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『十一人の賊軍』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?生き残るのは誰?

十一人の賊軍 映画/ドラマ

1868年、旧幕府軍と新政府軍(官軍)の間で戊辰戦争が勃発。新政府軍と対立する奥羽越列藩同盟の新発田藩が裏切りを画策し、11人の罪人が砦を守る壮絶な戦いに身を投じることになるが…(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題十一人の賊軍
日本公開日2024/11/1 [予告] 上映時間:155分
監督・キャスト白石和彌[キャスト
映倫区分日本:PG12(小学生指導必要)
配給/製作
(画像出典)
東映/ドラゴンフライエンタテインメント
日本興行収入3.8億円 興行収入ランキング
平均評価
平均:100換算
(興収・評価: 2024.12.10更新)
76私の評価は含まず)
参考・出典公式サイトWiki上映映画館

キャラ・ランキング(キャスト/出演者)

個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)

  1. 鷲尾兵士郎(仲野太賀)剣術道場の道場主。直心影流の使い手
  2. 政/まさ(山田孝之)駕籠かき人足。妻さだを襲った新発田藩士を殺害し罪人に
  3. 爺っつぁん(本山力)長州出身の剣術家。新発田で地主への強盗殺人を犯した
  4. 溝口内匠(阿部サダヲ)新発田藩の城代家老。藩の実権を掌握し領地が戦火に見舞われぬよう画策
  5. ノロ(佐久本宝)新発田の花火師の息子。捕らえられた政を兄と思いこみ脱獄を助けた
  6. おろしや(岡山天音)医師の倅。医学を学ぶため、おろしや(ロシア)へ密航しようとした
  7. 辻斬(小柳亮太)浪人。新発田にある村で村人を多数 無差別に殺害
  8. 赤丹/あかたん(尾上右近)イカサマ博徒。武士から金を巻き上げる。罪状は賭博
  9. 入江数馬(野村周平)決死隊隊長。城代家老の娘婿で腹心。侍と罪人の板挟みに
  10. 山縣狂介(玉木宏)新政府軍(官軍)先鋒総督府の参謀
  11. なつ(鞘師里保)新発田の女郎。子を堕ろされた恨みで男の家に放火
  12. 引導(千原せいじ)坊主。多くの娘に女犯
  13. 三途(松浦祐也)貧乏な百姓。⼀家心中で自分だけ死ねなかった
  14. 二枚目(一ノ瀬颯)新発田随一の色男。侍の女房と恋仲になる禁忌を犯す
  15. 溝口直正(柴崎楓雅)新発田藩の若殿
  16. 溝口みね(西田尚美)溝口内匠の妻
  17. 溝口加奈(木竜麻生)溝口内匠の娘。入江数馬の妻
  18. 岩村精一郎(浅香航大)土佐藩士。官軍先鋒総督府・軍監。山縣の右腕
  19. 村娘(ゆりやんレトリィバァ)新発田の村娘。戦で疲弊する決死隊に明るくおにぎりを配る

ネタバレ感想『十一人の賊軍』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

『十一人の賊軍』原作は?監督とキャストは?

映画『十一人の賊軍』は、名脚本家の笠原和夫が残した幻のプロットを、白石和彌が監督した時代劇アクション映画です。

主演の山田孝之は『50回目のファーストキス』『ステップ』や白石和彌監督作『凶悪』に出演。仲野太賀は『すばらしき世界』『愛にイナズマ』『四月になれば彼女は』等に出演。

他も上記のとおり豪華キャストが多数出演。

戊辰戦争や奥羽越列藩同盟とは?新発田藩とは?

大政奉還で江戸幕府が終了後も、旧幕府を支持する藩や君主は薩摩藩・長州藩・土佐藩が中心の新政府軍(官軍)に対抗して各地で戦闘。鳥羽・伏見の戦い、江戸城・上野戦争・箱根戦争、長岡城の戦いなどを経て東北に戦火が移ります。

会津藩を中心に周辺の藩は「奥羽越列藩同盟」を結成して新政府軍に対抗。小藩の新発田藩(しばたはん)は同盟に入ったが、若き君主が新政府軍を支持。新発田藩は、旧幕府軍が洋式兵器を輸送する新潟湊を有した重要拠点でした。

新政府軍の先鋒隊の参謀の山縣狂介(玉木宏)は新発田藩の重要性に気づきます。また奥羽越列藩同盟からも新発田藩に出兵の要請があり、米沢藩士の色部長門と斉藤主計が来て家老の溝口にせまります。しかし溝口は若殿に会わせず時間かせぎ。

十一人の賊軍が守る砦とは?最初の戦闘は?

家老の溝口は娘婿の入江数馬(野村周平)に、関東からの入口となる砦で新政府軍を足止めし時間稼ぎを命じます。入江は、剣術道場の道場主の鷲尾兵士郎(仲野太賀)と共に、十人の罪人に無罪を約束して決死隊を結成し砦に入城。

罪人は、妻を暴行した新発田藩士を斬った政(山田孝之)、政を兄と慕う花火師ノロ、薄情男への放火犯なつ、イカサマ賭博師の赤丹、長州出身の剣術家じっつぁん、無差別殺人鬼の辻斬り、医学を学ぶためのロシア行きで投獄された おろしや等。

罪人は逃亡者がでると連帯責任となるが、仇である新発田藩のために働けない政は逃亡をはかります。しかし砦を出たところで新政府軍の先遣隊とはち合わせて戦闘となり、隊長が落下死させられた新政府軍は一旦撤退

新発田藩は最終的には新政府軍につきたいので、この砦の旗は長岡藩の家紋「五間はしご」で偽装してます。罪人だけでは無理だろと思ったが、一部が型破りの強さで一安心。もっと頭脳戦を期待したのだが。

十一人の賊軍 映画/ドラマ

十一人の賊軍の起死回生の策とは?

新政府軍(官軍)が本格的に砦を攻めに来て大砲で絶体絶命に。しかし鷲尾の作戦(敵を砦に入れて煙の中、乱戦に持ち込む)で敵隊長の1人を人質にして戦況は硬直。官軍は降伏したら官軍に招くと説得し罪人達は受け入れるが、鷲尾が人質を殺害し戦闘再開。

橋を落として再度硬直化。ノロの花火玉が強力で役立ったが、それはこの周辺の油を活用したからと判明。官軍が陣を敷いてる上方に油田跡があるため、深夜に鷲尾と罪人たちは破壊した橋を渡ってそこへ行き、油を掘り当てて官軍拠点を爆破

罪人たちの足元も崩れ落ちて官軍と乱戦に。官軍は多数の犠牲を出すが賊軍も多くが戦死。長州藩出身の剣術家かつ槍術家のじっちゃんは賊軍の一番の戦力だったが、敵将2人を相手に戦死。鷲尾がかたきを討ち、新政府軍は少数で撤退。

ラスト結末は?生き残るのは誰か?

新発田藩の城では、若殿が奥羽越列藩同盟におどされ家老の溝口が切腹を迫られます。しかし官軍と戦うため同盟軍が出陣すると切腹は中断。溝口の娘の加奈は妊娠中だが夫の入江のいる砦へ行き、負傷した入江の最後を看取ります。

加奈となつは戦闘が始まる前に城へ戻ります。同盟軍の出陣後、新政府軍の山縣らが入城し新発田藩は従います。しかし砦で新政府軍の犠牲者が多数出た件を追求され、家老の溝口は軍を率いて、無罪放免で喜ぶ賊軍を討伐

生き残ってたイカサマ賭博師・赤丹と僧の引導は射殺されます。加奈の願いで溝口が救おうとした鷲尾は、賊仲間の理不尽な扱いに怒り十一人目の賊を名乗り多くの藩士を道連れに。一騎打ちを挑まれた溝口はひきょうにも銃で鷲尾をしとめます。

政はノロを逃がして1人で藩士たちを引きつけ、大量の花火で道連れに。家老の溝口は官軍に砦の始末を告げます。周辺の同盟藩は敗退。裏切りの新発田藩は孤立するが民の平和は保てました。なつとノロは政の妻へ、加奈からの小判を届けます。加奈は夫と鷲尾を失い自害。藩を救った溝口は娘と孫を失います。

藩と若殿のためなら手段を選ばない溝口の悪逆ヴィランぶりが心底憎らしかったが、十一人の賊軍と少数の人を犠牲にするだけで藩の全ての民を救った決断は歴史的には功績に値するのでしょうね。それでも許せない悪役ぶりの阿部サダヲは見事!

映画『十一人の賊軍』ネタバレ感想と私の評価

時代劇はワンパターンだし戊辰戦争も何作品かで見てるので飽きぎみだが、新発田藩の話はたぶん初耳でかなり興味深く悲しい物語でした。犠牲者は主に罪人とはいえ、当時の裁きは今より理不尽だったろうから罪人に感情移入してしまいます。

新発田藩は新政府軍と密約を交わすなどしてこの悲劇を回避できたのでは?と思ってしまいますが、いずれにしろ奥羽越列藩同盟が先に入城するため出兵を始めてからでは取り返しがつかなかったのでしょうね。賊軍の立場では悲劇です。

ストーリーは複雑なわりにわかりやすく仕上がってたが賊軍内のいざこざなどがやや退屈。状況を一変するアイテムが花火だけなのも単調で、花火での爆死や道連れ犠牲も繰り返されたのでもう少し工夫を見たかったかも。

準備の楽しさ、切迫感、キャラの描きこみなどは『十三人の刺客』と比べると弱くて印象にも映画史にも残りにくい作品だとは感じます。敵役の阿部サダヲを筆頭に、仲野太賀、山田孝之の泥まみれの熱演は素晴らしくて賞に値するレベルでした。

私の評価 67/100(60が平均)

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