1作目『バックトゥザフューチャー』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?ドクが助かる方法?ビフの未来は?
バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ1作目。さえない両親を持つ高校生マーティは、ドクが発明したタイムマシンで過去へ行き戻れなくなります。そこで好かれた女子高生が自分の母だとわかり…。未来へ戻る方法は?両親は結婚できる?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | バック・トゥ・ザ・フューチャー |
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日本公開日 | 1985/12/7 [予告] 上映時間:116分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Back to the Future |
監督・キャスト | ロバート・ゼメキス(キャスト) |
映倫区分 | 日本:PG12(小学生指導必要) |
配給/製作 (画像出典) | ユニバーサルスタジオ、UIP |
日本興行収入 | 60.9億円 |
世界興行収入 | 3.8億USドル [出典] |
製作費 | 19,000,000USA |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 88(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | バックトゥザフューチャー一覧 続編『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』95億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- マーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス。山寺宏一)主人公の高校生。スケボーとロック好き。ドクと仲良し
- エメット・ブラウン博士/通称ドク(クリストファー・ロイド。青野武)変わりもの老人の発明家。マーティとは親友
- ジョージ・マクフライ(クリスピン・グローヴァー。富山敬)マーティの父。気弱で自分に自信を持てない。昔の夢はSF作家
- ロレイン・ベインズ・マクフライ(リー・トンプソン。佐々木優子)マーティの母。酒好きで中年太り。昔は細身で奔放だった
- ビフ・タネン(トーマス・F・ウィルソン。谷口節)ジョージの同級生。体の大きな不良。ロレインをねらってる
- ジェニファー・パーカー(クローディア・ウェルズ。勝生真沙子)現代のマーティの恋人
ネタバレ感想『バック・トゥ・ザ・フューチャー』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
作品概要と受賞歴・監督とキャスト
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は1985年に大ヒット公開となり、続編を含めて三部作のSFタイムトラベル映画です。俳優どおしの相性もよく、コメディ要素もあります。略して「BTTF」「BTF」。アカデミー音楽効果賞を受賞しました。
ロバート・ゼメキス監督は、1978年『抱きしめたい』でデビュー後、バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズで一躍メジャーになりました。1994年『フォレストガンプ 一期一会』ではアカデミー賞の作品賞と監督賞を受賞。
他にロバート・ゼメキス監督のおすすめ作品としては、無人島映画『キャストアウェイ』や、実話ベースの『フライト』と『ザ・ウォーク』があります。2020年『ザ・ウィッチズ(原題)』も楽しみです!
主人公のマイケル・J・フォックスは、TVドラマ『ファミリータイズ』でブレイクしたコメディアンで、本作でスターとなりました。強烈な印象のドクを演じたクリストファー・ロイドは舞台俳優出身で、おなじく本作で世界に知られました。
他にもロレイン役のリー・トンプソンとジェニファー役のクローディア・ウェルズはかわいいし、ビフ役のトーマス・F・ウィルソンとジョージ役のクリスピン・グローヴァーはとても個性的です。
マーティ家族のビフォーアフター
物語は、現代⇒過去⇒現代と移ります。最初の現代パートでは、さえないマクフライ一家が登場します。父と母以外はストーリー上で重要ではないけど、マーティを基準とした一覧と改変後の現代での姿は下のとおり。ビフもおまけで。
- 父ジョージ(弱気⇒SF作家で成功)
- 母ロレイン(酒好き太い⇒細身で理解ある)
- 兄デイヴィッド(バイト。口悪い⇒スーツ姿の会社員)
- 姉リンダ(さえない⇒明るい。複数恋人と交際)
- 母の弟ジョーイおじさん(服役中)
- ビフ(父の横暴な上司⇒自動車整備係)
母ロレインの弟ジョーイおじさんが現在服役中であることは、面白い伏線として回収されます。過去へ行ったマーティは、生後11ヶ月の赤ちゃんのジョーイがベビーベッドの柵でうれしそうな姿を見て「もうオリが好きなの」と皮肉を言います。
テーマは「夢は一歩踏み出せば実現」?
コメディ娯楽作なのでテーマと呼べるほどのものはないけど「夢は最初の一歩を踏み出さないと実現しない」というメッセージは感じます。父ジョージは「執筆したSFを否定されるのがこわくて誰にも見せられない」と言ってました。
しかし未来から来たマーティの助言と演出で一歩ふみ出したジョージは、未来(マーティの現代)では人気SF作家として大成します。最初の現代で「作曲した音楽を否定されるのをおそれて」たマーティもやがて一歩を踏み出しそうです。
1955年のカフェでバイト店員してた黒人ゴールディー・ウィルソンも、マーティの一言で自信を持って、その後の努力の成果として黒人市長にまでのぼりつめます。最初の現代でも市長だったので、マーティと会わなくても成功者だったのでしょう。
タイムトラベル解釈?パラレルワールドとは?
子供の頃『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(BTTF)を観た時は深く考えず「過去を変えれば未来も改変される」と思ってました。映画を楽しむためならそれでいいと思います。もう少し理屈を考えたい人だけこの章を読んでください。
タイムトラベル物語で「歴史改変した後の未来の作られ方」には大きく下の2つの解釈があると思ってます。
- パラレルワールド発生(別の並行世界ができる)
- タイムパラドックス発生(改変時から未来が変化)
本作『BTTF』がどちらのパターンで制作されたのかは公式発表もなく不明なので「観た人が好きなように解釈していい」と思います。子ども時代の私も含めて、後者「過去を変えたからその延長の未来も変わった」の解釈が一般的と思います。
対して前者の「パラレルワールド」とは、過去を変えた時点から「世界が分岐して生まれた並行世界」のことです。つまり、BTTFには「ドクが撃たれて死んだ世界」と「防弾チョッキで助かった世界」の2つが平行して存在。
私はBTTFにかぎらず、ほぼ全てのタイムトラベル物語をこのタイプだと解釈してます。その方が矛盾が生じにくいです。『アベンジャーズ エンドゲーム』でも「BTTF」をネタにしながら独自に解釈してましたね。
後者の「タイムパラドックス型」としては、スタートレックの一部が「過去改変すると目の前の事象が変化していく」という見せ方(記憶あいまい)をしてました。『魔法少女まどか★マギカ』では強烈なアイデアで矛盾を打ち消してました。
なぜ今タイムマシン完成?マーティのおかげ?
現代のドクは、30年前の1955年に「トイレで転んで洗面台で頭を打った時、タイムマシンのアイデアを思いついた」と発言してます。マーティがデロリアンを見せる過去のドクは、すでにトイレで転んで頭に傷があります。
つまりドクはマーティと会う前にすでに「次元転移装置」の発想を得ていたので、マーティが過去に行かなくてもタイムマシンは発明されたのです。ただし必要な電力源が「1.21ジゴワットを生むプルトニウム」だと研究せずに知りました。
それでも改変後の未来で「タイムマシン発明時期に変化なし」だったのは、燃料のプルトニウムを簡単に得られなかったからです。タイムマシンが今完成した理由は、リビア人の過激派をだましてプルトニウムを入手できたのが今だからです。
プルトニウムなしでのタイムトラベル方法とは?
ドクは「現在」でリビア人をだますまでプルトニウムを入手できず、タイムトラベルできませんでした。しかし未来からマーティが持ってきた新聞で、数日後に時計台に落雷があることを知り、その稲妻を利用して膨大な電力を得ようと考えます。
この発想や機転の早さはさすが発明家です。時計台に落ちた雷を電源ケーブルで道路まで流し、そのタイミングでデロリアンを接触させることにより、プルトニウムなしでも1.21ジゴワットを得て、タイムトラベルさせる計画をたてます。
ちなみに「1.21ジゴワット」は脚本家が「ギガワット」を勘違いしたそうです。今では『バック・トゥ・ザ・フューチャー』世界独自のSF造語として定着してるのが面白いですね。
ドクは歴史改変後の未来では?他の伏線回収は?
最初の現代ではリビア人に射殺されたドクですが、マーティが戻った現代では防弾チョッキで助かります。過去のドクは未来のマーティからの手紙を破り捨てたけど、思いなおしてテープで復元して自分の死を知り、防衛手段をとったのです。
また、マーティはジョージとロレインが「魅惑の深海パーティーでキス」するように仕向けて成功し、自分と兄弟が消滅するのを回避できました。しかしそれは「マーティの家族だけがハッピーになる未来」となり、強いエゴを感じます。
マーティの父ジョージはSF作家として成功し、母ロレインと兄姉もポジティブな性格に変わりました。マーティは念願のトヨタ・ハイラックスを買ってもらい、ジェニファーとの関係も両親に認めてもらえました。
その反面、最大の犠牲者は、成功した会社員になるはずだったのにジョージの車整備係に成り下がったビフです。ビフの物語は続編以降にも続きます。それ以外にも変化した未来と、過程は違うけど変わらなかった未来があります。
例えば、マーティがデロリアンで松を1本折ってしまったことで「ツイン・パイン・モール」が「ローン・パイン・モール」に変わりました。時計台には、ドクが崩した跡が残りました(最初の現代にはなかった)。
過去でカフェのバイトをしてた黒人ゴールディー・ウィルソンは、未来のマーティから「あなたは市長になるよ」と聞いて、本当に市長になりますが、最初の現代でも市長に当選してたので結果は変わりなしです。
ロックとスケボーの起源?他のトリビアネタは?
最初の現代でダンスパーティーの演奏者としてのオーディションに「音が大きすぎる」という理由で落とされたマーティは、魅惑の深海パーティーで負傷したマーヴィン・ベリーの代わりにギター演奏してダンスを盛り上げて少し夢を実現します。
アンコール後にマーティはその時代にはまだない「ジョニー・B.グッド」を歌い、激しいロック演奏やパフォーマンスを披露して皆に冷たい目で見られ「君たちの子どもは好きになるよ」と予言します。つまりロックの起源となったのです!
マーヴィン・ベリーは興奮して従兄弟のチャック・ベリーに電話し「探してた新しい音楽だ」と聴かせます。チャック・ベリーは実在の人物で「ロック・アンド・ロール(ロックンロール)」の創始者の1人です。
また、マーティは1955年の子ども達が遊んでた「キックスクーター」のハンドル部分を外して、車輪部分をスケートボードのように乗りこなして町中で注目されます。1960年代に流行したスケボーの起源であるように描かれてて面白いです。
他のトリビアネタとしては、1955年に俳優だったレーガンが後に大統領になったことです。ドクは信じられない感じ。また、マーティが「ヘビー(大変)だな」と言うと、ドクは「ヘビー=重いの意味」だと勘違いします。
未来からのマーティが着てる「カルヴァン・クライン」(現代のファッションブランド)のパンツを見たロレインは、マーティの名前が「カルヴァン・クライン」であると勘違いしました。
「デロリアン」はメーカー名で、本当の車種名は「DMC-12」です。しかしデロリアン社は、ほぼこの1車のみで経営破綻して消滅したため、皮肉にも「デロリアン」はタイムマシンとして世界的に名を残しています。
ビフのモデルがトランプ(大統領としてではなく実業家として)なのは続編でよりはっきりと描かれます。2本の松が1本になったのは、後の2001年9月11日の「911テロ」でワールド・トレード・センターが1本になった予言という説もあります。
マーティが父ジョージにSF作家としての一歩目を踏み出させるため、枕元へ現れた時「ダースベイダー」と「バルカン星」と口にします。前者はスターウォーズシリーズの悪役で、後者はスタートレックで有名な惑星名です。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー1』私の評価と続編
本作はタイムトラベル映画の成功例として先駆者的な作品です。俳優女優の相性、個性豊かなキャラクター達、テンポのよさ、映像と音楽の見事さ、伏線回収の気持ちよさ、わかる人にだけわかるトリビアネタの多さ等、映画史に残るのも納得。
複雑になりそうなSFのストーリーを「稲妻のエネルギーで未来へ戻れる」「父親と母親を結婚へ導く」という単純な目標にすり替えることにより、大衆娯楽として一般層に受け入れられた功績は大きいです。
一方、今観るとタイムトラベル部分にツッコミどころが多かったり、エゴな視点が目立ったりもしますが「マーティとその家族がハッピーエンドになる物語」としては、2020年現在でも通用するほどの傑作だと思います。
本作の大成功を受けて、続編『バックトゥザフューチャー2』『バックトゥザフューチャー3』も製作され、いずれも大ヒットしました。シリーズ三部作をとおして、世界中の人々から愛され続けている名作です!
私の評価 75/100(60が平均)
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