映画『オールド』ネタバレ感想考察/真相と結末は?ビーチの秘密とは?
人里離れたビーチで、バカンスを過ごす複数の家族。ある母親が6歳の息子を探すと「僕はここ」と青年が姿を現します。彼らは急速に年老いるビーチから脱出しようとするが…。脱出は可能?方法は?選ばれた人々の共通点は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | オールド |
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日本公開日 | 2021/8/27 [予告] 上映時間:108分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Old |
監督・キャスト | M・ナイト・シャマラン[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | 東宝東和/Perfect World Pictures(中国系)、Blinding Edge Pictures |
日本興行収入 | 3.4億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 0.9億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 65(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | シャマラン映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- マドックス・カッパ(11歳→アレクサ・スウィントン、16歳→トーマサイン・マッケンジー、中年→エンベス・デイヴィッツ)ガイとプリスカの娘
- トレント・カッパ(6歳→ノーラン・リヴァー、11歳→ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス、15歳→アレックス・ウルフ、中年→イーモン・エリオット)ガイとプリスカの息子
- ガイ・カッパ(ガエル・ガルシア・ベルナル)プリスカの夫。未来のことばかり気にしてる
- プリスカ・カッパ(ヴィッキー・クリープス)ガイの妻。博物館の学芸員。腫瘍をわざらっている
- チャールズ(ルーファス・シーウェル)心臓外科医
- クリスタル(アビー・リー)若い美女。カルシウム不足?
- カーラ(6歳→カイル・ベイリー、11歳→ミカヤ・フィッシャー、15歳→エリザ・スカンレン)クリスタルの娘
- ジャリン・カーマイケル(ケン・レオン)パトリシアを支える夫。看護師
- パトリシア・カーマイケル(ニキ・アムカ=バード)ジャリンの黒人の妻。てんかん発作を抱えてる
- セダン(アーロン・ピエール)有名な黒人ラッパー
- マドリード(フランチェスカ・イーストウッド)ホテル到着時にウェルカムドリンクをくれる女性
- 運転手(M・ナイト・シャマラン)ただの運転手なのか?
ネタバレ感想『オールド』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は?シャマラン監督の過去作は?キャストも
映画『オールド』は、グラフィックノベル(日本の漫画に似た書籍)『Sandcastle』をベースとした、ほぼオリジナル脚本の映画です。
監督のM・ナイト・シャマラン[映画一覧]は『シックス・センス』以降、巧妙などんでん返しを期待され続けています。その代表作を超える作品は、いまだ登場してないように感じます。
出演してる俳優女優の多くは、他の映画ではあまり見かけたことない人ばかりです。主演の夫ガイ役のガエル・ガルシア・ベルナルは『ノー・エスケープ 自由への国境』等、妻プリスカ役のヴィッキー・クリープスは『ファントム・スレッド』等に出演。
ホテル到着直後にウェルカムドリンクを持ってくる女性マドリード役は、クリント・イーストウッドの娘フランチェスカ・イーストウッドです。
M・ナイト・シャマラン監督自身も運転手の役として出演してるようです。また、映画前に監督が登場し「コロナ禍でも、映画は劇場の大スクリーンで観てほしい。映画館に帰ってきてくれてありがとう」と述べる映像もありました。
ホテル到着の前後は伏線だらけ?客の共通点は?
冒頭は、夫ガイ、妻プリスカ、娘マドックス、息子トレントの4人家族が車でリゾートホテルへ向かってます。「まだ子どもだから」「過去より未来が大切」「たった5分」みたいな時間に関する会話が多くて、後の伏線になってきます。
リゾートホテル「ANAMIKA」(土地名かも?)に到着すると、両親には「歓迎ドリンク」、子ども達には「ドリンクバー」が提供されます。海外ホテルに宿泊するとよく出される歓迎ドリンクですが、それも伏線になります。
プリスカはお腹に腫瘍ができ、未来に絶望して浮気し、夫ガイとの離婚を決意してます。ガイは離婚に反対だが、今回の旅行は最後の4人家族での思い出づくりだと覚悟はしてるようです。11歳の娘マドックス、6歳の息子トレントも気づいてます。
ガイはホテルが「ウォーレン製薬の系列」だと話してました。ホテルで食事中に「てんかん発作」で倒れた黒人女性パトリシアを、夫で看護師のジャリンが支えます。心臓外科医チャールズも心配します。
チャールズのパートナーの若い美女クリスタルは「低カルシウム血症、腎機能障害、骨粗しょう症」なのか、カルシウム不足ばかり気にして、6歳の娘カーラの姿勢も注意します。それら家族の病気も、後に伏線回収されていくので覚えときましょう。
ホテル客のうち上の家族がビーチに集められます。その共通点は「病気持ち」です。ちなみに、病気の子どもが到着した場合には「子ども用のウェルカムドリンク」が提供されるのでしょうね。または「歓迎のお菓子」かな。
謎のビーチで発生する怪現象とは?
「他の客には内緒ですよ」という勧誘文句に誘惑されて、上記の家族はホテルの車でシークレット・ビーチへ連れてってもらいます。そのあやしげな運転手は、自作にカメオ出演することで有名な本作のM・ナイト・シャマラン監督です。
ビーチには先客の黒人ラッパーがいるだけなので、極上のプライベート・ビーチです。適度に岩や洞窟っぽい場所もあって遊ぶのも楽しそう。ただ、波が高すぎて泳ぐには適さないと感じました。スノーケリングも無理でしょう。
黒人ラッパーの正体は、ガイの娘マドックスも知ってるほどの有名人ですが、その妻?が遺体で発見された時に「何も話したくない」とあやしい行動をとります。もしかしたら妻ではなく、娘だったのでしょうか。その部分、聞きのがしたかも。
ラッパーのセダンはずっと鼻血を流してたので「白血病か血液の病気」なのでしょう。妻?も筋萎縮性側索硬化症(ALS)みたいなことを言ってましたが、そもそもALSの人が沖へ泳ごうとするのでしょうか。初期なら問題ないのかな。
やがて老婆と犬も謎の死をとげ、子ども達3人はどんどん成長。冒頭で「大人だけのビーチ」という冗談を言ってたので、子どもだけ成長するのかと予想したけど、どうやら大人も歳を重ねてるようです。見た目にはわかりにくいだけで。
そのうち、心臓医チャールズは記憶障害(痴呆症?)で狂ってラッパーを殺害。この病気も最初からわかってたんでしょうね。彼が思い出せなかった「ジャック・ニコルソンとマーロン・ブランドの共演映画」は『ミズーリ・ブレイク(Wiki)』(1976)と思うけど、本作との関連性は見つけられません。
急速に大人に成長したトレントとカーラは体がうずいて子作りし、妊娠したカーラはすぐ出産。産まれた赤ちゃんは急激な成長に耐えられず即死。プリスカの腫瘍も急成長し、医師が摘出しようとするが切開傷もすぐ閉じるため、ガイらが切開傷を広げてる間に摘出。
黒人女性はしばらく「てんかん発作」が起きなくて不思議でしたが、やはり発作で死亡。ビキニ美女クリスタルの結末は最も悲惨で、骨が体を支えられなくなったのか全身から骨が出て変な姿勢で追いかけてきた後に死亡します。
ビーチの怪現象の理由は?脱出方法は?
ビーチでの老化現象の原因は、何百万年もの間にビーチ下や周りに堆積した岩に含まれる金属の影響で特殊な磁場が発生したです。生物のみに作用するようです。ただし過去の客が残したメモによる推測なので、明確な理由は不明です。髪や爪が伸びない理由は「死んだ細胞だから」というのも憶測です。
そのエリアから脱出しようとすると必ず気絶してしまう理由は、急激な磁場力の差によるショック?と語られましたがよくわからなかったです。体をならしながら、ゆーくり歩くと脱出できるが、その間に老いてしまうので却下されました。
別のビーチを目指して泳ぐと、途中で気絶しておぼれ死にます。岩山を登って脱出を試みたカーラも、途中で気絶して落下死。あきらめたガイとプリスカは、愛しあってた頃の夫婦に戻り絶命。残り時間が短かい方が時間を大切にし、人間関係もうまくいくという逆説的な内容が語られました。
生き残ったマドックスとトレントの姉弟も中年に成長。トレントは、ホテルで知りあった少年と遊んだ暗号文を解読して「サンゴ礁に脱出口がある」と気づきます。その少年は、ビーチの秘密を知る父親の話を聞いてたのです。
サンゴ礁のトンネルから脱出できる理由は、サンゴ礁が磁場の影響を遮断してるからです。トレントとマドックスはサンゴ礁を抜けようとした時、引っかかって絶体絶命となるが、そのロス時間が彼らを救うことになります。最後は脱出に成功。
映画『オールド』で最大の謎である「急速に老いが進むビーチ」の種明かしは、あっさりすぎてしかも聞いたことあるような仕掛けだったので少しがっかり。ただしこのビーチのSF設定は「ただの舞台装置」なので最大の秘密は後に明かされます。
ビーチを監視する者の正体と目的は?結末は?
ビーチの客も気づきますが、岩山の上方から何者かが望遠鏡でビーチの様子を監視してます。ビーチを監視する者の正体は、客をここへ連れてきた運転手(M・ナイト・シャマラン監督自身)であり、彼はウォーレン製薬に雇われています。
この監視者は致命的なミスをおかします。監視者は、マドックスとトレントがサンゴ礁へ向かって潜る姿も見てましたが「もう息が続かなくて死んだだろう」と短い時間で判断したのです。実際は2人は途中で息つぎし、バレずに脱出に成功。
ウォーレン製薬の目的は「患者が死ぬまでの治験」。薬品やワクチンは有効性と副作用について長期的に観察する必要があり、販売して利益となるまでの期間は無収入です。その観察期間を短くするため「1日で一生を終えるビーチ」を利用。
それが、ビーチに招かれた客が病人ばかりだった理由です。歓迎ドリンクには、それぞれの病気を改善する薬が入っていて、その効果と副作用について「患者が死ぬまで」観察されていたのです。
「てんかん発作」の薬により8時間(=16年間)は発作が起こらなかったので「実用化できる」と言って、ウォーレン製薬の研究者たちが大喜びしますが、とんでもないサイコパス集団です。
脱出に成功したマドックスとトレントの姉弟は、序盤の「名前と職業を聞く遊び」で警察官だと知った男性に「ビーチでの行方不明者リスト」を渡します。本部へ照会し、そのリストが真実と判明したため、ホテル従業員と製薬会社関係者は逮捕されます。
「ビーチでの行方不明者リスト」をすぐ入手できた件は都合よすぎますが、そもそも照会できた行方不明者がいるのに、警察が今までこのホテルにたどり着いてない点こそおかしいですよね。見つからない客だけ選んでたってオチなんでしょうけど。
中年トレントが、ホテル従業員の子と再会した時の様子はせつないです。そして姉マドックスと共に、おじかおばの家へ引き取られていくのですが、おそらく養われる側の2人の方が年上なので微妙な心境でしょうね。
映画『オールド』私の感想と評価
本格ミステリではないけど「序盤で魅力的な謎を提示して、終盤であっと驚く種明かし」を展開するシャマラン監督の手腕は健在です。本作は『シックス・センス』と比べると切れ味は弱いけど、低評価も多い監督作品の中では上位に入ると思います。
映画『オールド』の肝となる「老いるビーチ」の仕組みと謎の解明法は期待以下でしたが、その「設定の一部」に注目を集めたことで、大きな陰謀を隠したのは見事。急速に老いる不気味さにホラー味も感じました。ただし陰謀の明かし方が軽すぎて「意表つかれた感じ」がないのは残念。
「製薬会社の治験が目的」というオチは、コロナ禍ワクチンの接種が進む今だからこそ、より響きます。ワクチン接種の否定派が気にする「将来的な副反応」「出産への影響」等も、この治験法があれば解決できるんですよね。
ワンアイデアだけで引っ張るには長すぎたと思うけど、多い登場人物のそれぞれに必然的な役割がわりあてられてたので飽きることはなかったです。一見ホラーぽいけど怖さはほぼなく、逆に笑いそうになる場面もあるのでぜひ観てください!
私の評価 68/100(60が平均)
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