映画『夏への扉 キミのいる未来へ』評価は?ネタバレ感想考察/犯人の正体と目的は?璃子救う方法は?
海外SF小説を日本舞台で映画化。1995年、東京。高倉は亡き父の親友だった科学者・松下の会社で、研究完成目前に裏切られます。冷凍睡眠から目覚めたのは30年後で…。ロボットの正体は?璃子を救えるのか?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 夏への扉 キミのいる未来へ |
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日本公開日 | 2021/6/25 [予告] 上映時間:118分 |
監督・キャスト | 三木孝浩[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝、アニプレックス/CREDEUS |
日本興行収入 | 1.8億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 72(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | SF/ファンタジー映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ロボットのPETE(藤木直人)ヒューマノイドロボット。未来で宗一郎を世話する
- 松下璃子(清原果耶)松下家の1人娘の女子高生。宗一郎の開発を応援
- 高倉宗一郎(山﨑賢人)両親を亡くし松下家へ。ロボット開発に携わる天才科学者。他の事にはうとい
- ピート: 高倉の愛猫
- 白石鈴(夏菜)宗一郎の婚約者。松下和人の会社の役員
- 遠井教授(田口トモロヲ)時間転移装置タイムマシンを発案する科学者
- 佐藤太郎(原田泰造)未来のロボット会社の経営者
- 松下和人(眞島秀和)松下の会社の経営者。宗一郎の共同経営者
- 坪井強太(浜野謙太)未来の科学者
- 佐藤みどり(高梨臨)佐藤太郎の妻
ネタバレ感想『夏への扉 キミのいる未来へ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作はSF小説?監督とキャストについて
原作は、アメリカのSF作家ロバート・A・ハインライン著のSF小説『夏への扉』(1956年)。世界中で古典的名作として有名です。映画『夏への扉 キミのいる未来へ』では舞台を日本にし、ストーリーや設定も現代風に改変されてるそうです。
監督の三木孝浩は『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『思い、思われ、ふり、ふられ』(実写版)などを監督。ラブストーリー寄りの物語を得意とし、若手女優をかわいく見せるのが上手な印象。
主演の山崎賢人は『羊と鋼の森』『キングダム』等に出演。清原果耶は『ちはやふる 結び』『デイアンドナイト』『宇宙でいちばんあかるい屋根』等に出演。
タイトル「夏への扉」の意味は?科学進歩が変?
両親も養父母も亡くした高倉宗一郎(神木隆之介)は、亡き養父・松下の会社で「ロボット」と「プラズマ蓄電池」の研究に没頭。猫のピートと松下の娘・璃子(清原果耶)は家族のような存在です。宗一郎は白石鈴(夏菜)と婚約中です。
ある日、松下の会社を経営する松下和人(松下の兄弟?)が、議決権のある宗一郎と白石鈴を集め、開発中のロボットの権利について多数決をとります。宗一郎は白石に裏切られ、経営とロボット開発から引き離されます。
松下和人と白石鈴はグルだと知った璃子は、宗一郎の家へ走るがすれ違います。宗一郎は白石に「全て公表する」とおどすが、注射で動けなくされ、コールドスリープ(冷凍睡眠)で眠らされます。そして30年ぶりに目覚めると…。
以上が序盤のあらすじ。中学時に読んだ小説は忘却のかなたで改変部分もわかりませんが、だからこそ新鮮に驚けてよかったです。かなり複雑な物語ですが、全編とおしてわかりやすいのは、さすが『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』の三木孝浩監督です。
科学技術の進歩がチグハグなのは、原作小説の舞台1970年を改変してるからです。例えば、本作『夏への扉 キミのいる未来へ』の1995年の電話は大きめのコードレスホンですが「瞬間転移」「冷凍睡眠」「ロボット」の技術だけは現実より進歩。
タイトル「夏への扉」の意味は、宗一郎の愛猫ピートが、冬になるとあちこちの「扉」を開けさせて「夏」を探すことからです。その「挑戦をあきらめない気持ち」で宗一郎も過去や未来への扉をくぐります。副題の意味は後述。
未来の璃子の行方は?全ての首謀者の正体は?
30年後の世界で宗一郎は璃子を探すが、1995年に家が爆発炎上して巻き込まれた可能性があると知らされ気落ちします。松下和人と白石鈴の会社は、翌1996年に親会社の会計不正が摘発され、和人は病死、白石は逮捕され2025年には無残な姿に。
元松下の会社は親会社ごと新興ロボット企業に吸収されたようで、2025年にはもう1社の「アラジン」とライバル関係です。宗一郎を助ける高性能AI搭載の人型ロボット「PETE/ピート」(藤木直人)は、アラジン社製です。
宗一郎は璃子へ引き渡した株式の流れを調べる過程で、アラジンの社長・佐藤太郎の娘の名前が璃子だと知り、全ての首謀者は自分だと気づきます。つまり白石らの摘発、ロボットとプラズマ蓄電池の開発、アラジン社の起業に関わっています。
それを知った宗一郎は、タイムマシンを開発した遠井教授を訪ねて30年前に戻りますが、そのへんのストーリーはご都合主義にもなりかねません。未来で「過去の自分の行動」を知り、それを実現するために過去へ行く流れは面白さを半減させそう。
タイムトラベル系の物語には「世界線が分岐する平行世界」「世界線は1つのみで改変される世界」の2パターンがありますが、映画『夏への扉 キミのいる未来へ』は後者です。つまり現在の出来事はすでに過去改変が反映されてるのです。
そのタイプの物語では、現在や未来を変えるために過去へ行く方が面白いのに、本作では先に未来を見せます。ただし「璃子の生存と行方」だけは過去編で明かします。視聴者の一番の関心もそこなので、結局ストーリー構成の上手さに脱帽。
璃子の生死は?ロボットPETEを作ったのは誰?
1995年の璃子を救ったのは、未来からタイムトラベルしてきた宗一郎です。猫のピートを救い出し、家を爆発炎上させたのも同じ宗一郎。宗一郎は、弁理士の佐藤太郎に璃子、猫、ロボットとプラズマ蓄電池の設計図、アラジン社起業のヒントを与えてコールドスリープ。
つまり、未来の「佐藤璃子」は弁理士だった佐藤太郎の養子になった「松下璃子」だったのです。佐藤太郎はすぐには有名にならないため、璃子の素性もバレなかったのでしょうね。
ところで、ロボットPETE(藤木直人)を製作したのは誰なのでしょうか?PETE型の設計図は宗一郎が完成させたので、後にアラジン社で製作されますが、個体としてのロボットPETEは永久機関なので未来でもそのまま宗一郎と会えそうです。
つまりロボットPETEの人生は次のとおりと推測。「宗一郎の設計図でアラジン社が開発」⇒「序盤で宗一郎が目覚めた時に出会い相棒に」⇒「過去で別れて佐藤家に滞在」⇒「終盤で宗一郎が目覚めた時に再会」
愛猫ピートについても推測です。ロボットPETEが抱いてた未来の猫ピートは「冷凍睡眠したピート」「ピートの子孫(約10世代目?)」「別のネコ」の3つの可能性が考えられますが、私は「冷凍睡眠したピート」だと考えたいです。
映画『夏への扉 キミのいる未来へ』私の感想と評価
ラストの璃子の決断は予想できましたが、感動的で泣けたなのでぜひ多くの人に劇場で観てほしいです。宗一郎のロリコン問題も見事に解決。そのタイミングでのLiSAの曲『サプライズ』はややあざといけど雰囲気ばっちりでした。もちろん、ミスチル『CROSS ROAD』も♪
中盤以降、宗一郎の行動の目的がわかりにくくなり、終盤は急ぎ足でダイジェストっぽくなってるのは残念。特に食堂少年だった坪井が社長になったり、遠井教授がタイムマシン発明者となる経緯はほぼ描かれなくて薄すぎます。
それでも、映画『夏への扉 キミのいる未来へ』のメインである「宗一郎と璃子の時を超えたラブストーリー」には十分満足できます。副題「キミのいる未来へ」の主体が璃子であると気づくとさらに泣けてきます。軽く観れるSF映画としておすすめです!
私の評価 70/100(60が平均)
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