『猿の惑星 新世紀ライジング』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?シーザーの決断は?
猿の惑星 新シリーズ2作目。シーザー率いるエイプ/猿が森に逃げて10年後、人類は猿インフルエンザのパンデミックで激減。ある日エイプの森へ銃を持つ人間たちが現れたがシーザーは友好的に対処。しかし両陣営には好戦的な者もいて…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 猿の惑星 新世紀 ライジング |
---|---|
日本公開日 | 2014/9/19 [予告] 上映時間:131分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Dawn of the Planet of the Apes |
監督・キャスト | マット・リーブス |
キャスト 出演者 | アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル、トビー・ケベル |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | 20th Century Fox/チャーニン・エンターテインメント、デューン・エンターテインメント |
日本興行収入 | 14.2億円 (年間30位) |
世界興行収入 | 7.1億USドル [出典] |
製作費 | 1.7億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.30更新) 78(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 猿の惑星一覧 前作『猿の惑星 創世記 ジェネシス』24.2億 続編『猿の惑星 聖戦記 グレート・ウォー』6億 |
ネタバレ感想『猿の惑星 新世紀 ライジング』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
映画『猿の惑星 新世紀ライジング』ネタバレ感想や考察
猿の惑星の新シリーズ第2弾。最初の旧シリーズは名作として有名ですが、今見るとかぶりもの感が気になってストーリー以外は評価しづらいです。それに比べると今の新シリーズはCGやVFX技術の進歩により違和感なく見れるし、大作にありがちな長時間ではない点も個人的には好みです。
前作『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』では、人間が地球の王者として謳歌してて、アルツハイマー認知症まで克服できれば老後もこわくないという未来が見えています。しかしただ1度の人的ミスにより、人類は地球上から消え去ってしまい、現実でも起こりえそうで恐ろしいです。
シーザーは力強くて公正な指導者になっています。私たちはシーザーが赤ちゃん猿の時から知ってるため、あんな立派な姿を見るとうれしくなりますね。人間に実験道具にされてたコバがいるのは不穏さを感じるけど、シーザーとは「信頼」関係を結んでて偵察隊など重要な役割をまかされてるのでいったん安心です。
そして戦争の引き金はやはり人間側からもたらされ、先に撃たれたのはエイプです。しかし「復習の連鎖」を発生させないシーザーの判断により一度は戦争を回避できます。この点からもシーザーのリーダーとしての資質は、人間の誰よりも上だと思います。ただ10年前からの「復習の連鎖」までは止められません。
コバや他のエイプたちには、シーザーのように「人間たちとの幸せな記憶」がないため、人間は「敵」でしかないのでしょう。そして生き残り人類たちの記憶にも「猿は動物でしかない」ため、戦争は避けられない流れだったのだと思います。戦争を引き起こしたのはエイプ側のコバですが、人間側も攻撃の準備をしてたのでやらなければ滅ぼされてたかもしれません。
猿が馬に乗ったり走り回ったりする姿には、全く違和感なくかっこいいです。エイプの平和な世界をもっと堪能したい気もしましたが、これだけの内容をこんな短い時間にまとめたのは賞賛ものです。三部作らしいので次作『猿の惑星 聖戦記(グレートウォー)』の前に多くの人に観てほしい映画です。
ネタバレあらすじ感想や解説
前作『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』から10年後、ジェネシス社がアルツハイマー認知症の治療薬として開発した薬品「ALZ113」は、猿の知能を飛躍的に向上させたが、人間には「猿インフルエンザ」として高い死亡率と感染力の強いウィルスとなり、パンデミックを引き起こして人間文明は崩壊しました。
サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジの先のミュアウッズ国定公園に逃げ込んだシーザー(アンディ・サーキス)が率いる猿たちは「エイプはエイプを殺さない」という掟の元で、手話アメスランなどを使い、集団で狩りをして助け合いながら平和に暮らしています。そこへ武装した人間集団が入りこみます。
エイプに驚いた人間が、ロケットの息子アッシュを銃で撃ち、エイプらは人間を取り囲みます。シーザーが「帰れ」と話せるのを聞いて、マルコム(ジェイソン・クラーク)率いる人間らは逃げ帰り、サンフランシスコ跡の集落のドレイファス(ゲイリー・オールドマン)らに伝えます。シーザーはコバに追跡させます。
人間の町には大勢の猿インフルエンザ免疫保持者が生き残っていて、コバらは戦争を望みますがシーザーは慎重に進めることにします。シーザーはコバの助言を聞いて人間の町へ大勢のエイプを連れて行き「エイプは戦争を望まない。二度と来るな」と忠告して帰ります。人間らは馬と木の槍を持つエイプを見下します。
人間の指導者ドレイファスは、エイプの森の中にあるダムを稼働させて電力を取り戻さないと外部との連絡もできないと言って開戦も考えています。しかしマルコムは落としたバッグを届けてくれたエイプの知能を認めて、ドレイファスに3日間だけ時間をもらい、エイプとの話し合いでダムの稼働をお願いに行きます。
マルコムは捨て身でエイプの群れの中に入り、シーザーにダムの件を打ち明けて少人数での作業の許可を得ます。作業中に崩落事故が起こり、エイプに助けられ、両者は少し歩み寄れます。しかし持込禁止にしたはずの銃を見つけてシーザーは怒りますが、妻猿の治療をしてもらうことで1日だけの滞在を許可します。
コバは人間の町に潜入し、大量の武器が用意されてるのを見ます。コバは人間に見つかり銃を向けられますが、バカな猿のふりをして切り抜けます。ダムで人間の手助けをするシーザーに人間を信用するなと訴えると、シーザーはコバを殴り倒して服従させます。コバはバカ猿のふりして人間を殺し銃を奪って来ます。
ダムの水力発電が稼働しはじめると電気が戻り、町の明かりも点灯します。エリー(ケリー・ラッセル)の抗生物質と治療によりシーザーの妻の様態も改善し、エイプと人間は友好的になりつつあります。しかし人間に実験動物として切り刻まれてきたコバは納得できず、シーザーを銃で撃ちクーデターを起こします。
コバは猿の集落に火もつけて人間によるテロ攻撃とでっちあげ、シーザーの仇討ちだと言って人間の町を襲撃します。コバはシーザーの息子ブルーアイズらオス猿を扇動してまず武器庫を襲い銃を手にします。人間側はドレイファスを中心にゲートで食い止めようとしますが、戦車も乗っ取られて制圧されてしまいます。
コバは人間のカーヴァーに撃たれたアッシュに「人間を殺せ」と命令しますが、アッシュは「シーザーが望まない」と反抗したため、アッシュを突き落として「初めてのエイプ殺し」を行い、他のエイプらを従わせます。一方、撃たれたシーザーはマルコムらに保護され、撃ったのは人間ではなくエイプだと伝えます。
映画『猿の惑星 新世紀ライジング』ネタバレ結末ラスト
マルコムらはシーザーを治療するため車で運びますが、シーザーはある家に導きます。そこはかつて『猿の惑星 創世記(ジェネシス)』の主人公ウィルの家で、子猿からシーザーが育てられた幸せな記憶の残る場所ですが今は廃墟です。マルコムは危険を覚悟で手術に必要な物資を取りに町へ行きます。
コバは人間とシーザー派のエイプたちを檻に閉じ込めます。マルコムはエイプによる人間狩りから隠れながら、必要な物資を調達してる時、シーザーの息子ブルーアイズに銃を向けられますが、彼はコバのやり方には反対で銃を下ろします。マルコムはシーザーを息子と再会させ、エリーと銃弾摘出手術を成功させます。
シーザーは息子ブルーアイズにコバを止めるよう言い、ブルーアイズは檻内のオランウータンのモーリス(カリン・コノヴァル)らに「ウィルの家の窓模様」で合図して、人間を檻から出したどさくさにまぎれて、シーザーの元へ集めます。マルコムはシーザーらを先導して、地下鉄跡から町へ侵入させます。
マルコムはドレイファスらと合流すると、エイプに占拠されたタワービルを爆破する準備を進めてることを知り止めようと銃を向けます。しかしドレイファスは自滅覚悟でタワーを吹き飛ばします。その時、タワーで格闘して決着をつけようとしてたシーザーとコバとエイプ達は落下し、数頭のエイプが犠牲になります。
形勢不利なコバは機関銃でエイプを撃ちまくりますが、シーザーが決死のダイブで突き落とします。その手を取るシーザーにコバは「猿は猿を殺せない」と言うと、シーザーは「おまえは猿ではない」と言って手を離し、コバはタワーから落下していきます。まるで前作でコバが突き落とした人間ジェイコブスのように。
マルコムはシーザーに、人間の軍隊が向かってるので逃げるよう言いますが、シーザーは「戦争はもうはじまっている。エイプから仕掛けた。友よ早く立ち去れ」と忠告します。マルコムとシーザーは互いの額をくっつけて別れを惜しみつつ、それぞれの仲間のもとへと帰り戦争に備えるのです。
ついに人間文明が滅び、逆に知能が高くなったエイプたちは種族の繁栄を感じ出していて、両者のどちらかが地球の王者の覇権を取ろうとして戦争が起こるのは必然だった気がします。異種族の大戦争もわずかなボタンの掛け違いから起こるという例を見事に描き出してるため、ぜひ1度は観ることをおすすめします!
おすすめ11ポイント
- 古典SF映画のリブート版の第2弾
- 旧作の神話的な前日譚
- 短くて無理のない物語展開
- 人間文明の終末感
- エイプ文明と人間の再会と悲劇
- エイプの動きに違和感なし
- 根深いうらみは消えない
- 主役の座は完全にエイプ側
- 猿も人も、良きも悪きもいる
- 先に戦争を仕掛けるのはどちら?
- 子どもや家族と一緒に楽しめる
少し残念5ポイント
- エイプの寿命が長すぎない?
- 10年後にしてはエイプが少ない
- 10年後にあんなに銃残ってる?
- エイプは嗅覚がにぶいの?
- シーザーはコバを痛めつけすぎ
私の評価 78/100(60が平均)
シリーズやジャンル⇒猿の惑星一覧