実写映画『映像研には手を出すな!』評価は?ネタバレ感想考察/何が完成?ロボアニメの十字架とは?
人見知りだが「アニメは設定が命」の浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーター志望の水崎ツバメ、金儲けが好きな金森さやかは「映像研究同好会」を結成したのだが…。ツバメは親にバレるか?真似事部の活躍は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 映像研には手を出すな! |
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日本公開日 | 2020/9/25 [予告] 上映時間:113分 |
監督・キャスト | 英勉[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝映像事業部/ノース・リバー、ROBOT |
日本興行収入 | 1.0億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.16更新) 70(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | マンガ実写化一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 浅草みどり@映像研(齋藤飛鳥)人見知り。アニメは「設定」が命と考える監督の素質もある女子高生
- 金森さやか@映像研(梅澤美波)現実主義者。金儲けのために映像研を結成。プロデューサー気質
- 水崎ツバメ@映像研(山下美月)カリスマ読者モデル。両親は俳優で金持ち。アニメーター志望
- 阿島九@大・生徒会 斬り込み隊長(福本莉子)警備部を従えて部活再編に燃える
- 小野@ロボ研(板垣瑞生)巨大ロボットに情熱をそそいでる
- さかき・ソワンデ@大・生徒会 書紀(グレイス・エマ)映像研のことが気になってる
- 道頓堀透@大・生徒会 会長(小西桜子)正義がすべて。映像研に手を出したい
- 百目鬼/どうめき@音響部(桜田ひより)様々な音源を収集。大・生徒会につぶされそうになるが…
- 小林@ロボ研(赤楚衛二)巨大ロボットに情熱をそそいでる
- 晴子@気象研究部(浜辺美波)謎のBOXを隠し持つ
- 藤本先生(髙嶋政宏)ひげもじゃの映像研の顧問
ネタバレ感想『映像研には手を出すな!』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作と監督・キャストは国民的アイドル?
原作は、大童澄瞳による第1作目の連載漫画です。テレビアニメ化もされました。映画『映像研には手を出すな!』は、テレビドラマ化した実写版の続編的な位置づけで、監督もキャストも同じです。
監督の英勉(はなぶさ つとむ)は、最近の『賭ケグルイ』(TVドラマ版も映画も)や『前田建設ファンタジー営業部』などで脚光をあびています。特徴あるキャラを大げさにコメディ調に描くのが得意なので、本作でも発揮されそうで期待です。
主演の3人、齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波は初めて見る顔かなと思ったら、女性アイドルグループ乃木坂46のメンバーですね。歌はよく聴いています(笑)。齋藤飛鳥は、アイドル時とは全く違う感じで驚きました。次回作も期待できそうです。
学園物語なので他の生徒役でも豪華な俳優女優が出演します。小西桜子(『初恋』)、福本莉子と赤楚衛二(『思い思われふりふられ』)、浜辺美波(『屍人荘の殺人』)等、最近よく見かける若手が活躍してます!
仕事/勉強/趣味のやる気がでる映画!モノ作り万歳
浅草氏、金森氏、水崎氏の3人が「映像研究部」でロボットものの短編アニメーションを制作する過程が描かれます。特に浅草氏と水崎氏のクリエイターとしての情熱や、モノ作りに対する愛情が十分に伝わってきて私までやる気出てきました!
映像研の活動にフォーカスを当てたアニメ版の完成度が高かったため、本作実写版では「大・生徒会」や他の部活のあれこれが雑音に思えてしまったのは残念。理想は、もう1作の制作エピソードを盛り込み、全編アニメを見せてくれること。
それはかないませんでしたが、本作『映像研には手を出すな!』を観た後、仕事/勉強/趣味のやり気はかなり出たので、集中力切れがちな時や、疲れてるなぁと感じてる時に観るには最適な映画だと思います!
アニ研との統合を嫌がる理由とは?
大・生徒会会長の道頓堀透(小西桜子)や、斬り込み隊長の阿島九(福本莉子)、書紀のさかき・ソワンデ(グレイス・エマ)らは、部活入部が必須の芝浜高校で、増えすぎた413の部活動と72の研究会を再編統合しようと動き出します。
1作目の完成度を認められ設立できた映像研究部も、アニ研(アニメ研究部)との統合をせまられ、アニ研側はOKします。一方の映像研は、金森さやか(梅澤美波)がロボ研(ロボット研究部)との業務提携を実現して、部活統合を回避します。
浅草みどり(齋藤飛鳥)がアニ研との統合をイヤがる理由は、水崎ツバメ(山下美月)が両親からアニ研への入部だけは禁止されてるからです。映像研がアニ研と統合されると、水崎氏はアニメーターを続けられなくなるのです。
巨大ロボの必要性とは?リアルかロマンか
映像研の3人は、以前仲直りした上水道部と下水道部の導きで地下トンネルに入り、ロボットの敵となる巨大生物「カニ(亀のカ+蟹のニ)」を創造します。巨大ハサミを光速で閉じることにより「衝撃波」を発生させて攻撃します。
それと戦う巨大ロボ「タロース」は、片腕の巨大チェーンソーが武器。その回転を地面に当てることにより高速移動できるという設定を、浅草氏と水崎氏が構想。それを聞いたロボ研部は「巨大ロボは、リアルではなくロマンだ」と反発。
しかし熱く語るロボ研の小野のロボに対するロマンを聞き、浅草氏と水崎氏も感動。そして空想上でタロースを改良して、今風のかっこいい巨大ロボに仕上げます。「感情で解決するやつらが一番面倒」と考える金森氏には想定外の決着。
私も学生時代に「人型ロボットの必要性」について議論したので胸熱展開で涙出ました。社会人になると「利益大きい方」に決まり面白さゼロなので学生特権。ちなみに私の結論は、ミノフスキー粒子等で電子兵器/GPS/目視を無効化された環境では、人型ロボも選択肢の1つになりえます。
ロボアニメ制作の逃れられない十字架とは?
金森氏が構想した「外部発表会コメットA」への出品は「金儲けはダメ」という教師達の判断により中止に。文化祭での発表に変更するが日程は短くなります。金森氏の努力で備品と会場はクリアし、水崎氏は家でもタブレットで描けるように。
しかし浅草氏は突然ロボアニメはやめると宣言。ロボアニメ制作の逃れられない十字架とは、万人が納得するロボ設定を描けないこと。例えば「腕組めない、上向けない、パイロットが安全でない」等、ロボット警察の目はあざむけないのです。
結局、行方不明になった浅草氏は、業務提携した音響部の百目鬼/どうめき(桜田ひより)と意気投合して地下で効果音を仕上げてました。ロボ設定の議論も「浅草氏を見た最後に…」の表現も繰り返しなので不要と思います。
水崎氏の見せ場は終盤にあるため、浅草氏、金森氏の葛藤を描きたかったのでしょうけど、原作やアニメ版から無理やりツギハギした感じがします。特にクリエイター愛を表現するシーンは、もっと大切に描いてほしかったです。
徹夜作業はまさかの場所で?浜辺美波は何者?
大・生徒会は文化祭前日の徹夜作業を禁止し、警備部も動員して徹夜で取締り活動を行います。その矛盾にツッコんだ生徒がいたのは面白い。生徒会長が迷わず「正義だからOK」と断言したのは、公権力側に向いてる者として清々しいです。
大・生徒会の切り込み隊長の阿島九(福本莉子)が警備部と共に違反者を捕まえて「事件は会議室じゃなく…」と叫んでるのを中断されてて笑えました。部室に戻った映像研3人の正体が、真似事部の変装だったのは生徒会へ一矢報いましたね。
生徒会長にマークされてた映像研が、会長の目の前にまぎれてPCを借りて最後の仕上げ作業をしてたのには驚きました。が、そんなあわただしい場所でいい仕事できるわけないので、コメディに寄りすぎてるとは感じます。
文化祭当日、顧問の藤本先生が発表会場の鍵を持ったまま飛行場で足止めされます。同様に飛行機が飛ばなくてロケ仕事が延期になった水崎氏の両親が、娘ツバメの文化祭を見学に来たため、浅草氏はアニメ上映をあきらめようとします。
しかし水崎ツバメは覚悟を決めて登壇し「気合い入ってます!」と上映開始し、制作アニメ「巨大ロボvs怪獣」は大成功となり、DVDも完売して制作費とプラマイゼロに。会場の鍵を切断してくれた生徒会のさかき・ソワンデも満足そうでした。
水崎ツバメの両親、特に父親は娘がアニメーターになるのを反対してました。しかしモノマネが得意だったツバメがそれを絵で表現しはじめ、本当の能力は「観察眼」であると気づいて、娘がアニメという表現法を見つけ成長する姿を認めます。
ちなみに藤本先生、水崎両親の飛行機遅延の原因は、冒頭で気象研究部の晴子が謎のBOXから逃がした人工台風「ピュー子」です。同監督作『賭ケグルイ』の浜辺美波が、ONEPIECEのナミっぽいカメオ出演でクサい演技を披露しますが蛇足感。
『映像研には手を出すな!』私の評価と感想
生徒会やピュー子の騒動はコメディ要素としては面白いけど、本作『映像研には手を出すな!』のメインである「アニメ制作」の大変さや作業風景がほぼ描かれてないのは残念すぎます。英勉監督の度をすぎた悪い部分が目立ってしまいました。
冒頭のドラマ版ダイジェストも、観てなかった私でさえ長く感じました。完成したアニメ作品をほとんど見せてくれないのもがっかり。アニメ版のを借りてきて、そのまま流してくれた方がまだよかったです。
映像研3人や、大・生徒会メイン3人の女性陣は、キャラ立ちしててナイスです。特に浅草みどりを演じた齋藤飛鳥の変人ぶりとかわいさは別格です。金森氏、水崎氏もよかったけど、生徒会の切り込み隊長を演じた福本莉子のはじけぶりも好き。
先に完成度の高いアニメ版を観てたので、それと比べると不満点は多いです。ただ「モノ作りへの情熱・クリエイターに対する愛」を感じて涙も出たので一定の評価はされるでしょう。続編も作れそうだけど、個人的にはアニメ版の方が観たいです。
私の評価 62/100(60が平均)
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