映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?タイトルの意味は?
派遣社員の皆川七海はSNSで知りあった男性と結婚。式に代理出席者を依頼したなんでも屋の安室には、ある屋敷の住込みバイトも紹介してもらうが…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | リップヴァンウィンクルの花嫁 |
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日本公開日 | 2016/3/26 [予告] 上映時間:180分 |
監督・キャスト | 岩井俊二 |
キャスト 出演者 | 黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子、地曵豪 |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東映/RVWフィルムパートナーズ、ロックウェルアイズ |
日本興行収入 | 1.1億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧 |
ネタバレ感想『リップヴァンウィンクルの花嫁』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』は3時間と長いけど家でのんびり見るにはおすすめ。ただし中盤は結構悲しくなるし人間の闇やウソが山盛りなので、家族や子どもとの視聴はおすすめできません。
この映画では黒木華が空っぽの人間・皆川七海(ななみ)をうまく演じています。七海と対照的なのが真白で、自分の欲求のまま行動します。そのためには大金が必要なので稼げる仕事につけばいいという考えです。後先を考えないという点は七海と同じ。
そしてそういう空っぽの人をカモにして、親切にする代わりに金を巻き上げる商売をする安室行舛の存在は、七海の側に立ちながら見てると悪者に見えるが、この映画の狂言回しの役割に近いため彼により面白い展開が生まれていきます。
タイトル『リップヴァンウィンクルの花嫁』の意味は?
リップヴァンウィンクルとは、アメリカ版の浦島太郎のことで、深い森で酒盛りして目を覚ますと20年経ってたという、のんきな木こりの男性の名前です。真白のニックネームなので、その花嫁とは一緒にウェディングドレスを着た七海のことだと思います。
この映画のおすすめ5ポイント
- 七海の幸せを応援したくなる
- うそ付きや偽物だらけ
- 安室行舛のうわっペラがクセになる
- うそが実際の家族を超えることもある
- 七海と真白の関係がうそでも美しい
少し残念ツッコミどころ2ポイント
- 流されるのみの七海が歯がゆい
- ラストまで見てもすっきりしない
『リップヴァンウィンクルの花嫁』印象的シーン
最初の結婚式を目前にした七海のうれしそうな表情は、見てる方まで幸せになりそうでした。でも彼女が「ネットショッピングするように結婚相手を見つけて〜」とか言う場面で、少しあれ?という気分になりました。
七海は自分の意見をあまり持たないばかりか、後先をあまり考えずに行動するので、周囲の誤解を招いたり、悪い方向へ事態が進んでしまいます。教師時代に生徒にからかわれて授業でマイクを使って教頭にしかられたり、1人で男性の部屋へ行って浮気を疑われたりします。
結婚式の出席者が少なくて、鉄矢に「なんとかしてほしい」と言われますが、この一言で鉄矢の軽薄さが垣間見えます。七海は代理出席者を集めるために、なんでも屋の安室行舛(ゆきます)に頼みますが、この名前だけで、彼のあやしさもわかりますね(笑)
結婚式の日に鉄矢にSNSの秘密アカウントを見つけられたけど、七海は自分ではないとウソをつきます。つまりこの結婚式は、偽の出席者や七海の嘘ばかりです。この「うそ」や「演じる」を象徴したのが、結婚式の子ども時代の演出です。
安室は鉄矢の母親にも雇われて、七海の浮気を偽装して離婚へと追い込みます。少し疑問だったのは、同じ安室が母と七海の両方に雇われたのは偶然だったのでしょうか?それとも先に母に雇われて、SNSでつながってきたのでしょうか。
家を追い出された七海を、すぐに雇ってくれたホテルの夫婦?は、この『リップヴァンウィンクルの花嫁』の中でも数少ない「嘘のない本当に良い人」でした。それなのにまた安室の口車にのって、今度は自分が結婚式の代理出席者のバイトをします。
そのバイトで知り合った真白(ましろ)に目をつけられたのは、良い意味でですが、七海にとっては良かったのか悪かったのか、結果的にはどちらなのでしょうか。次に安室が紹介したのは、屋敷の住み込みバイトですが、100万円というバイト代があやしすぎます。
毒を持つ魚介類が七海の悪い将来を連想させますが、一方で真白との生活は、この映画の中で七海が最も楽しそうにする時間にもみえました。結婚式衣装でのやりたい放題は、現実か虚構かわからないくらい不思議な雰囲気でした。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』ネタバレ結末ラスト
真白が亡くなった時、安室への依頼内容がわかりますが、一歩間違えば七海も死んでた可能性があるのに、2人とも冷静すぎて驚きました。普通の感覚なら、この時点で安室のことは信用できなくなりそうですが。
安室は誰でもだませると言ったけど、最初は彼のことを良い人だと勘違いしそうになりました。それにしても七海が心を許せる相手が、自分を裏で破滅させて殺そうともした安室しかいなくて、しかもそのことに本人は全く気付いてないってのは悲しい話です。
東京では特に人間関係が希薄になり、家族や友人よりも、ネットで知り合った人たちとの関係の方が濃くなる現象が生じてきています。むしろそういう人と上手くつきあうことが、現代人には求められてる気がします。
ラストまで見てもすっきりしないし、七海がハッピーになるわけでもないけど、また元のスタート地点に戻れたというだけで、これほど救われた気分になるのは不思議です。気持ち良い娯楽作品ではないし、何が良いのか説明できない映画ですが、一度は観ることをおすすめします!
私の評価 70/100(60が平均)
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