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映画『アルキメデスの大戦』感想ネタバレ解説考察/勝者は誰?戦艦大和の真相は?

映画アルキメデスの大戦

『アルキメデスの大戦』あらすじ概要

第二次世界大戦の直前。空母の必要性を語る山本五十六に誘われた数学の天才が、新戦艦の低予算の謎をあばこうとするが、そこには開戦と終戦の秘密が隠されていて…。魔法の方程式とは?どんでん返しの連続?(ネタバレ感想考察↓)

映画名/邦題 アルキメデスの大戦
日本公開日 2019/7/26 [予告↓]上映時間 130分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)
映画監督山崎貴 [キャスト↓]
配給/製作(C)東宝/ROBOT、阿部秀司事務所
シリーズ/関連マンガ実写化映画
日本興行収入19.3億円興行収入ランキング
平均評価★★★★★79私の評価↓は含まず)

『アルキメデスの大戦』予告動画

キャラクター(キャスト/出演者。日本語吹き替え声優)

櫂直(菅田将暉)
かい ただし。元東京帝国大学数学科の学生。数学の天才ぶりを認められ、山本五十六にある難題を頼まれる
山本五十六(舘ひろし)
いそろく。櫂をスカウトした海軍少将。第一航空戦隊司令官。将来は戦艦より航空母艦が主力になると主張
田中正二郎(柄本佑)
しょうじろう。櫂の補佐役の海軍少尉。海軍らしい堅物だが櫂の才能を間近にみるうちに協力しだす
尾崎鏡子(浜辺美波)
尾崎財閥の令嬢。家庭教師だった櫂に想いを寄せ、何か協力したいと思ってる
永野修身(國村隼)
ながの。山本の意見に賛成する上司の海軍中将
平山忠道(田中泯)
海軍造船中将。大型戦艦の建造推進派。設計を主導する
嶋田繁太郎(橋爪功)
しまだ。海軍少将。大型戦艦の建造推進派
大里清(笑福亭鶴瓶)
大阪の民間の造船会社社長。かつて尾崎財閥と取引があった

ネタバレ感想『アルキメデスの大戦』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、マンガ実写化映画一覧もご参考に。

私の評価 ★★★★★90/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

実話?原作漫画と監督や菅田将暉などキャスト

『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』『インベスターZ』等の論理・ロジカル・マネー漫画で有名な、三田紀房による『アルキメデスの大戦』が原作マンガです。実話ベースですが櫂のモデルはいないようです。まだ連載中だし長編なので、映画用オリジナル脚本です。

監督・脚本の山崎貴(たかし)は特撮やVFXディレクター等で関わり、映画・TVドラマなどで多くの監督作も生み出しています。私も『ALWAYS』シリーズ、『永遠の0』『海賊とよばれた男』等、複数作を観ていますが『アルキメデスの大戦』は脚本も飛び抜けて良いので代表作になる気がします。

主演の菅田将暉は犬のような瞳の愛らしさ等で人気のイケメン俳優ですが、天才の変人を違和感なく演じてて、難しい専門用語も滑舌よく聞き取りやすい発声なのはさすがです。

柄本佑は、堅物の軍人⇒ツンデレ補佐官⇒天才に触れて影響をうけ協力⇒仲間第一号という過程で成長していく少尉を見事に演じています。ほぼ紅一点の浜辺美波は、服装がどれもかわいくてまさに昭和初期の令嬢にしか見えません。

史実では主役級の山本五十六を舘ひろしが演じ、海軍内ではカリスマもあり知能も高いはずですが、櫂が現れると凡人を自覚して、持てる権限で櫂をサポートする立場に回る姿勢が、若手俳優へバトンタッチする現実と重なってます。

平山中将の田中泯は、中盤まではつかみどころがなく無口なのでただの老害に見えるが、実は秘めた才能は櫂をも超えるかもしれないという成熟した大天才を見事に演じています。同じ天才でも菅田将暉より、重厚な天才像を見せてくれます。

他にも、國村隼、橋爪功、笑福亭鶴瓶など、クセある俳優陣が「凡人」として脇を固めているおかげで、菅田将暉や田中泯の「天才」ぶりが際立って見える作りになっています。

映画アルキメデスの大戦

冒頭バトルも数学の証明問題の一部?

予告編では戦艦大和と航空機群との戦闘シーンをアピールしてますが、今回の『アルキメデスの大戦』は戦争映画ではありません。バトルシーンも冒頭の数分間のみなので、アクション映画を期待した人はがっかりするかも。

ただ、冒頭の戦艦大和のバトルと撃沈シーンは、今の邦画の実写やCGレベルでは最高水準だと感じます。これを1時間分作れるなら世界でウケる映画もできるだろうけど、残念ながら日本では予算や技術者人員が全く足りないのでしょう。

冒頭で巨大戦艦ヤマトが米軍の航空機隊に敗北する流れは、山本五十六の「戦艦を主戦力とする大艦巨砲主義は終わり、航空機が主力となる時代がくる」という「仮定を証明」してます。数学の証明問題でいう「結論」を先に示したのです。

映画『アルキメデスの大戦』は本編全体をとおして、この証明問題を説いていく物語です。数学における証明とは「仮定」から「結論」に導くので、冒頭の戦闘は「ただの大和撃沈ではなく、山本五十六の仮定を証明した美しい結論」なのです。

冒頭シーンでは、米軍が墜落機を脱出した兵士を海から救う場面も映し出されます。これは「1兵士の命さえ大切にする米軍」と「特攻隊などで1兵士の命を軽く考える日本軍」との対比です。この違いによっても勝敗は決していたのでしょう。

黒幕は誰?開戦と終戦のきっかけは誰が?

数学の証明問題のように「結論」を先に書きます。「開戦と終戦のきっかけを作った者は同一人物、櫂直(菅田将暉。かいただし)です」。もちろんこれは実話ではなく史実にもとづいたフィクション(創作物語)ですが。

櫂直は、当初は山本五十六から「空母より安い巨大戦艦の建造費の見積もり」を依頼されます。山本の表(おもて)の目的は「近い将来、戦艦ではなく航空機が主戦力の時代がくるから空母を建造したい」こと。

しかしラスト近くの永野中将(國村隼)との会話で明らかになる、山本の裏(真)の目的は「ハワイ真珠湾を奇襲攻撃するため、空母と航空機隊を準備」することでした。開戦は避けられないので、米の主力と航空戦力を開戦直後に破壊し、米の戦意を喪失させるためです。

櫂直の図面によって平山の巨大戦艦に重大な欠陥が見つかり「空母建造が決定」されますが、皮肉にも「戦争を止めようとした櫂直こそが、開戦と真珠湾奇襲攻撃のきっかけを作った」のです。

終戦の最大要因は「広島、長崎への原爆」ですが「負け方を知らない」日本人はその後も命を犠牲にゲリラ戦を行ったかもしれません。平山中将(田中泯)はそれを避けるため「精神のより所をなくして、国民に敗北を気づかせよう」とします。

すなわち「日本の象徴たる『大和(やまと)』という名の美しい巨大戦艦を建造し、それが撃沈されると国民の戦意喪失により無駄な犠牲者を減らせる」という策謀を練った平山に説得され、自ら設計した戦艦を建造したい欲求にまけた櫂直が手を組んだのです。

すなわち「大和撃沈」により軍司令部と国民を戦意喪失させて「終戦」を早めるきっかけの1つを作ったのも櫂直でした。しかし「開戦と真珠湾奇襲攻撃の黒幕は山本」「終戦へ導く黒幕は平山」であり、櫂直は2人の手のひらで転がされてたとも言えます。

魔法の方程式の導き方は?最後のパラメータは?

櫂直が終盤に示した「鉄の総使用量だけわかれば、建造費の見積額を試算可能にする方程式」はまさに魔法の数式です。あそこまで正確に当てることは不可能でしょうけど、複雑系を1つの未知数にしぼったのは映画的にもわかりやすいです。

大切なのはその「過程」です。新戦艦だけでなく旧艦の建造データすら見せてもらえない櫂直は、さすがに詰んだと思いました。ところが櫂直はあきらめず、まず戦艦「長門」に乗船し軍規違反で図面の数字を写し、巻き尺で船内を採寸します。

「測りたくならないとは変わり者だな」と言われた田中正二郎(柄本佑)も、結局は歩幅で協力します。櫂直は次に新戦艦の予測図面を描きます。長門の図面を記憶しててサイズを新戦艦のに置き換えたのですが、天才にしかできない技です。

単純に長門の採寸を数倍しただけでなく、実際の戦艦設計時のように「通常時や台風時の波の影響」「流体力学」なども考慮します。この「表面上だけでなく本質的な設計」がラストで「建造の決まった新戦艦に待ったをかける」のに役立ちます。

魔法の方程式を導けたのは、大阪の民間造船会社の社長の大里清(笑福亭鶴瓶)と所蔵データと「タイムリミット」のおかげです。人件費や材料費から正確に試算しようとしたが、突然期限が早められ正攻法をあきらめた瞬間「集中力」がMAXに高まり神がかったアイデアをひらめいたのです。

この「仮定」は見事に的中し、駆逐艦、潜水艦など建造物によっての相関関係から他の未知数を解いていきます。やがてどんな海軍の建造物でも「鉄の総量」のみから「建造費」を見積もれる方程式を導き出します。

鏡子(浜辺美波)と田中(柄本佑)と菅田将暉が、徹夜で夜行列車や会議室で計算してた最後のパラメータは「新戦艦の鉄の総使用量」です。

連続ドンデン返し?勝者は誰?大和の設計者は誰?

軍事会議で櫂直は、実際の駆逐艦などの鉄使用量から建造費を導き出して時間をかせぎます。その時間稼ぎが功を奏し、田中は平山案の新戦艦の鉄総量を算出し終えて、建造費が試算の倍近い額だと判明

これで山本五十六陣営の勝利かと思いきや、平山中将は「新戦艦の建造費は諸外国に知られと、警戒されもっと強力な軍艦や兵器を造られるので『低額に偽装』した」と明かします。造船所の裏取引を指摘した櫂もこの深慮には感服。

これで今度は平山案に決定しますが、櫂直は新戦艦の図面と自分のを見比べて「新戦艦には、年2回程度くる巨大台風の高波に耐えられない欠陥がある」ことに気づき指摘。すると平山が負けを認めて「航空母艦の建造が決定」します。

軍事会議での二点どんでん返しでは終わらず、山本五十六の本音を永野中将が引き出して、歴史を知る私達は驚愕することになります。山本は「今後は航空機が主戦力になる」という主張で、空母建造を進言したのですが別の理由が判明。

開戦前にハワイ真珠湾を奇襲攻撃し、敵の主力航空機とその発着基地を破壊するために、巨大空母が必要だったのです。結局「戦争を止めるため」に難題を説いた櫂直は間接的に「ハワイ真珠湾の奇襲攻撃に手を貸した」ことになります。

それでどんでん返しは終わらず、しばらく後に平山は櫂の図面をもとに「新巨大戦艦の大和(やまと)」の20分の1スケールを製作し、櫂を建造チームにスカウト。櫂は迷うが「自ら産んだ戦艦を完成したい欲求」と「早い終戦のための一計」に負けて了承

数字だけを追求してたはずの櫂(菅田将暉)が、最後には「自分の図面に愛着がわき、数字上は無駄とわかってるのに実現化したい欲求」に負けた過程と、導いた平山はお見事。櫂の図面こそが「戦艦大和」の設計図になったのも皮肉。

平山は櫂と同様に「日本は戦争でアメリカに勝てない。物量差が圧倒的に違いすぎるから」と指摘し「新戦艦大和は、戦争に勝つためではなく、負け方を知らない日本人により日本国が滅亡するのを防ぐため」に建造したいと語ります。

つまり日本の象徴的名称の「大和」が撃沈されることにより「日本沈没」を仮想体験させ現実を直視させて、無駄な徹底抗戦をやめさせようと考えたのです。でもわざと負ける戦艦を造ったわけではなく「戦艦では勝てない時代が到来」したので必然的だったのです。

『アルキメデスの大戦』どんでん返し一覧
  • 平山側が、軍事会議の日程を早める
  • 櫂の数式で、空母に決まりかける
  • 平山の費用偽装理由で、戦艦に決まりかける
  • 櫂の戦艦欠陥指摘で、空母建造が決定
  • 山本五十六の空母活用法が、明らかに
  • 平山と櫂が、日本のために大和を建造

映画『アルキメデスの大戦』私の感想と評価

予想した戦争映画とは全く違い「日本の滅亡や存続をかけた、天才vs天才の頭脳戦」で大好物でした。法廷ミステリー要素、昭和初期の(今とは違う)恋愛要素、スポ根要素などもいい感じでミックス。

菅田将暉の変人ぶり天才ぶり、柄本佑のツンデレから仲間第一号になる過程、浜辺美波のはいからさん風令嬢ぶり、田中泯のつかみどころない現実派の天才ぶり、舘ひろしの軍人の本性、その他の凡人の方々など役者陣も素晴らしいです。

冒頭のバトルアクションでつかみはOK。その後、櫂が図面を描き上げるまでは長門乗船をのぞくとエンタメ性が低くなり退屈に感じる人もいるかも知れません。が、櫂の天才ぶりや、振り回される田中の成長を笑いも混じえて楽しませてくれます。

ほぼ紅一点の浜辺美波と櫂の昭和な恋愛にはほっこり。ラストの軍事会議の予想もしてなかったドンデン返しの連続には、興奮と驚きとともに史実を知る者としては涙が止まらなかったです。こじつけだけど、ありえそうな解釈ですね。

期待値ハードルが低かったことや、私自身「数字大好き人間」であることで、ややひいき目ですが『アルキメデスの大戦』は邦画実写の中では人生ベスト10の候補となるくらいに大好きな映画になりそうです!

続編前作や関連映画は、マンガ実写化映画一覧もご参考に。

『アルキメデスの大戦』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞

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