『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』考察ネタバレ感想/ラスト結末?出生の秘密?
ハリポタ魔法ワールドのファンタビシリーズ2作目。グリンデルバルドが脱走し、パリを拠点に純血主義一族にカリスマ性を発揮する一方、ダンブルドアや魔法省はクリーデンスの出生の秘密を探るのだが...。ニュートや魔法生物が重要な理由とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 |
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日本公開日 | 2018/11/23 [予告] 上映時間:134分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald |
監督・キャスト | デビッド・イェーツ |
キャスト 出演者 | エディ・レッドメイン(宮野真守)、キャサリン・ウォーターストン(伊藤静)、ダン・フォグラー(間宮康弘)、アリソン・スドル(遠藤綾)、エズラ・ミラー(武藤正史)、ゾーイ・クラヴィッツ(森なな子)、ジョニー・デップ(平田広明)、ジュード・ロウ(森川智之)、クローディア・キム(大地葉) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース/ヘイデイ・フィルムズ |
日本興行収入 | 65.7億円 年間5位 |
世界興行収入 | 6.5億USドル [出典] |
製作費 | 2.0億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.18更新) 69(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ハリポタ/ファンタビ一覧 前作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』73.4億 続編『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』46億 |
ネタバレ感想『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督やキャストについて
ハリーポッター魔法ワールド(Wizarding World)のファンタビ・シリーズ全5部作の2作目です。『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の続編です。前作はアメリカが舞台でしたが、本作はヨーロッパが舞台となり、なつかしいホグワーツも登場します。
ハリポタシリーズの後半4作からのデビッド・イェーツ監督が続投ですが、「情報量つめこみ映画」として本領発揮したなと感じます。伏線と謎解きの気持ちよさが好みですが、心情の流れの描きこみは甘くて、キャラが感動のための駒になりがちではあります。
前作はハリポタ初期のようにワクワク感を全面に出そうとして、監督本来の能力が発揮できてなかった気がします。本作は演出や映像表現も素晴らしくて、興味深い人物や謎も増えてきて続編が気になるけど、単体映画としての見せ場は足らない気がします。
主人公ニュート・スキャマンダー役のエディ・レッドメインはニュートとしては良い演技でしたが、キャラが薄くて見せ場が少ないのは物足りないです。しかしラストのダンブルドアの言葉で「魔法生物の重要性」が強調されたので今後が楽しみです。
ティナ役のキャサリン・ウォーターストン、クイニー役のアリソン・スドルは恋する女性として前作以上にかわいいです。ナギニ役のクローディア・キム、リタ・レストレンジ役のゾーイ・クラヴィッツも含めて女性陣は存在感あるのに見せ場が少なくて残念です。
登場シーンはニュートほどではないけど存在感や役割では、クリーデンスのエズラ・ミラー、グリンデルバルドのジョニー・デップ、ダンブルドアのジュード・ロウが飛び抜けてて、特にジョニデは人間的問題はあるけど、久々にハマりキャラな気がします。
続編は『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』です。
『ファンタスティックビースト2と黒い魔法使いの誕生』考察・解説
『ファンタスティックビースト2と黒い魔法使いの誕生』の疑問と考察や解説です。ネタバレありです。
ダンブルドアとグリンデルバルドの関係とは?
ハリポタ7作目『ハリーポッターと死の秘宝 PART1』でさらっと語られたけど、死の秘宝を求めてゴドリックの谷に立ち寄ったグリンデルバルドと、そこに住んでたダンブルドアは意気投合して「より大きな善のために」魔法使いによる支配を考えます。
しかしそれを止めようとした弟アバーフォース・ダンブルドアにグリンデルバルドが「磔の呪文(はりつけ)」をかけて、3人で争いとなり、妹アリアナが巻き込まれて亡くなってしまいます。それ以後、ダンブルドアとグリンデルバルドは疎遠になります。
ダンブルドアがホグワーツ内にある「心の奥の望みを映す、みぞの鏡」をのぞき、グリンデルバルドとゲイを思わせる関係であったことや、決して2人が戦うことのないよう「血の誓い」を結んで、そのあかしに「十字ペンダント」を作ったことが判明します。
2人は戦えないが、それぞれの道の障害になるのは明らかで「宿敵」どおしと認識しています。そこで、グリンデルバルドはクリーデンスを、ダンブルドアはニュートを、宿敵を倒すために味方につけて成長させようとしています。
クリーデンスの出生の秘密とは?レストレンジ家?
クリーデンスの出生の秘密こそ、ニュートも魔法省もリタもグリンデルバルド陣営もが知りたかったことです。そして養子縁組書からレストレンジ家のリタの弟だと思わせますが、実際は船でリタがすり替えた他人の子とわかります。
本物の赤ん坊コーヴァス・レストレンジは、白いシーツにくるまったまま海の底に沈んでいきました。リタは最もこわいものを見せる魔法生物ボガートに「リディクラス」した時、その光景を見て動揺します。
クリーデンスの出生の秘密の真相は、なぜかグリンデルバルドが先に調べていて、危機の時に不死鳥(フェニックス)を解き放てるダンブルドア家の「アウレリウス・ダンブルドア」だとわかります。末弟でしょうけど、グリンデルバルドのウソの可能性もあります。
アルバス・ダンブルドア校長には、弟アバーフォース、妹アリアナがいたことが判明してるけど、さらに弟がいたという話は語られていません。それに父パーシバルがアズカバンに投獄されてた時期に生まれてそうなので、同じ父親である可能性は低そうです。
だからもしダンブルドアの血統と信じるなら、アルバス、アバーフォース、アリアナ、三兄弟妹の誰かの子である可能性も考えられ、最悪のケースは、グリンデルバルドかアルバスと、アリアナの子であることです。
ただその場合、前作でクリーデンスにオブスキュラスを捜索させたことと矛盾します。あと個人的には「アウレリウス=アリアナ同人説」も提唱したいです。ずっと蛇のままになる血の呪いが存在するなら、女性が男性になる呪いがあってもおかしくないです。
タイトル「黒い魔法使いの誕生」の意味とは?
原題は「The Crimes of Grindelwald」なので直訳は「グリンデルバルドの犯罪」です。この原題から考えると「黒い魔法使い」とは「グリンデルバルド」だし、ポスターやサイトでもグリンデルバルドのことを黒い魔法使いと表現しています。
しかし邦題だけで考えると、ラストで出生の秘密が明らかになり、グリンデルバルドから「杖をさずかって崖に放ったクリーデンス」こそ「黒い魔法使いの誕生」だと気付かされます。グリンデルバルドとのダブルミーニングを意識したと思います。
クリーデンス、リタ、クイニー、ナギニの心の闇とは?
本作の最も大きな見どころの1つに「誰が闇落ちするのか?」という点があります。クリーデンスは前作では養子先のベアボーンに虐待され、クレイブス長官にはこきつかわれた上に「スクイブ(魔法使いの家系だがノーマジ)」と言われて心が病んでました。
その結果、オブスキュラスという怪物を生み出したのですが、本作では制御できるようになっています。ところでクレイブスの正体がグリンデルバルドだったというのを知らないのでしょうか。それとも知った上でまた説得されたのかは不明です。
リタは男性しか家系図に残されないという厳格なレストレンジ家に生まれて、父に愛されませんでした。しかも別の母から生まれたのに父に愛された弟を憎み、他人の子どもとすり替えて、本物の弟は海に沈んでしまうという暗い過去を背負っています。
しかし「レストレンジ家は悪役」という先入観は裏切られ、リタはニュートとテセウスの兄弟2人に向かって「愛してる」と言い残し、グリンデルバルドに立ち向かって消えていきます。感動シーンですが、リタが立ち向かった意味はあまり感じず残念です。
クイニーは人の心を読めるという能力を持っているため、恋愛がうまくできず悩んでいました。だから純粋な心を持つジェイコブを好きになるのですが、魔法使いはノーマジと接触も結婚もできないという戒律に苦しみ、ジェイコブにも理解されず悩んでます。
ナギニはインドネシア出身で「血の呪い」によりいずれは大蛇から人間にもどれなくなる「マレディクタス」と紹介されました。猫に変身するマクゴナガル先生のような「アニメーガス」(動物もどき)とは別種のようです。ハリポタシリーズでは、ヴォルデモートが唯一愛する大蛇なので、いずれ闇落ちしそうで悲しいです。
グリンデルバルドが魅力的!魔法世界のヒトラーになるのか?
前作はラストで一瞬だけだったグリンデルバルド(ジョニー・デップ)が、本作では最初の逃亡シーンから魅力的です。登場シーンは多くないけど、そのカリスマ性は恐ろしいほどに伝わります。ラストの墓地での純血主義一族への演説シーンもかっこよすぎです。
そして第二次世界大戦の予言映像でもあったように、魔法使いが隠れて生きていると、いつの日かユダヤのように強制収容所に送られてしまうので「マイノリティの自由と愛のため」に先制攻撃されたら対抗すべきというファシズムや社会的なメッセージも含めて扇動します。
つまり非魔法使い側のヒトラーに対して、魔法使い側はグリンデルバルドが「より大きな善のために」独裁者として立ち上がろうとします。日本の原爆映像も映ったけど、1945年のダンブルドアとの決戦が広島や長崎で行われる可能性も期待してしまいます。
ファンタスティック・ビースト(幻の生物)が主役ではないの?
前作では魔法のトランクから逃げたいろんな魔法生物を回収していくのが、ポケモンGOみたいで楽しかったけど、あきそうにもなりました。本作では、ニフラーが大活躍しただけで、あとはビーストには「アイテム的」な小さな見せ場しか用意されず残念です。
水中のケルピーは自宅で世話しただけだし、ボウトラックルは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』のグルートにならないよう控えめだったし、日本の妖怪河童(かっぱ)もサーカスで一瞬出ただけです。
途中でニュートが、はたきのような物で興味をひいて捕らえた中国の魔法動物ズーウーは、フランス魔法省で黒猫マタゴットと戦ってくれたりと少し活躍します。巨大でこわい顔のわりに、かわいい面もあるので今後も登場の可能性はありそうです。
「ファンタスティック・ビースト」というタイトルなのに、ビーストがあまり登場しないし活躍しないのは大きな不満点ですが、ラストでダンブルドアが言ったように「(グリンデルバルドは魔法生物を過小評価してるので)彼を倒せるのは君だけだ」の発言は次回以降、魔法生物の大きな活躍を期待させます。
無駄キャラが多い?情報量が多くて立ち話で説明しすぎ?
まず1本の映画単体として観た場合、見せ場があまりないため退屈に感じる人はいるでしょう。ティナ、ナギニ、ニコラス・フラメル、ユスフ、グリムソンなど本編での必要性がほとんどないキャラクターも多すぎます。ユスフは説明用キャラです。
ハリポタファンへのサービスや続編のための伏線も含まれてますが、「5部作の連続ドラマの2作目」としては良い作品になりそうだけど、この映画だけでは意味をなさないことが多く、もう少し単体映画としての面白さを優先した脚本を練ってほしかったです。
情報量を詰めこみすぎてて、物語が進行するというより、立ち話で説明するシーンが目立ちました。映画なのでもっと「動くシーン」で見せてくれないと、ラジオドラマのようになってしまいます。特に墓地でクリーデンスの出生を話す場面は分かりづらいです。
バトル・戦闘シーンに迫力がないのは、ハリーポッターシリーズ全般にいえることですが、本作ではひたすら杖を振って倒したり、赤い炎の壁で青い炎を防いだりとロジックさえもないのが残念です。個々のバトルには意味を見出さないのでしょうけど。
レビューサイト、特に海外では評価を落としてるようですが、個人的には情報量つめこみ映画は大好きだし、ファンタビシリーズ五部作の二作目として振り返った時に、また見直される気もしてます。
ニコラスフラメル、みぞの鏡などイースターエッグだらけ?
制作陣が映画内に隠すイースターエッグは豊富です。『ハリーポッターと賢者の石』から、600歳を超える錬金術師ニコラス・フラメルや賢者の石、そして心の望みを映す「みぞの鏡」が再登場します。
イギリスのホグワーツ魔法魔術学校のシーンになると、おなじみの音楽が流れ出して、一番苦手なモノに化けるボガートや魔法ほうきの授業などなつかしい風景も見れます。若いマクゴナガル先生が、70年前に先生ならハリポタでは90歳以上ってことですかね?
生徒にも知った顔を探したけど、計算するとあの時代はまだハリーの親世代もいません。グリンデルバルドの闇の魔法使い陣営と純血主義一族では、名前が出た人物はほぼいなかったので、続編以降で明かされるかも知れません。ブラック家はいそうです。
私の評価 70/100(60が平均)
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