映画『夜明けのすべて』ネタバレ感想解説/結末は?タイトル意味は?最後の関係性は?
瀬尾まいこの小説の映画化。PMS(月経前症候群)でイライラしがちな藤沢と、会社同僚でパニック障害を抱えた山添は、恋人ではない特別な関係になるのだが…。PMS、パニック障害の症状とは?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 夜明けのすべて |
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日本公開日 | 2024/2/9 [予告] 上映時間:119分 |
監督・キャスト | 三宅唱[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | バンダイナムコフィルムワークス、アスミック・エース/ザフール |
日本興行収入 | 5.4億円 (興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.9.1更新) 83(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧 |
参考・出典 | 公式サイトWiki上映映画館 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 藤沢美紗(上白石萌音)栗田金属の事務系社員。PMS(月経前症候群)でイライラすることがある
- 山添孝俊(松村北斗(SixTONES))栗田金属の新入社員。パニック障害を抱えている
- 栗田和夫(光石研)山添と美紗が勤務する栗田金属の社長
- 辻本憲彦(渋川清彦)山添が前に勤めていた職場の上司。
- 大島千尋(芋生悠)山添の恋人
- 藤沢倫子(りょう)美紗の母親
- 岩田真奈美(藤間爽子)美紗の友人
ネタバレ感想『夜明けのすべて』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は人気漫画?監督とキャストは?
映画『夜明けのすべて』の原作は、瀬尾まいこ著の同名小説(2020/10刊行)です。映画はベルリン国際映画祭のフォーラム部門に出品されました。
監督の三宅唱は『きみの鳥はうたえる』『ケイコ 目を澄ませて』等も監督。
主演の上白石萌音はちはやふる実写シリーズや『カツベン』等に、松村北斗は『ホリック xxxHOLiC』『キリエのうた』等に最近出演。
他、光石研、渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、りょう等も出演。
PMS、パニック障害とは?2人の症状は?
藤沢美紗(上白石萌音)は、毎月のPMS(月経前症候群)により、生理の数日前にはイライラしがちで、最初の就職先でも先輩にキレてしまいます。また、新しい薬の副作用で就業中にうたた寝し、自主退職して中小企業に再就職。
しかしそこでも藤沢は、新入社員の山添(松村北斗)による炭酸水ペットボトルの開封音にイラッとしキレてしまいます。後日、藤沢は洗面所で自分が飲んでたのと同じ薬を見つけ、何かを探しながら発作状態の山添に渡して感謝されます。
山添は、大手企業に勤務してたがパニック障害で電車通勤できなくなったため、上司の辻本から紹介された近所の栗田金属で働き始めました。恋人の大島千尋(芋生悠)と行ったメンタルクリニックでは、治療に10年かかる場合もあると聞かされます。
以上が序盤あらすじ。周囲に該当者がいない人のために、PMSとパニック障害の症状や抱えてる者の生きづらさなどが丁寧に描かれてた導入部です。2人とも大手企業を辞めざるをえなかったのはつらいけど現実でもありそうですね。
PMS(月経前症候群)は女性の毎月の生理前に数日間続く精神的・身体的症状。女性ホルモンの影響と考えられてて、症状はイライラ・抑うつ・集中力低下の他にも多種あり個人差が大きそう。藤沢は母の遺伝子的にピル服用できないため漢方等で抑えてるが効かないことも。
パニック障害は、身体疾患がないにもかかわらず突然の動悸・めまい・呼吸困難等のパニック発作に襲われる症状です。発作の不安もあり外出・電車・外食などが困難になる者もいます。脳幹部の異常とも言われるが、詳しい原因は不明。
2人の関係の変化は?事件は起こる?
仕事中の発作で帰宅する山添を送って行った藤沢は、自分がPMSだと打ち明けます。その時は気まずい雰囲気になったが、後日、美容院へ行けない山添の髪を不器用な藤沢がカット失敗し、お互いに笑いあったことから距離が近づきます。
正月の初詣の帰り、藤沢は不在の山添には会えず、山添の恋人の大島に声をかけられて「神社のお守り」を渡します。「藤沢さんのような人がいてよかった」といった大島は、その後ロンドン転勤が決まり、山添と別れ話を。
栗田金属の職員の子で中学生くらいが社員にインタビューして動画作成してます。藤沢と山添は移動プラネタリウムを担当し、一緒に準備を進めます。ナレーション原稿に悩んでた時、栗田社長の亡き弟のメモや昔のテープが見つかり参考に。
この会社で熱心に働いてた弟が死亡後、栗田社長は社の方針を変えたようです。栗田(光石研)は「家族をなくした人達の会」で、過労で姉を亡くした辻本(渋川清彦)と出会い、その縁で山添を紹介されました。
以上が中盤あらすじ。お互いが抱える問題を知り、距離を縮めていく過程が描かれます。経験もないのに髪を切ろうとする藤沢や、恋人いるのに異性の藤沢を家に上がらせる山添は、この時点で既に「男女を超えた気さくな関係性」。
そして山添の恋人の大島もイヤな性格ではなく「考えぬいて出した苦しい決断」が別れ話だったのだと感じさせられます。その前の藤沢との会話でもそれは感じられます。
サイドストーリーとして、栗田社長と弟との話と、栗田社長と辻本と山添の話も、いい感じで「人と人をつなぐきっかけ」になってて「星々をつないだ星座」がメタファーのようでほっこり。
結末は?タイトルの意味は?最後の2人の関係性は?
山添はPMSを勉強し、イライラした藤沢を外で1人で働かせたりして助けました。あまり外出できない山添の部屋で2人はまったり過ごしたりしたけど恋愛関係にはならず「医師と患者のように、お互いを救いあう異性」に発展。
藤沢は母の介護のため実家近くのフレキシブルな職場を探すため、就職斡旋の女性と面接し、プラネタリウムに誘います。山添は、前職場復帰を応援する元上司の辻本に、栗田金属での勤務継続を伝えプラネタリウムに誘い、辻本を泣かせます。
移動プラネタリウム上映会は藤沢のやさしいナレーションで、栗田金属関係者や藤沢と山添の知人をなごませます。最後に藤沢は、このナレーションは栗田社長の弟のメモや昔の上映会を下地にしてると説明し、大盛況で上映会は終了。
その後、藤沢は退職して実家に戻り、母の介護を手伝いながら地元で就職。山添は栗田金属でやりがいを感じながら、フレンドリーな社員達と仕事を続けてます。
以上がラストまでのネタバレあらすじです。有名な一節「夜明け前が一番暗い」や、弟のメモの「夜がなければ輝く星を見ることができず、世界の広さにも気づかなかっただろう」がとても印象的な言葉で、タイトルの意味にもなってそう。
プラネタリウムに関係者たちが集合して、それまで面識なかった人々が「星座」の星々のようにつながります。そして「高速で自転と公転してる地球上で暮らす私達」は正常な方がおかしいのか?とも考えさせられました。
数十年前のナレーションテープやメモを活用したことは「500年前の星の光を見てる」ことを表現してそうでもあり脚本も見事です。「1万2千年後には北極星は別の星ベガと交代する」ことは、今の悩み事の小ささを感じさせてくれる話ですね。
藤沢が職場を去った後、そこに残った山添の選択も好き。「男女の友情うんぬん」はどうでもよく、相手を認めてお互いの抱える問題に向きあった2人の関係性は本当に素敵でうらやましくもあリますが、幸運だったとも思えます。
映画『夜明けのすべて』ネタバレ感想と私の評価
瀬尾まいこ著の小説は未読ですが、本作はPMSやパニック障害に無知な人々にとっても知るきっかけとなれるし、エンタメとしても笑えたりほっこりできる良作です。テーマ性から暗い映画かと思いきや、優しい世界や未来志向の明るい映画です。
一方、大きな事件は発生せず、2人が支え合うエピソードも少なめなので、それらを期待してた人には少々物足りないかも。「いい人しか存在しない世界」だったのも現実的ではないが、藤沢の「おもてなし」の前では悪人は存在できないのでは?とも感じさせられました。
上白石萌音、松村北斗、光石研の演技は本当にすばらしく、本作のテーマ性を底上げしています。PMS、パニック障害の他にも家族の突然の死にあった人々が抱える苦悩などもからめた社会派映画として、長く観られてほしい作品です。
私の評価 67/100(60が平均)
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