映画『望み』評価は?ネタバレ感想考察/真相は?息子が消えた理由は?
石川一登は自らデザインした邸宅で、妻と息子と娘の4人家族で幸せに暮らしてます。ある日、息子の同級生が殺害される事件が発生し、息子が犯人か被害者か、家族も混乱するが…。生きてる犯人と死んだ被害者どちらがいい?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 望み |
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日本公開日 | 2020/10/9 [予告] 上映時間:108分 |
監督・キャスト | 堤幸彦[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | KADOKAWA/角川大映スタジオ、オフィスクレッシェンド |
日本興行収入 | 2.0億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.16更新) 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ミステリ/サスペンス映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 石川雅/みやび(清原果耶)石川家の一人娘。規士(ただし)の妹。名門女子校の受験勉強中
- 石川貴代美(石田ゆり子)石川一登の妻。自宅で出版社の校生の仕事をしながら家事もこなす
- 石川一登(堤真一)石川貴代美の夫。一級建築士。家をデザインする仕事
- 内藤(松田翔太)雑誌社の記者
- 石川規士/ただし(岡田健史)石川家の一人息子。部活中のケガでサッカーやめる。行方不明に…
- 扶美子(市毛良枝)貴代美の母。規士を心配する
- 寺沼(加藤雅也)規士のことで訪ねてきた刑事
- 高山(竜雷太)一登の仕事仲間。規士の友人の祖父とつながりがある
ネタバレ感想『望み』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作小説・監督とキャストは?
原作は、雫井脩介の長編小説『望み』(2016/9刊行)です。「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門で第9位でした。『検察側の罪人』も映画されました。雫井脩介のミステリ小説で、個人的に一番好きなのは『犯人に告ぐ』の1作目です。
監督の堤幸彦(つつみ ゆきひこ)は、多くのテレビドラマや映画に関わっていて『金田一少年の事件簿』『ケイゾク』『トリック』『SPEC』等が代表作です。派手な演出がアダになることもあるが、抑えめの『人魚の眠る家』等は好みです。
最近も出演の多い堤真一ですが、今回は得意のコメディ演技ではなさそうです。石田ゆり子は、助演的な位置づけでは独特の雰囲気で作品の質を上げる女優なので期待したいです。
岡田健史は個人的に初めて観るけど、2020年の新作映画には5本も出演予定なんですね。今後が楽しみです。清原果耶は、NHKが推す10代女優で『宇宙でいちばんあかるい屋根』『ちはやふる 結び』等で好演。4作以上の新作映画が控えてます。
他には、加藤雅也、市毛良枝、松田翔太、竜雷太などのベテランや中堅俳優が脇を固めています。
テーマは「犯人として生きてる・被害者として死んでる どちらが望み?」
映画『望み』には、期待してたミステリーやサスペンス要素がほぼない点が残念でした。本作のテーマは「家族」であり、家族の一員が「加害者として生きてる方がいいか、被害者として死んでる方がいいか」の二択を迫るヒューマンドラマです。
お腹を痛めて出産した母親は「犯人でもいいから生きててほしい」と願い、名門私立高校の受験をひかえて明るい将来を夢みる妹は「犯人の妹として人生終わるくらいなら、兄が被害者の方がいい」と思い、父は「息子が犯人のはずはない」と現実を直視できてません。
この対比はいいですね。ただ、この3人の葛藤から「息子が犯人である確率は低い」ことが、かなり前半でバレてしまうため、演出にもうひと工夫は必要だったと感じます。特に妹のバッドエンドは、この手の家族映画では考えられません。
私自身は妹の雅(清原果耶)の考えに近くて「被害者だけど生きてる」のがベストだけど、加害者の家族になるのは一番さけたいので、この映画の結末を望むかもしれません。ただし自分の息子だったなら、考え方は変わりそうですね。
タイトルの「望み」とは?
絵に描いたように幸せな家族で、4人とも同じ方を向いてたはずなのに、息子が行方不明になり「加害者」か「殺害された被害者」かとなった時、父と母と妹はそれぞれ別の結末を「望み」ます。それがタイトルになっています。
それぞれの「望み」は上記のとおりです。
この家族が好きになれない理由は?
事件内容とは関係ないけど、冒頭から描かれるこの家族の言動には違和感があり、全く好きになれませんでした。特に自宅がモデルルームになってる描写は最悪で、父親が中校生の子ども部屋を開けて顧客に見せるのは気持ちわるかったです。
嫁と娘がその行為に理解を示しているのも「ありえない」と感じました。そのシーンで異端児のように描かれた息子・規士(ただし)の方が正常な反応に見えたほどです。父と母が、通常時も子ども部屋を調べるのも違和感ありました。
「この家族は普通じゃない」のを強調するための描写としてなら成功しています。ただし、その「プライベートを無視した家族の言動」が事件の真相に全くからんでないので、社会派としては手落ち感があり薄いストーリーになっています。
暴走マスコミやSNSは過剰では?松田翔太のムダ使い?
本作『望み』のもう1つのテーマは「暴走するマスコミやSNS」だと感じました。現実の事件や芸能人の不倫などプライベートに関わる話題でも、雑誌週刊誌やワイドショー等のマスコミ(マスゴミと呼ばれる)は、目にあまるものがあります。
しかしこの暴走の原動力は、そういう事件や芸能ニュースを求めて「視聴率やサイトアクセス数」に貢献している私達一般人なのです。その中で承認欲求の強い人は、SNSで正義感を振りかざすために不確実な情報でも加害者をたたきまくります。
映画『望み』でも自宅前でマスコミが張ってましたが一定ルールは守ってたので、実際のマスゴミよりはましに描かれてると感じます。隣人や仕事の取引先の態度も、現実ではもっと冷たいだろうなと思います。
週刊ジャパン記者の内藤(松田翔太)はマスコミ代表として、その裏側や闇を見せる役割を果たすのかと期待しましたが、微妙な事実を伝えるだけの伝令キャラだったのが残念。ラストの「被害者ならインタビューできません」でさらに落胆。
事件の真相は?息子は犯人か被害者どちら?
父親(堤真一)は息子の無実を信じてるので、被害者の葬儀に出席しようとするが追い返されます。被害者の祖父の仕事仲間(竜雷太)がなぐる演出は、さすがにやりすぎですね。ただ、あの状況で葬儀に出席しようとする心理も理解不能です。
その頃、母親(石田ゆり子)は発見された息子の遺体と対面してます。彼女にとっては、考えうる最悪な結末です。父と娘も事実を知り、葬儀には被害者家族も来て、父を殴った仕事仲間は土下座して謝罪します。
事件の真相は、サッカー中に息子を怪我させた先輩がらみでした。その先輩をゆすって金を取ろうとした3人(ABC君)のうち、C君が先輩を負傷させます。すると逆に先輩側から慰謝料でゆすられ、A君とB君は、仲違いしたC君を殺害します。
その経緯を知った息子・規士は、当事者であるので責任を感じてC君を救おうとするが、AB君側に殺害されてしまいます。サッカー部内のいざこざが、こんなに痛ましい事件に発展したのは恐ろしく感じますが、現実でも起こりそうです。
個人的には序盤で予想したとおりの結末だったため、驚きも意外性も感じません。原作者の雫井脩介は、初期作は良質ミステリ作家だったので、毎回ミステリ展開を期待するのだけど、最近は「家族物語」に重きをおいてるようですね。
映画『望み』私の評価と感想
本作のテーマは洋画やTVドラマでも既視感あるし、もう少しひねったラストも観たことあるため、いま映画化する意図は感じませんでした。こった演出やお金かかったシーンもないので、TVの2時間ドラマでよかったのでは。
個人的には、題材はいいのでもう少し闇に踏みこんでほしかったです。または、もっとミステリ要素を重視した脚本でもよかったと思います。幸せな家族を破壊しないラストを選んだために、ぬるい結末・凡庸な物語になったように感じます。
一方、堤真一と石田ゆり子の演技は安定してて、度重なるアップシーンも見どころの1つになっています。妹役の清原果耶は思った以上に出番が多くて、いやしにもなるので、彼女の演技を観に行くだけでも観る価値はありそうです。
私の評価 60/100(60が平均)
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