実写映画『キングダム2 遥かなる大地へ』評価ネタバレ感想/結末は?羌瘣の正体は?
人気漫画の実写映画化。『キングダム』続編。紀元前の春秋戦国。えい政は秦の玉座を奪還したが、隣国の魏が襲来。信は羌かい達と伍人組歩兵で出撃するが、魏軍が有利な丘を占拠し…。信の上官や仲間は有能?敵の作戦は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | キングダム2 遥かなる大地へ |
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日本公開日 | 2022/7/15 [予告] 上映時間:134分 |
監督・キャスト | 佐藤信介[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント/CREDEUS |
日本興行収入 | 51.6億円(年間7位) |
平均評価 平均:100換算 | 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | キングダム実写映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 縛虎申/ばくこしん(渋川清彦)秦の千人将。信の初陣の上官
- 麃公/ひょうこう(豊川悦司)秦軍の六大将軍に匹敵する総大将
- 羌瘣/きょうかい(清野菜名)信の五人組に任命された謎の人物。悲しみの一族?
- 澤圭/たくけい(濱津隆之)信の五人組の伍長。頼りなさそう
- 信(山﨑賢人)元奴隷だが、えい政と出会い大将軍をめざす。まずは歩兵の五人組から
- 呉慶/ごけい(小澤征悦)魏軍の総大将。戦の天才
- 王騎/おうき(大沢たかお)かつての秦の六大将軍の1人。政治には興味ないが…
- 尾平/びへい(岡山天音)信の五人組メンバー。信とは同郷。尾到は兄弟
- 沛浪/はいろう(真壁刀義)信とは別の伍のリーダー。巨漢
- 尾到/びとう(三浦貴大)信の五人組メンバー。信とは同郷。尾平は兄弟
- 嬴政/えいせい(吉沢亮)秦国の王。弟から玉座を奪還。信の活躍を見守る
- 河了貂/かりょうてん(橋本環奈)山の民の末裔。鳥のようなわらをかぶる少女。信と親しい
- 昌文君/しょうぶんくん(髙嶋政宏)嬴政に仕える大臣。漂を宮中に召し上げたり策をめぐらす
- 羌象/きょうしょう(山本千尋)羌瘣の姉貴分
- 呂不韋/りょふい(佐藤浩市)秦の丞相で随一の権力者。何かをたくらむ?
- 蒙武/もうぶ(平山祐介)秦の大将軍。呂不韋に従う
- 昌平君/しょうへいくん(玉木宏)秦の総軍師。呂不韋に従う
ネタバレ感想『キングダム2 遥かなる大地へ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
前作の実写映画『キングダム1』のネタバレあらすじ復習
中国の春秋戦国時代、信は奴隷友達の漂と剣の修業にはげむが、漂は王宮へ連れて行かれます。ある晩、漂が戻り信に地図を渡して絶命。信は盗賊達を倒し、漂と似た顔の嬴政/えいせいを救い、山の民の河了貂/かりょうてんと隠れ家へ。
嬴政の側近の昌文君の軍と合流し、山の民の王の楊端和/ようたんわに同盟を依頼。政が「国境をなくす」と夢を語り交渉成立。謀反で玉座についた王弟の成蟜/せいきょうは、嬴政の首をねらうため、願いでた山の民を王宮に入れます。
王宮内で山の民は反乱を起こし、そのすきに信と河了貂と少数精鋭は隠れ通路から玉座へ。信は巨人ランカイや元将軍の左慈を苦戦の末に倒します。政の「中華統一王になる」に同調した王騎将軍も加勢し、政は弟を倒し玉座に戻ります。
伍とは?信の伍メンバーは?上官は誰?
冒頭、秦王の贏政(吉沢亮)が暗殺者2人に襲われるが、昌文君と肆氏/ししが招いた信(山﨑賢人)の奮闘で阻止。暗殺者は「蚩尤/しゆう(伏線)なら成功したのに」と。暗殺の黒幕をつきとめる間もなく「魏」軍が攻めてきます。
下僕だった信は、まず「伍」という五人組の歩兵で初陣。伍長はいつも1人で戦場から帰ると言う澤圭/たくけい(濱津隆之)、そして同郷の兄弟の尾平と尾到、民族衣装の子ども?の羌瘣、信の5人組。沛浪らには最弱と言われます。
秦軍の総大将は六大将軍に匹敵する麃公/ひょうこう将軍(豊川悦司)で、信の直属上官は千人将の縛虎申/ばくこしん(渋川清彦)。前作で信と共闘した壁/へき(満島真之介)も千人将として縛虎申とならびます。
以上が序盤あらすじ。前作であれだけ活躍した信ですが、奴隷あがりだからか本当に末端の歩兵「伍」から出陣です。これは、視聴者も信の目線で末端から上っていく景色を体験できる素晴らしい仕掛けなんですよね!
「伍」とは歩兵隊の最小単位。新兵や力の弱い者達は1人では役にたたないが、5人組で協力して敵を倒すという弱者も無駄にしない効率のよいシステムです。
「伍」を組む時に信が「大将軍を目指す」とか叫ぶがむしろ逆効果。目に見える武功だけが信頼されるという超実力社会。それ以外の判断基準は、体が大きいこと、力が強そうなことだけ。だから最初は信も羌瘣もザコ扱いされます。
濱津隆之は『カメラを止めるな』から大出世し、弱々しく見える伍長の澤圭を好演。長いつきあいになりそうな尾平が岡山天音なのもいい配役ですね。沛浪も他の伍ですが存在感を発揮。
蛇甘平原の戦いとは?伍長の澤圭は無能か?
魏の魏火龍七師(ぎかりゅうしちし)の1人でもあり今回の総大将「呉慶/ごけい」将軍が秦に攻め込み、蛇甘平原(だかん)に陣をしいたため、秦軍の麃公将軍も布陣。呉慶軍は蛇甘平原の2つの丘を占拠し優勢に。
信は縛虎申の命令で第四歩兵隊として突撃。伍を無視し、先頭を走り大ジャンプで敵陣の中に入って崩したため、その周辺は秦軍が有利に。信は魏の隊長を討ち取ります。しかし魏の装甲戦車隊が秦の歩兵隊を壊滅。それでも麃公将軍は騎馬隊を待機させたまま。
信の伍は、羌瘣の知恵と澤圭の即断で「死体を積んで戦車を止める作戦」を実行。沛浪隊も。それで生き残った歩兵隊は、せまる敵兵を倒して隠れながら一夜を過ごします。
信はまだ末端兵士なので、理不尽とも思える命令にも従わざるをえません。そんな末端から「突撃好きな縛虎申」はイかれてるように見えるのでしょうが実は…(後述)。さらに上の麃公将軍からの視点もわかるのが『キングダム』の魅力。
「最弱の伍」とも呼ばれるきっかけの伍長・澤圭/たくけいですが、死体を積む時の即断や、戦況把握の早さ等を見る限り、かなり優れたリーダーだと感じます。いつも1人で帰還する理由は「生存本能が強かった」だけでなく仲間が澤圭を信用しなかったからではないでしょうか。
羌瘣の目的と正体は?過去は?
羌瘣は、信の伍人組のメンバーだが、自分を守る戦いしかせず足手まといでした。しかし羌瘣は、信が仲間を守る姿や、亡き友人・漂/ひょうのために戦うのを見て心動かされます。
羌瘣の正体は、暗殺集団・蚩尤/しゆう(前述)元候補者で、独特の呼吸法と「トーン、タンタン」と踊る剣技・巫舞/みぶの達人。武器は愛剣の緑穂/りょくすい。弱点は体力だが、呼吸が続けば複数人も一瞬で斬ります。
羌瘣の目的は、姉貴分の羌象を殺害に追いやった幽連を探して復讐することです。幽連が魏にいると知り、魏軍と戦う秦軍に志願しました。羌象は、1人の蚩尤を決定する「祭」の決戦前夜に羌瘣を眠らせ、自分が犠牲になりました。
今回の実写映画化で最も心配だったのが羌瘣の演技でしたが、清野菜名は無難に演じてたと思います。『キングダム』の中で最もファンタジーなキャラなので、誰が演じても難しそうですが身体能力高い清野菜名なら一安心。
殺陣(たて)や巫舞もほぼ清野菜名が演じ、一部だけスタントだそうですがかなり良いデキ。少し斬撃の軽さは感じるけど、それは原作でも指摘されてた、体が小さいことによる弱点なので問題なし。羌瘣が信の言動で心変わりする様子も繊細に見せてくれます。
特に、信の「復讐のあとはどうする?」「亡き象姉の夢を追うのもいいのでは?」というセリフで羌瘣は「復讐後に戻ってくる場所を見つけた」感じがよかったです。
麃公と縛虎申は有能か?王騎を動かした者とは?
信と沛浪の伍を含む第四歩兵隊の生存者約30人は、敵と味方の中間で孤立したため、信は「丘へ突撃し、敵将の宮元/きゅうげんの首をとろう」と提案し進撃。麃公将軍はその小さな善戦を逃さず、騎馬隊を歩兵のカバーへ、全軍も進撃開始。
信の直属上官の縛虎申は壁/へきに前線をまかせ、第四歩兵隊の開けた穴へ向かい、丘上の宮元将軍を目指します。敵から馬を奪った信も同行。残された歩兵隊は全滅の危機にあうが、羌瘣が体力をふりしぼって最後尾を死守し丘へ前進。
少数で丘に達した縛虎申は、魏の弓兵で「中華十弓」の1人・黄離弦/こうりげんの弓矢で射抜かれるが気力で突進。信が矢をはじき、黄離弦を斬ります。魏軍の副将・宮元は、瀕死の縛虎申を貫くが、縛虎申は最後の力で宮元を殺害。
副将・宮元将軍の首を取られた魏は退却。しかし縛虎申の少数軍では丘は守れないので下ることに。そこへ、長く戦に関わってなかった王騎将軍の約500人隊が到着し丘から魏軍にプレッシャーを与えます。信は馬を借りて麃公軍に合流。
王騎将軍を動かしたのは、間違いなく前作で贏政が語った「中華統一の夢」と、信の「下僕から大将軍になる夢」。そして信に「将軍には、呉慶のような知略型と、麃公のような本能型がいる」と教えたのも名シーン。
歩兵からは「イカれた突撃好き」と呼ばれた縛虎申だが、第四歩兵隊の開けた穴をのがさず「兵は戦の勝利のために動く」と語ります。縛虎申が丘へ突撃して宮元将軍の首をとって息絶えた姿は、本作『キングダム2』で最も感動的でした。
縛虎申は理不尽な命令を下すこともあったが、それが「戦における千人将の役割」だと意識してたのでしょう。そして自らも将軍の歯車として最善の役割を果たすことを信条としたのでしょう。縛虎申は、間違いなく有能な千人将です。
中盤までは動く気配のなかった麃公将軍も、信たちが開けた穴をのがさず全軍を動かします。この戦況の把握力・洞察力と早い決断力こそが、王騎が信に教えたかった「優れた大将軍の資質」なのでしょう。言うまでもなく麃公も有能。
結末は?勝者は?信は異例の大出世?
王騎将軍が丘からニラミをきかす下で、「魏火龍七師」で総大将の呉慶が率いる魏の大軍へ、秦軍の総大将の麃公が突撃開始。信も合流し、装甲戦車隊に乗り移り脱輪させ多くを巻き込みます。麃公は呉慶を一騎打ちに挑発。
魏の総大将の呉慶将軍は、かつて滅ぼされた小国の王族だったが、魏にくだって努力し「魏火龍七師」に登りつめたと語ります。そして呉慶は、麃公との一騎打ちで討ち取られ、魏軍は撤退。蛇甘平原での勝者は秦軍に。
麃公将軍は、久しぶりの王騎将軍を酒に誘うが断れ再度誘います。羌瘣は復讐を果たすため、魏にいる幽連を探す旅に出発。信は必ず生きて戻れと言って見送ります。信は多大な武勲を認められ論功行賞で異例の「百人将」に出世。河了貂は軍師を目指すと宣言。信は王騎に修行をつけてもらいに行きます。
「本能型」の麃公将軍は勝利を確信すると迷いもなく突撃し、「知略型」の呉慶将軍でさえ予測できなかったのでしょう。ただ、数では勝ってた魏軍なので、呉慶が本気で「魏」のための勝利を目指したなら結果は違ったと思います。
呉慶が麃公の一騎打ちを受けた理由は、魏軍の勝利に固執しなかった点と、小国を見下す大国・秦の大将軍を打ち負かしたいという私情/私欲が勝ったからです。麃公の一言「そんな(小国が滅ぼされた)例は数えきれない」も印象的。
ただ、中華全土に聞こえるほどの智将・呉慶の最後としては物足りなかったかも。原作どおりなので仕方ないけど、あまり智将には見えなかったですね。麃公の「本能型」も不完全燃焼だったが、これは後の戦で見せつけられるので期待!
呂不韋、昌平君、蒙武は敵か味方か?
秦王の贏政は、信の活躍を陰ながら喜び「次は我々の戦いだ」と。丞相の呂不韋が、側近四柱の昌平君、蒙武とともに王宮へ来て贏政に謁見。先の「秦王暗殺を命じたのは私だ」と白状するが、冗談とぼかします。
呂不韋(佐藤浩市)が首謀者なのはほぼ確実だが、呂不韋派閥は大きすぎて、贏政ですら彼を罰することは難しいのです。呂不韋のねらいはこの時点では不明ですが、贏政の目指す夢は共有できないのでしょう。
原作漫画では数話くらい使ってた話ですが、本作『キングダム2』では冒頭で秦王暗殺も見せてコンパクトにうまくまとめたと感心します。特に映画では合戦シーンに時間を使ってほしいので、これで続編は「馬陽防衛戦」から始まりそう。
原作もアニメも見てない人には、蒙武、昌平君が何者かわからないと思いますが、かなり原作に寄せてきたなと思います。2人は今回登場させる必要なかったのに、信と河了貂にとってな重要なキャラになるので顔見せしたのでしょう。
実写映画『キングダム2 遥かなる大地へ』私の評価と感想と続編
前作『キングダム』は、原作ファンとして評価できない部分もあったけど、邦画実写の中では好きな方でした。今回の『キングダム2』はその前作の成功すら大きく超えてきました!
いつも「原作ファンは実写化映画に厳しい」と言われがちだがそれは誤解。良いと思えた映画は高評価されるんです。漫画原作かつ邦画実写の大作シリーズで、全力で応援したい映画がやっと登場かも。世界へもアピールすべき。
もともと原作力はあるのでそれを生かし、キャラ相性と実力で俳優女優を適切に選べば成功確率は上がる、という前例を作れるかもしれません。今回は新たに、渋川清彦、豊川悦司、清野菜名、岡山天音、濱津隆之が大好演でした。
特に数ある「じじい武将」の中でもリアルでは表現しにくいだろう麃公を演じた豊川悦司や、原作では最もファンタジーなキャラ羌瘣を演じた清野菜名はしっかり重責を果たせてたと感じます。渋川清彦の縛虎申にも泣かされました。
最大の不安要因だった合戦シーンも、ハリウッド技術にはかなわないが違和感ないくらいには仕上がってて一安心。最近はNHK大河でも合戦時はキャラの周辺のみしか映さない?らしいので、今後も『キングダム』の合戦シーンは貴重ですね。
ラストでは続編『キングダム3』映像も解禁され、ついに宿敵の李牧らしき後ろ姿も。イケメンなので人気だけで俳優を選ばないでほしいですね。『キングダム』内の歴史が大きく変わる節目になる続編なので、泣きタオル用意して期待!
私の評価 70/100(60が平均)
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