映画『ハドソン川の奇跡』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?実話?容疑者は機長?
実話ベースの映画化。2009年1月15日。ニューヨーク上空で制御を失った飛行機の機長サリーは機体を川に着水。乗員乗客155人全員生還の「ハドソン川の奇跡」で英雄視されます。しかしサリーの判断は疑われ公聴会が開かれ…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ハドソン川の奇跡 |
---|---|
日本公開日 | 2016/9/24 [予告] 上映時間:96分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Sully |
監督・キャスト | クリント・イーストウッド |
キャスト 出演者 | トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー、クリス・バウアー、マイク・オマリー |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | Warner Bros. Pictures/ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズ、ラットパック=デューン・エンターテインメント、BBCフィルムズ、フィルムネイション・エンターテインメント、マルパソ・プロダクションズ、ザ・ケネディ/マーシャル・カンパニー、フラッシュライト・フィルムズ |
日本興行収入 | 13.5億円 興行収入ランキング |
世界興行収入 | 2.4億USドル [出典] |
製作費 | 0.6億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.25更新) 78(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 実話/歴史/時代/西部/戦争映画一覧 |
ネタバレ感想『ハドソン川の奇跡』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
『ハドソン川の奇跡』は実話「USエアウェイズ1549便不時着水事故」を元にした映画です。ハドソン川に着水し乗員乗客を救ったサリー機長は一躍英雄となるが、調査をすすめるうちに危険な着水よりも近くの空港へ降りた方が良かったのではと疑いがもたれ公聴会が開かれる様子が描かれます。
実話映画『ハドソン川の奇跡』ネタバレ感想と解説
2009年1月に発生した航空機事故の実話がベースですが、日本人にはそれほどなじみがなくネタバレや結果を知らなかったため、結末を自分なりに予想しながら観ることができてサスペンス要素も楽しめました。
NTSB(国家運輸安全委員会)のサリー機長に対する態度は横暴すぎて違和感もあり納得しづらかったです。実話ではあれほど敵対しなかったそうなので、映画ラストの公聴会を盛り上げる演出でしょうけどやりすぎ感はあります。
実際は短い期間のやりとりなので、少し間のびさせてる感じはしました。それでも着水や救助シーンなど、事実がわかっていたとしても様々なプロフェッショナルが自分の仕事をこなしていく感動的な場面を見れて満足。また法廷での逆転劇の要素もあり最後まで楽しめました。
この映画のおすすめ6ポイント
- ハドソン川の奇跡という実話を知る
- 判断ミス1つで悲惨な結果に
- サリーは英雄か容疑者か
- 飛行機着水や救助シーン
- サリーや副機長やCAのプロ意識
- ラストの本人たち出演
少し残念つっこみどころ4ポイント
- ストーリーが単調。中だるみ
- 短い真実を引っ張りすぎ
- NTSBが悪役に描かれすぎ
- NTSBが無能すぎる
『ハドソン川の奇跡』ネタバレあらすじ感想
飛行機のコックピットでの緊急時の音声が聞こえてきて、ニューヨーク、マンハッタンの市街地の真ん中のビルに衝突します。まるで2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの911事件を思い出させます。チェズレイ・サレンバーガー(トム・ハンクス)、通称サリー機長は夢から目覚めて安心します。
2009年1月15日、ニューヨークから離陸した飛行機は直後に鳥にぶつかられるバードストライクにあい、全エンジンが停止します。しかしサリー機長の判断でハドソン川に着水して、全乗員乗客155人は無事でした。着水は少しでも傾いていたら横転するので、難しい技術ですがやってのけたので英雄扱いです。
数日後、サリー機長はジェフ副機長とともに、NTSB(国家運輸安全委員会)の聴取を受けます。前日の飲酒、麻薬、家族問題などを質問されます。その後、左エンジンは動いてた可能性があることをNTSBから指摘されますが、サリー機長はあり得ないと断定します。
ここまでのNTSBとのやりとりで、サリー機長らは完全に容疑者扱いされるので、自分でも「もっと最善策があったのではないか」と考えてしまいます。一方で世間やTV出演時は英雄扱いされるので、そのギャップにより悩まされます。
全員無事だったのに、なぜこんなに追求されなくてはいけないのかと思ってしまいます。ジェフ副機長(アーロン・エッカート)も同様にぼやきますが、NTSBの調査は保険金がからむものなので、容赦ないそうです。それにしても気の毒に感じます。機長本人もPTSD(精神的外傷)で何度も墜落の夢をみます。
やがてNTSBの調査で、左エンジンがわずかでも動いていた場合、2箇所の近くの空港に着陸できたはずだという結果を突きつけられます。しかも20回も着陸シミュレーションで成功したと言われて、サリーもジェフも自信喪失します。
トム・ハンクスが演じるサリーこと、チェスリー・サレンバーガーは査問会の期間、ホテルで半拘束されているので、家の妻ローリーと時々電話で話します。マスコミに家が囲まれたり、給料が入らないため副業の不動産ローンが払えないとか、子どもが不安がってるとか、いろいろ深刻です。
中盤にはじめて、実際の飛行機着水シーンが描かれます。サリー機長の判断は迅速で、管制官のピント外れな対応は無視して、ハドソン川への着水を成功させます。極寒の季節なので、すぐに乗客をシューターや翼の上に立たせます。救助隊だけでなく観光客船なども助けに来てくれました。
サリー機長は常に乗客を最優先にしたり、市長や警察などよりも生還者の数だけを気にしていたりと、そのプロフェッショナルぶりが素晴らしすぎます。155人の無事を確認できた後は、救助隊など多くの人たちに迷惑かけたことを気にします。サリーは深夜まで機長服を脱がないくらい気が張りつめていました。
映画『ハドソン川の奇跡』ネタバレ結末ラスト
公聴会までの間、サリー機長は寝つきがわるくて、夜はバーに行きました。そこでも英雄扱いされて「いいタイミングだ」と言われますが、サリーは「タイミング」という言葉であることをひらめきます。これは経験豊かな人のみが張ったアンテナでしか思いつかない瞬間です。
NTSB(国家運輸安全委員会)による公聴会の当日、サリーとジェフは、元の空港に戻るのと近くの空港に着陸する、2つの飛行シミュレーションの成功を見せられます。こんな飛行検証の成功を見せられたら、私なら「勝ち目ない」と思ってしまいますが、サリー機長は冷静でさすがです。ここから見事な逆転劇です。
サリーは検証の訓練回数が17回だと聞きだします。そして、鳥がぶつかること、エンジンが回復不能、どの飛行場へ引き返すか、という点をあらかじめ知った状態でシミュレーションしてるため、動揺後に事故を現実として受け止め、機械チェックし、多くの選択肢から考え出す時間が考慮されてないことを指摘します。
それを受けてNTSBは、事故の35秒後に飛行場へ向かうシミュレーションを実施しますが、いずれも失敗に終わります。サリー機長の機転も素晴らしいのですが、わずか35秒の差で着陸失敗したりビルに衝突したりの結果を知り震えました。その間に最善策を選択したサリーは、まさに神業ですが、それも40年間の飛行経験から導き出されたものなのでしょう。
公聴会では次にフライトレコーダーの内容が公開されました。離陸してわずか208秒間ののちには不時着水していたのです。あらためて聞くと素人ながらも全く無駄のないやりとりに聞こえました。公聴会の休憩時間、サリーは「チームワークのおかげ」と言い、ジェフは「一緒に仕事できて光栄」と称え合うのもいいですね。
再開された公聴会では、左エンジンはやはり破損して動かなかったことが判明したと告げられます。このタイミングでわかるのは、ご都合主義的な気がしました。先にこれがわかっていれば、シミュレーションも必要なかったわけです。NTSBが事実を隠してたわけではなさそうなのが救いです。
公聴会の結果、サリー機長とジェフ副機長の判断ミスはなかったことが証明され、賞賛されました。最後にジェフが「同じ状況になればどうしますか?」と聞かれ「同じことをします。ただし夏の7月がいいね」と笑いをとります。
最後に実際のサリー機長と妻や乗客たちの写真が映し出されます。今でも感謝の手紙が多く届くそうです。サリー機長の「英雄ではない。やるべきことをやっただけ」や「遅れても事故するよりはまし」という言葉は心に響きました。
実話ベースなので劇的だったり驚く展開はありませんが、リアルな仕事の現場や、想定外時に長年の経験からくる最善の対処法などを見せつけられた気がします。サリー機長がいかにして全員を救ったのかを、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
私の評価 68/100(60が平均)
シリーズやジャンル⇒実話/歴史/時代/西部/戦争映画一覧