映画『64 ロクヨン 前編』評価は?ネタバレ感想考察/昭和の誘拐事件と幸田メモと警察内抗争

『64 ロクヨン 前編』あらすじ概要
横山秀夫のミステリ小説の映画化。2部作の前編。わずか1週間しかなかった昭和64年1月に、小1少女が誘拐され殺害された通称「ロクヨン」事件は、未解決のまま14年が経ち時効がせまる。当時、捜査にあたった三上は現在は広報官として記者クラブと対立していた。そんな時、..(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | 64 ロクヨン 前編 |
日本公開日 | 2016/5/7 [予告↓]上映時間 121分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし) |
映画監督 | 瀬々敬久 |
キャスト 出演者 | 佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝 |
配給/製作/画像 | ©東宝/コブラピクチャーズ |
日本興行収入 | 19.4億円(年間29位) |
平均評価★★★★★75(私の評価↓は含まず) |
『64 ロクヨン 前編』予告動画
ネタバレ感想『64 ロクヨン 前編』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『64 ロクヨン 前編』ネタバレ感想の総括
横山秀夫の原作ミステリ小説は未読ですが良い評判を聞いてたし、テレビドラマ版も見てないので、映画版『64 ロクヨン』を楽しみにしてました。しかし前後編に分かれると聞き、観る気が失せそうでした。全て観た後でも、これくらいの物語なら120〜140分くらいにまとめるべきだと思います。
出演者はとても豪華で、生かしきれてない俳優も多い気がしてもったいないです。もし出演料を回収するために前後編を分けたのなら、もう少し出演者のグレードは下げても良かったかもしれません。
ストーリーは映画用にいろいろ変えてるそうだけど、さすがに原作がしっかりしてるため、おかしな点は少なくて、先の展開が気になりました。ただ、警察の組織系統がわかりづらいので、素人用の解説はほしかったです。それでも、警察ミステリとしては、そこそこ楽しめる内容です。

この映画のおすすめ、7つのポイント
- 重厚な警察ミステリ
- 過去の誘拐殺人事件の真相は?
- 過去の誘拐被害者の現在
- 警察広報課と記者クラブの対立
- 警務部と刑事部の対立
- 警察庁やキャリアと県警の対立
- ロクヨン事件の行方は?
少し残念?つっこみどころ、5つのポイント
- 記者クラブとの対立の話が退屈
- もっと事件解決に重点してほしい
- 思わせぶりの事実がくだらない
- 警察内のごたごたがわかりづらい
- 長すぎる。1話にまとめるべき
『64 ロクヨン 前編』あらすじにそってネタバレ感想
わずか1週間で終わった昭和64年1月に、小1の雨宮翔子ちゃんが誘拐されます。三上ら県警が被害者宅に待機して、情報収集する中、誘拐犯から電話があり、父親の雨宮芳男(永瀬正敏)は犯人の指示通りに現金のスーツケースを持ち回って、最後は川に投げ捨て、犯人が回収したようです。平成の初日に翔子ちゃんの遺体が発見されます。
その14年後の平成14年、三上(佐藤浩市)は元ミス県警の妻の美那子(夏川結衣)と共に身元不明の遺体を確認して、自分らの娘でなかったので安堵します。彼らの娘のあゆみは、数年前に家出して行方不明になってますが、三上は詳細情報を警察に渡していません。
三上は刑事部でしたが、それと対立する警務部の広報官へ異動となります。昭和64年の誘拐事件は、通称64(ロクヨン)と呼ばれ、時効がせまる中、警察庁長官が、被害者の父の雨宮芳男のもとを視察することが検討されます。三上はその許可を得るために、久しぶりに雨宮の家を訪ねるが断られてしまいます。
このあたりまでは、過去の誘拐事件を解決するために警察が捜査をすすめるミステリーを期待していたのですが、実はこの物語は謎解きに主眼がおかれません。それよりも警察内部の抗争や、ロクヨン関係者たちの14年間や、記者クラブとの対立など、人間ドラマがメインで淡々と進行します。
広報官の三上は、老人を車でひいた妊婦の実名を明かさないことで、記者クラブと対立します。記者らを取りまとめる秋川(瑛太)は、実名を明かさないなら、警察庁長官の激励訪問を報道しないと突きつけます。それにより、三上は警務部と記者クラブとの板ばさみ状態になります。
三上は64関係者から「幸田メモ」の存在を知ります。なぜか警務部の同期の二渡(仲村トオル)も興味を持っています。幸田は、64当時の被害者宅の電話担当だった刑事で、その半年後に退職していました。今はスーパーの警備員をしてますが、刑事部の柿沼により14年間も監視されています。
県警内で探り合ったり、厳守したりする「幸田メモ」こそが『64 ロクヨン』での重要アイテムだとわくわくしましたが、真相は割とあっさり明らかになり、しかも大の男たちが顔突き合わして取り合うほどのものには思えませんでした。
その内容とは、当時の被害者宅班だった科捜研の日吉が、犯人の電話録音に失敗したことを記しています。日吉は思いつめて県警をやめ、14年間も家に引きこもったままです。この失敗により犯人は今も逮捕されていないので、責任を感じてるのでしょう。
この「幸田メモ」の存在を隠し続けたい刑事部と、それを弱みに警察庁の存在感を増したい警務部のキャリア組との対立が、前編での見どころなんでしょうけど、第三者の目からながめると滑稽です。原作は知りませんが、映画版では「幸田メモ」にそれほどの重要性は感じさせませんでした。
もちろん、電話録音に成功してれば犯人逮捕に結びついた可能性はありますが、何度も場所の指示を出しすような用意周到だった犯人が、最初の電話に手がかりを残すとは思えません。むしろ現金スーツケースの発見が遅かったことの方が問題視されるべきだと感じます。
それなのに、そんな日吉の失敗を記しただけの「幸田メモ」のせいで14年間もの間、1人は監視され、1人は監視をつづけ、1人は引きこもり、となってしまったのです。被害者家族にも口外しないよう圧力をかけたのでしょう。しかし法的効力もないのに、雨宮芳男もなぜ、今まで黙ってたのか不思議です。
『64 ロクヨン 前編』はこの「幸田メモ」にノレるかノレないかで評価がわかれそうです。私はノレなかったので、それらに振り回される県警たちの深刻さも伝わってこなかったです。もし県警のプライドや、個人の出世欲の醜さを描こうとしてるなら成功してると思います。
『64 ロクヨン 前編』ネタバレ結末/ラストシーン
娘の失踪で妻ともうまくいかない三上も、そんな県警の内部抗争をばかばかしく思ったのか、車にひかれて死亡した老人の人生を知ったからか、独断で記者クラブに、今後は実名を伝えることを約束します。そして64についても報道するよう頼み、受け入れられます。
三上は再び雨宮の家へ行き、警察庁長官の視察の許可を得ます。そして県警が雨宮に対し行ってきた非礼を考えると、涙してしまいます。その数日後、雨宮とは連絡が取れなくなります。すぐに64の模倣誘拐事件が発生し、キャリアから椅子を守りたい刑事部は、三上に記者クラブと匿名の報道協定を結ぶようせまります。
ここで前編は終了です。じめじめした県警内部や記者クラブのごたごたばかりに焦点があたり、ロクヨン事件じたいの捜査進捗などはよくわかりません。幸田メモに振り回されたり、14年間も監視を続けるひまがあるなら、もっと捜査してほしいです。
雨宮が県警に不信感を抱くのも当然だと思いますし、今さら警察庁長官が訪問しますとか言われても、政治的な匂いしか感じないので誰でも断るのではないでしょうか。被害者を置き去りにした県警ですが、この映画『64 ロクヨン 前編』じたいが、雨宮を置き去りにして進むので歯がゆいです。
ミステリー要素よりも警察内部の人間ドラマが重視されていますが、物語は重厚でしっかりしてるので、時間ある時にじっくり観るには適していると思います。ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!『64 ロクヨン 後編』もぜひ。
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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