『ソウルフル・ワールド』評価は?ネタバレ感想考察/夢は必要?人生の意味やきらめきとは?
音楽教師ジョー・ガードナーはジャズミュージシャンになる夢がかないそうな時、ソウル世界に迷いこみます。生きる意義を感じない魂22番と組み、ジョーは元の体に戻ろうとするが…。夢への執着は悪?「22」の意味は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ソウルフル・ワールド |
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日本公開日 | 2020/12/25 [予告] 上映時間:101分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Soul |
監督・キャスト | ピート・ドクター[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ/ピクサー・アニメーション・スタジオ |
日本興行収入 | |
世界興行収入 | 1.2億USドル [出典] |
製作費 | 1.5億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 83(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ピクサー映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- ジョー・ガードナー(ジェイミー・フォックス。浜野謙太)ジャズ演奏家が夢。音楽教師で生活。ソウル世界に落ち…
- 22番(ティナ・フェイ。川栄李奈)人間になる前のソウルの世界の住人。生きる意義を感じてない
- テリー(レイチェル・ハウス。梅田貴公美)ソウルの世界で魂の数などを管理する者
- ムーンウィンド(グラハム・ノートン。福田転球)ソウルの世界の「迷える魂」を救う者。実体はゾーンに入った人間
- カウンセラー・ジェリー(アリシー・ブラガ。北西純子)ソウルの世界で魂たちを導く存在。複数いる
- カウンセラー・ジェリー(リチャード・アイオアディ。多田野曜平)
- カウンセラー・ジェリー(ウェス・ステュディ。後藤敦)
- カウンセラー・ジェリー(フォーチュン・フィームスター。仲野裕)
- リバ・ガードナー(フィリシア・ラシャド。定岡小百合)ジョーの母親。現実的な生活をすすめる
- デズ(ドンネル・ローリングズ。宮本崇弘)ジョーと仲良しの床屋
ネタバレ感想『ソウルフル・ワールド』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
22番と他の魂との違いは?ソウル世界とは?
生活のため音楽教師をするジョー・ガードナーはある日、正社員になることを打診され、母親にも喜ばれるが浮かない表情です。そんな時、元教え子カーリーから、有名ジャズクラブでの演奏を紹介され、ジャズピアニストの夢へ一歩近づきます。
しかし浮かれすぎてマンホールに落ち、魂は天へ向かう階段へ。現世に戻りたい「魂ジョー」は「ソウルの世界」に迷いこみます。ソウル世界とは地球の人間として生まれる前の魂(ソウル)が「性格や興味」を決定づける場所です。
ユーセミナーのカウンセラージェリーに勧められ、ジョーは「22番ソウル」と組み、個性「人生のきらめき」を見つけるために「万物の殿堂」へ行きます。しかし「生きる目的を何百年も見いだせてない」22番は何にも興味を持てません。
「魂の世界」を独特のかわいさで描いたのは、さすがのピクサーですね。喜びや悲しみを擬人化した『インサイド・ヘッド』と同じ監督ピート・ドクターなのも納得。カウンセラージェリーやテリーの表現も手抜き以上に斬新です。
ただ、天国へ向かう「死後の世界」と、生まれる前に性格や興味を決定づける「生前の世界」が簡単に行き来できる設定には違和感あります。ジョーのように現世へ戻ろうとするソウルが多発しそうなので、厳しい条件を提示してほしかったです。
「早く個性を得て人間になりたい」というソウル達の中で、「生きる目的を見つけられてない22番」の存在は面白いです。「ジャズピアニストになる夢こそ生きる意義」であるジョー・ガードナーとは真逆の考えで対比キャラです。
22番の「人生のきらめき」は?ゾーンや迷える魂とは?
悲しい人生のジョーが戻りたがる理由を、ソウル22番は知りたくなります。何かに集中/熱中した人間のソウルが行き着く「ゾーン」を訪れた2人は、何かにこだわり執着しすぎて肉体から切り離された精神「迷える魂」に襲われます。
救ってくれたムーンウィンドが、迷子の魂を元に戻すと「生きる意味を見失って仕事に縛られてた社畜人間」も解放されます。ムーンウィンドの力を借りてジョーも昏睡状態の体に戻ろうとするが、誤って動物セラピーの猫に入ってしまい、22番がジョーの体に入ります。
「22番ジョー」は最初とまどうが、ピザを美味しいと感じ、教え子の演奏好きを知り、デズが生活のための床屋を好きになったと聞きます。22番はジョーの母に父のスーツを着せてもらい、様々な日常にも感動し「生きる意味」を見いだします。
ジョーと22番はテリーによりソウルの世界に戻されるが、22番の性格バッヂは地球への通行証として完成してます。22番の「人生のきらめき」は「生きるための覚悟・準備ができること」だったのです。
芸術家やスポーツ選手が高い集中力を発揮すると、ソウル(魂)が「ゾーン」に入るという設定は面白いですね。ただ、すぐ隣に「執着しすぎて迷子になり怪物化した魂」があるのは違和感。同じ「固執」でも全く違う次元の現象だと感じるので。
また、看板回しでゾーンにいる?ムーンウィンドが、簡単に地球へのゲートを開けるのもご都合主義に感じました。本当は細かい裏設定ありそうだけど、子ども向けでもあるので説明を省略したのでしょうかね。
ジョーと22番の結末は?カウンセラーもきらめき?
ソウル世界で、22番の完成バッヂをもらったジョーは人間に戻リ、ドロシア・ウィリアムズのジャズクラブでピアノ演奏を成功させます。しかしジョーは「特別な達成感」を感じず「毎日を大切に生きることこそ人生のきらめき」と気づきます。
ジョーは「ゾーン」に入り、ムーンウィンドの助けで「迷える魂」化した22番と再会。ジョーは22番にバッヂを返し、地球へと送りとどけます。その行動を見たカウンセラージェリーは自らの「人生のきらめき」を感じ、ジョーを特例適用します。
カウンセラージェリーは、こっそりテリーの魂数を改ざんして、ジョーを人間界へ戻してやります。戻ったジョー・ガードナーは、ジャズピアニストとして歩むのか、音楽教師を続けるのか不明ですが「毎日を大切に生き」そうな清々しい顔です。
「ジャズピアニストになる夢」を果たしたジョーに特別な感情がわき上がらなかった理由はあまり理解できません。特に初回の夢の達成時には高揚しそうなのですが。その前の22番との日常的な歩みの方を、大切だと感じたからでしょうか。
何百年も「生きる意味」を見つけられなかった22番が、ついに地球へ降りていくのは感動的でした。22番とジョーがその後、どんな人生を歩むかは見せられませんが「毎日生きることを大切にしそう」ですね。
22の意味とは?過去作の否定?夢は必要?
本作『ソウルフル・ワールド』は、ピクサー製作映画[一覧]23作目です。だから「22番」の名称は、22作目『2分の1の魔法』と考えたけど違ってて「22作目までの作品」を指すのかもしれません。
ピクサー作品に限らず、他のディズニー作品や他社洋画や邦画も含めて「夢の重要性」を語る物語は数え切れないほど存在します。「夢をあきらめるな」「夢を達成するために一歩一歩の努力を」「夢を否定するな」等のメッセージも多いですね。
一見ポジティブなテーマですが、世の中には夢を達成できない人の方が多いと思うので、キラキラテーマに共感できない人もいるでしょう。「22番」は「ピクサーが22作目までで描いた夢」に固執して身動きとれなくなった人の代表とも感じます。
ただし『ソウルフル・ワールド』は過去作を全面否定したわけではなく、人生は一瞬一瞬を大切に生きるだけで素晴らしいし、きらめきや夢に専念できる時間を持てればさらに有意義になる、と教えてくれます。
一方で「夢への前進や仕事に没頭や執着しすぎると、生活を犠牲にしたり生きる意味を見失う」と注意もしてます。夢を持つことは大切だが、毎日を大切に暮らせる人生が土壌となることは決してわすれないようにしたいですね!
『ソウルフルワールド』私の評価や感想
「夢をあきらめるな」という映画・ドラマ・アニメは多いけど『ソウルフル・ワールド』のテーマはさらに一歩踏み込んだ感じで好きです。「まずは人生を大切に生きるだけで価値がある。夢を持てればなお良い」には共感できます。
抽象的な魂を擬人化した「ソウルの世界」を魅力的に描いたのも発明です。ややあざとい丸っこいソウルだけでなく、線画のカウンセラージェリーやテリーの造形も、上質にこだわるピクサーがやるからこそ手抜きというより斬新に思えます。
一方で「ソウル世界」や天界?や地球(現世)の世界観設定がややブレてるというか、作りこみが甘いように感じてしまいました。ゾーンや執着による魂と肉体の分離など、ソウルに関する現象を詰め込みすぎたのが原因かもしれません。
また、本作を観た子どもが楽しめるのかも疑問です。ソウル世界の擬人化キャラには喜びそうだけど「夢を持たなくても生きてるだけで充分」というオチは、数十年以上生きた人にほど、ささりやすいテーマなので大人向けだと感じます。
ラストを視聴者にゆだねたのは賛否ありそうですが個人的には、映像表現や挑戦的なテーマも含めて好みです。コロナ禍で劇場公開されなかったのは残念ですが、多くの特に大人たちに観てほしいアニメ映画です!
私の評価 67/100(60が平均)
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