映画『ミッシング』感想ネタバレ考察/結末は?誰が何を失くした?娘は戻る?
娘・美羽が突然いなくなり、母親の沙織里は夫とのケンカが増える。失踪時の状況から、沙織里やその弟・圭吾に世間やマスコミの関心が向き、しだいに沙織里の言動にも変化が…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ミッシング |
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日本公開日 | 2024/5/17 [予告] 上映時間:119分 |
監督・キャスト | 吉田恵輔[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース映画/WOWOW、スターサンズ、SS工房 |
日本興行収入 | 5.0億円(興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | 79(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧 |
参考・出典 | 公式サイトWiki映画館 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 沙織里(石原さとみ)娘・美羽が失踪し人生が一変
- 圭吾(森優作)沙織里の弟。美羽が失踪する直前まで一緒にいた
- 豊(青木崇高)沙織里の夫。娘の失踪後、夫婦げんかが増える
- 砂田(中村倫也)地元テレビ局の記者。沙織里たちの取材を誠実に続ける
- 三谷(小野花梨)地元テレビ局の新人記者
- 不破(細川岳)地元テレビ局のカメラマン
- 村岡(柳憂怜)失踪事件の担当刑事
- 沙織里と圭吾の母親(美保純)
- 美羽/みう(有田麗未)失踪した沙織里の娘
ネタバレ感想『ミッシング』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作はオリジナル?監督とキャストは?
映画『ミッシング』は、監督・脚本の𠮷田恵輔によるオリジナル作品です。𠮷田恵輔が最近 監督・脚本した映画には『BLUE/ブルー』『空白』『神は見返りを求める』等があります。
主演の石原さとみは『進撃の巨人』『シンゴジラ』等に出演してますが、個人的には『そして、バトンは渡された』の役が好きです。
青木崇高は『るろうに剣心 最終章 The Final』『99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE』『ゴジラ-1.0』等に最近出演。
他、中村倫也、森優作、有田麗未、小野花梨、柳憂怜、美保純なども出演。演じるキャラは上を参照。
娘 失踪の経緯は?夫婦の温度差?
沙織里(石原さとみ)と豊(青木崇高)の夫婦は、失踪した6歳の娘・美羽のビラを配るが、3ヶ月前の事件で報道も少ないため人々の反応は微妙です。地元TV局の記者・砂田(中村倫也)は、沙織里の弟・圭吾への取材を依頼。
警察の捜査は進まず、沙織里は親身な地元TV記者に頼るしかない状況。美羽は、圭吾(森優作)と公園で遊んだ後、自宅までの300mで行方不明に。取材に応じた弟はつたない発言によりネットで容疑者扱いされ、車を傷つけられます。
沙織里は育児専念を経て、2年ぶりに推しアイドルコンサートへ行ったのに批判されます。ネットでの心ない書込みを読み、沙織里は精神的にやみます。冷静で現実的な夫とけんかが絶えないが、沙織里は夫の暗黙の活動を知ります。
以上が序盤あらすじ。失踪当時のドタバタが過ぎ、全国TV局が報道しなくなり警察捜査も進展なく、夫婦が疲れ切ってる状態から始まります。当時の状況を会話やインタビューで解説する手法は上手いし、早急に本題へ入れる見事な導入部。
沙織里と豊の夫妻ができることはビラ配りとネットでお願いすることくらいなので、地元TV局の取材は「最後の希望」になってます。特に親身な記者・砂田には信頼を寄せてるが、その上層部は失踪事件を「おいしいネタ」としか考えてません。
弟・圭吾はコミュ障で目撃車を取り下げたり、その後の行動が不明だったりと疑問点だらけ。弟の真相は後に明らかになるが(後述)警察は把握してたようです。
推しコンサートへ行っただけで育児放棄扱いされる母親はかわいそうだが、現実では虐待する親もいるので第三者が判断するのは難しそう。今回の石原さとみはしっかり育児してきた母親なので、たまの息抜きで批判されるのはせつないですね。
ゲスはマスコミか弟か?沙織里が狂乱?
地元TV局の上層部は視聴率第一なので「弟を容疑者」にしたり「沙織里が育児放棄してBlankコンサートに行ってた」事を強調しようとするが砂田が止めます。一方、砂田の後輩は、地元町長の不正を派手に暴いて全国局へ栄転。
砂田は美羽の誕生日を撮影したいと申し出るが選挙日と重なり無理となると、沙織里は前倒し開催を提案。夫は困惑。TV報道局は弟・圭吾が深夜に帰宅する証拠を入手。TV局しか頼れない沙織里は圭吾の部屋前で怒鳴って弟を取材へ連行。
圭吾は最後に美羽と別れた後、違法カジノに深夜まで行ってたと告白。その報道は砂田が制止。ロングインタビューの沙織里の発言「何でもないような事が幸せだったと思う」をカメラマンが「THE 虎舞竜」の歌詞とちゃかして沙織里は号泣。
その時「美羽が保護された」と電話があり、歓喜して警察へ出向くがいたずら電話と判明し沙織里は絶望し失禁。それを撮影しなかった砂田をカメラマンが残念がります。圭吾はカジノ行きが報道されると職を失い、絶交した姉から何度も「死ね」と…
以上が中盤あらすじ。TV局が視聴率至上主義なのは、従業員の幸せも優先しなきゃいけない民間企業なので仕方ないのでしょう。だからこそ視聴率を追わないNHKが活躍してほしいのに本件では出てきません。現実はどうなのでしょうか。
本作は「ある少女の失踪」を取り巻く「母親」「夫や妻の弟や母」「マスコミ」「警察」「ネット・SNS」「他の第三者」のありそうな言動をうまく描いてる点で秀逸です。マスコミは協力する点ではネットよりましだが、被害者の顔を見ながらだますのでネット以上にサイコパス的。
特にゾッとしたのは、「美羽ちゃんのため」と親身な砂田が、実は「沙織里の女性性」にひかれてるとわかった瞬間。もちろん協力したい気持ちは本心だろうけど、仮に沙織里がタイプじゃなかった場合、あれだけ親身になったかはあやしそう。
弟・圭吾が違法カジノへ行ってたのは論点がそれてるが、マスコミとネットはもっと小さな罪でも叩いてくるだろうから大小の違いだけかと。悪質ないたずら電話が本作で最も悪と感じたので、裁かれるシーンを見たかったかも。
結末は?タイトルの意味?誰が何をなくしたのか?
近い町で少女が行方不明になり、同じ犯人を疑った沙織里は共同ビラを作成し配布を手伝います。犯人が逮捕され少女が戻ると、沙織里はよかったと号泣。
失踪から2年後。有力な手がかりはなく、夫は職場の寄付金を失くしたりしてビラ印刷を半分に縮小。弟・圭吾は新しい仕事中、美羽に似た少女を見かけ部屋をのぞき不審者として逮捕されます。迎えに行った沙織里は、弟が幼少期に誘拐未遂にあってたことを知り、謝罪した弟と和解。
娘の誕生日ケーキの購入をSNSで批判され、沙織里たちはネット誹謗中傷で訴えて勝訴。沙織里は農園パートの合間、小学生の見守りボランティアも。美羽は最後まで見つからないがビラ配りは継続。以前誘拐された少女と母親が感謝に来て、何でも手伝うと声をかけてくれ、沙織里と豊は涙します。
以上がラストまでのネタバレあらすじです。「ミッシング」というタイトルの意味は「娘をなくしたこと」だけでなく「心をなくした人々」によるネット・SNSや視聴率至上主義のテレビ局・マスコミに対して向けた批判や皮肉かと。
事件から2年もたつと、さすがに世間的には風化してもっと大きな最新事件の方に関心が向くでしょうね。しかし当事者にとっては「娘探し」が終了することはなく、もはや日常化していくのかも。一方で継続的な資金問題は大きくなりそう。
良いか悪いか、両親は精神的に打たれ強くなり、ネットの誹謗中傷も泣き寝入りではなく反撃に転じます。混乱と狂気に満ちてた感情は冷静さを取り戻し、大きな責任を感じながら死んだように生きてきた弟とも和解できたのは時間のおかげか。
類似事件の被害者や、農園パートで冷たく接してしまった女性が協力に来てくれた光景は、この世が「心をなくした人たち」だけではない光を示してくれ、夫の涙をもらい泣きしました…
映画『ミッシング』ネタバレ感想と私の評価
当初はミステリー映画かサスペンスだと思い初日に観たのですが、想像以上に石原さとみの狂気演技に圧倒されてしまい、真相や真犯人を追う物語でないとわかっても最後までひきこまれました。森優作、青木崇高も相乗効果で引き上げられてた印象。
『ミッシング』というありきたりなタイトルはネットで埋もれそうと心配したが「娘をなくした」だけでなく、マスコミやSNSでの「心をなくした人々」に焦点を当ててる点で現代的であり、視聴後は良きタイトルだと納得。
マスコミ内で「心ある人」が出世できないジレンマをもっと深堀りしてほしい気もしたが、本作の軸ではないのでこの程度で充分だったのかな。中村倫也、小野花梨はさすがの安定感。
石原さとみを初認識したのは『シンゴジラ』でその後観た『進撃の巨人』で演技幅の広い女優と思ったが、世間的には恋愛ドラマヒロインの印象が強いのかな。個人的な石原さとみベストは作品的にも大好きな『そして、バトンは渡された』だが『ミッシング』は超えていくかも!
私の評価 72/100(60が平均)
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