映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』評価は?ネタバレ感想考察/星ばあの正体は?つばめに現れた理由は?
14歳のつばめは、もうすぐ妹か弟が産まれ、隣の大学生に恋心をいだく普通の女子です。しかし自分の居場所は、書道教室の屋上だけ。そこで出会った不思議な星ばあに悩みを話すうちに…。つばめの悩みとは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 宇宙でいちばんあかるい屋根 |
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日本公開日 | 2020/9/4 [予告] 上映時間:115分 |
監督・キャスト | 藤井道人[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | KADOKAWA/アルケミー・プロダクションズ |
日本興行収入 | 0.2億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.16更新) 77(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 大石つばめ(清原果耶)自分の居場所を見つけられない少女
- 星ばあ/ほしのとよ(桃井かおり)つばめの前に突如現れた謎の老婆
- 浅倉亨/とおる(伊藤健太郎)つばめが恋するお隣の大学生
- 牛山武彦(山中崇)つばめが通う書道教室の先生
- 笹川誠/まこと(醍醐虎汰朗)つばめの元カレ
- 大石敏雄(吉岡秀隆)つばめの父
- 大石麻子(坂井真紀 )つばめの育ての母
- 山上ひばり(水野美紀 )つばめの産みの母
ネタバレ感想『宇宙でいちばんあかるい屋根』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は?監督や清原果耶とキャスト陣は?
原作は「野中ともそ」の長編ファンタジー小説『宇宙でいちばんあかるい屋根』(2003年刊行)。脚本・監督の藤井道人は前年の『デイアンドナイト』『新聞記者』で注目され、社会性やテーマ性とエンタメのバランスが絶妙な作品が特徴です。
主演の清原果耶は、NHKドラマ数作で活躍し、映画では『3月のライオン』(実写版)や『デイアンドナイト』(藤井道人監督作)のヒロイン役や、『ちはやふる 結び』の準クイーン役などで注目された現在10代の女優です。
伊藤健太郎は『今日から俺は!!劇場版』『弱虫ペダル』等も上映中です。他にも、桃井かおり、吉岡秀隆、坂井真紀、水野美紀などクセある俳優女優ばかりなので期待したいです!
つばめが後悔した理由とは?夜の侵入者?
屋根の月明かりで大石つばめ(清原果耶)が書いたのは、となりの家に住むあこがれの大学生とおる(伊藤健太郎)の誕生日を祝う手紙でした。バースデーカードですが、内容は実質ラブレター。
翌朝つばめは夢から覚めたように恥ずかしく感じ、隣家の郵便受けから手紙を抜き取ろうとするが、その現場をとおるに目撃されて退散します。両親との会話も、学校での誹謗中傷のネット書きこみの話題もうわの空。
書道教室でも元気に「後悔」と書いてしまうほどの重傷ぶり。書道教室の後、そのビルの屋上で星ばあ/本名ほしのとよ(桃井かおり)と出会います。「夜の侵入者」星ばあが「キックボード」で星空を飛んだように、つばめには見えました。
つばめが後悔した理由は、最初はとおる宛のラブレターでしたが、後に「行動しなかったこと」に変わります。それは星ばあの「後悔は行動してからにしろ!」を実感し、実行したくなったからです。
つばめの家での悩みとは?屋根とほおずき?
水墨画をすすめた書道教室の先生は、つばめが書店でながめてた「山上ひばりの水墨画集」をプレゼントしてくれました。家でつばめが水墨画をすすめられたと言うと、母は賛成するが父は微妙な顔をします。
星ばあは「人生は屋根でわかる」と言います。つばめは、今の育ての母は産みの母とは別だと語り「私はどんな屋根の下で生まれたんだろう…」と、星ばあにだけは悩みを打ち明けます。
つばめの家での悩みとは、実の父と育ての母との間に子どもが生まれると、自分だけ家族ではなくなる気がしたことです。つまり、産まれる赤ちゃんは両親の子だけど、つばめは母の実子ではないからです。
つばめが想う隣家のとおるには、ダメ男にほれてしまう姉がいて、結婚すると言って家を出ていきます。星ばあは、その姉のアパートのベランダの「鬼灯(ほおずき)」をつばめに見せて「2人で鬼灯を育てる関係ならうまくいく」と言います。
つばめの家のテーブルにも数本の「ほおずき」がささってて、今はきれいに育てられています。しかし、父(吉岡秀隆)のもとを水墨画家である実母が去った時には「ほおずき」はなかったか、枯れていたのかもしれません。
つばめの実母とは?雨、空のくらげ?
つばめの悩みは大きくなる一方で、両親に「(産まれてくる赤ちゃんと)3人で仲良く暮らせばいい」と口走ってしまいます。星ばあは「夫婦も元は他人。屋根の下でいろんな時間積み重ねて家族になる」と、落ちこむつばめをはげまします。
星ばあは、つばめを海への旅行へ連れて行き、水族館のクラゲを見て「昔、孫のマコトと一緒に見た」と語って、空を飛ぶクラゲのように踊ります。このシーンは幻想的で、本作『宇宙でいちばんあかるい屋根』で一番美しいと感じました。
「行動する勇気」をもらったつばめは、東京で開催の「山上ひばりの水墨画展」を1人で見に行きます。そこで会った山上ひばりこそ、つばめの生みの母親です。母の新しい夫と子を見たつばめは、大雨でずぶぬれになって帰宅します。
つばめが雨にうたれた描写はクラゲを連想させます。しかし映画でよく見る「ずぶぬれ帰宅」は、かまってほしい欲求の象徴なので、こだわりの藤井道人監督には他の見せ方を考えてほしかったです。
とおるの命と殺人から救った者は?夏休み歩行計画?
とおるは、顔に傷を負った姉を見かけて心配で、信号無視すらする姉の車を追いかける途中、転倒して大ケガします。見舞いに来たつばめに、とおるは「転倒しなければ、姉の彼氏を殺してたかもしれない」と言います。
とおるの転倒理由は、横断歩道のスケートボード少年をよけたためです。この少年が周囲の人に救急車を呼ぶよう叫んでくれました。とおるが殺人者になることを未然に防ぎ、命を救ってくれたこの少年は、つばめの元カレの笹川誠でした。
実際に電話したのは、心配で戻った姉かも。下校時にまで迎えに来た「星ばあ」に背中を押されたつばめは、入院とリハビリ中のとおるを見舞いに行きます。弱音をはくとおるの支えになりたくて、つばめはそれから毎日通います。
とおると仲良くなれたお礼に、つばめは星ばあの孫を「えんじ色の屋根」という情報だけで探し始めます。毎年の家族旅行も行かず「歩行だけの夏休み」ですが、とおるも一緒なのでデートのよう。浮かれるつばめが、階段をクラゲ踊りで降りるのはかわいい。
星ばあの孫の正体は?つばめの前に現れた理由は?
つばめはキックスターターのあるえんじ色の屋根の家を見つけて、星ばあを連れていきます。しかしその家に住む笹川誠は「ほしのとよ」という祖母も知らないし、星ばあの姿も見えないようです。ただ、星ばあだけは満足したように涙します。
後日、つばめは元カレの笹川誠から祖母の写真を見せられ、彼こそが星ばあが1回だけ会った孫「まこと」だとわかります。写真の星ばあは笑顔ですが、すぐ後に亡くなったそうです。つまり、つばめが会ったのは幽霊ということになります。
疑問点は、この写真に写ってるのは星ばあとその息子(誠の父。役者は誠と同じ醍醐虎汰朗)なのでしょうか。誠本人なら忘れてた理由が不明です。また、誠とクラゲを見に行ったというのは、星ばあの「夢」でしょうか。何か聴きのがしたかもしれません。
最後まで語られませんが、星ばあがつばめの前に現れた理由は、孫の誠の将来の嫁になるからだと感じました。星ばあが言った「(産まれてくるつばめの)妹もかわいいよ」も、成長後の姿を知ってるからではないでしょうか。冒頭で、とおるへのラブレターを回収した理由も少しは孫のためだったのかも?
つばめの初恋相手とおるとの良い関係性を見せられたので、そちらを応援したい気持ちはあるけど、とおるはかわいい幼なじみとしか見てない気もします。また、とおるは命の恩人である誠に好印象なので、つばめとの仲を後押ししたかも。
ラストシーンは山上ひばり水墨画展かと思いきや、ほおずきや星ばあとの「宇宙でいちばんあかるい屋根」が描かれてたので、つばめの水墨画展です。訪れたのは、つばめに水墨画をすすめた書道先生。ぽっちゃり女生徒の前で髪をかきあげてたので、恋愛に発展したのか気になるところ。
『宇宙でいちばんあかるい屋根』私の評価と総括
登場キャラがいい人ばかりで、物語も優しくて終盤は自然と涙がでました。唯一元カレの誠だけが悪人かと思いきや、ネット誹謗中傷の犯人はまさかの親友ちゃんで、誠の言葉をかりれば「女性ってこわい」というオチ。
妹も生まれ、同じ屋根の下で一緒に暮らすうちに、つばめと両親も家族になるのでしょう。産みの母につばめを渡さなかったのが最良だったかどうかはともかく。とおるも無事にバンジョー(私もギターと思った)ひけるようになり、姉もダメ男から離れて婚活中でハッピーエンド。
藤井道人監督の『新聞記者』『デイアンドナイト』は吊橋のように危なげな脚本でしたが、本作は石橋のように無理なくて安心できます。ただ、個人的には挑戦の見える前者2作の方が好みだし、本作は劇場で観るには物足りなさを感じます。
それでも桃井かおりとの共演ならぬ競演で見事な相乗効果を生み出してる清原果耶の、目を離せない演技だけでも観る価値はあります。藤井道人監督と、女優清原果耶の今後の活躍も期待できそうです!
私の評価 62/100(60が平均)
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