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映画『藁の楯 わらのたて』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?裏切り者は誰?低評価のわけ?

藁の楯 わらのたて 映画/ドラマ

幼女殺害犯の清丸国秀は、10億円の懸賞金がかけられるとと警察に出頭し福岡から東京へ移送されることに。全国民が敵の中、警察官も守りきれず…(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題藁の楯 わらのたて
日本公開日2013/4/26 [予告] 上映時間:125分
監督・キャスト三池崇史
キャスト
出演者
大沢たかお、松嶋菜々子、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗、余貴美子、藤原竜也、山崎努
映倫区分日本:G(年齢制限なし)
配給/製作
(画像出典)
ワーナー・ブラザース映画/OLM
日本興行収入18.3億円 興行収入ランキング
世界興行収入0.1億USドル [出典]
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.22更新)
66私の評価は含まず)
シリーズ
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ネタバレ感想『藁の楯 わらのたて』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

映画『藁の楯 わらのたて』ネタバレ感想や評価

公開当時も賛否両論だったようで、見終わった後の評価が難しい映画です。終盤のつっこみどころがなければ、個人的には80点以上つけたくなる映画なのに、残念でなりません。最後、予算が足りなくなったのでしょうか。後半だけ違う監督で作り直してほしいです。

前半の蜷川の大物ぶりや、その懸賞金により国民全員が敵となる展開は、見事に引き込まれます。そして藤原竜也のクズっぷりも素晴らしいし、大沢たかおと松嶋菜々子のプロのSPぶりも期待できます。機動隊や警察官たちが恐ろしい存在になるってのも、ホラー映画みたいで好みです。

タンクローリーでの炎上や新幹線内でのヤクザとの銃撃戦なども、邦画の域を超えたアクションシーンで素晴らしいです。三池崇史監督は『十三人の刺客』のアクションも見事なので、その場面だけ撮らせれば最高の監督かもしれません。ちなみに新幹線の上でのヤクザとの戦闘は『ウルヴァリン SAMURAI』でもあります。

好きな部分と、つっこみ部分が両方とも多すぎて、議論は呼びやすいけど、観た後に人に勧めたくはならないのが残念です。こういう映画を続けて観ると、邦画は映画館では観なくていいかな、とも思ってしまうので最後までプロ意識を持って制作してほしいです。この作品はハリウッドリメイクも計画中だそうなので、そちらは期待したいです。

おすすめ7ポイント

少し残念8ポイント

藁の楯 わらのたて 映画/ドラマ

『藁の楯わらのたて』ネタバレあらすじ解説

7歳の少女の暴行殺人事件が発生し、警察では容疑者として、8年前にも少女暴行事件を起こし服役して最近出所したばかりの、清丸国秀(藤原竜也。きよまる くにひで)を手配しますが、3ヶ月間捜査は難航します。そんな時、少女の祖父の蜷川隆興(山崎努。にながわ たかおき)が清丸に10億円の懸賞金をかけます

清丸を殺害した者には、10億円を支払うという広告を全国紙やネット上に掲載します。すると清丸をかくまっていた田中という男が、金に目がくらんで清丸を殺そうとしますが、清丸は逃げ切って身を守るために、福岡警察署に出頭します。そこでも警官や看護師に殺害されそうになります。

清丸は東京の警視庁へ護送されるため、異例ながら2人のSP、銘苅一基(大沢たかお。めかり かずき)と白岩篤子(松嶋菜々子。しらいわ あつこ)が付けられ、、警視庁捜査一課から奥村武(岸谷五朗)と神箸正樹(永山絢斗。かんばし まさき)、福岡署から関谷賢示(伊武雅刀)も護送の任に当たります。

冒頭から見逃せない展開がつづくので、先の話が気になります。藤原竜也のクズぶりも素晴らしいし、山崎努の大金持ち感、大沢たかおと松嶋菜々子のプロのSPっぽさなども期待させます。護衛のプロでもない警視庁捜査一課から派遣されてるのはおかしいのと、ヘリ護送しない理由が気になったけど、これには目をつぶれます。

距離と安全面から飛行機で移送する予定でしたが、整備士が飛行機に細工して清丸を殺害しようとしたことが判明して、陸路での移送に変更となります。圧倒的な武力を見せつける威圧型移送として警察車両数十台で護送します。しかし銘苅は「最もこわいのは訓練されて武器を持つ警察官」だと見抜いています。

蜷川は清丸殺害容疑で捕まった田中にも1億円与えると宣伝したため、清丸をねらう人は急増します。護送車集団にニトログリセリンを積んだタンクローリーが突撃して大炎上し、移送はストップします。そこへ警視正の指示を偽った警官2人が来て、清丸を撃ちますが、銘苅が盾になって守ります。防弾チョッキで助かります。

銘苅の案で護送車は偽装として東京に向かわせ、5人の護衛と清丸だけで新幹線で秘密裏に移送することになりますが、清丸サイトでは車両まで特定されて、5人のうち誰かが現在地を教えてる可能性が疑われ、お互いにボディチェックします。その後、ヤクザが乱入してきて銃撃戦となり神箸が殉職します。

神箸は「あんなクズのために、なぜ俺たちが命かけなきゃならいんだ」と言って死んでいきます。新幹線は新大阪まで移送して乗客を全員降ろして、それにまぎれて清丸を連れ出そうとしますが、1人の男が少女を人質にとって清丸を要求します。関谷が説得しますが失敗し、犯人を射殺して事情聴取のため連行されます。

車内では白岩(松嶋菜々子)が清丸(藤原竜也)を銃殺して少女を救い、10億円を皆でわけようと提案しますが、奥村(岸谷五朗)に反対されあきらめます。銘苅(大沢たかお)を含む3人の護衛は、車両から他の警官を追い出し、車掌をおどして新幹線を東京へ向かわせます。

つっこみどころはあるけど、ここまではまだ緊迫感がまさっていて、邦画にしてはアクションシーンにも迫力があり、クズを命がけで守る葛藤も掘り起こされてくるので、見ごたえあります。タンクローリーをぶつけてきて大炎上も洋画としてはありがちですが、邦画で見れたのは意外です。ただ運転手は確実に死ぬので現実的ではない気がしますが。

神箸がヤクザを見抜けず挑発するのは、警察官としては未熟すぎるし、防弾チョッキも着てないのはおかしいですが、あの状況ではいずれにしろ射殺されてたでしょう。清丸に銃を向ける白岩の意図はわかりませんが、本気ならあそこで止めることはできなかったでしょうね。奥村を試す目的もあったのでしょうか。

関谷に射殺された男や、逮捕された関谷、殉職した神箸などは、クズな少女連続殺人犯の清丸を守るために命や人生を棒にふります。確かにそこまでして清丸を守る意味があるのかは、映画を見てても判断に迷いますが、この私刑を放置すると、法治国家としての存続も危ぶまれるので、やはり守るしかないのでしょうね。

新幹線は名古屋駅を過ぎて東京まであと1時間半の所で、障害物により急停車し先へは進めなくなります。護衛3人と清丸は列車を降りて夜通し歩きます。通りがかった車のドライバーをおどして助手席に乗せ、車で東京へ向かいます。その途中、ドライバーが清丸を殺そうとしたので、護衛3人が守ります。

その運転手の男(高橋和也)は清丸の1人目の犠牲となった少女の父親だったので、白岩は「清丸を殺すなら、この人が最もふさわしいのでは?」と銘苅に提案しますが一蹴されます。そして位置を知られたことで、護衛3人の誰かが裏切ってることがわかり、奥村の手に位置追跡GPSのマイクロチップが見つかります。

奥村は清丸の位置を流し続けると10億円もらえると持ちかけられたそうです。奥村は銘苅に「清丸の命は守る価値はない。出所すればまた違う少女が殺されるぞ」と言います。任務を離脱した奥村は警察に「清丸が銘苅と白岩を人質にとって逃走中」というニセ情報を流して、清丸の射殺許可が出されます。

新幹線をとめて、降りた清丸をねらうという考えは容易に思いつくのに、全く警戒してない銘苅たちはどうかしてると感じます。殺人犯の清丸を守るために、被害者の父をなぐれる銘苅にも納得できないです。「仕事に取りつかれてる」以外の異常性を感じます。白岩や奥村の方がより人間的に感じてしまいます。

実は銘苅の上司もその上層部も、移送前に既に蜷川により買収されてて、子どものいる白岩や犯罪を憎む銘苅の人選も計画されたものでした。銘苅は一般車両を確保しようと探しますが、そのすきに清丸に「あそこに誰かいる」と言われた白岩が目を離して、清丸を逃してしまいます

清丸は逃げながらも、民家に幼女を見つけて、忍び込もうとしますが、銘苅に捕まります。白岩は清丸に銃を向けますが、銘苅が盾になり「10億円をもらうのは、白岩のプライドが許せないだろ?」と言われて撃つのをやめます。通りがかったタクシードライバー由里千賀子(余貴美子)が親切にも乗せてくれます。

由里はTV報道をよく見てて、これまで清丸を殺そうとした警官や看護師や男が、借金などですぐお金がほしい人たちだったと話します。タクシー料金はもらいますと言いながら、由里はいつの間にか降りてて、検問は白岩がタクシードライバーで銘苅が客のふりして、清丸はトランクに入れて通過できます。

このあたりから演出が雑になります。まず警察上層部は本気で清丸を殺したいのなら、もっと他にやりようはある気がします。清丸から目を離し逃げられた白岩は、全くプロのSPには見えません。一般人が殺しに来たスキに逃げられた、ってことにすればいいのに、完全に脚本家や監督の演出ミスですね。

銘苅のように理性で欲求を制御できるタイプの人間として、タクシードライバー由里も登場しますが、すぐいなくなります。検問を簡単にスルーできるのもおかしいです。検問の警官たちには銘苅と白岩の顔は通達されてるはずですし、タクシーでもトランクは調べるでしょう。

映画『藁の楯 わらのたて』ネタバレ結末ラスト

人のいない山道で清丸をトランクから出して走行中、ラジオで清丸の母が自殺して息子への遺書「もうこれ以上、人を殺さないで。先に逝って待ってます」が読み上げられると、動揺した清丸がタクシーを止めてくれと言うので止めてやります。その時、銘苅宛に蜷川から電話が入り、殺せば30億円やると言われます。

そんな銘苅の電話に気を取られた白岩は、泣いたふりしてた清丸に殴られて気絶させられ、銃を奪われて撃たれます。銘苅は清丸をなぐって押し倒して、白岩の最後の言葉「息子とキャッチボール」を聞きます。そして銘苅は清丸を殴って、顔や口の中に銃を押し込め「俺が一番おまえを殺したかった」と言い叫びます。

せっかく良い映画だったのに、このあたりから監督が変わったようにダメダメ映画になります。清丸をトランクから出す必要はないし、護送中に犯人都合で車を止めるのもNG、私用電話もNGだし、犯人から目を離して、銃にチェーンもせず、防弾チョッキも付けておらず、白岩にかまう間も清丸は放置状態です。

さっきも書いたけど、ストーリー上で白岩を殺したいのなら、清丸を殺しに来た人に刺された、とかにすれば整合性が取れるのに、3度めのよそ見で殺害されるのは、SPとしてプロではないどころか失格レベルです。おかげで死んでもそれほど悲しくならないと思います。

銘苅は清丸を殺さず、東京の警視庁まで連れて行きます。その場に蜷川がやって来たので、銘苅が報奨金の取り消しを約束させようとします。銘苅「お孫さんは清丸の殺害を望んでると思いますか」蜷川「死んだ人間はしゃべらない」と言って、杖に仕込んだ刀剣で清丸を殺そうとしますが、銘苅に止められます

蜷川が落とした仕込み杖の刀剣を拾った清丸が、蜷川を刺しに行くと銘苅が盾になって刺されます。清丸は「すげー」と言い、警官隊に押さえられ逮捕されます。その後の裁判で清丸は死刑が確定し、「どうせ死刑ならもっとやっとけば良かった」と全く反省してません。銘苅は生存して、白岩の子どもを預かったようです。

東京の警視庁前でもつっこみどころ満載です。なぜすぐ警視庁の建物内に入らないのでしょうか。SPの銘苅が蜷川と交渉するのは変だし、その間清丸を放置してる銘苅と警視庁はダメすぎるし、仕込み杖を放置するのもありえないし、銘苅が生きてるのも納得しづらいです。白岩の息子と暮らしてハッピーエンド、とはなりませんよね。

前半の展開やアクションシーンや、藤原竜也のクズっぷりには引き込まれて、邦画であることも忘れるくらい先の話が気になるので、ぜひ1度は観ることをおすすめします!

私の評価 58/100(60が平均)

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