映画『8月の家族たち』評価は?ネタバレ感想考察/クセある5組男女!まともなのは誰?

『8月の家族たち』あらすじ概要
ある年の8月、オクラホマの片田舎で暮らす夫婦の夫が行方不明になり、数年ぶりに娘たち三姉妹が集まる。勝ち気な長女バーバラは浮気した夫と別居中で、娘の反抗期にも悩んでいた。次女アイヴィーは両親のそばで結婚せず暮らしていたが、婚約者がいる様子。三女カレンはあやしい..[引用元]
映画名/邦題 | 8月の家族たち |
原題/英題 | August: Osage County |
日本公開日 | 2014/4/18 [予告↓]上映時間 121分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA R |
製作国 | アメリカ |
映画監督 | ジョン・ウェルズ |
キャスト 出演者 | メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、クリス・クーパー、アビゲイル・ブレスリン |
配給/製作/画像 | ©アスミック・エース、ワインスタイン・カンパニー(USA)/スモークハウス・ピクチャーズ、Jean Doumanian Productions |
日本興行収入 | 1.0億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 0.7億USドル [出典] |
製作費 | 0.2億USドル |
平均評価★★★★★68(私の評価↓は含まず)
|
『8月の家族たち』予告動画
ネタバレ感想『8月の家族たち』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
『8月の家族たち』は、アメリカの田舎町に住む夫婦の家に久しぶりに、その妻の妹の家族や、娘3人とその夫や子などが集まって、なつかしい話などをするうちにそれぞれが抱える問題や秘密が暴かれていくという、ファミリードラマ映画です。豪華共演でも話題になりました。
この映画のおすすめ、7つのポイント
- アメリカの家族の会話劇
- 豪華な実力派俳優による競演
- 父の失踪理由や行方の謎
- 集まった家族の会食時バトル
- それぞれが抱える問題と秘密
- セリフや展開が練られている
- ラストで驚きもある

少し残念?つっこみどころ、4つのポイント
- 会話劇なので地味
- 登場人物の関係がわかりづらい
- 会話に思いやりがなくてつらい
- 家族再生の物語ではない
『8月の家族たち』ネタバレ感想の総括
アメリカの田舎の大家族、というほどでもない3姉妹とその夫や子などが久しぶりに集まって、親戚トークする話です。がんで薬づけの母親が毒舌をふりまいて、場の雰囲気をわるくしていきます。見ていてつらくなるほどです。
失踪して自殺?した父親だけでなく、3姉妹にも、母親にもその妹家族にも、とんでもない問題点や人には言えない秘密が隠されていて、それが明らかになるにつれて、家族崩壊が止まりません。家族再生の物語っぽいけどそんな要素はありませんよ。
『8月の家族たち』ネタバレ感想や印象的シーン
冒頭シーンでは、夫べブリー(サム・シェパード)がネイティブ・アメリカンの住み込み家政婦ジョナを雇い、ガンで薬治療中の妻ヴァイオレット(メリル・ストリープ)の世話を頼みます。そこへヴァイオレットが現れて、キレたようにまくしたてます。ジョナは前途多難を感じたでしょうね。
ある日、べブリーが失踪したため、地元で結婚せずに暮らし、たまに両親の面倒も見てた地味な次女アイビー(ジュリアンヌ・ニコルソン)が他の家族たちに知らせます。そして娘3人姉妹や、ヴァイオレットの妹の家族が久しぶりに家へ帰ってきて集合します。
長女バーバラ(ジュリア・ロバーツ)はまじめだが母親に似て気が強く、浮気した夫ビル(ユアン・マクレガー)とは別居中で、ティーンで反抗期の娘ジーン(アビゲイル・ブレスリン)とは話があわなくなっています。視聴者の目になる役回りですが、気性は激しく融通がききません。
三女カレン(ジュリエット・ルイス)は甘やかされてきたからか自由奔放で恋に恋する感じですが、連れてきた婚約者スティーブ(ダーモット・マローニー)は最初から未成年ジーンを気にかけたりと、かなりあやしさを感じさせます。
ヴァイオレットの妹マティは一番まともそうな雰囲気です。その夫チャールズも優しく善良そうですが、会食時のお祈りで頼りない感じがしました。その息子リトル・チャールズ(ベネディクト・カンバーバッチ)も葬式を寝坊するなどダメな感じが遺伝かと思わせますが。。
結局、父べブリーは水死体として発見されます。おそらく自殺ということです。葬式後の家族全員での会食は、この映画のハイライトシーンであり、最もイヤな気分にさせてくれる場面でもあります。
かなり長い食事シーンですが、ここで集まった家族全員の大まかな性格や、それぞれが抱える問題点などが浮きぼりになっていくという意味では名シーンです。ガンで薬の副作用もあるとはいえ、母ヴァイオレットの毒舌ぶりは本当に不快です。頭に浮かんだことはすぐ口にしてる感じです。
彼女が遺産は全て自分が受け取ると言った時、三女カレンとその婚約者だけが反対っぽい雰囲気でしたが、口には出しませんでした。ヴァイオレットはべブリーと貧乏で苦労してきたのに、娘たちは何不自由なく暮らしてるとも言います。それに関しては感謝するしかできないですよね。
場の雰囲気が悪くなったことを解消しようとしてチャールズが、バーバラの娘ジーンの菜食主義の理由「肉にされる時の『恐怖』を食べたくない」という発言を何度もネタにするのは、大人げないです。善良そうな彼の欠点が強調されました。
そんなダメなチャールズの息子リトル・チャールズが、ついにしびれを切らしたように何かを告白しようとしますが、次女アイビーが小声で制止します。あれ見たら誰でも察しますよね。でもこんな雰囲気の時に告白しようとするリトル・チャールズも空気読まなすぎです。
ついには長女バーバラがキレて、母から薬を取り上げるために、軽い乱闘さわぎになります。これも最も印象的なシーンであり、この映画全体を象徴してるように感じました。バーバラは薬を捨てて、処方した医師に苦情を言いに行きます。
3人娘は母ヴァイオレットを施設にあずけるか、誰が面倒をみるか話し合いますが結論はでません。次女アイビーはリトル・チャールズと恋仲でニューヨークへ行くつもりだと告白しますが、相手がいとこなのでバーバラは否定的です。
一番まともそうなアイビーが、恋愛観は一番おかしかったわけですが、あらためて考えてみるとこの映画で出てくる5つの夫婦やカップルは、誰もがいろんな意味で破綻しています。それがこの映画のテーマなのかもしれません。
3姉妹で話した後、娘たちは母ヴァイオレットと親子の会話もします。彼女が幼かった時にクリスマスプレゼントとしてブーツをもらったけど、開けてみると男性用で泥まみれだったという、最悪なオチの話に3姉妹はどう反応していいのかわかりません。この家族の元凶は母親だと感じられます。
その晩、三女カレンの彼氏スティーブが、ティーンの娘ジーンにマリファナを吸わせてキスしようとする現場を見て、それまで大人しげだった家政婦ジョナがスコップを持ってスティーブに殴りかかります。家族にとっては最悪の場面です。
バーバラが娘ジーンを責めるのは当然なのに、それを止めようとする元夫ビルもどこかおかしいというか、娘のことを親身に思ってない感じがします。しかしジーンはうるさいバーバラより、優しいビルに連れられて家を出ていきます。
三女カレンはそれで気がつけばいいのに、恋は盲目というか、ジーンが誘惑したと思いたいようです。スティーブと一緒に車で家を出ていきます。カレンらはフロリダで暮らすと言ってましたが、長続きしないだろう雰囲気を誰もが感じたでしょうね。
『8月の家族たち』結末/ラストシーン
もはや登場人物にまとめな人はいないと思いましたが、終盤にベネディクト・カンバーバッチ演じるチャールズが、次女アイビーにオルガンをひいて美しい歌声を披露したのを見て、頭は少し弱いけど人間的に最も優れているのは彼ではないかと思い直しました。
それなのに『8月の家族たち』では、最も残酷なオチがまだ用意されてて愕然としました。リトル・チャールズは実は、マティと溺死したべブリーとの隠し子だということをマティがバーバラに話します。夫チャールズは知りませんが、べブリーは知ってたようです。
ところでべブリーの自殺原因は、妻ヴァイオレットの病気や薬中毒のせいかと思ってましたが、自分とマティの実子リトル・チャールズが実の娘アイビーと恋仲であると知ったからではないでしょうか。真相はわかりませんが、それも一因だと考えられます。
結局リトル・チャールズは父チャールズとは血がつながってなかったわけですが、彼と暮らし続けたことにより、ダメな感じを引き継いだのでしょうか。マティやヴァイオレットがリトル・チャールズに冷たい理由もこれでわかりました。
疑い深いヴァイオレットがこのことを知ってるのは当然で、アイビーにも直接話してしまい、混乱したアイビーは車で家を出ていきます。アイビーはリトル・チャールズが実の弟だったわけなので、さすがに付き合い続けるのは難しいでしょうね。一番かわいそうなのは、罪のないリトル・チャールズです。
1人残ったバーバラは、ヴァイオレットから、父が失踪後の滞在場所を知ってたことを聞かされます。すぐ行かなかった理由は、家の金を守りたかったからとか。自殺するとは思ってなかったから、やや納得感はあります。
しかし、その後に言った「べブリーが死んだのは、あなた(バーバラら)のせいよ」には、暗い気分になってしまいます。視聴者をここまでイヤ〜な気分にさせる映画というか脚本は素晴らしいと思いますが、観てる方はげんなりしてしまいますね。
ラストは長女バーバラも車で家を出ていき、何もない荒野をながめます。残されたヴァイオレットは、当初インディアンだと馬鹿にしてた家政婦ジョナだけを頼りに生きていくことになります。血のつながりのないジョナだけが残ったというのも皮肉です。このまま続くと遺産は彼女のものになりそうです。
アメリカの田舎家族の話ですが、日本でも似たような展開はありそうです。イヤな気分にはなりますが犯罪的ではないし、セリフや明かされる秘密の順番がとても練られている感じがして楽しめるので、ぜひ1度は観ることをおすすめしたいです!
他の映画はおすすめ映画ジャンル別も参考にしてください。
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