映画『野性の呼び声』ネタバレ感想考察/犬の結末は?黒い狼の正体とは?
原作はアメリカの小説。判事の犬バックは、さらわれて寒い北の地でそり犬として働かされ、頭角を表します。やがてソーントンとユーコン川で未開の地を目指すが、そこで待ってたものは…。ボス犬の資質は?ソーントンとの出会いは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 野性の呼び声 |
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日本公開日 | 2020/2/28 [予告] 上映時間:99分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | The Call of the Wild |
監督・キャスト | クリス・サンダース(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | ウォルト・ディズニー・ジャパン/3 Arts Entertainment、20世紀スタジオ |
日本興行収入 | 1.4億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.1億USドル [出典] |
製作費 | 0.1億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.16更新) 69(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | アクション/スポーツ/冒険映画一覧 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ジョン・ソーントン(ハリソン・フォード)息子を亡くした独り身の男。犬バックを気にかけてる
- ハル(ダン・スティーヴンス)ゴールドラッシュにわく町を目指すため、そり犬を購入
- マーセデス(カレン・ギラン)ハルの姉。弟ハルに同行する
- ペロー(オマール・シー)アラスカとカナダの寒冷地の郵便配達人。そり犬で届ける
- ミラー判事(ブラッドリー・ウィットフォード)大型犬バックの最初の飼い主
ネタバレ感想『野性の呼び声』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作と監督・ハリソンフォード達キャスト
原作は1903年に刊行された、ジャック・ロンドン原作小説「野性の呼び声」です。ハリウッドの実写映画化としては通算6作目で、日本でも1981年に単発テレビアニメ『荒野の呼び声 吠えろバック』として放送されたようです。
監督のクリス・サンダースは、ディズニーのアニメーター出身で、アニメ版の『アラジン』『ライオンキング』の原案に関わり、最近は『ヒックとドラゴン』等も監督してて、本作も『ヒックとドラゴン聖地への冒険』と似てる部分があります。
予告編などでは、主役級にハリソン・フォードが前面にアピールされていますが、映画『野性の呼び声』の主役は、大きな犬バックです。ハリソン・フォードは序盤から登場しますが、主な役割は後半以降になります。
犬のバックとハリソン・フォードの敵役ハルは、ダン・スティーヴンスが嫌な感じで演じます。その姉マーセデス役はカレン・ギランですが登場は少なめです。そり犬郵便配達人の、黒人ペロー役のオマール・シーの方が印象的でした。
犬バックが主役?人生が冒険?人間は背景
ハリソン・フォードが主役かと思いきや、幸せな飼い犬だったバックがさらわれ野性に目覚めていくまでを描いた、バックの人生こそが主役の冒険映画です。4組の人間に飼われるけど、人間の生活はほぼ描かれません。
犬バックは、セント・バーナードとスコットランド牧羊犬の雑種です。冒頭では温かいカリフォルニア州のミラー判事(ブラッドリー・ウィットフォード)のペットとして気ままに過ごしています。細かいことは気にしない、かなり雑な性格です。
ベッドから飛ばす子どもの起こし方や、家を地震のように振動させたり、キッチンの食料をねらったり、テーブルの料理を食い散らかしたりして、潔癖な人には許せないほどの粗雑ぶりですが、個人的にはかなり笑えました。
しかしそんな温室育ちの生活から一転、さらわれて過酷な寒冷地へと売られます。それでもバックの長所「自分らしさ」を発揮して、成長しながらしだいに頭角をあらわします。そして「野生」にふれることにより「野性」に目覚め始めます。
リーダーの資質とは?そり犬ルートは?
さらわれたバックは、こん棒を持つ人間には逆らえないことを学び高値で取引されますが、幸運にも良い飼い主に恵まれます。黒人の郵便配達人ペロー(オマール・シー)とフランソワーズ(キャラ・ジー)のカップル?です。
ちなみにスペイン語で「犬=ペロ」ですが偶然でしょうね。ペローは、アメリカのアラスカ州スキャグウェイから、カナダのユーコン準州ドーソン・シティまでを、そり犬で往復して郵便を運びます。当時はゴールドラッシュで人口増の地域です。
バックは初めての「そり犬」としての仕事で、そりを横転させますが、少しずつ学びます。夜は寒くて、バックはフランソワーズを追い出してテントで寝ようとするが「犬は外!」と出され、ボス犬が譲ってくれた寒さよけの穴で寝ます。
ボス犬のスピッツは、りりしくて頭よさそうなシベリアンハスキーぽい犬で人間に忠実です。しかし犬には横柄で、エサも横取りし理不尽だけど、どの犬も逆らえません。ある日、凍った湖の氷がわれてフランソワーズが落ちるがバックが救います。
このシーンは緊張感もありとてもよかったです。バックが命をかえりみず飛び込んだのは「氷の下のおそろしさ」を知らない「無知」だったからでしょう。生還したバックが、ペローにオールを渡すのは笑えます。
この件で人間からも犬からも信頼されたバックに、ボス犬スピッツは嫉妬して勝負を挑みます。最終的には他の犬の支持を得たバックが勝利し、スピッツは群れから離れます。「恐怖」で支配したスピッツに対し、バックのリーダーの資質は「思いやり・勇気・人望」(犬望?)です。
ソーントンとの出会いはどこ?郵便終了の理由は?
息子を亡くして妻とうまくいかなくなり独り身のジョン・ソーントン(ハリソン・フォード)は、大きな犬を売られる町で見かけ「バック」という名も記憶します。その後、郵便配達の目的地ドーソン・シティ?で再会します。
寒冷地の寒さや雪上の走り、そり犬の仕事にも慣れてきたバックは、スピッツの変わりにボスとなり、郵便配達を初めて間にあわせます。バックは、ソーントンの時間外の手紙も配達便に加えたりして交流を深めます。
郵便配達人ペローが「電報」の発達で、そり犬を売って帰った後、バックらはハル達に購入されます。ハル(ダン・スティーヴンス)と姉マーセデス(カレン・ギラン)らは、北部のゴールドラッシュでわく町を目指すが無知で犬を苦しめます。
そりが凍って動かないことを知らず、そり犬をムチ打とうとするハルをソーントンが止めます。その後もソーントンはそり犬が気がかりで追いかけ、氷が割れそうな湖を拒否するバックが痛めつけられるのを、救って引き取り治療します。
他の犬の運命は語られないけど、ハルが目的地にたどり着いてないことや怒り具合から、氷の湖に落ちたか過労死した可能性を感じます。ハルの姉たちの生死も気になります。
ソーントンとの冒険は?彼らの関係性は?
ソーントンのもとで回復したバックは、ソーントンの息子が夢見たというユーコン川の先の未開の地を目指す旅に同行することになります。カヌーの船頭に立つバックの勇姿は、売られる前の船での絶望感とは対称的です。
バックは、ミラー判事のもとでは「ペット/飼い犬」でしたが、ペローとは「そり犬/仕事犬」として雇用関係をきずき、ハルには「奴隷」のようにこき使われました。ソーントンとは「対等」な友人のような関係となり、アルコールも禁止します。
バックは川で黄色い石「金」を見つけ、ソーントンも探し始めます。バックが特大級の金塊を見つけ川にもどしたのはもったいないですね。ベタすぎるコメディ表現で笑えましたが。結局ソーントンは必要以上の金塊を捨てます。
ポスターから予想したのは、ソーントン(ハリソン・フォード)と犬のバックが過酷な冒険を成し遂げていく物語ですが、映画『野性の呼び声』での彼らの冒険シーンは終盤のみで意外と短くて驚きました。
黒い狼の正体は?野性に目覚め野生に帰る
バックはそり犬として外で寝はじめてから「黒くて目が光る狼」を見かけるようになります。この黒い狼の正体は、バックの心の奥深くに存在する野性の呼び声です。犬の祖先である狼の遺伝子がさわぎ始めたのでしょう。
バックが北へ北へと移動していたのは本人の意志とは無関係ですが「DNAに眠る狼の血」に導かれたようにも感じます。そしてソーントンとの冒険が最後の地への旅となるのです。バックはそこで、白いメスの森林狼と出会います。
最初は狼に相手にされないバックですが、ボス狼が狩り中に川に流された時、巨大な倒木を押して助けてからは仲間の一員のように受け入れられます。そしてバックは、ソーントンと過ごす時間も短くなり野生化していきます。
ソーントンはバックと別れて金を持って帰る日、復讐者ハルに撃たれます。バックは、ハルのこん棒を怖がるふりして見切ってくわえ、ハルを燃える小屋へ投げ入れます。死んでいくソーントンとの別れは悲しい場面です。
そこへメスの白狼が来て、バックはついに野生の狼として完全なる野性に入っていきます。バックとメス森林狼との間に子狼も生まれ、その子孫たちはその地でたびたび目撃されたようです。ラストではクマを威嚇して縄張りを奪います。
ソーントンが床に目的地への地図を描かなければ、ハルに居場所がバレなかったのにと悔やまれます。話の流れは同監督の『ヒックとドラゴン聖地への冒険』や邦画『おおかみこどもの雨と雪』に似てます。
『野性の呼び声』私の評価と総括
宣伝も少ないしあまり期待してなかったけど「冒険映画」というより『僕のワンダフルライフ』のような「犬映画」を見れたのは予想外で良かったです。しかも天然ボケ犬バックの行動には何度も笑いました。
予告編では、ハリソン・フォードとの深い絆(きずな)や冒険をとおしての信頼感などを連想させたので、それらを楽しみにして行った人には不評だったかも。また、20世紀FOX時代に製作したとはいえ、買収後のディズニーが配給したのに、CGに手抜き感あるのは気になります。
そり犬の中に1匹くらい友情を深めたりする犬がいれば、もう少し犬世界に入りめたとは思います。ソーントンとの関係性も急激に近づいた感じだったけど、目でわかりあえる演技してたのでそれほど不満ではないです。
犬の世界の描写は楽しいし、ボス犬スピッツとの決闘に至るまでや、クマ(グリズリー)との縄張りの取り合い等も実写の動物映画として、今までできなかった内容なので見ごたえあります。犬や動物好きにはぜひ観てほしい映画です!
私の評価 67/100(60が平均)
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