、自分の命はなかっただろうから本当に微妙な心理状態だと思います。

海賊リーダーのムセはネイビーシールズに拘束されて米国で裁判を受けて、33年の刑が決まります。誰も殺してないにしては重すぎる気もしますが、海賊行為への見せしめの意味もあるのでしょうか。キャプテン・フィリップスは数年後、こりずに船の仕事に戻ったそうです。

フィクションではないので、サスペンス・アクション映画のような醍醐味や劇的シーンなどはありませんが、これが実話だと思うとリアルな恐ろしさを感じてしまいます。米海軍特殊部隊(ネイビーシールズ)の実力を見たい人にも、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!

私の評価 62/100(60が平均)

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