実写映画『沈黙の艦隊』ネタバレ感想解説/結末は?独立の目的は?潜水艦戦は?
人気漫画の実写化。自衛隊の潜水艦が沈没した裏で、海江田館長と乗務員達は最新原潜シーバットで、米艦隊から深海へ消失。アメリカと海自の深町は追うが、海江田の発言は世界に衝撃を与え…。深町と海江田の因縁とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 沈黙の艦隊 |
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日本公開日 | 2023/9/29 [予告] 上映時間:113分 |
監督・キャスト | 吉野耕平[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/Amazon Studios、CREDEUS |
日本興行収入 | 13.7億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.14更新) 70(私の評価は含まず) |
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キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 海江田四郎(大沢たかお)米軍所属の原子力潜水艦「シーバット」艦長
- 深町洋(玉木宏)海自のディーゼル潜水艦「たつなみ」艦長。海江田の後輩
- 南波栄一(ユースケ・サンタマリア)海自の潜水艦「たつなみ」ソナーマン
- ローガン・スタイガー(アレクス・ポーノヴィッチ)米海軍の太平洋艦隊司令官
- 速水貴子(水川あさみ)海自の潜水艦「たつなみ」副長
- 海原大悟(橋爪功)内閣官房参与・シーバット計画の黒幕
- 海原渉(江口洋介)内閣官房長官
- 曽根崎仁美(夏川結衣)防衛大臣、大悟派
- 竹上登志雄(笹野高史)内閣総理大臣
- 山中栄治(中村蒼)原潜「シーバット」副長
- 影山誠司(酒向芳)外務大臣
- 入江蒼士(中村倫也)海上自衛隊隊員
- 市谷裕美(上戸彩)報道ニュースキャスター
ネタバレ感想『沈黙の艦隊』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作はマンガ?監督やキャストは?
映画『沈黙の艦隊』の原作は、かわぐちかいじ著の漫画『沈黙の艦隊』(1988-1996年に連載)です。第14回講談社漫画賞一般部門を受賞。2023年1月時点で、紙・電子の累計発行部数は3200万部突破。アニメ化もされました。
監督の吉野耕平は、長編映画では『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』を監督。
主演の大沢たかおは、最近は『キングダム 運命の炎』などキングダム実写シリーズや『AI崩壊』等に出演。玉木宏はキングダムの昌平君役や『空母いぶき』等に出演。
他、上戸彩、水川あさみ、江口洋介、ユースケ・サンタマリア、中村倫也、笹野高史、夏川結衣、橋爪功など豪華キャストが出演。
シーバット計画とは?米原潜からの逃走方法は?
海上自衛隊(海自)の潜水艦やまなみが、アメリカ海軍の原子力潜水艦(米原潜)と衝突・沈没し、館長の海江田四郎含む乗員も死亡と確認されます。しかし海自の深町が疑ったとおり、海江田達は最新原潜シーバットに移り米軍との合流へ。
竹上総理(笹野高史)は、参与の海原大悟と防衛大臣の曽根崎の言いなりだが、若い官房長官の海原渉(江口洋介)を巻きこみます。シーバット計画とは「日本初製造の原潜」を米軍所属にし「非核三原則」に反しない戦力を日本が得る計画です。
海江田艦長(大沢たかお)のシーバットは、アメリカ太平洋艦隊との合流地点に到達。しかし合流せず、米原潜キーウェストと2隻に「音紋」をとられる前に「音響魚雷」を発射して敵ソナーの耳を数分使えなくし、深海へ消えます。
以上が序盤あらすじ。原作漫画を読んだことを後悔するくらい、先が気になる展開が続きます。『シンゴジラ』のように会議(日本政府や米政府の)が大半を占めることはなく、かなりコンパクトに進められてたのも好感。
何を考えてるか分かりづらい海江田四郎艦長の大沢たかお、熱血の潜水艦乗りの玉木宏の演技は、かなり原作に寄せられており再現度が高いと感じました。影の黒幕で妖怪ぽい海原大悟の橋爪功、有能な息子の海原渉の江口洋介も好演。
潜水艦戦については、兵器に慣れない視聴者にも「音響魚雷」「信管なしの不発魚雷」「通常ではない核魚雷」など段階順に紹介されるので分かりやすいと思います。潜航や浮上も傾きでわかるし、ソナーも図で見せてくれるし。
米原潜を混乱させた方法とは?米大統領の命令は?
アメリカのJ・ベネット大統領は、太平洋第7艦隊の全艦を「シーバット撃沈」命令で出動させます。海江田の生存を確信してた海自の深町も、日本政府からシーバット捕縛を命じられ、ディーゼル潜水艦「たつなみ」でマリアナ海溝へ急行。
海江田はヘッドホンで聞いてた交響曲を大音量で船内に流し、近くにいた米原潜キーウェストに位置をおしえます。交響曲の音量を下げつつ原潜をたくみに操り、敵ソナーの耳を混乱させ、米原潜が魚雷準備をした時には真横につけてました。
海江田は、すれ違うと急速180度旋回させて距離をとり、不発弾の魚雷を発射してスクリューを破壊し敵を航行不能に。後ろから2隻の米原潜が魚雷発射準備するが、シーバットは急速潜航して消失。
以上が中盤までのあらすじ。潜水艦内で交響曲をならし音量調整で位置を偽装する方法は今は通用しないだろうけど『沈黙の艦隊』序盤バトルの名シーンですね。そして潜水艦が魚雷を撃たれない方法「近接」の有効性も見せてくれます。
ライアン大佐が入江ともみあうシーンは不要と思ったが、敵原潜を破壊するかどうかの緊張感と連動させてましたね。海江田と深町の因縁でもある、入江の兄を見捨てた問題は、本作ではあまり有効な人間ドラマになっていなかった気がします。
アメリカのJ・ベネット大統領と米政府も登場し、政治映画としても妥協なく描く決意を感じました。まだ「世界の警察で強いアメリカ」だった時代の話なので「それがアメリカだ」というセリフが皮肉に聞こえるは世界ウケしそう。
結末は?海江田の目的は?どこで終了?続編は?
数時間後、フィリピン沖に浮上するシーバット。目前に迫るアメリカ太平洋第7艦隊に向けて海江田が発言「本艦の魚雷は通常にあらず」。つまり「核魚雷を持つ可能性」ありと。米ローガン司令官は、核をおそれて攻撃せずに取り囲みます。
海江田「ここ半径5km以内が、核抑止力による大国のにらみあいの縮図だ」「本艦は独立国家『やまと』を宣言する」。そこへ潜水艦たつなみが近づき、海江田は日本国の深町の「入国」を許可。「全世界を1つの国家にするしか平和の道はない」と語る海江田に反論する深町だが、米の攻撃が始まり出国。
大統領の撃沈命令で太平洋艦隊は「やまと」に攻撃開始し、潜航させて深海に沈めようとします。やまとは後方の米原潜の魚雷を前方の爆撃機の爆破音で無効にし、海自たつなみの上方につけ「深町なら、かわせる」と信じてお互いに回避。
やまとはワイヤーを付けた米原潜もパワーで振り切り、沈船エリアで全ての米原潜を航行不能に。深町に海江田は「日本と軍事同盟を結ぶ用意がある」と伝えて消失。日本政府の会議では、お飾りの竹上総理が「海江田の話を聞こう」と覚醒。
以上がラストまでのネタバレあらすじです。ついに海江田の目的が1つ明らかになります。本作だけ観た人は、潜水艦1隻で独立とか意味不明だろうし、それが「世界平和」につながる理由もわからないでしょうけど、先を観たくなったのでは?
核保有国の核威嚇による「にらみあい」は今まさに世界で起きてる現実で、35年前に連載開始とはいえ、この時代にこそ実感できる内容なので実写映画化する意義は大きいと感じます。ぜひ世界中で公開してブームを巻き起こしてほしいです。
海江田は日本との軍事同盟をちらつかせ、お飾りの竹上総理も覚醒前夜って感じなので、もちろん続編は制作してほしいところ。だが続編ではかなり激しい潜水艦戦がメインとなるため、日本の映像技術力と予算が倍以上かかりそうなのが心配…
映画『沈黙の艦隊』私の感想と評価は?
原作漫画は、5年以内に読んだ完結作の中では一番好きなほどハマったが、読んでない状態で映画を観たかったかも。未読者がうらやましい。それくらいスリリングで海江田の構想に興味がわきました!全体的には予想以上のいいデキでした。
潜水艦戦は序盤でまだ少ないが、やや暗すぎる感じはしました。ただ悪くはないです。傑作である原作力を生かした演出も、大沢たかおと玉木宏による再現度も高くて好感。原作の長い会話劇もスピーディに進めて上手いと感じました。
本作の連載開始は35年前だが「核」で威嚇された今こそ実感できる内容。ぜひ全世界で公開しブームを起こしてほしい。潜水艦戦のロジックを描く映画の中では1,2を争えると思ってます。続編は戦闘も増え、不安はあるがぜひ期待したいです!
私の評価 72/100(60が平均)
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