実写映画『ゴールデンカムイ』ネタバレ感想解説/結末は?結末は?アシリパと熊の再現度は?どこまで描く?
日露戦争の生き残り「不死身の杉元」は、アイヌから強奪された金塊を探す道中、アイヌ少女アシリパと出会い同行。一方、陸軍第七師団の鶴見中尉や元新選組副長の土方歳三も動き出し…。アイヌ金塊とは?漫画の実写化としてあり?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ゴールデンカムイ |
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日本公開日 | 2024/1/19 [予告] 上映時間:128分 |
監督・キャスト | 久保茂昭[キャスト] |
映倫区分 | 日本:PG12(小学生指導必要) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/CREDEUS |
日本興行収入 | 29.9億円 (年間11位) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.7.14更新) 81(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | マンガ実写化一覧 |
参考・出典 | 公式サイトWiki上映映画館 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 杉元佐一(山﨑賢人)日露戦争で活躍し「不死身の杉元」と呼ばれる
- アシㇼパ(山田杏奈)アイヌの少女。埋蔵金の強奪犯に父を殺された
- 鶴見篤四郎(玉木宏)大日本帝国 陸軍第七師団の中尉。金塊をねらう
- 土方歳三(舘ひろし)戊辰戦争で生き残った新選組副長。金塊をねらう
- 白石由竹(矢本悠馬)天才脱獄犯
- 牛山辰馬(勝矢)柔道の達人。金塊の謎に関わる?
- 二階堂浩平、洋平(柳俊太郎)陸軍第七師団に所属する双子
- 尾形百之助(眞栄田郷敦)陸軍第七師団の上等兵。凄腕スナイパー
- 谷垣源次郎(大谷亮平)陸軍第七師団の兵士。元マタギ(猟師)
- フチ(大方斐紗子)アシㇼパの祖母。コタン(村)で暮らしてる
- 梅子(高畑充希)杉元の幼なじみ
- 後藤竹千代(マキタスポーツ)杉元に金塊と刺青の話をする。元囚人
- 永倉新八(木場勝己)元新選組 二番隊隊長。剣の達人
ネタバレ感想『ゴールデンカムイ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は人気漫画?監督とキャストは?
実写映画『ゴールデンカムイ』の原作は、野田サトル著の同名漫画(略称 金カム)です。2014年から連載開始で2022年に完結。2024年1月時点で2700万部を突破し、テレビアニメシリーズも大人気。
監督の久保茂昭はミュージック・ビデオに多く関わった後、映画『HiGH&LOW』シリーズや『小説の神様』などを監督しました。
主演の山﨑賢人はキングダム実写映画シリーズや『夏への扉 キミのいる未来へ』等、アシリパ役の山田杏奈は『樹海村』『ひらいて』等に最近出演。
他、玉木宏、舘ひろし、眞栄田郷敦、高畑充希、矢本悠馬、マキタスポーツ、工藤阿須加、柳俊太郎、大谷亮平なども好演。
2024秋にWOWOWで続編をドラマ化した『ゴールデンカムイ 北海道 刺青囚人争奪編』が放送されることも決定し、その続編映画も製作されるかもしれません!
アイヌ金塊の謎とは?アシリパ同行の動機は?
1904-1905年、日露戦争の旅順攻囲戦。二百三高地の激戦で多数戦死の中、撃たれても刺されても「不死身の杉元」は、戦後は砂金で一攫千金を狙い北海道へ。しかし砂金はあまりなく、代わりに後藤竹千代からアイヌ埋蔵金の話を聞けます。
アイヌが和人(本州からの日本人)に対抗するため貯めた金塊を、ある和人が強奪し隠しました。男は網走監獄で拷問されても宝の場所をはかず、外の仲間に知らせるために24人の囚人に場所を示す刺青を彫りました。その後、全囚人は脱獄。
酔いからさめた後藤は杉元(山﨑賢人)を襲って逃げるが、ヒグマに喰われて死亡。熊に襲われる杉元を毒矢で救ったアイヌ少女アシリパ(山田杏奈)は、父の仇である金塊強奪犯から金塊を取り戻して死刑にするため、杉元に同行することに。
刺青地図は「はがす前提の刺青人皮」だと判明。アシリパはアイヌの教えどおり、殺した熊は内蔵から皮まで余すことなく利用。小樽で刺青の聞きこみ後、杉元達は尾行してきた白石由竹(矢本悠馬)と笠原勘次郎をとらえ、2人の刺青をスケッチ。
以上が序盤あらすじ。二百三高地の戦いを予想以上にしっかり描いたことは賞賛したいが、もう少しあっさりにして本編を進めてほしかったかも。一方、こういう描写も手を抜かない作り方が「漫画の実写化映画」の成功に必要かもと思ったり。
アイヌ埋蔵金や刺青囚人たちのシーンなども手抜きを感じず、かつわかりやすく説明され、期待値のアガる序盤でした。あらためて原作のストーリーや導入の素晴らしさにも感嘆。現実でも薄れゆくアイヌ文化や言語の再現にも拍手。
漫画『ゴールデンカムイ』の実写化で最も心配だった要素「アシㇼパ」と「ヒグマ」の再現度も満点ではないが合格点には達してると思います。熊の体は隠されがちで不満だが、全身シーンは『ゴジラ-1.0』の白組が関わってそうでさすが。
アシㇼパを演じた山田杏奈は、設定年齢や身長が原作とは違い最初は違和感あったが、漫画原作の幼女設定よりも杉元と同行するのが安心にはなったかも。ただ、年齢が上がったので父娘に近い関係性が、恋愛ぽく感じた場面は雑音でもあり…
陸軍第七師団と鶴見の目的とは?
笠原を射殺した陸軍第七師団のスナイパー尾形百之助(眞栄田郷敦)上等兵は、杉元との戦闘で重体に。「人を殺せば協力しない」と言うアシリパに杉元は「先に殺してきたから『不死身』と呼ばれる」と。陸軍4人から杉元達は別々に逃走。
七師団の鶴見中尉は軍事政権樹立のため金塊を狙ってます。アシリパは動物の逃走行動「止め足」で雪の足跡を後退したが、元マタギの谷垣源次郎には見破られます。人皮を奪われそうになるが、白いエゾオオカミのレタラがアシリパを救います。
杉元はヒグマの穴に飛び込みます。発砲音に怒ったヒグマが出てきて陸軍兵3人を倒した後に絶命。杉元はアシリパの「熊の穴に飛び込む者は殺されない」のとおり生存。杉元はアシリパのコタン(アイヌ村)にまねかれます。
村で愛されてるアシリパをおいて、杉元は1人で旅立つが七師団に捕まります。日露戦争で脳の一部を失い「変な液」がたれる鶴見篤四郎(玉木宏)中尉は、杉元を勧誘。一方、金塊強奪犯とつながる土方歳三は、刺青のある牛山辰馬を仲間に…
以上が中盤あらすじ。杉元・アシリパ達と、陸軍第七師団の尾形や谷垣との初戦ですね。不殺を貫きたい純粋なアシリパと、過酷な戦場で生きのびるために多くのロシア兵を葬った杉元との相いれない関係性はもっと深掘りしてほしかったかも。
アシリパの止め足、それを見破った谷垣、熊穴に飛び込んだ杉元など、伏線もまじえた劇的で知的な展開は原作どおりとはいえ見事。繰り返しがなく、見てて全く飽きません。コタン村での祖母フチの再現度も素晴らしかったです。
また、鶴見中尉の玉木宏、土方歳三の舘ひろしも楽しんでるのでは?と思えるほど原作に寄せててさすがのベテラン演技。牛山も笑いそうになるほど原作どおり。エゾオオカミ・レタラのCGはよかったが一部アラが見えました。
結末は?鶴見中尉の人皮のありかは?エンドロール後は?
戊辰戦争の箱館五稜郭で戦死したと伝わる土方歳三(舘ひろし)は、網走刑務所の模範囚として生存。金塊強奪犯「のっぺら坊」とつながり、24人の刺青囚人を脱獄させ、蝦夷共和国の再興のため金塊をねらってます。愛刀「和泉守兼定」も奪取。
アシリパは杉元を探して「脱獄王」白石と再会し、金塊を分ける条件で仲間に。白石に縄をほどかれた杉元は、七師団の双子の二階堂洋平を殺し、その内臓を自分のと偽装して医者へ運ばれます。道中、七師団兵を倒してアシリパと合流。
アシリパの矢で馬を失っても追走してくる鶴見中尉だが「刺青人皮は杉元たちに集めさせてから奪う」作戦に変更。双子を殺された二階堂浩平は復讐鬼に。のっぺら坊とつながる土方歳三は、元新選組の永倉新八と合流し刺青人皮を狙います。
ポストクレジットシーンでは続編キャラも登場。連続殺人鬼の辺見和雄(萩原聖人)、伝説猟師の二瓶鉄造(小澤征悦)、美の食人鬼の家永カノ(桜井ユキ)や、アシㇼパの父の友であるキロランケ(池内博之)、インカㇻマッ(高橋メアリージュン)等。
七師団の刺青人皮を発見できなかった白石は、鶴見中尉が「人皮を着てる」と知り「変態め」と。エンドロール後は、白石が作った桜なべ(馬肉すき焼き)を美味しく食べる杉元たち。オソマ(うんこ)こと味噌を初体験のアシリパは変顔に!
以上がラストまでのネタバレあらすじです。歴史的には戦死したはずの新選組の土方歳三が剣豪じじいで登場するロマンも『ゴールデンカムイ』の人気を引き上げた要素の1つでしょう。舘ひろしが眼力強いじじいを魅力的に演じたのもよき。
土方、鶴見、アシリパだけでなく、脱獄王の白石、狂気の双子の二階堂兄弟、柔道家の牛山などのキャラ立ちもほぼ演出でカバーできてたので、キャラ実写映画としても見ごたえ充分。杉元役の山崎賢人も濃かったが、他にくわれそうでした。
アシリパのアイヌ料理は原作より少なめだが、りすのチタタプ、カワウソの頭、オソマなど笑えるヒンナヒンナ(食べ物に感謝)シーンは再現されてました。オソマを食べる山田杏奈の変顔はひかえめでしたが、本当にいやそう(笑)
原作漫画の2-4巻目くらい?までしか描かなかった点については、もう少し先まで見たかった一方、ていねいに物語を積み上げてるとも感じられ、実写化成功といわれるキングダム実写映画に追随する作戦なのでしょう。
実写映画『ゴールデンカムイ』ネタバレ感想と私の評価
原作マンガは完結まで既読で、アニメシリーズも最新話まで視聴済みなので、ストーリー展開などに驚きは感じなかったが、実写映画として見たかったものは見れたなと思います。特に心配材料のアシリパとヒグマについてはなんとか及第点。
『ゴールデンカムイ』は格闘やアクションシーンも多いし、熊や野生動物などCG必須の部分も多いが、邦画が失敗も重ねながら積み上げてきた技術蓄積を存分に発揮できたと感じます。米や韓国に比べると稚拙部分もあるがまた蓄積ですね。
映画の物語の進み方はやや遅いなと不満だが、ていねいさが必要なのも理解できるので、できれば早いペースで続編を出していってほしいです。映画というよりドラマみたいな作りだが、日本は長編脚本の方が優秀なの多いのでこの路線はありかと!
私の評価 70/100(60が平均)
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