映画『スパイダーマン スパイダーバース』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?ラスボスの正体は?
スパイダーマンシリーズだが独立したアニメ版1作目です。マイルスはクモにかまれ超人能力を得るが、同じようなスパイダーマンが複数出現します。マイルスは彼らを救おうと考えるのだが...。悪役の目的は?キャラ一覧と過去作シーンは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | スパイダーマン スパイダーバース |
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日本公開日 | 2019/3/8 [予告] 上映時間:117分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Spider-Man: Into the Spider-Verse |
監督・キャスト | ボブ・ペルシケッティ(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG |
配給/製作 (画像出典) | ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/コロンビア映画、ソニー・ピクチャーズ・アニメーション、マーベル・エンターテインメント、パスカル・ピクチャーズ、ロード・ミラー |
日本興行収入 | 9.0億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 3.8億USドル [出典] |
製作費 | 0.9億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 85(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | スパイダーマンSSU一覧 続編『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』11.1億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- マイルス・モラレス(シャメイク・ムーア。小野賢章)教育熱心な警官の父に進学校へ転校させられ、蜘蛛にかまれスパイダーマンに
- グウェン・ステイシー(ヘイリー・スタインフェルド。悠木碧)マイルスの学校での転校生。スパイダー・グウェン
- ピーター・B・パーカー(ジェイク・ジョンソン。宮野真守)中年でお腹の出たスパイダーマン
- スパイダーマン・ノワール(ニコラス・ケイジ。大塚明夫)白黒時代のスパイダーマン
- ペニー・パーカー(キミコ・グレン。高橋李依)日系の女子高生で日本アニメ風。スパイダーマン型ロボを操る
- ピーター・ポーカー(ジョン・ムレイニー。吉野裕行)話せる動物のカートゥーン世界から来た豚のスパイダーハム
- キングピン(リーヴ・シュレイバー。玄田哲章)本名ウィルソン・フィスク。丸々と太った悪役ヴィラン
- アーロン・デイヴィス(マハーシャラ・アリ。稲田徹)マイルスの叔父で良き理解者
- メイ・パーカー(リリー・トムリン。沢海陽子)ピーター・パーカーを育てたおばさん
ネタバレ感想『スパイダーマン スパイダーバース』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作と制作陣と受賞歴とキャストについて
アメコミを代表するマーベルコミックスの『スパイダーマン』ですが、時代やメディアで異なるスパイダーマン達を「マルチバース」に存在するとして集合させた『スパイダーバース』が原作です。まさにスパイダーマン版アベンジャーズです。
監督はピーター・ラムジーら3人で、脚本のフィル・ロード、製作プロデューサーのクリス・ミラー等の『LEGO(R) ムービー』で高評価された制作陣が名を連ねてることでも話題になっています。
アニメーションの映像面、ストーリーのテンポの良さ、魅力的な多数のキャラクターの見せ方などが世界中で絶賛され、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、アニー賞などで長編アニメ映画の最高賞を受賞しています。
キャストというかアニメ映画なので声優ですが、アメリカの英語版ではグウェン役にヘイリー・スタインフェルド、スパイダーマン・ノワール役にニコラス・ケイジ、叔父アーロン役にマハーシャラ・アリ等の実力派俳優女優が務めています。
日本語吹き替え声優のキャストもタレント声優は使ってなくて高品質です。アクションが激しく、セリフも多くて早口なので最初は日本語吹替版をおすすめします。小野賢章、宮野真守、悠木碧、玄田哲章、大塚明夫など文句なしの布陣です。
テーマは「スパイダーマンとは」「君は1人じゃない」?
テーマというほど大げさな社会性は描かれてない気がしますが、『スパイダーマン』『アメイジング・スパイダーマン』では孤独に戦ってたヒーローに、共闘者が現れたという物語には胸を打たれます。
『スパイダーマン スパイダーバース』の「君も僕も1人じゃない」というメッセージは、マイルスという新スパイダーマン誕生の原動力になっただけでなく、各ユニバースに戻ったスパイダーマン達の「心のよりどころ」にもなりそうです。
マイルスがスパイダーマンとして能力をコントロールできるようになるきっかけは、ドアごしに父が兄弟アーロンの死を悲しむのを聞いたからです。マイルスの良き理解者だったアーロンの死を現実として受け止めたのです。
皮肉にも「スパイダーマンになる条件というか通過儀礼的なもの」として、別ユニバースのスパイダーマン達も「身近な良き理解者を亡くして」います。ピーターパーカーはベンおじさん、グウェンは友人、ペニーは父などです。
大切な人が死んだ後「大いなる力には、大いなる責任が伴う」「運命を受け入れろ」を考え「選択」した結果、スパイダーマンが誕生していったのです。彼らがヒーローを選択しなかった次元、または私達が選択した世界もあるのでしょう。
登場したスパイダーマンの一覧
キングピンが作動させた加速器(コライダー)により多元宇宙(マルチユニバース)とつながり、別世界のスパイダーマン5人が集合するという奇想天外な物語です。
『スパイダーマン スパイダーバース』では各キャラの描かれ方が違うのを雑音と思う人もいるでしょうが、私は挑戦的と感じます。ただ、ノワール、ペニー、ハムについては深掘りされず戦闘シーンも少ないので紹介だけでも良かったかも。
- 当次元のスパイダーマン(ピーター・パーカー)
- 当次元の第2スパイダーマン(マイルス・モラレス)
- 中年スパイダーマン(ピーター・B・パーカー)
- スパイダーウーマン(グウェン・ステイシー)
- 白黒のスパイダーマン・ノワール
- ペニー・パーカーとスパイダーロボ
- 話せる子豚スパイダーハム(ピーター・ポーカー)
全スパイダーマンは、ウェブや吸着や優れた聴力とスパイディセンス(第6感)の能力を持ちます。マイルスだけは、ヴェノム・ストライク(電気パワー)とカモフラージュ(透明)の独自パワーを持つが、終盤までコントロールできません。
ピーター・B・パーカーは別次元から来た、中年でお腹の出たスパイダーマンです。メイおばさんとは死別し、妻のMJ(メリー・ジェーン)とも離婚(寸前?)です。マイルスとは師弟関係になり、スパイダーマンになれるよう特訓します。
スパイダー・グウェンは女性キャラ特有のバレエのような動きが優雅で、かわいらしいだけでなく、マイルスのせいで髪の毛の片側を切っても怒らないほど寛大です。自分の世界では友人を作らないようにしてると語ってます。
白黒のスパイダーマン・ノワールは、2001年にマーベル・コミックスに初登場しました。1930年代の刑事がモデルだそうです。スパイダーハムは1983年に初登場したカートゥーンキャラで、壁に黒い丸を投げ、その中を通る能力も持ってます。
未来のニューヨークからのペニー・パーカーは、日本風アニメ調でその象徴?である女子高生とロボがセットです。蜘蛛にかまれた父がロボットを作り、父が亡き後を継いで犯罪者と戦っています。スーツ頭部には、放射能クモが生きていてペニーとサイキックリンクでつながってます。
ヴィラン(悪役)一覧と原作者スタンリー
ヴィラン(悪役)も複数いて、名前を覚えるヒマもないのでまとめておきます。原作者スタン・リーも登場しています。
- キングピン(本名ウィルソン・フィスク)
- プラウラー(正体アーロン・デイヴィス)
- ドクター・オクトパス(本名オリヴィア・オクタヴィアス)
- グリーンゴブリン(緑の巨人)
- スコーピオン
- トゥームストーン
プロウラーの正体が叔父アーロンだったのは重要なネタバレであり、マイルスが一人前のスパイダーマンになるきっかけにもなります。ただ、くわしい経緯が語られない点は少しモヤッと感じます。アーロンは『スパイダーマン ホームカミング』でもピーターに救われた黒人として登場しています。
原作者スタン・リーはマーベル映画MCUにも毎回登場するので有名です。本作でもアメコミショップ店員としてマイルスに「スーツはいつか合うようになるさ」と発言後「返品不可」と笑いを誘います。
エンドクレジット映像後の「スタン・リーとスティーブ・ディッコに捧げる」でも涙しそうになります。2人とも2018年に亡くなりました。
悪役ヴィランのキングピンの目的とは?
キングピンは愛する妻子に悪事をはたらく姿を見られ、動揺して逃亡した妻子を交通事故で亡くしました。身から出たサビなのにスパイダーマンを逆恨みし、生きてる妻子を別次元から復活させようと考え、加速器を作動させたのです。
スパイダーマン達は「大切な家族や友人を亡くしたことで、他人の痛みをより理解してヒーロー活動を続ける」のに対し、キングピンは「妻子を失ったことを責任転嫁し、復活のためには他人や世界の痛みは考慮しない悪役となる」のです。
過去作への愛やオマージュが豊富
『スパイダーマン スパイダーバース』には過去作のスパイダーマンシリーズへの愛情やオマージュ、パロディなどが盛りだくさんです。ストーリー上は不要なので未見でも問題ないけど、興味わいたら本作後に観てください。
冒頭でのピーター・パーカーの紹介で『スパイダーマン』での宙吊り逆さキスや、『スパイダーマン2』で体が引きちぎられそうになり乗客に正体がバレてまで電車を止めたヒーロー誕生の名シーンが見れます。
『スパイダーマン3』でヴェノムに寄生された後に歌いながら通りを歩く黒歴史シーンは「思い出したくないよね」と紹介されて覚えてる者なら笑ってしまいます。
『アメイジング・スパイダーマン2』のラストシーンも、落下するグウェンをマイルスが必死に追いかけてキャッチすることで良い方向に再現していて泣きそうになります。
ピーターBパーカーが、マイルスの次元のMJ(メリー・ジェーン)にパンを持ってきてと頼まれるシーンもいいですし、ラストでピーターBが、別れたMJに花を渡しに行くシーンも好きです。
エンドクレジット後のオマケ映像の意味は?
『スパイダーマン スパイダーバース』のエンドスクロール後のオマケ映像では、未来2099年のスパイダーマンが過去1967年のスパイダーマンに会いに行き、指を差し合うギャグを披露します。これは初期スパイダーマンのアニメ映像です。
スパイダーマン達だけが別次元から集合した理由とは?
別次元(別ユニバース)からやって来たのがスパイダーマンだけという理由は、キングピンが作動させた加速器(コライダー)に、グリーンゴブリンがピーター・パーカーのスパイダーマンをつっこんだからでしょう。
『スパイダーマン スパイダーバース』総括と続編
『スパイダーマン スパイダーバース』のアニメーション映像は映画賞総なめも納得の素晴らしさです。コミックスがそのまま映像化されたような雰囲気で、周囲の声やスパイダーセンスの表現も絶妙です。吹き替え版の文字の日本語も最高です。
戦闘シーンもスピード感や迫力があり、それ以外でも説明は簡潔でテンポも良すぎます。アニメ先進国の日本ですが、今後はアメリカや中国が数十倍や百倍の制作費で挑んでくるので、ストーリーで勝負する他ないのでしょうか。
本作はストーリー上も優れています。最初は無理に「愛してる」と言わせた父が、後にドアごしに「何も言わなくていい」と言い、ラストでスーツを着たマイルスの方から「愛してる」となる展開は好みです。
叔父アーロンの助言「肩をたたいて、よお〜」の伏線回収も絶妙です。最初は「気になるグウェンの髪を切る」という最悪の展開だったのに、ラストではキングピンの「肩に手をおいて電気を流すというトドメ」につながります。
興行的にも大ヒットなので続編は作られそうですね。敵も味方もキャラが多すぎて不要に感じた者がいたのは残念でしたが、続編では東映版スパイダーマンや巨大ロボットのレオパルドン(見たことないけど)の登場も期待したいです!
私の評価 75/100(60が平均)
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