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映画『サウルの息子』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?ホロコーストの真実?

サウルの息子 映画/ドラマ

アカデミー賞外国語映画賞。カンヌ映画祭グランプリ作。1944年10月、アウシュヴィッツ強制収容所でユダヤ人の死体処理をさせられてるユダヤ系のサウルは、ガス室で死んだ少年を息子と思い埋葬しようとするが…(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題サウルの息子
日本公開日2016/1/23 [予告] 上映時間:107分
製作国ハンガリー
原題/英題Son of Saul(Saul fia)
監督・キャストネメシュ・ラースロー
キャスト
出演者
ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レべンテ、ユルス・レチン、トッド・シャルモン、ジョーテール・シャーンドル
映倫区分日本:G(年齢制限なし) USA:R
配給/製作
(画像出典)
ファインフィルムズ/Laokoon Filmgroup、Hungarian Film Fund、Laokoon Film Arts
日本興行収入
世界興行収入0.067億USドル [出典]
製作費1,500,000EUR
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.26更新)
75私の評価は含まず)
シリーズ
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ネタバレ感想『サウルの息子』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

映画『サウルの息子』は、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所でゾンダーコマンドとして働くサウルが、ガス室で見つけた少年を息子だと思い解剖・焼却される前にユダヤ教の方法で埋葬しようと収容所内を奔走する映画です。

この映画のおすすめ5ポイント

少し残念?つっこみどころ3ポイント

映画『サウルの息子』ネタバレあらすじと結末ラスト

1944年、ポーランドのアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所では、ゾンダーコマンドというユダヤ人の死体処理やナチスの仕事を手伝うユダヤ人が存在しました。彼らは秘密をもらさぬよう数ヶ月後には殺されて一新されます。

(アウスランダー)ウースランデル・サウルもゾンダーコマンドの一員です。10月のある日、ガス室での処理に従事中に、生きのびたユダヤ人の少年を見つけます。しかしナチス兵によりすぐ窒息死させられ、解剖するためにサウルに指示して医師の元へ運ばせました。

サウルはこの少年を息子だと思い、解剖される前にユダヤ教のしきたりで埋葬してやろうと考え、ラビを探すことにします。別のゾンダーコマンドの中に、背教者と呼ばれるラビがいることを聞きます。

この時、ゾンダーコマンドたちは反乱脱走計画を進行中でした。ビーデルマンは収容所の様子を写真撮影することを提案して、サウルともう1人がカメラを隠した小屋へ行きます。サウルが小屋の鍵を修理するふりをしてるうちに、もう1人が死体焼却の様子を撮影してカメラを隠しました。

サウルはトラックに同乗して川辺へ行き、焼却された灰を川に捨てるよう指示されます。そこで背教者というラビを見つけ、少年の埋葬を頼みますが断られ、しつこく迫ると、その男は川へ入っていきました。サウルは男を助けますが、男はナチス兵により処刑されてしまいます。

サウルは収容所に戻ると指示されたとおり、女性収容所のエラから火薬を受け取ります。すぐに大量のユダヤ人が到着して、外で銃殺され大きな穴に放り込まれる現場に遭遇します。そこでは、ゾンダーコマンドでさえ認識されずに殺されていきます

そこでラビだと名乗る男を見つけて、ゾンダーコマンドの服を着せて連れ帰ります。また、ユダヤ人の医師が隠した少年を、自分の部屋へ持ち帰ります。反乱に使う火薬は、ごたごたの中で紛失してしまいました。

このゾンダーコマンド隊の処分は間近にせまってたので、ついに反乱を起こし、サウルも少年を抱えてラビと共に収容所を脱出します。森でラビにカッディーシュの祈りをお願いするが、男は偽ラビで逃げ出します。サウルは仕方なく抱えて川を渡ろうとするが、少年を流してしまいます。

がっかりするサウルは仲間により助けられ、森の中の小屋に落ち着きます。その中をのぞき込む地元少年を見て、サウルは微笑みます。やがてナチス兵がやってきて銃撃の音がします。少年は森の奥へと去っていきます。

サウルの息子 映画/ドラマ

『サウルの息子』感想や解説

この映画は、ほとんどがサウルの視点と、サウル自身を映したアングルです。だからアウシュビッツ強制収容所内を、ユダヤ人のサウルの視点に近い位置で見ることができます。普通なら臨場感あって楽しめるのでしょうけど、この映画は内容がホロコーストなので辛い映像です。

それでもゾンダーコマンドの立場で収容所内を見れるのは、今までにない画期的な発想です。ガス室での処理前後や、銃殺されて大穴に放り込まれるユダヤ人の姿は、はっきりとは見えずピンぼけしてます。これがサウルの視点であり、心の防衛手段なのだと感じました。

しかしピンぼけしてるからこそ、さらに凄惨な光景を想像してしまいます。ガス室の処理後に生きてる少年を発見して、医師に「息子か?」と聞かれて、サウルもその後は息子だと言い続けますが、おそらく本当の息子ではない気がします。

それでもサウルにはもう「息子を埋葬せねば」という使命感がないと生きられないくらいの精神状態におちいっていたのだと感じました。ゾンダーコマンドという同胞の大量虐殺を手助けする仕事は、目や心を閉じて、生きがいを見つけないと精神崩壊してしまいそうです。

ゾンダーコマンドの反乱計画が進行する中、サウルは少年のためにラビ(ユダヤ教の司祭)を探しはじめます。しかしなぜか、カメラ撮影へ同行します。映画的には、収容所内の様子をサウルや視聴者に体験させたいのでしょうけど、理由もなく唐突すぎると感じました。

小屋に隠れて死体焼却をカメラ撮影するシーンは、この映画の中で最もハラハラしました。見つかると間違いなくその場で処刑されるので命がけです。実際にもナチス降伏後に、強制収容所内を撮した写真が発見されたそうなので撮影した人がいたんですね。

川へ灰を流すシーンも、ゾンダーコマンドの重要な仕事を見せつけられてるようで、ご都合主義にも感じましたが、あまり知らない光景だったので映画で見れたことじたいは良かったと思います。

ラビがなぜサウルから逃げるために川に入ったのかは不明でした。川に入らなければ殺されなかったでしょうに。それよりも、しつこくラビに迫ったサウルが、ラビを全くかばわなかった点は少し腹立たしかったです。この図太さが生き延びるコツだったんでしょうけど。

サウルの自己中ぶりはその後も発揮されます。反乱のための火薬を女子収容所からもらってきた後でなくしてしまうし、医師の部屋から勝手に少年を連れて帰るし、ゾンダーコマンドの部屋に仲間以外の男や少年の死体を持ち帰るし、社会性のかけらも感じられません。

しかしあの状況で生き延びるためには、他の人も図太かったようで、ラビだと言って助けられた男が実はラビではなかった時には、やっぱりなぁと思いました。

少年の死体は川へ流してしまいましたが、ユダヤ教的には焼却よりは水葬の方がましなんでしょうか。その後のサウルのがっかりぶりは、見てて辛かったけど、あんな状況でも他人を助ける人がいたのには感心しました。

結局最後は納屋で休んでるユダヤ人のゾンダーコマンドたちは、ナチス兵に見つかって銃撃されてしまうので、ほとんど生き残れなかったでしょう。でも納屋をのぞいた地元少年を、死んだ少年の生まれ変わりのように、サウルは感じたのか微笑みかけたのが印象的でした。

この映画の中では生きた子どもが出てこなかったので、最後に少年が森の奥まで走っていった光景は「生」「未来」「希望」を感じさせました。納屋で起こったことを記憶して、後世に伝えるか、トラウマになるか、忘れるかはわかりませんが、手紙や写真を超える記憶媒体になる気がします。

かなり重い内容だし、ピンぼけと言えども凄惨な光景が映し出されるので、家族で一緒に楽しむとかには向いてませんが、今後絶対にあってはならない事実をあつかっているので、多くの人にぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!

私の評価 67/100(60が平均)

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