映画『ザリガニの鳴くところ』感想ネタバレ解説考察/結末と真犯人は?タイトルの意味は?
1969年、アメリカのある湿地帯で、青年の変死体が発見されます。容疑者カイアは幼少期から1人で生きてたが、その人生が語られるにつれ裁判のゆくえが予測不能となり…。カイアと被害者の関係は?他の容疑者は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ザリガニの鳴くところ |
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日本公開日 | 2022/11/18 [予告] 上映時間:125分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Where the Crawdads Sing |
監督・キャスト | オリヴィア・ニューマン[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | ソニー・ピクチャーズ、リリーシングソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント/コロンビア ピクチャーズ 、ハーパーコリンズ・パブリッシャーズ、3000 Pictures、Hello Sunshine |
日本興行収入 | 1.6億円 興行収入ランキング |
世界興行収入 | 1.4億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 70(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ミステリ/サスペンス映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- カイア/本名:キャサリン・クラーク(デイジー・エドガー=ジョーンズ/幼少期:ジョジョ・レジーナ)湿地帯で孤独に暮らす女性。容疑者
- テイト・ウォーカー(テイラー・ジョン・スミス)湿地帯に通ってた男性。カイアの初恋相手
- チェイス・アンドリュース(ハリス・ディキンソン)変死体で発見された被害者男性
- ジャンピン(スターリング・メイサー・Jr)雑貨店の店主。カイアを陰ながら見守る
- メイベル(マイケル・ハイアット)雑貨店主の妻。カイアを陰ながら見守る
- ジャクソン・クラーク(ギャレット・ディラハント)カイアの父親
ネタバレ感想『ザリガニの鳴くところ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は小説?タイトルの意味?カイアの境遇とは?
映画『ザリガニの鳴くところ』の原作は、アメリカの作家ディーリア・オーウェンズの同名ミステリー小説。全世界で1,500万部突破し、日本でも2021年の本屋大賞「翻訳小説部門 第1位」となる話題作です。
1969年、ノースカロライナ州の湿地帯で、裕福な青年チェイスの変死体が発見されます。容疑者の女性カイア/本名キャサリン・クラークは、乱暴な父から逃げた母、兄姉、さらに父からも見捨てられ、湿地帯で孤独に生きてきました。
カイアは「ザリガニの鳴くところ」と呼ばれる湿地帯で貝などを採取し、雑貨店の黒人夫婦に売ってたくましく生活。学校は1日でやめて、字も読めずに成長。森で出会った男性テイトと親しくなり、字を習い、やがて恋仲に。
以上が序盤あらすじです。湿地帯でたった1人で暮らす少女を、認識してる村人が誰も助けようとしないのは不思議ですが、現代でも他人の子に手を差しのべられない状況は似てますね。雑貨店夫婦による手助けくらいが限界なのかも。
成長後のカイアを演じる女優デイジー・エドガー=ジョーンズは初めて見たけど、かなり魅力的だし難しい演技を見事にこなしてて好印象。少女期のジョジョ・レジーナも、父に抑圧された後に独り立ちする時の目力が印象的でした。
幼い子ども達や妹だけを残して去っていく母、兄姉が薄情に思えたが、彼らも自分の身を守り新生活でも苦労しただろうから、かえりみるヒマもなかったのでしょう。後に、母の計画や兄のうち1人の状況は判明(後述)。
母や兄のその後は?第2の恋人の本性は?
大学へ行ったテイトの帰りを待つカイアだったが、一切連絡がなくてまた孤独に。そんな時、裕福な青年チェイスがカイアに近づき親切にしてくれて恋仲に。一方、湿地帯を買上げされないために、カイアは家の土地の権利を調べます。
カイアは、テイトがすすめた出版社に「湿地帯の生物の記録」を送付して出版が決まります。その収入で未払い税金を払い、土地の権利も得ます。カイアは、チェイスから結婚の申し出をされて不安な時、テイトと再会して動揺。
見捨てた兄の1人が、妹カイアの出版本に気づき訪ねてきます。母は「子ども達を引き取りたいと書いた手紙」を父に燃やされ、裁判費用を貯めてたが病死したそうです。
カイアは街でチェイスとその婚約者に遭遇。チェイスをさけるカイアだったが、なぐり倒され暴行されます。カイアは「今度来たら殺す」とさけんで去る姿を村人に目撃されました。
以上が中盤のあらすじです。進学のタイミングでの失恋はよくある展開ですが、家族全員に見捨てられたカイアが初めて一緒にいる幸せを感じた人がテイトなので、悲しさが怒りに変わる気持ちもリアルに思えます。
湿地を去った兄が訪ねてきますが、あの歳まで戻らず、他の兄姉の行方も不明なのは驚き。昔のことを思い出したくない者や、すでに他界した者もいそう。母は子を引きとるつもりだったが、自分の生活すら不充分で病気になったのかも。
カイアは「ザリガニの鳴くところ」に住み続けたからこそ湿地帯の生物についてくわしくなり出版できたので、結果的には母や兄姉について行くよりも良い人生を歩めたのだと思いたいですね。
裁判の結末は?真犯人の正体とは?
チェイス殺人事件の裁判では、村の弁護士がカイアの無実を証明するために奔走してくれます。チェイスは、カイアを連れて行ったことのある展望台タワーから落下死。指紋も足跡も残されておらず、赤い毛糸クズだけが物証。
母親の証言で、朝にチェイスがつけてた小さな貝ペンダントが遺体にはなかったそう。カイアの家でも発見されず。チェイス死亡日の朝、カイアは離れた街へバスで行く姿が目撃され、夜に出版社と会合後に宿泊したためアリバイが成立。。
カイアは弁論を拒否し、弁護士は「色眼鏡で見ず、事実のみで判断してほしい」と陪審員にうったえます。結果、カイアの無罪が確定。カイアは兄の家族と会い、雑貨店主の葬式も出て、出版も重ね、結婚したテイトと幸せに暮らします。
年老いたカイアは、ザリガニの鳴くところ(湿地帯)で、母に会い静かに息をひきとります。遺品整理中にテイトは、チェイスについて書かれた日記帳から「生きるために捕食者を狩ることもある」のメモと貝ペンダントを見つけて衝撃。
以上が終盤から結末ラストへのあらすじです。チェイス殺人事件の真犯人はカイアでした!というのは一周まわって驚きましたが、宣伝であおってたほど「衝撃のラスト」とは思えず。それよりもカイアの人生と最期に泣かされました。
原作小説は未読なので構成はわかりませんが、映画ではカイアの過去を回想しながら、あい間に裁判の様子が描かれます。その切替は唐突でどの場面にいるのか混乱することもあり、構成がうまくいってないと感じます。
弁護士が献身的なのが好印象で、カイアの今までの悲しい人生による同情票を陪審員たちの胸に刻み込む作戦はある意味で大成功。カイアが弁論を拒否したのは「ウソがばれるのをおそれた」か「ウソをつきたくなかった」のでしょうか。
「真相は『初恋』の中に沈む」というキャッチコピーどおり、テイトやチェイスについて書かれた日記帳の中に、重要な証拠品「貝ペンダント」が隠されてたのは意外。警察が発見できなかったのは疑問ですが、その時は別の場所に隠してたのかも。
映画『ザリガニの鳴くところ』私の感想と評価
アメリカ辺境ものとして、また過酷な湿地帯で孤独に生きてきた少女の物語として、とても心に響き何度か涙させられました。特に主人公カイアを演じた女優デイジー・エドガー=ジョーンズの繊細さを感じさせる演技は見どころです。
一方、宣伝であおられてたようなミステリー要素はあまり感じられず、その点では物足りなかったです。また、カイアのそれまでの人生(過去回想)と裁判(現在)の切替がスムーズではなく構成がうまくいってないと感じました。
最初からミステリーだと構えずに「カイアの一生と、隠された1つの秘密」くらいの感覚で観れば、もっと興味深く感じることができそうです。カイアの魅力と人生を観るだけでも価値ある作品だとは思います。
私の評価 65/100(60が平均)
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