映画『ラストナイトインソーホー』ネタバレ感想考察や評価/真犯人の正体は?亡霊の目的は?
ファッションデザイナーを夢見るエロイーズは、ロンドンのソーホーのデザイン学校に入学し一人暮らしを始めます。すると夢で60年代の歌手志望サンディとシンクロし、やがて恐ろしい事件が…。真相は?謎の老紳士の正体は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ラストナイト・イン・ソーホー |
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日本公開日 | 2021/12/10 [予告] 上映時間:116分 |
製作国 | イギリス |
原題/英題 | Last Night In Soho |
監督・キャスト | エドガー・ライト[キャスト] |
映倫区分 | 日本:R15+(15歳以上) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | パルコ、ユニバーサル映画/Complete Fiction、Working Title Films、フィルム4・プロダクションズ、パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ |
日本興行収入 | 1.5億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 0.2億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ホラー/パニック/バイオレンス映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- サンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)1960年代の歌手志望の女性。本名はアレクサンドラ
- エロイーズ・ターナー(トーマシン・マッケンジー)ファッションデザイナー志望。ロンドン・ソーホー地区の専門学校に入学
- ミス・コリンズ(ダイアナ・リグ)エロイーズの下宿先のオーナー
- ジャック(マット・スミス)1960年代のナイトクラブでの女性歌手のまとめ役
- ジョカスタ(シノヴェ・カールセン)エロイーズの学生寮ルームメイト。いじめ体質
- 銀髪の老人(テレンス・スタンプ)エロイーズの前に現れる謎の壮年男性
ネタバレ感想『ラストナイト・イン・ソーホー』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
強い霊感の伏線?サンディの末路とは?
祖母と暮らす60年代オタクのエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、ファッションデザイナーを夢見て鏡前で踊るが、背後には女性の霊(母?)が。ロンドン・ソーホー地区のデザイン学校に入学するが、寮生にいじめられ一人暮らし開始。
古い下宿オーナーのミス・コリンズと「男子禁制」等の約束をかわし入居。そこでエロイーズは、1960年代に歌手を目指したサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)とシンクロする夢を毎晩見るようになり、容姿や服もマネるようになります。
そんなタイムリープを繰り返すうち、サンディは歌手のまとめ役ジャックの命令で娼婦をさせられ精神的に病んでいきます。エロイーズも疲弊して夢うつつとなり、アパートへ同級生ジョンを連れこむが、ジャックがサンディを殺害した過去を見てしまい…
中盤までのネタバレあらすじは以上。エロイーズに強い霊感や第六感がそなわってることは、冒頭の鏡の霊で伏線として表現されてます。ただ、この霊能力者みたいな設定は不要だと感じました。そもそもこの設定は破綻しますし(後述)。
地方から都会へ出た女性の孤独はあるあるですが、最初からここまでいじめるルームメイトはホラーですね。彼女たちは物語の核心に関わってると予測したのですが、エロイーズを追い込むだけの存在だったのは浅くて残念。
ルームメイト・ジョカスタ達とのつきあい中に感じた「性の暴力」は、後にエロイーズが体験するサンディの過去の伏線のようでもあります。
謎の老人の正体とは?その結末や伏線は?
その事件の前、家賃等を稼ぐためエロイーズはパブでのバイトを始めますが「ソーホーの女は皆知ってる」というあやしい老人と出会います。エロイーズは、この老人がサンディ殺しの犯人だと思い警察にうったえるが信じてもらえません。
エロイーズは親身になってくれるジョンと図書館で、60年代の事件を調べますが、のっぺらぼうな男性達に襲われてあやうくジョカスタを刺しそうになり逃亡。エロイーズがパブで老人を追求すると、老人は退散するが車にはねられて死亡。
謎の老人の正体は、ソーホー地区の風俗嬢を見てきた元刑事だったので、サンディを殺害したジャックではないと判明。エロイーズは精神的に疲れて帰郷することを、下宿先のミス・コリンズに告げるのですが…。
私もこの老人が出てきた瞬間からジャックだと思いましたが、見事にミスリードに引っかかりました。最初からあやしすぎましたね。エロイーズが顔のない男達に追われるのは、ホラー映画にありがちな幻覚だと思ったけど理由は後に判明(後述)。
ちなみに老人が車にはねられる前、エロイーズも2回ほど車にひかれそうになりました。それらも伏線だったようですね。
真犯人の正体と結末は?真相は?亡霊の目的は?
ミス・コリンズのお茶を飲んだエロイーズは睡眠薬か何かで動けなくなります。真相は、体を求めてきた男達をサンディが次々と殺害し、このアパートの床や壁に埋めて行方不明にしたのです。ミス・コリンズの正体こそ真犯人サンディでした。
ミス・コリンズは、部屋に入ってきたジョンも刺し、2階へ逃げるエロイーズを追います。若かりしサンディが歌いながら追う姿がおそろしいけど美しい。煙草からレコードに飛び火し、アパートは大火事になります。煙草もレコードも伏線でした。
自分の部屋でエロイーズは、そこで殺害された男達の亡霊に囲まれます。しかし顔なし幽霊達の目的は「自分達を殺害したサンディこと本名アレクサンドラ・コリンズの死」でした。ジャックの幽霊にぶたれたコリンズは目を覚まし、罪を悔いながら最も美しいサンディの姿で男達の遺体と共に炎につつまれます。
その後、エロイーズはデザインした60年代の服でファッションショーに参加し成功。祖母とジョンに祝福されながら、鏡の中からも自殺した母親と若かりしサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)が見守っています。
中盤まではミス・コリンズを疑ってたのですが、まさかサンディが生きてるとは思わなかったので真相には驚かされました。しかし、幽霊や過去が見えるエロイーズの能力で「サンディの死」を見たはずなのに「生きてた」のは少し雑なオチです。
エロイーズは、殺害された男達の亡霊によって「サンディの過去」を見せられてたのでしょうか。現代以上に女性が軽くあつかわれた時代への復讐として、女性を食い物にして夢をないがしろにした男性達が消されるのは自業自得だと思います。
しかし、サンディがエロイーズとジョンを殺そうとするのはやりすぎだし、テーマからも大きくズレてくるように感じます。最後には思いとどまり、鏡の中から若いサンディの姿で、成功へと駆け上るエロイーズを応援してくれてよかったです。サンディが老婆姿でないのはエロイーズの願望でしょうか。
映画『ラストナイト・イン・ソーホー』私の感想と評価
2人の若手人気女優の共演が見どころで、それぞれがいい仕事しています。ホラー要素は薄くて見やすいし、真犯人の正体は意外性もありミステリ要素も感じました。同部屋の過去の住民とつながる展開は、最近の邦画でもあったので既視感ある人はいるかも。
気になったのはその展開ではなく「男性が女性を搾取したこと」をテーマにしてるのに、糾弾するのではなく殺害してしまったこと。「ひどいセクハラは死に値する」ことを描くとしても、ジャックの死だけでよかった気がします。
また、ジャックがサンディを殺害する映像はミスリーディングを越えてアンフェアです。亡くなってないサンディの亡霊まで見えてたエロイーズの能力には「霊視だけでなくタイムリープ」もあったのでしょうけど。
ホラー映画につきもののジャンプスケア(視聴者をおどかす表現)も多用されてましたが、無理やり感あったので不要だったと思います。その時間を現代男性の象徴であるジョンとの関係に使い、60年代の男性との比較を見せてほしかったです。
社会性よりミステリ調のエンタメを重視した点は残念ですが、それゆえ意外性が生まれて楽しめる作品に仕上がってるので気に入る人も多そうです。二大女優の競演という意味でも貴重なので、一度はおすすめしたいライトなホラー映画です。
私の評価 64/100(60が平均)
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