『ターミネーター ニューフェイト』ネタバレ感想/ラスト結末は?サラとジョンの未来は?新しい敵の能力は?
ターミネーターシリーズ6作目だが『2』の正統続編。審判の日が回避された未来。メキシコ人女性ダニーの命をねらう者と守る者が現れ、壮絶な戦いが繰り広げられるが、そこへ謎の女性が登場し…。ダニーがねらわれる理由は?未来の敵は誰?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ターミネーター ニューフェイト |
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日本公開日 | 2019/11/8 [予告] 上映時間:128分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Terminator: Dark Fate |
監督・キャスト | ティム・ミラー(キャスト) |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | 20世紀フォックス/スカイダンス・プロダクションズ、ライトストーム・エンターテインメント、テンセント・ピクチャーズ |
日本興行収入 | 23.5億円 年間23位 |
世界興行収入 | 2.6億USドル [出典] |
製作費 | 1.9億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 66(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ターミネーター映画一覧 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ダニー・ラモス(ナタリア・レイエス。高垣彩陽)メキシコの少女。なぜか命をねらわれるが…
- グレース(マッケンジー・デイヴィス。坂本真綾)未来から来た謎の女性。かなり強い
- REV-9(ガブリエル・ルナ。小松史法)未来から来た謎の男性。ターミネーター?
- サラ・コナー(リンダ・ハミルトン。戸田恵子)人類をスカイネットから守った英雄
- ジョン・コナー(エドワード・ファーロング)サラのひとり息子
- T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー。玄田哲章)スカイネットが未来から送りこんだターミネーター
ネタバレ感想『ターミネーター ニューフェイト』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
キャメロンとリンダと監督や出演者や吹替声優
『ターミネーター』『ターミネーター2』の生みの親ジェームズ・キャメロンに「ターミネーター」の製作権利が戻り、プロデューサーとして制作側で参加してるため「正統な2の続編」と宣伝されています。
ジェームズ・キャメロンは、『デッドプール』を監督してヒットさせたティム・ミラーを監督に選びました。同じアクション映画ではあるけど、コメディとはほど遠い『ターミネーター』との相性は未知数です。
主役ダニーのナタリア・レイエスはまだ日本ではなじみがないけど、テッサ・トンプソンや若いミシェル・ロドリゲス等を連想させるようなラテン美女で、かわいさと強さが同居したような今後が楽しみな女優です。
ダニーを守る強化人間グレイスを演じたマッケンジー・デイヴィスも出演作はいくつか観てますが、こんなに活躍する姿は初めてです。REV9のガブリエル・ルナと同様に、アクション演技は素晴らしく、魅力を感じられたのでまた見たい俳優です。
本作『ターミネーター ニューフェイト』で最も話題のサラ・コナーことリンダ・ハミルトン復帰に関しては大成功だと思います。T2以降、あの辛い過去を乗り越えた女性として違和感なかったです。この部分で正当な続編と言えそうです。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、T2以降のターミネーター・シリーズにも出演してましたが、今回はまた違った世界線での役のようです。ターミネーターが老ける謎は明確に説明されませんでしたが。
1回目は日本語吹替版を観ましたが、ディズニーのようにタレント声優を多用してないためか、全く違和感なく素晴らしいデキでした。ただ、名セリフ「I'll be back.」をどこで言ったのかわかりづらいので字幕をつけてほしかったです。
『ターミネーター2』の正統な続編に見えたか?
派手に宣伝してるとおり本作は、28年前公開の名作『ターミネーター2』の正統な続編です。その真意は、権利関係が生みの親ジェームズ・キャメロンに戻り、女優リンダ・ハミルトンが復帰出演してるからです。
結論から言うと、ターミネーターシリーズの3,4,ジェネシスの3作と比べると、一番正統な『2』の続編だと思います。特にサラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンの登場やしつこいターミネーター演出は『2』の延長線上だと感じます。
一方、冒頭でターミネーターT-800(若いアーノルド・シュワルツェネッガー)が、ジョン・コナーを殺害したのは失望しかありません。個人的には、ジョンのいる未来を正統な続編として見たかったです。ただ、若いエドワード・ファーロング(CG)を見れたのはよかったです。
ターミネーターREV-9とグレイスの正体とは?
『ターミネーター2』でのサラ・コナーとジョンの活躍により、1997年8月29日に「審判の日(Judgement Day)」はおとずれず、人類と人工知能スカイネットとの核戦争も始まらなかったが、以前の未来から送られたT-800がジョンを殺害します。スカイネットはないのにT-800が存在し続けるのはパラドックスに思えるけど「未来が分岐した」と考えていいのでしょうね。
その22年後、メキシコで暮らすダニエラ・ラモス通称ダニーを殺害するため、ターミネーターREV9が未来から送られます。REV-9の正体は、未来の人工知能リージョンが送りこんだ最新型ターミネーターです。
REV-9の皮膚は液体金属で、武器や触れたものに変身でき、物理的な攻撃は全くきかず何度も再生できます。内骨格は金属炭素でT-800以上の耐久度と攻撃力です。かつてスカイネットが作り出した、T-800とT-1000の性能を合わせ持っています。
ダニーを守るグレイスの正体は、人間ですが一部を機械化した強化人間で、未来の抵抗軍がダニーを守るために送りこみました。グレイスの身体能力や視力や聴力などは、T-800並みか上回ります。
対ターミネーター用の強化人間で瞬発力を極限まで拡張してるため、消耗もはげしくてすぐ高熱にさらされます。常に特定の薬品類の注射や水分が必要です。ダニーを守るためなら命もなげうつ覚悟です。
ターミネーターの性別は1と2作目を継承して男性タイプです。守る側が女性なのはマンネリ感をなくすため以外に、ダニーの愛する人になるという1作目の繰り返しを避けるためかと思います。ただ、ダニー、グレイス、サラの強い女性3人が並ぶのは今風とはいえ少し単調にも思えます。
ダニーがねらわれた理由とは?グレイスの関係は?
普通のメキシコ人女性ダニーの命がねらわれた理由は、未来の抵抗軍を作って指揮するリーダーだからです。未来の人類を滅ぼそうとする人工AIリージョンが、人類の指導者ダニーを過去で抹殺しようとしてREV-9を送りこんだのです。
その未来での「審判の日」や核戦争後、両親を亡くしたグレイスが悪い人間に食料を奪われそうな時、強く成長したダニーが現れて救ってくれます。ダニーは倒した人たちを機械軍と戦う仲間にもして、やがて軍隊を築いたのです。
サラ・コナーだけは自分の経験から、グレイスが未来からきた理由を「ダニーの子宮つまり子孫」を守るためだと推測します。しかし実際にはダニー本人こそが指導者になったのだとラストで判明します。
この設定じたいは1,2作目とほぼ同じなので、ターミネーターファンには受け入れられやすそうです。しかし、全くひねりがなく意外性もない同じストーリーをまさか見せられるとは、ジェームズ・キャメロンには少し失望しました。
サラが現れた理由は?T-800の今は?
ターミネーターシリーズで恒例のカーチェイスですが、今回前半は速いタイプのブルトーザー等に追われた後で転倒します。液体金属と骨格金属に分離したREV-9に迫られ絶体絶命のダニーらを、サラ・コナーがかっこよく現れて救います。
サラがタイミングよく現れた理由は、誰かが位置情報をメールしてくれたからです。ジョンの死後、何度も送られてきたメールによるターミネーター狩りを、サラは生きる目的としていたのです。
その後のサラの同行理由が「この時代の監視カメラや携帯スマホからの身の守り方を熟知してるから」と言ったのは違和感あります。グレイスほどの認知能力があれば回避できそうです。ただ結局は、サラの戦力は大いに役立ちます。
サラが追跡不可能だったメールの送り主をグレイスは簡単にあばき、しかも「困ったらここに行け」と未来で(ダニーに?)教えられた場所と同じなのです。そこには、22年前にジョン・コナーを殺害したターミネーターT-800が住んでます。
ジョンのかたきのT-800を倒そうとするサラの行動は当然だと感じます。しかし人間の母子と一緒に暮らすうちにT-800には良心が芽生えて穏やかになっています。ターミネーターの良心の発生は『T2』のラストでもふれられてました。
ついにアーノルド・シュワルツェネッガーの登場でアガるシーンですが、予告編どおりなので見なければよかったと後悔です。その後の戦いでもT-800らしさが観られ、いないと敗北してたけど、彼が登場する意義は薄かったとも感じます。何かロジカルな理由があればよかったのですが。
イクメンやカーテン屋という設定や、サラに言い訳するシュワちゃんはかわいいです。サラも「カールなんて絶対呼ばないからね!」とツンデレ風ですが、ラストでは恒例の涙の別れです。
生き残った者は?ラストバトルの決着法
これまた恒例ですがラストバトルは何かの工場です。ターミネーターREV-9は液体金属と骨格金属の2体に分離できるので、4人(実質3人)での総力戦でも苦戦します。『T1』のラストのプレス機のネタは、本作序盤でオマージュされてました。
『T2』では液体金属に有効な液体窒素や溶鉱炉が登場しました。本作『ターミネーター ニューフェイト』では、回転機械装置に巻きこんで液体金属を破壊しますがその原理はよくわかりません。飛び散ってもまた再生できるのでは?
骨格金属はT-800に近いのに、シュワちゃんT-800とグレイスが倒れサラ1人では苦戦し、あわやダニー危機一髪です。そこでグレイスが伏線として話してたエネルギーコアを、ダニーが涙ながら取り出し、グレイスの命が終わります。
『T2』ラストでサラ・コナーが、ターミネーターT-800を破壊するボタンを涙しながら押したシーンのオマージュですね。最後はそれをダニーが刺し、T-800がダニーを守って自己犠牲で爆発させて骨格金属を倒せます。
生き残ったダニーとサラ・コナーは、車でハイウェイを走り去ります。運転できなかったダニーが運転席にいるのは成長のあかしですね。ターミネーターはまだ送られてくるでしょうけど、今度はサラが守ってくれそうです。
アクションは最高!戦闘が暗く見づらい?
VFX技術の進歩したアクションシーンはかなり楽しくて「SFでまじめなワイルドスピード」という感じです。ターミネーターシリーズはカーチェイスが見どころですが、今回はドローンやヘリや空軍機なども登場して飽きさせません。
グレースが鉄筋を槍投げしたり空軍機内での無重力バトル、格闘戦もバリエーションが多くて退屈はしなかったです。巨大ダムや滝にのまれて戦うアクションも他映画で既視感あるけど、水中戦闘は新鮮でした。未来のタコ風ターミネーターも新しいです。
一方で、未来戦争の様子をあまり見せなかったり、後半のバトルシーンが暗すぎたり、戦闘が見づらかったのは予算のせいなのでしょうか。暗かったりキャラの立ち位置やカメラの方向が定まらないのは、バトルシーンでは致命的だと思います。
『ターミネーター ニューフェイト』私の評価と続編
T2の正統な続編というには弱いけど、バトル・アクション映画としてはかなり見ごたえあります。空軍機内での無重力に近い状態での戦いやラストバトルには大興奮です。もう少し見やすければ映画史に残りそうなくらいですが。
ただ、ストーリーは単調で、2作目の焼き直しどころか、1作目の意外性すら越えてません。リージョンの正体や、現代からのつながりが一切明かされなかった点にも不満です。今流行のエンドロール後は何もなく期待はずれでしたし。
三部作の構想や続編の可能性もあるようですが、興行収入的には厳しそうで製作費などの回収も難しい場合は作られないでしょう。シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、ジェームズ・キャメロンの年齢を考えると5年以内がリミットですね。「人類が失敗しない未来」になる続編を期待したいです!
私の評価 70/100(60が平均)
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