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映画『前科者』感想ネタバレ解説考察/佳代の過去や保護司になった理由とは?

映画前科者

『前科者』あらすじ概要

保護司3年目の阿川佳代が担当する前科者・工藤誠が、順調な更生生活を捨てて再び容疑者となります。連続殺人事件も発生し、奔走する佳代の過去や保護司になった理由も明らかになるが…。工藤は犯人か?真相は?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 前科者
平均評価★★★★★79私の評価↓は含まず)
日本公開日 2022/1/28 [予告↓]上映時間 133分
映倫区分日本 PG12(小学生指導必要)
映画監督岸善幸 [キャスト↓]
配給/製作/画像©日活、WOWOW/日活、テレビマンユニオン
シリーズ/関連TVドラマ映画化一覧
日本興行収入1.5億円興行収入ランキング

『前科者』予告動画

キャラ ランキング(キャスト/出演者/吹替声優)

個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者)

  • 1位阿川佳代(有村架純)保護司3年目。コンビニバイトで生活。生真面目で使命感が強い
  • 2位工藤誠(森田剛)阿川の保護観察対象者。自動車工場で働く。職場でいじめた先輩を殺害
  • 3位(若葉竜也)工藤誠の前に現れる謎の男
  • 4位滝本真司(磯村勇斗)警視庁の刑事。佳代の幼なじみ。工藤を容疑者として追う
  • 5位斉藤みどり(石橋静河)佳代の最初の保護観察対象者
  • 6位遠山史雄(リリー・フランキー)工藤誠の義父。妻を殺害した前科者
  • 7位宮口エマ(木村多江)遠山の弁護士
  • 松山友樹(宇野祥平)佳代のアルバイト先のコンビニ店長
  • 鈴木充(マキタスポーツ)滝本とバディのベテラン刑事
  • 高松直治(北村有起哉)東京保護観察所の保護観察官。佳代を監督・指導する

ネタバレ感想『前科者』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、TVドラマ映画化一覧一覧もご参考に。

私の評価 ★★★★★64/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

原作はマンガ?ドラマ続編?監督とキャスト

『前科者』(ぜんかもの)原作は、原作「香川まさひと」、作画「月島冬二」の青年漫画です。2021年には有村架純が主演でテレビドラマ化され、WOWOWで全6話を放送。今回はその後を描く、完全オリジナル・ストーリーです。

岸善幸監督はTVドラマ版からの続投です。菅田将暉主演の映画『あゝ、荒野』(2017)では監督・脚本をつとめました。

主演の有村架純も続投。最近は『るろうに剣心 最終章 The Beginning』『花束みたいな恋をした』等で活躍中です。

森田剛はジャニーズV6の元メンバーで、映画では『ヒメアノ〜ル』(2016)が衝撃的でした。他にも、若葉竜也、石橋静河、北村有起哉、磯村勇斗、宇野祥平、リリー・フランキー、木村多江、マキタスポーツ等の個性派俳優が共演で楽しみ。

映画前科者

保護司とは?工藤が殺人犯とされた理由は?

保護司とは、受刑者(前科者)を保護観察対象者として定期的に確認し、可能な範囲で助言もする国家公務員の仕事だが、ボランティアなので報酬は一切ありません。3年目の阿川佳代(有村架純)もコンビニバイトしながら質素に暮らしてます。

新たな前科者の工藤誠(森田剛)は、職場でひどくいじめた先輩を殺害した受刑者だが、職にもついて順調に保護観察期間を過ごします。しかし最後の面談に現れず、佳代との約束「母と弟との思い出のラーメン屋でお祝い」は果たせません。

その少し前、警官が銃を奪われ発砲されて重傷を負う事件が発生。その後、福祉課職員の女性、児童施設職員の男性が立て続けに射殺される連続殺人事件となります。施設職員の爪のDNA鑑定から、工藤誠が犯人だと特定され指名手配されます。

前半のネタバレあらすじは以上。まず保護司という職業をはじめて知り、公務員なのに無給なのは驚きました。ドラマ版は未視聴ですが、この映画だけ観てもかなり過酷な労働と感じるので、将来的には報酬が出るように改善してほしいですね。

あと、受刑者は誰もが心の底から反省したわけではないと思うので、若い女性(有村架純)が屈強そうな男性を1人暮らしの自宅に招くのは全くリアリティを感じませんでした。佳代の自己責任なのでしょうけど、もっと警戒描写はほしいかも。

阿川佳代の「前科者でも信用して、信頼関係を築きたい」という気持ちはよくわかるけど、何かのきっかけで逆恨みされた場合に自宅を知られてるのは心配です。対象者が元ヤクザや獣のような男でも、佳代は同じ対応をするのでしょうね。

連続殺人犯の正体とは?動機は?

工藤誠は順調に職をこなし更生する間に、ラーメン屋で弟の実/みのる(若葉竜也)と再会。兄が施設を出た後、おとなしい実はいじめられて精神を病みました。工藤誠は世話しようとするが、実が出身施設の職員を銃殺する現場を目撃。

その前の警官や福祉課女性を撃った犯人も実だと知り自首をすすめます。しかし誠は「これは母のかたき」であること、「次の標的は自分達を虐待し、母を殺害した父」であることを聞かされ、もう引き返せないと思って弟と行動をともに。

実/みのるの犯行動機は、DVを無視した怠慢警官、DV夫に転居先を教えてその罪を派遣社員におしつけた福祉課女性、体罰と薬づけにした施設職員への復讐です。次の標的である父(リリー・フランキー)には、2人でせまります。

この部分にも「保護司のあつかい」以外の、いろんな社会派テーマが散りばめられています。児童施設でのいじめ問題、体罰、薬づけが殺人鬼誕生に貢献してます。母を救えなかった「社会的強者」へのうらみが強い動機になってます。

「いじめた者に復讐」する作品は多いけど、実の場合は「自分達を救えなかった大人こそが元凶」と考えたのでしょう。それは間違いではないけど、1人の大人のミスで取り返しのない事態とならない「しくみ構築」こそが必須だと思えます。

また、警察官の拳銃をたった1人で奪える展開はご都合主義では?と思えたけど、実際にも似た事件が発生してるので可能なんでしょう。この点に関しても、仕組みやシステムを変えないと根本的な解決とはならないでしょうね。

佳代の過去と保護司になった理由?滝本の刑事志望?

工藤誠が最後の面談に現れず、阿川佳代は悩み独自に探し始めます。過去に面倒みた元受刑者で今も仲いい斉藤みどり(石橋静河)にも、佳代はきつくあたってしまい後悔。そんな時、工藤誠を捜査中の刑事・滝本(磯村勇斗)が訪ねてきます。

滝本は佳代の中学時代の同級生でキスしたこともある仲でした。しかし滝本の父が、佳代を暴行犯から救って殺害された事件以降、佳代は引っ越して疎遠に。滝本が「なぜおまえは生きてる?」と書いた「図書館の中原中也全集」を佳代が今も消さずに持ってるのは「贖罪」の意味も感じます。

また、滝本と男女関係になりかけて許容した佳代の心境は、その前のみどりとの会話「恋愛したい」の伏線回収とも思ったけど「滝本への贖罪」の方が当てはまりそうですね。結局、滝本が「父の死」を思い出して未遂に終わりますが。

阿川佳代が保護司になった理由は「その時の暴行犯にも話せる人がいれば悲劇は起こらなかった」だろうと考えたからです。一方、父を亡くした被害者家族の滝本は、犯罪者をうらみ、泣く家族を増やさないように刑事になりました。

佳代と滝本、どちらの考え方も理解できますが、実際に家族が殺害された立場の滝本の感情の方がより現実的とは感じます。仮に佳代が自分の家族を殺害されてた場合、「受刑者に寄りそう保護司」になれたのでしょうか。重い命題ですね。

佳代は工藤誠を調べて受刑者である父にたどりつき、その弁護士の宮口エマ(木村多江)を訪ねます。佳代が保護司として前科者を助けてるように、宮口も弁護士として更生の手助けをしてるとわかります。

佳代は話聞くために工藤の父を訪ねるが、警察が張り込んでて、そこへ工藤誠と実が襲撃に来ます。結局、実はうらんだはずの父の顔が穏やかなのを見ると発砲できず逮捕されるが、警官の銃を奪って自殺。警官の銃が奪われやすい問題ここでも…。

爪のDNAの真相は?最後の復讐相手は?犯罪抑止の方法?

連続殺人事件の真犯人である工藤実は自殺し、その父も無事に保護され一件落着。警察を妨害した工藤誠は重傷で入院。被害者の爪についてたDNAの真相は、工藤誠が弟を守り警察をかく乱するためにわざと付けたものだったので罪は軽そう。

佳代は誠のサポートを希望したが、弁護士の宮口エマしか面会できないと知ります。滝本刑事は、実の遺留品を整理中、殺害対象者の中に「宮口エマの写真」を見つけ佳代に電話。工藤兄弟の最後の復讐相手は、父を弁護した宮口エマだったのです。

工藤誠はハサミを持ち宮口を刺そうと待ちかまえるが、先に到着した阿川佳代が説得。佳代は工藤を抱きしめて「これ以上罪を犯すと人間に戻れなくなる。罪をつぐなってまた頼ってほしい」と。聞いてた宮口は「私がわるくはしない」と約束。

佳代と滝本は、長い間とらわれ続けてきたトラウマを少し解消できたようです。佳代はみどりと一緒に中学時代の図書室へ行き、持ち出してた「中原中也全集」の呪い書きを消してこっそり返却。みどりは佳代に「友だち」と呼ばれ喜びます。

主題が前科者の更生物語なので、殺人事件のミステリ要素は薄いのですが、最後に隠しネタがあったのは少し意表をつかれて好みです。中盤から見落としたかな?とモヤモヤしてた「爪のDNA」の謎も解決してよかったです。

ラストにはやはり本作のテーマでもある「ゆるし」「話せる相手や友だちの必要性」が描かれます。滝本の父を殺害した暴行犯、工藤実、職場の先輩を刺した工藤誠、妻を殺害した工藤の父、みどり、にも「気軽に話せる友だち」がいれば悲劇は防げたのかもしれないというラストでした。

映画『前科者』私の感想と評価

テレビドラマ版は未視聴ですが、映画『前科者』だけでも充分に内容は理解できました。特に「保護司」という職業は始めて知ったと同時に無給なのが衝撃的すぎて、それを世間に伝えただけでも本作の価値はあると感じます。

連続殺人事件や殺人鬼は映画的すぎると感じたし、佳代の過去や工藤誠との関係性は「いい話にしすぎ」とも思いましたが、個人的には許容範囲内です。ただ、事件の渦中に踏みこむ佳代の姿は、現実の保護司がマネしてはいけない職域なので、描き方はやや危ういと感じました。

天使のような有村架純ではなく、ただのおっさんならこんな美しい話にならない気はしますが、善意の象徴たる「保護司」を具現化するのは成功しています。保護司の活躍は他にも観たいので、機会あればテレビドラマ版も観たいと思いました!

続編前作や関連映画は、TVドラマ映画化一覧一覧もご参考に。

『前科者』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞

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