『ターミネーター2』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?機械にも父性や良心?新型の弱点は?
ターミネーターシリーズ2作目。前作の後、サラ・コナーは審判の日に備えて息子ジョンを育てるが、その後精神病院へ入ることに。再び未来からターミネーターが送られるが、なんと2体も…。サラは息子を守れるか?よき未来への作戦とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ターミネーター2 |
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日本公開日 | 1991/8/24 [予告] 上映時間:137分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Terminator 2: Judgment Day |
監督・キャスト | ジェームズ・キャメロン(キャスト) |
映倫区分 | 日本:R15+(15歳以上) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | トライスター・ピクチャーズ、東宝東和/パシフィック・ウエスタン・プロダクション、ライトストーム・エンターテイメント |
日本興行収入 | 87.9億円 |
世界興行収入 | 5.2億USドル [出典] |
製作費 | 1.0億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 85(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ターミネーター映画一覧 続編『ターミネーター3』82億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- サラ・コナー(リンダ・ハミルトン。駒塚由衣)前作でターミネーターT-800から逃げ切った女性。精神病院で過ごしてる
- ジョン・コナー(エドワード・ファーロング。田中真弓)サラの息子。未来の対スカイネット抵抗軍のリーダー
- ターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー。津嘉山正種)未来からのマシン兵器。前作と容姿は同じだが別サイボーグ
- ターミネーターT-1000(ロバート・パトリック。佐古雅誉)未来からのマシン兵器。最新型で液体金属で自在に変身できる
- マイルズ・ダイソン(ジョー・モートン。金尾哲夫)サイバーダイン社の開発部長。前作マシンの部品から新技術を開発中
ネタバレ感想『ターミネーター2』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督と主要出演者やアカデミー賞受賞
監督のジェームズ・キャメロンは『スターウォーズ』を観て映画制作を始め、前作『ターミネーター』の脚本を持ちこみ自ら監督して大ヒットさせました。本作はその続編となります。
前作でターミネーターを演じたアーノルド・シュワルツェネッガーは続投ですが、今回は守る立場で後半は少しずつ人間らしい演技も見せてくれます。暗殺マシンT-1000のロバート・パトリックは、非マッチョだが冷徹さを見せてくれます。
気楽なウェイトレスだったサラ・コナーは一流戦士に成長し、現実のリンダ・ハミルトンが女優として歩む道を決定づけたように思えます。また、ジェームズ・キャメロン監督とは結婚の後、離婚しています。
ジョン役のエドワード・ファーロングは美少年としてブレイクしますが、その後の人生を考えると本作『ターミネーター2』の時がピークだったようです。現在まで薬物やアルコール依存症や女性問題などで何度も逮捕されてるのが残念です。
本作『ターミネーター2』は、米国アカデミー賞で視覚効果賞、メイクアップ賞、音響効果賞、録音賞を受賞し、撮影賞、編集賞にもノミネートされました。
文句なしの続編!見どころはアクションや親子愛?
前作『ターミネーター』は低予算なB級映画ながら、魅力的なSF設定、ゾンビのようにしつこく追うアンドロイドのホラー的な怖さ、出生の秘密に関わる衝撃の事実、普通の女性の戦士への成長など今でも高く評価される映画です。
その続編はハードルが高かったでしょうけど、期待以上の本作を作り出したジェームズ・キャメロン監督はさすがです。予算も上がったため、最新CG技術での液体金属マシンや派手なカーチェイスやアクションは格段にパワーアップしています。
前作のような一発勝負のトリッキーな出生の秘密とかは使わず「平和な未来を築くために現在できること」を遂行していく点も好感が持てます。成長したサラが息子ジョンを守り、T-800とジョンが父子関係になる部分も素晴らしい脚本です。
サラコナーが精神病院にいる理由は?
サラ・コナーは前作ラストでメキシコの地に渡り、人類とスカイネットとの核戦争勃発の「審判の日(1997年8月29日)」に備えて武器を集めたり訓練したりしました。息子ジョンを産んで成長させると、彼の訓練なども行ったようです。
サラは人類滅亡の元凶となるスカイネットを生みだしたサイバーダイン社を爆破しようとして未遂事件で逮捕され、言動が常識はずれなので精神病院に収容されました。
それにしても患者を非人道にあつかうし、暴力的だし薬品使いすぎだし、セクハラ日常茶飯事ぽいし、とんでもない病院で不快です。当時はこんな精神病院が多かったのでしょうか?
2体のターミネーターを送りこんだの誰?
ジョン・コナーを抹殺するために未来から現代にT-1000を送りこんだのは、人工知能スカイネットと機械軍です。機械側は、未来で人類側に敗北しそうなので、人類軍を率いてる優れたリーダーのジョン・コナーを過去で消そうと考えたのです。
T-1000は液体金属でできた新型サイボーグで、触れたものには何にでも変身でき話し方まで同じになります。通常の物理攻撃は全くきかず何度でも再生できます。同じ大きさや容量の範囲で、単純な武器や物なら体の一部を変形させられます。
ジョンを守るためにT-800を送りこんだのは、人類軍やその指導者ジョン・コナーです。前作の敵の外見と同じ設定なのが素晴らしいです。サラには恐怖の対象として記憶されてるので。人類が旧型をやっと機械軍から手に入れたのでしょう。
T-800の性能は前作と同じです。現代の銃器や刃物類で傷つけることはほぼ不可能です。視力や聴力に匹敵するセンサーはかなり優秀で、武器や乗り物の使い方も熟知してます。一度聞いた人の声や話し方をマネることも得意です。
サラが最悪の未来を止める方法とは?
サラ・コナーは、T-800から「人類を滅ぼそうとするスカイネットを作り出した中心的人物はマイルズ・ダイソン」と聞いて1人でダイソン家へ乗りこみますが、妻子もいたため自分の境遇と重ねたのか殺害できませんでした。
もしサラ・コナーが未来のためにマイルズ・ダイソンを殺害していたら、前作でターミネーターがサラを抹殺しに来た理由と同じ(真逆だが)ことになったところです。
結局、合流したジョン・コナー、T-800と共にサイバーダイン社を襲撃して、前作のターミネーターの部品(CPUチップと機械の腕)を奪い取って破壊します。強行突破してきた警官隊の流れ弾で、ダイソンが亡くなったのは悲劇ですね。
T-800がジョンの父役に?感情を持てるのか?
本作『ターミネーター2』では、息子ジョンに対するサラ・コナーの母性や親子関係以上に、ジョンがT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)に抱く父親感について描かれます。話せる父のいなかったジョンが初めて父を感じたのです。
それに呼応するように、人工AIなので不器用ですがジョンがぶつけてくる感情に答えようとするT-800にも、やがて父性のような感情がわいてきたようです。ラストでは泣くことや良心について語り、ジョンとの別れは本当に名残惜しそうです。
スカイネットは人類の敵か味方か?
未来のスカイネットが人類の敵であることは明白です。しかし人類の指導者ジョン・コナーやサラを殺害するためにタイムマシンを造り出し、カイル・リースが過去へ行ってジョンが産まれ、サラ・コナーを警戒させて強くしたのは皮肉です。
本作では、ジョン殺害に向かったT-1000に対抗して派遣されたT-800がダイソンの名をサラに教えることにより、サイバーダイン社がスカイネットを造り出す未来を消し去りました。スカイネット自身が自分の首をしめたことになります。
そもそもターミネーターシリーズのタイムトラベル描写は「未来が分岐して複数の世界線」になるのか「1本の世界線のみ」なのか不明ですが、都合よく両方をミックスさせて面白さを重視してる感じです。
『ターミネーター2』私の評価と続編
低予算だが評価の高かった『ターミネーター』を、アクション面だけでなくストーリー面でも上回り「親子愛や父性」「人工知能の良心」にまでふれた本作は、公開から数十年後でも十分楽しめる傑作だと思います。
確かにVFX技術に見劣りする部分はあるけど演出や見せ方でカバーできてます。T-1000をT-800より強いだけのアンドロイドにせず、液体金属という斜め上のアイデアで勝負してきたジェームズ・キャメロンはさすがです。
強い女性・戦う女性の象徴にもなるリンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーが、前作最初でのウェイトレスとは別人に見えるほど成長しているのも見どころです。恐怖の象徴だったT-800がたのもしい点と合わせてギャップ演出が見事です。
本作『ターミネーター2』の大ヒットを受けて、ターミネーターシリーズは3,4,ジェニシスと3作公開されましたがいずれも高い評価は得られませんでした。2019年には本作T2の正統な続編としてジェームズ・キャメロンとリンダ・ハミルトンが復帰する新作『ターミネーター ニューフェイト』も公開されるので期待したいです!
私の評価 76/100(60が平均)
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