2017映画『オリエント急行殺人事件』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?真犯人と真相は?
世界一の名探偵として灰色の脳細胞を持つと言われるエルキュール・ポアロは、イスタンブールからロンドンへ向かうオリエント急行で、個性的な乗客たちと旅することに。しかし雪崩で立ち往生となった翌朝、富豪のラチェットが数か所を刺された死体で発見され…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | オリエント急行殺人事件(2017) |
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日本公開日 | 2017/12/8 [予告] 上映時間:114分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Murder on the Orient Express |
監督・キャスト | ケネス・ブラナー |
キャスト 出演者 | ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、デイジー・リドリー、ウィレム・デフォー |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | 20th Century Fox/キングバーグ・ジャンル、ザ・マーク・ゴードン・カンパニー、スコット・フリー・プロダクションズ |
日本興行収入 | 16.2億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 3.5億USドル [出典] |
製作費 | 0.6億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.19更新) 67(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ミステリ/サスペンス映画一覧 続編『ナイル殺人事件』5.4億 |
ネタバレ感想『オリエント急行殺人事件(2017)』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
世界的に有名なミステリー作家アガサ・クリスティのベストセラー小説『オリエント急行殺人事件』の何度目かの実写映画化です。その後のミステリー小説に多大なる影響を与えたと言われる本作のトリックや結末は多くの人に知られていますが、登場人物や細部等は改変されてる部分もあるので知ってても楽しめます。
『オリエント急行殺人事件』ネタバレ感想と評価
私のひとこと感想や評価は「アガサ・クリスティの代表的な小説はほとんど読んでるので、本作のオチも当然知りながら観ましたが、個性的な役者陣の共演ならぬ競演ぶりや映像の美しさには目を奪われました。ただ、初見の人にはわかりづらい演出ばかりだし、新作ならではの解釈も乏しかった気がします」
みどころは、やはり名の知れた豪華な俳優や女優たちの演技や、列車内の豪華さや、雪山などの風景の美しさや、雪崩や高架橋の恐ろしさの表現などでしょうか。高級料理ネタはもっといろいろ見せてほしかったです。結末シーンで「最後の晩餐」風に12使徒や陪審員ならぬ、12人の真犯人が並ぶ場面も見ものです。
登場人物が多いわりに動きや特徴が少なく、過去や背景もあまり語られないため、誰にも感情移入できないし、見失ってしまうキャラもいました。普通のミステリーなら犯人以外はあまりウソや黙秘はないのですが、今回は全員がアリバイや過去を隠し、しかもかばいあうため、犯人を1人に絞ろうとすると混乱します。また「12カ所の刺し傷」というのはネタバレなので「数カ所」くらいにした方が良い気がします。
もちろんポワロも混乱するので、それを視聴者にも追体験させるという意味では成功しています。ただ、映画としての面白さや気持ちよさは感じられにくくなっています。あと中盤、たんたんと事情聴取が続くだけで、盛り上がる場面も少ないし退屈します。アクションは求めないけど、前進してる感じはほしいです。
役者では、ポワロ演じたケネス・ブラナーの混乱ぶりと、ラチェット演じたジョニー・デップの悪党面が印象的ですが、ペネロペ・クルスの迷える宣教師や、ウィレム・デフォーの教授ならぬ元警官、ジュディ・デンチの公爵夫人、ミシェル・ファイファーの未亡人、デイジー・リドリーの家庭教師などが特徴的です。
メイドのスザンヌが自殺したのは検事の責任なので、スザンヌの恋人ハードマンや兄ミシェルなどは直接的には、検事の息子マックイーンをうらむべきではないかと思ったけど、原作ではもっと納得できた気もします。女優リンダの顔をポワロが知らないのは、まだTVが普及してないからでしょうか。
オールスター的な豪華映画としてはとても楽しめるので、家で観るには向いてる気がしますが、新作を作るにあたって何か「新しいもの」は見せてほしい気がしました。次作『ナイル殺人事件(ナイルに死す)』も製作が決定してるようなので「無難」にではなく、ぜひ斬新なアイデアを期待したいです!
序盤から中盤のネタバレあらすじ
ベルギー出身の名探偵エルキュール・ポワロ(ケネス・ブラナー)、通称「灰色の脳細胞」は、エルサレムの嘆きの壁で事件を見事に解決し、トルコのイスタンブールで休暇を過ごすつもりが、イギリスのロンドンへ事件解決のため向かうことになります。ポワロ「この世には善と悪しかなく、中間はない」
ポワロは友人で鉄道会社の役員ブーク(トム・ベイトマン)に誘われオリエント急行に乗り、車内でアメリカの大富豪でギャングのエドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)に警護を頼まれるが断ります。夜、ラチェットの部屋で物音がして赤い着物の人物が走り去るのを見ます。雪崩で脱線し列車は止まります。
翌朝、ラチェットの死体が発見され12ヶ所もの刺し傷があります。乗客の黒人医師ドクター・アーバスノット(レスリー・オドム・Jr)は死亡推定時刻が、0時から2時と断定します。ブークから捜査を依頼されたポワロは取り調べをはじめます。部屋からは1時すぎに止まった時計、H文字のハンカチ、パイプ掃除のハケ、燃やした紙など怪しい証拠が見つかります。
ポワロは紙から「小さいデイジー・アームストロングを忘れ」を読み取り、数年前のアームストロング事件の真犯人カセッティが、ラチェットだと気づきます。事件はアームストロング家の幼い娘デイジーが誘拐殺害され、妊娠中の母ソニアはショック死、父親アームストロング大佐も自殺した凄惨なものでした。
ポワロは12人の容疑者から事情聴取します。ラチェットの秘書ヘクター・マックイーン(ジョシュ・ギャッド)は酒好きです。キャロライン・ハバード夫人(ミシェル・ファイファー)は夜に自室に誰か男がいて、車掌ボタンが落ちてたと証言するが、車掌ピエール・ミシェル(マーワン・ケンザリ)のではありません。
執事エドワード・ヘンリー・マスターマン(デレク・ジャコビ)は、歯痛に苦しみ、末期がんで余命は数ヶ月です。ラチェットにコーヒーを出したので怪しいが、食堂で誰でも睡眠薬を混入できたとわかります。宣教師ピラール・エストラバドス(ペネロペ・クルス)、教授ゲアハルト・ハードマン(ウィレム・デフォー)、自動車販売ビニアミノ・マルケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)からも話を聞きます。
家庭教師だったメアリ・ハーマイオニー・デブナム(デイジー・リドリー)には、アーバスノット医師と親しいのか聞くが黙秘されます。ドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・デンチ)は、誘拐殺害されたデイジーの祖母の女優リンダ・アーデンの親友で、そのメイドのヒルデガルデ・シュミット(オリヴィア・コールマン)はミシェル以外の車掌を見たと証言します。
ポワロのスーツケースから赤い着物が見つかり、ボタンの取れた車掌の制服や鍵も発見されます。列車から逃げる秘書マックイーンを捕らえ、ラチェットから横領してたことが判明するが、犯行時間にはアーバスノット医師と酒を飲んでたようです。医師は元狙撃兵でアームストロング大佐を知ってた可能性があります。
マックイーンの父はアームストロング事件の検事で、犯人をメイドのスザンヌと見なしたが、スザンヌの自殺後に無実が判明し、父は失脚しました。ハバード夫人が誰かに刺されるが軽傷です。ポワロは貴族室のルドルフ・アンドレニ伯爵(セルゲイ・ポルーニン)とエレナ(ルーシー・ボイントン)も調べます。
ポワロはエレナが誘拐殺害されたデイジーの母ソニアの妹ヘレナであること、メアリがその家庭教師だったことを見抜くが、全員にアリバイがあり行き詰まります。メアリは白状しかけるが、アーバスノット医師が発砲してポワロを押さえつけ、自分がやったと自白します。ポワロはブークによって救われます。
『オリエント急行殺人事件』ネタバレ結末やラストシーン
除雪作業が終わり、列車を線路に戻す間、乗客たちはトンネルに集合して、ポワロは推理を披露します。宣教師ピラールはデイジーの乳母で、アーバスノットは戦友アームストロング大佐の援助で黒人でも医師になれたし、マスターマンはアームストロング家の執事でした。
教授ではなく元警察官のハードマンは自殺したメイドのスザンヌの恋人で、車掌ミシェルはスザンヌの兄です。ハンカチの「H」はロシア語の「N」でナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人の物で、そのメイドのシュミットはアームストロング家の料理人で、自動車屋マルケスは元運転手で大佐が事業の保証人になりました。
ポワロは「犯人は12人全員」だと結論づけます。ハバード夫人はかつらを取ると女優リンダ・アーデンで、今回の計画や罪は全て自分1人がつぐなうと言います。ポワロは「私には裁けない」と言い銃を出し、誰か私を撃って口封じしろと試します。ハバード夫人がその銃で自分を撃つが空砲です。
結局ポワロは「この事件は善と悪がつりあわないままにする。警察は暗殺者が車外へ逃亡した説を受け入れた」と言って途中下車します。待ってた警官から、ロンドンより重大な事件がエジプトのナイル川で起こったので行ってほしいと要請されます。「ナイル殺人事件(ナイルに死す)」に続くのかもしれません。
私の評価 60/100(60が平均)
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