映画『スパイダーマン ホームカミング』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?敵の正体と目的は?
マーベル映画/MCU。スパイダーマンことピーター・パーカーはトニー・スタークに認められたくて街のトラブル解決を続けるが、ある悪人と関わってしまい…。ホームカミングの意味は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | スパイダーマン ホームカミング |
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日本公開日 | 2017/8/11 [予告] 上映時間:133分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Spider-Man: Homecoming |
監督・キャスト | ジョン・ワッツ(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/マーベル・スタジオ、コロンビア映画 |
日本興行収入 | 28.0億円 年間17位 |
世界興行収入 | 8.8億USドル [出典] |
製作費 | 1.8億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.21更新) 78(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | マーベル/MCU一覧 続編『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』30.6億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド。日本語吹き替え声優:榎木淳弥)特殊クモにかまれ能力を得た。両親を亡くし叔母のメイと暮らす
- エイドリアン・トゥームス/バルチャー(マイケル・キートン。大川透)アベンジャーズ戦の残骸処理会社の社長。トニーの組織により失業し兵器密売を始める
- ネッド・リーズ(ジェイコブ・バタロン。吉田ウーロン太)ピーターの親友。太っちょなオタク。椅子の人にあこがれ。プログラミングの実力はハッカー級
- リズ(ローラ・ハリアー。美山加恋)高校でピーターが気をかけてる女生徒。黒人ハーフ系。スパイダーマンのファン
- トニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr。藤原啓治)シビルウォーでピーターをスカウト後、気にかけてる
- ハッピー・ホーガン(ジョン・ファヴロー。大西健晴)トニーの運転手かつ助手的存在。ピーターのお目付け役だが…
ネタバレ感想『スパイダーマン ホームカミング』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督とトムホランド等のキャストについて
ジョン・ワッツ監督は、ホラー映画『クラウン』を手がけた後、ケヴィン・ベーコン主演の『コップカー COP CAR』で注目され、本作の監督・脚本に大抜擢され続編『スパイダーマン ファーフロムホーム』の監督も務めます。
ピーター・パーカーを演じる主演のトム・ホランドは、スマトラ地震の津波映画『インポッシブル』で子役ルーカスを演じて注目され『シビルウォー キャプテンアメリカ』からスパイダーマンとして初登場しました。
まだ子どもっぽさが残る顔やしぐさが、高校生ピーター・パーカーにぴったりです。MCU(マーベル・シネマティックユニバース)は強い女性ばかりなので、ピーターはヒロインや子役ポジションとしても貴重な存在です。
ヴィランのエイドリアン・トゥームス通称バルチャー役は、名優マイケル・キートンが演じます。『バットマン』も演じたので、アメコミ映画の経験は豊富です。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』ではアカデミー賞等多くの映画賞でノミネートや受賞しました。
気づけばピーターのそばにいる謎の女生徒ミシェル・ジョーンズ役は、人気ダンサーで音楽家のゼンデイヤが演じます。『グレイテストショーマン』にも出演してます。今回は出演シーン少ないけどストーカー的な存在感はあります。
ネッド役のジェイコブ・バタロン、リズ役のローラ・ハリアーはまだ経験は浅いけど今後が楽しみな俳優女優です。若いメイおばさんのマリサ・トメイもいい感じなので、今後重要な役になる可能性があります。
最新の続編は『スパイダーマン3/ノー・ウェイ・ホーム』です。
スタンリーのカメオ出演やトリビアキャラ?
アイアンマンシリーズから、トニー・スターク役のロバート・ダウニーJr、ハッピー・ホーガン役のジョン・ファヴロー、ペッパー・ポッツ役のグウィネス・パルトロウが出演しています。
ジョン・ファヴローは『アイアンマン』の監督でもあり、MCUの大功労者の1人です。ピーターの活動報告メールを煙たがったり、アベンジャーズ施設の引っ越し等で大忙しです。
マーベルコミックス原作者のスタン・リーおじいちゃんは、ほぼ全てのマーベル映画にカメオ出演しています。本作『スパイダーマン ホームカミング』でも、スパイダーマンが起こしたトラブルに苦情を言うクイーンズ地区の老人として登場します。
他のトリビアネタとして、スーツ・レディ(お姉さん)カレンの声優を、ジェニファー・コネリーが演じてます。ジェニファーは、アイアンマンのAIジャーヴィスの声優ポール・ベタニーと現実での夫婦です。彼はヴィジョンも演じてます。
武器取引してスパイダーマンの拡張尋問モードや女子みたいな声を笑った黒人の小悪党アーロン・ディヴィスは、ドナルド・グローヴァーが演じます。原作では「プロウラー」というヴィランで、クイーンズの甥マイルズ・モラレスは二代目スパイダーマンです。両者とも『スパイダーマン スパイダーバース』に登場します。
スパイダーマンのMCU合流は歴史的大事件?
スパイダーマン実写映画では6作目ですが、リブート版(作り直し)なので、世界も主人公も旧作と全くつながりのない完全新作です。3シリーズ目にしてピーターパーカーもメイおばさんもシリーズ史上最も若く、学園コメディの要素も強めです。
旧作シリーズでは、ピーター・パーカーが蜘蛛に刺されてスーパーパワーを発現させるシーンや、ベンおじさんが殺害されたり、ベンおじさんの「大いなる力には大いなる責任が伴う」の名セリフがあったけど、今回はカットされています。
MCU(マーベル・シネマティックユニバース)としては16作目ですが、ヒーロー誕生物語に近いので過去作観てなくても楽しめます。時間あるなら『アイアンマン』『シビルウォー キャプテンアメリカ』を先に見ておきましょう。
ところで「MCU」は映画会社ディズニーがマーベルコミックスを買収したことにより実現した構想なので、本来は別会社ソニーが製作するスパイダーマンは合流できません。しかし両社の歴史的合意により実現した、奇跡的な映画なのです。
学園青春コメディから真のヒーロー誕生物語?
MCU映画は飽きられないよう、様々なジャンルで展開されます。アイアンマンはSFマシンDIY、キャプテンアメリカは戦争や政治、ガーディアンズオブギャラクシーはSF宇宙コメディや音楽などです。
『スパイダーマン ホームカミング』は現在のMCUでは唯一の学生主人公なので、学園青春コメディです。特殊能力を身につけてヒーローを目指すピーターだが、本物の邪悪と戦う覚悟はできてないので「親愛なる隣人」止まりです。
トニースタークことアイアンマンに『シビルウォー』でスカウトされた後、トニーに認められたくて承認欲求を満たすため街の自警活動に取り組みます。すると世界のバランスを崩しかねない悪との戦いに巻き込まれます。
子どもも観れそうな学園ものなので、ヒーロー映画にしては戦闘アクションも少なめでヴィラン(敵)もこわくなく、それらを期待してた人には物足りないでしょう。その分、リズへの初恋のやりとりやネッドとの遊びっぷりは楽しいです。
ヒーローの後方支援の「椅子の人」にあこがれるネッドが、夢をかなえるサイドストーリーも好みです。中盤以降、ATM強盗のチタウリ兵器が知りあいのデリを破壊したり、拾った部品が爆発してエレベーターで死と直面したりと深刻度は増します。
リズの落下シーンは『アメイジング・スパイダーマン2』のラストを知ってると涙ものです。その後、フェリーを切り裂いて乗客を危険にさらしたり、リズの父親が正体を明かした時の恐ろしさで、視聴者とピーターの目を覚まし「真のヒーローとしての覚悟を問う」演出は見事です。
トニーからスーツを取り上げられたピーターが、トゥームスからも「覚悟ないならヒーローやめろ」と言われ、天井の下敷きになった後に「自分の力のみで脱出して真のヒーローとして覚醒」する姿は感動的で応援してしまいます。「ヒーローはスーツでなるものではない」というメッセージも感じます。
タイトル「ホームカミング」の意味は?
アメリカの高校の「ホームカミング・パーティ」とは、年度終了時に開催されるダンスパーティーイベントで、卒業生も招待できることからこの名称となっています。有名なカップルパーティー「プロム」よりはカジュアルだそうです。
「ホームカミング」の意味には、スパイダーマンがついにマーベルMCUに合流できたというダブルミーニングも含まれてそうです。
また、街の人々がいつも無事に家へ帰れるよう、身近な悪と戦う「あなたの親愛なる隣人」も表してるかも。終盤でトニーのスーツに頼らずバルチャーと戦う時、ヒーローとして目覚め「初心に戻った(ホームカミング)」意味もあるかも。
トニー・スタークが父になる物語?
トニー・スタークは、顔も頭もよく資産もある社長でモテるので、ちょい悪オヤジ(死語?)風キャラだけど、MCUでは最も真剣に地球の未来を考える、アベンジャーズの頭脳かつ父的キャラになっています。
本作ではさらに、男親のいないピーターの父親のような存在となり、ピーターも父性を感じてるようです。戦闘経験が多くて論理思考のアイアンマンと、まだ幼さの残る感情的なスパイダーマンは対照的ですが、相性は良さそうです。
トニーは世界中を飛び回ったりして忙しそうですが、何かとピーターのことを気にかけたり、やんちゃだったトニースタークが父性を発揮する展開は微笑ましくて大好きです。ラストでは、本当の父親になる可能性もでてきて楽しみです。
本作でトニーとピーターとの間で最も覚えておいてほしいエピソードは、序盤でシビルウォー後にハッピーが車で送るシーンで、トニーが車のドアを開けようとしたのを勘違いしてピーターがハグする場面です。後のMCU作品で生きてきますよ!
トゥームスも父役?中小企業はつらいよ?
マイケル・キートン演じるエイドリアン・トゥームスは、従業員を抱えて家族を養う中小企業の社長ですが、冒頭で間接的にトニーから仕事を奪われます。この展開には同情します。トニーとは紙一重で、立場が逆転してた可能性もあります。
モラルは低く手段を選ばない性格ですが、ただのヴィラン(敵)ではなく、基本的に一般人は傷つけないし、娘リズを救ってくれたピーターを一度は見逃してくれます。リズや妻から見ると、家族思いで立派に働き稼いで帰る父親です。
トニー・スタークのような「擬似的な父親」ではなく、アメリカでの典型的な「本物の父親」を体現しています。ピーターとは敵ですが「お遊びヒーローならここで手を引け」という教訓を伝えた、別の父親像すら見えてしまいます。
トニーはピーターからスーツを奪っただけで何も教えなかったけど、トゥームスは「仕事の本質」である家族を養うこと、時には命をかけることなどをピーターに間接的に教えたのです。その意味ではピーターのもう1人の父親役です。
終盤はサプライズの連続!
ラストが近づくにつれ、たたみかけるようにサプライズが連続します。リズと実は両思いだったピーターは、ホームカミングのペアとして誘い、正装して当日リズの家へ迎えに行きます。すると出迎えたのは、なんと宿敵トゥームスです!
リズが黒人ハーフっぽいのは、人種の多様性を表すとともに軽いカモフラージュにもなってたんですね。トゥームスは何度も家族の話をしてたのですが、それはリズと妻のことだったのです。
そしてトゥームスことバルチャーのねらいは、ピーターが電話しても忙しくて出られなかったハッピー・ホーガンが手配した「アベンジャーズ施設の引越し荷物」です。激闘の末、バルチャーは逮捕されますが、荷物は炎上してしまいます。
ラストでピーターを認めたトニー・スタークは、新スパイダーマンスーツとアベンジャーズへの新加入を提案するが、ピーターは試されてるとも思い辞退します。本当に報道陣を待たせてたトニーは、ペッパーとの婚約会見の場に変更します。
トニー・スタークは『アイアンマン』ラストでも「私がアイアンマンだ!」と正体を明かして関係者を驚かせたように、サプライズ記者会見が定番のようになってますが、ペッパーとの突然の結婚はうれしすぎます。
『アイアンマン』の2008年からトニーが用意してた婚約指輪を、無造作にポケットから取り出したハッピーこそ、『アイアンマン』を監督したジョン・ファブロー自身であることにも意義を感じます。
リズとの別れは悲しいけど、ゼンデイヤのミシェル・ジョーンズの正体が、旧作シリーズでおなじみの恋人「MJ」だとわかり驚きました。さらに帰宅したピーターがトニーから送られたスーツを着た時、メイおばさんに見られて終了します。
エンドクレジット前後のオマケ映像の意味は?
エンドクレジット途中、刑務所のエイドリアン・トゥームスにスパイダーマンの正体を教えろと話しかけてきたのは、フェリー取引で逮捕されたサソリ刺青のマック・ガーガンです。彼は原作ではヴィランのスコーピオンで、宇宙寄生生物ヴェノムの寄生先です。映画版『ヴェノム』では登場しなかったけど、今後の悪役になる可能性はあります。
エンドロール後、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)の教育ビデオ撮影風景が出てきて「忍耐がむくわれないと、がっかりしますね…撮影、あといくつ?」とだけ言って終わります。つまり、最後まで期待して待ってた人にも、特に重要なオマケ映像はないよという結末です。
映画『スパイダーマン ホームカミング』私の感想と評価
スパイダーマン実写映画としては最もライトで、学園青春コメディの要素を強くしてるため、アクションを重視するファンからは賛否ありそうですし、私も少し物足りなさを感じました。
しかし「遊びから本気になるヒーロー誕生譚」として、別会社ソニーのMCU参戦という歴史的に大きな一歩として、トニーが父になる物語としても、これ以上ないくらい素晴らしい仕上がりだと思います。
ピーター・パーカーのかわいさから、命をかけるヒーローへの目覚めまで、トム・ホランドが完璧に演じきっている点でも評価したいです。ネッド、リズ、トゥームス、ハッピー等、魅力的なキャラクター映画としても楽しめます。
ピーター・パーカーと、トニー・スタークの師弟の物語はこの後『アベンジャーズ インフィニティウォー』『アベンジャーズ エンドゲーム』から続編『スパイダーマン ファーフロムホーム』へ続くので、今から楽しみです!
私の評価 70/100(60が平均)
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