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映画『幼な子われらに生まれ』評価は?ネタバレ感想考察あらすじ/家族とは?血つながらない父か実のDV父か

映画幼な子われらに生まれ

『幼な子われらに生まれ』あらすじ概要

中年サラリーマンの信は、同じくバツイチの奈苗と再婚し、その連れ子の薫と恵理子と一緒に暮らしながら、前妻との実の娘の沙織とも時々会っていた。奈苗が信の子を妊娠すると、長女の薫は信に反抗し、実の父親に会わせてほしいと言い始める。仕事と家庭に疲れた信は、薫と実父を..(ネタバレあらすじ↓)

映画名/邦題 幼な子われらに生まれ
日本興行収入0.7億円興行収入ランキング
平均評価★★★★★76私の評価↓は含まず)
日本公開日 2017/8/26 [予告↓]上映時間 127分
映倫区分日本 G(年齢制限なし)
映画監督三島有紀子
キャスト
出演者
浅野忠信、田中麗奈、南沙良、鎌田らい樹、新井美羽、宮藤官九郎
配給/製作/画像©ファントム・フィルム/ステューディオスリー

『幼な子われらに生まれ』予告動画

『幼な子われらに生まれ』ネタバレあらすじや結末

この先はネタバレありのあらすじです。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

中年サラリーマンの田中信(浅野忠信)は、離婚した前妻の友佳(寺島しのぶ)との実の娘の沙織(鎌田らい樹)と年4回会うのが楽しみです。現在はバツイチどおしで再婚した奈苗(田中麗奈)と、その連れ子の長女の薫(南沙良)と次女の恵理子(新井美羽)との4人暮らしで、奈苗は信との子を妊娠します。

その妊娠を知った小学6年生で思春期の薫は、信を父とは認めず反抗し、実の父親に会いたいと言い出しますが、DV(家庭内暴力)が原因で離婚した奈苗は会わせたくないと思ってます。信の前妻は大学で働くことに専念したくて、子どもをほしがらず、家庭に入ることも嫌がったけど、奈苗は専業主婦です。

信は会社では残業も飲み会も断り家族サービスを大切にするが、それが理由でリストラ対象となり倉庫の肉体労働に出向させられ、減給の可能性もあると言われます。信は家へ帰ると、薫に「やっぱりこのウチ、嫌だ。本当のパパに会わせてよ」と反抗され、奈苗「本当に会いたいわけじゃない」と板ばさみになります。

そんな時、前妻の友佳から沙織との面会を延期してほしいと電話がきて再会して理由を聞くと、友佳の再婚相手が末期ガンで余命が長くないので沙織には最後の貴重な時間にそばに居させたいと話します。友佳「いつも理由は聞くけど、気持ちは聞かない。私があなたに黙って1人で堕ろした時も」と別れ際に言います。

信は職場でも家庭でも息苦しくなり、薫とも口論になるばかりなので、実の父親の沢田(宮藤官九郎)に会いに行き事情を話すが、沢田は実の娘に会うためにも10万円を要求するほどのどうしようもない男です。沢田が、50万円なら薫を引き取ることも考えると言うと、信は50万円を下ろすが結局10万円だけ渡します。

信は慣れない倉庫仕事のストレスで酒と煙草を再開し、DVの元夫と薫を会わせるのを反対する奈苗と口論となり「妊娠中の子を堕ろしてほしい。慰謝料も養育費も払うから離婚しよう」とやけになって言います。信は自宅前で待ってた実の娘の沙織に「今のお父さんがガンで死にそうなのに涙が出ない」と相談されます

危篤の電話を受けた沙織を病院へ送るため、信は奈苗に車で迎えに来てもらうが恵理子も乗ってて、沙織は躊躇するが奈苗が急かして出発します。恵理子は沙織の素性を知りたがるが、沙織は「恵理子ちゃんのパパの友達」と言います。沙織は今の父が息を引き取るのを見て涙し、信は育ててくれた礼を言って去ります。

『幼な子われらに生まれ』ネタバレ結末と最後/ラスト

帰り道の車内で、信は恵理子に沙織が本当の娘であると話すが完全には理解されてないようです。薫が前夫の沢田と会う日、信も待ち合い場所のデパート屋上の遊園地へ行き、沢田はスーツ姿でガチャのための小銭を用意しプレゼントまで買ってきていたが薫は現れず、遊園地で遊ぶ恵理子を見ただけで帰ります。

薫は信に「実のパパに会えて楽しかった」と嘘つくが、信は黙って預かってきたプレゼントを渡して部屋を出ます。それは小さな子ども用の白ゴリラのぬいぐるみです。信は薫のそばに座り「嘘ついたり約束やぶるなと教えたでしょ。どんな感じ?」と聞くと、薫は泣き出して信に寄り添います

その後、信が1人カラオケに行った時、奈苗も1人で歌い叫んでる光景を見かけます。奈苗の出産日、信と恵理子が病室前で待ってると「おぎゃー」と産声が聞こえ、千葉のおばあちゃん家で暮らしてる薫も駆けつけて来て、家族みんなで新しい家族の一員である赤ちゃんをなでます。

ネタバレ感想『幼な子われらに生まれ』解説や評価レビュー

この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

私の評価 ★★★★★70/100(60が平均)[レビューサイト評価↑]

重松清が1996年に発表した同名の小説が原作の、社会派ドラマ映画です。公開規模は小さく、残念ながら興行収入的にも成功したとは言いがたいけど、報知映画賞キネマ旬報ベストテンなどで選出され、映画ファンの評価もとても高い作品です。

私のひとこと感想や評価は「多様化した家族の中での問題を、その中心にいる父親が解決しようとする物語を、第三者として眺めることができます。父親の居心地の悪さやあらゆるストレス、長女が抱えるどこに向けたらいいのかわからない怒りや戸惑いなどを、濃密に追体験できる貴重な映画です。正解はありません」

テーマは「家族とは?血のつながりとは?」「親は実の子以外を本当に愛せるのか?子は実の親以外を本当に信じられるのか?」「子どもの残酷さと無邪気さ」「外で働く女性と専業主婦」でしょうか。みどころは「信と薫のやりとり」「信と今の妻、前妻とのやりとり」「信のストレスと解消法」「薫の前父のやさぐれ具合い」「薫と沙織の成長」「恵理子の無邪気なかわいさ」など。

奈苗が妊娠したことをきっかけに、浅野忠信演じる信と継子(血のつながらない娘)の薫(南沙良)との激しくなる口論が描かれますが、薫は無茶な要求である「実父に会いたい」と言うことにより、信を困らせようとするだけの意図が序盤からわかります。信の立場で考えると、かなりつらい状況だと感じます。

信は職場でリストラ出向させられ、その原因は家族を大事にしすぎたことなのに、薫にはそれが認められずアダになって返ってくるので、さらに見てて辛くなります。薫が反抗しはじめる前の時点で、信ほど家族に尽くしてる父親は現実には少ないのではないでしょうか。仕事中の私用電話が多いのは気になりますが。

ただ、表向きは良い父親の信だけど、実の娘の沙織に冒頭で「母親と今の父親との間に子どもができると、沙織は余りになるかもしれないよ」と自分の家のことを伏せて話す場面があります。観覧車内での会話なので絶対誰にも聞かれてないでしょうけど、そういう気持ちが思春期の薫に伝わった可能性はあります

原作小説が書かれた1996年から映画公開の2017年の間に、さらに離婚率が上がってるので、映画のような複雑な家庭環境の例は増えてる気がします。両親ともに連れ子がいるともっと複雑化しそうです。この映画では、血のつながらない父親に反抗するのは薫だけですが、沙織も涙が出ないので抵抗してるのでしょう。

そして沙織は血のつながらない育ての父親が末期がんで亡くなる時、はじめて涙が出て、信とつないでた手を離して、血のつながりからも開放されたように感じます。薫は、血はつながるが暴力的な沢田も、血はつながらないが親身になってくれる信も、どちらも父親と認識できならいから苦悩してる気がします。

あと、小説の書かれた時代は現在よりも専業主婦が一般的だったし、信は「妻は家庭に入って子どもを育ててほしい」という古い考えの持ち主で前妻にも求めてたため、専業主婦の奈苗を再婚相手に選んでるのは納得できます。奈苗も養ってくれる男性がいないと生活できない、古いタイプの女性に描かれています。

奈苗の前夫の沢田を宮藤官九郎が演じますが、ヤサグレ感というかコミュニケーション能力に問題のある感じをうまく表現してます。でも実の娘に会う日はスーツ来て小銭用意してプレゼントまで持ってきてたので、悪気はないけど、ただ単に子どもや他人との接し方がわからない病気なんだと感じました。

信と沢田とのやりとりで最も印象に残ってゾッとしたのは「50万円なら薫を引き取る」と沢田に言われた信が、迷った末に50万円を引出したシーンです。「血のつながる自分の子が生まれるから、自分に反発してばかりで面倒な薫は実の父の沢田に引き取ってもらえれば楽になる」と一瞬でも考えたのでしょうか。

まさに悪魔の取引です。結局50万円は渡さなかったと思いますが、最後の最後で奈苗がどう思うかを考えた気がします。そんな信ですが、沙織が危篤の父親の病院へ行く時、今の妻の奈苗に来てもらうのはあり得ないと感じました。タクシーを使うべきですね。

私は信と薫に感情移入しながら見てこんな感想ですが、奈苗や沢田や沙織や恵理子に感情移入した人は違った印象を持つかもしれません。扱うテーマや内容が濃密なので、家族や子どもと観るよりも、1人1人か夫婦などで観て考えさせられる良作だと思います。多くの男女におすすめしたいです!

他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。

『幼な子われらに生まれ』含む映画ランキングや映画賞

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