『STAND BY ME ドラえもん2』評価は?ネタバレ感想考察/のび太逃げた理由?おばあちゃんが見たかったのは?
のび太は、ドラえもんに反対されながらもタイムマシンでおばあちゃんに会いに行き、未来の結婚式を見せようと考えます。しかし新郎のび太はしずかちゃんの前から逃げ出してしまい…。しずかちゃんがのび太を選んだ理由は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | STAND BY ME ドラえもん2 |
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日本公開日 | 2020/11/20 [予告] 上映時間:96分 |
監督・キャスト | 山崎貴、八木竜一[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/シンエイ動画、白組、ROBOT |
日本興行収入 | 27.8億円 (年間7位) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.16更新) 70(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ドラえもん映画一覧 前作『STAND BY ME ドラえもん』83.8億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 源静香/しずかちゃん(かかずゆみ)
- のび太のおばあちゃん(宮本信子)
- 野比のび太(大原めぐみ)
- 野比のび太(青年時代)(妻夫木聡)
- ドラえもん(水田わさび)
- 野比のび太(幼年時代)(川原瑛都)
- 剛田武/ジャイアン(木村昴)
- 骨川スネ夫(関智一)
- 野比玉子/のび太のママ(三石琴乃)
- 野比のび助/のび太のパパ(松本保典)
- 入れかえロープ(羽鳥慎一)
- ナカメグロ(バカリズム)
ネタバレ感想『STAND BY ME ドラえもん2』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作・監督や主要キャストとゲスト声優
前作『STAND BY ME ドラえもん』以来6年ぶりの3DCGアニメによるドラえもん映画シリーズ2作目。前作観てなくても問題ありません。原作「おばあちゃんのおもいで」を元に再構築した物語と、前作「のび太の結婚前夜」の後日談です。
監督の山崎貴と八木竜一は、前作だけでなく同じく3DCGアニメ映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』でもタッグを組んでます。山崎貴監督は『アルキメデスの大戦』等、多くの映画を手がけています。
主要キャスト(声優)の水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一などは前作同様です。ゲスト声優として、のび太のおばあちゃんを宮本信子、ナカメグロをバカリズム、入れかえロープを羽鳥慎一が演じます。
3つの物語で進行?本作の見どころは?
0点のテストを見つかり、ママにしかられるのび太。部屋の天井で四次元ポケット内のひみつ道具を点検するドラえもん。その会話中、タイムマシンを出入りする(別の)2人の動きが不自然なので、これが伏線であることはすぐわかりますね。
本作『STAND BY ME ドラえもん2』は、大きく3つの物語によって構成されています。最初と最後は「おばあちゃんにのび太の結婚式を見せる」話です。その目的を達成するために「未来ののび太を結婚式に連れ戻す」ストーリーが展開します。
そして3つ目の物語「欠陥品の入れかえロープ騒動」は「のび太の記憶の消失」をまねくため、上2つの物語にも強い影響を与えます。それ以外でも本作は「魂」や「記憶」に関してのひみつ道具が登場するため、子どもが混乱しないか心配です。
本作の見どころは「のび太としずかちゃんの結婚式」が全て描かれる点です。前作からのつながりでもあり、ドラえもん映画でも初めてではないでしょうか。出席者たちが記憶するのは「ジャイアンの歌声」だけになりそうですが。
挙動不審ののび太とドラえもんの伏線回収は?
まずは中心となる「未来ののび太を結婚式に連れ戻す」ストーリーについてです。タイムマシンで結婚式当日に行ったドラえもんとのび太は、新郎のび太が行方不明と知り「少年のび太がタイムふろしきで大人になって」結婚式に出席します。
誓いの言葉、新郎新婦のキス、新郎のご挨拶などでの失態は子どもなら笑えるかもしれないけど、大人が観るとつらいですね。共感性羞恥(他人の失敗を自分の失敗のように恥ずかしくつらく感じること)の人でなくても観ていられないシーンです。
結局、未来ののび太を連れ戻そうとするが、タイムマシンを奪われます。「タマシイム・マシン」でのび太の魂は、この時代に来る前ののび太に乗り移り、その時間軸のタイムマシンを操作して現代へ戻ります。のび太が急にタイムマシンに乗り、すぐ戻って来た伏線はここで回収されます。
次に透明マントを使ったドラえもんは、天井に置き忘れた「たずね人ステッキ」を取りに行きます。これが透明ドラえもんの伏線回収です。わざわざ透明になった理由は、ママが上がってきてる時だし、自分達への説明も面倒だからでしょうね。
のび太が逃げた理由?戻った理由?鬼滅との違いは?
新郎のび太が結婚式会場へ行かなかった理由は「しずかちゃんを幸せにする自信がない」からだと判明。それなのに「入れかえロープ」で少年の姿になった新郎のび太は、野球したり中学生から逃げたりするだけ。
「しずかちゃんを幸せにできる自分になるために、子ども時代から勉強や努力をすべき」というテーマかと思いきや「ただの現実逃避」だったのは、のび太らしいけど物語としてはがっかり。
不良中学生3人を、ジャイアン、スネ夫、のび太で倒せたのも少し疑問。結局少女しずかちゃんの「のび太さんはそのままでいい」という『アナと雪の女王』の「ありのまま」も連想させるおなじみの言葉を聞き、新郎のび太は結婚式へと戻ります。
しずかちゃんは『映画ドラえもん のび太の新恐竜』でも同じ発言をしたので、ドラえもんのテーマの1つであるとは思いますが「何かをなしとげる努力」を否定しそうな言葉なので、「常に考えろ」と言う『鬼滅の刃 無限列車編』とは対極にあるようにも感じます。
もちろん、どちらが正しいとかではなく、生き方や考え方によって好みはわかれそうですね。年功序列時代は「のび太的」でも生きられただろうけど、実力主義の現代では「努力せずそのまま」では生き残るのが難しいでしょうね。
入れかえロープの欠陥とは?克服した方法は?
未来デパートからお試し用ひみつ道具として雑に送られてきた「入れかえロープ」ですが、欠陥品であることがナカメグロというセールスマンから判明。1時間以上「魂」を入れ替えてると、元の記憶を失うという重大欠陥です。
少年のび太と入れ替わってた新郎のび太は、すでに1時間以上経過したので意識を失いそうになってます。入れかえロープでも魂が移動しませんが、ドラえもんの涙(ドラ泣き)と思い出の大切さを伝える言葉により魂が動き出し元に戻れます。
かなり泣かせに来る演出ですが、私的にはこのシーンは泣くほどではなかったです。そもそも、入れかえロープの欠陥を克服した名シーンにもなりえる場面なのに、克服法が精神論というのはロジックとして残念でした。
おばあちゃんが本当に見たかったものとは?
最後に「おばあちゃんにのび太の結婚式を見せる」ストーリーについてです。部屋でクマのぬいぐるみを見つけたのび太は、おばあちゃんに会いたくなり過去へ行きます。過去のママとパパに不法侵入を見つかる展開は、さすがに気持ち悪いのでさけてほしかったです。
のび太は、おばあちゃんにランドセル姿を見せ、未来の花嫁も見たいとの要望にこたえようとします。すぐに信じてくれたり、無茶な要望したりしたおばあちゃんには少し違和感というか「脚本のために動かされた」感じをうけました。
少年のび太とドラえもんは、おばあちゃんをタイムマシンで未来の結婚式へ連れていき、のび太のありのままのスピーチを聞かせます。それに気づいた新郎のび太もしんみり。この過去は「忘れん棒」で忘れてたけど、のび太なら普通に忘れてても不思議ではなかったです。
ラストのおばあちゃんの言葉「花嫁さんを見せるために苦労し、克服できるほど成長した姿を見られたのがうれしい」には涙しました。確かにランドセル等の見た目ではなく「孫が成長した姿」を見たいというのが本質だろうと感じました。
しずかちゃんがのび太を選んだ理由は?
普段あまり中心にならず、ただの目標的な位置づけのしずかちゃんですが、映画『STAND BY ME ドラえもん 2』ではめずらしく人間的な一面も見れたのがよかったです。少女時代のしずかちゃんの台詞「のび太さんはそのままでいい」も印象的。
前作でも少し語られましたが、しずかちゃんがのび太を選んだ理由は「ほっとけないから。私が支えないと心配だから」という強い母性本能からです。「1人で何でもできる」からと、しずかちゃんに選ばれなかった出来杉君は少しかわいそう。
一方でしずかちゃんは、のび太がやる時はやると信じてるし、他人の心を思いやれる人という点も評価しています。結婚式ラストで、のび太が入れ替わってたことやドラえもんに救われたことも見抜いてたのはさすがで、いい夫婦になりそうです。
似たひみつ道具が多すぎ?タイムマシンはタクシー?
本作『STAND BY ME ドラえもん2』では、ひみつ道具やタイムマシンの使い方が雑すぎて気になりました。特にタイムマシンは簡単に盗まれたり、何度も往復を繰り返したりして、タクシーのように気軽に過去未来を行き来しすぎです。
あとこれはTV版もなのでマジツッコミしても無意味だろうけど、タイムマシンから落ちたら重大事故なのにシートベルトもせず動き回れるのは、大人になった今の視点ではこわすぎて見てられません。
また今回は、とても機能の似てるひみつ道具がいくつも出てきたので混乱のもとです。伏線の役割もあるのでしょうが、もっといろんな機能の道具を見たかったです。似てる道具は以下のようなものです。
- 子どもが大人に(タイムふろしき、入れかえロープ)
- 記憶の消去(忘れん棒、入れかえロープの欠陥)
- 魂を入れかえる(入れかえロープ、タマシイム・マシン)
- 探し人の所へ行く(たずね人ステッキ、どこでもドア)
- タイムマシンと、タマシイム・マシン
『STAND BY ME ドラえもん 2』私の評価と感想
かなりシンプルな話なので、大人を満足させるためにタイムトラベルのミステリ要素を盛り込んだのは、個人的には評価したいです。本質的ではないけど、これがなければ単純に「泣かせにくる感動テロ映画」になってたかもしれません。
物語を成立させるために「ひみつ道具」や「おばあちゃん」を便利に使ってる感じはしました。また、結婚式から逃げた新郎のび太の心の動きがよくわからず、もっと立派な青年に成長したはずと思ってたのでショックでした。
本作では「魂」や「記憶」を前面に出してたので、後半でおばあちゃんと関係するのかと期待しました。でも完全にスルーされ残念。あと、この物語を3DCGでやる意義も全く感じられなかったです。未来の(広告付きの)東京を作りたかっただけ?
本作は当初『TENET テネット』より先に公開予定だったのが面白いですね。子ども向けのタイムトラベル・ミステリと言えそうなので。それなら、子ども向けの「ドラえもん」でやる意味はあったのでしょう。
大人が他の映画と同じ水準で楽しめるかは微妙ですが、しずかちゃんの本質にもせまりフォーカスが当たるのは貴重だし、おばあちゃんというずるい感動材料もあるので、大枠はいい話に仕上がっています。しずかちゃん好きはぜひ観てください!
私の評価 61/100(60が平均)
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