映画『レッドタートル ある島の物語』評価は?ネタバレ感想考察/無人島で亀と出会った男の一生を無声で

『レッドタートル ある島の物語』あらすじ概要
スタジオジブリ協力作品。嵐で男は無人島に打ち上げられた。絶望しそうだったが飢えをしのいで、イカダを作り島からの脱出を試みるが、なぜか島へ引き戻されてしまう。それはウミガミのせいだと考え...(ネタバレ感想考察↓)
映画名/邦題 | レッドタートル ある島の物語 |
原題/英題 | The Red Turtle(La tortue rouge) |
日本公開日 | 2016/9/17 [予告↓]上映時間 81分 |
映倫区分 | 日本 G(年齢制限なし)USA PG |
製作国 | フランス、ベルギー、日本 |
映画監督 | マイケル・デュドク・ドゥ・ビット |
配給/製作/画像 | ©東宝/プリマ・リネア・プロダクションズ、スタジオジブリ、ワイルドバンチ |
シリーズ/関連 | スタジオジブリ映画 |
平均評価★★★★★72(私の評価↓は含まず)
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『レッドタートル ある島の物語』予告動画
ネタバレ感想『レッドタートル ある島の物語』解説や評価レビュー
この先はネタバレありの感想考察です。続編前作や関連映画は、スタジオジブリ映画一覧もご参考に。
『レッドタートル ある島の物語』ネタバレ感想の総括
スタジオジブリ最新作ということで楽しみに観たのですが、絵もストーリーも単調で、慣れない無声映画で娯楽性も低いため、好きな点もありますが基本的にはそれほど好みではなかったのでこの点数です。ジブリ制作、構想10年、制作8年など自らハードルを上げすぎたこともあだになったようで、興行収入も爆死状態だったようです。
事前の宣伝も少なめでしたが、ジブリ制作を前面に出さない方が、子どもが間違って見に行くこともなかった気がします。『シン・ゴジラ』『君の名は。』のように初動よりもSNSの口コミで広まっていったのとは対照的です。
しかし世界的には評価されていて、2017年のアニー賞では『君の名は。』を抑えてインディペンデント作品賞を受賞したり、アカデミー賞でもノミネートされています。海外でも観た人は少ないけど、全体的な評価は高めです。
子ども達には無声映画ということで不評らしいですが、個人的にはそれはそれで味わい深く感じて、話さないからこそ感情や動きに注意を向けることができるし、絶望感、孤独感、家族感なども表現できていたと思います。そして物言わぬ「島」じたいが食虫植物のようにも感じました。この物語の後もまた、新たな「男」をからめとるのかもしれません。他の説もこの最後に書いています。

この映画のおすすめ、5つのポイント
- 無人島に囚われた男の一生
- 男と亀との異類婚姻譚
- 亀をいじめた代償は?
- 息子が外界脱出できた理由?
- 踊ってハッピーエンド?
少し残念?つっこみどころ、6つのポイント
- 退屈
- 内容のわりに長すぎる
- 絵がきれいではない
- 描きたい内容が不鮮明
- 娯楽性が低く芸術寄り
- 子どもを対象にしない方がよい
『レッドタートル ある島の物語』あらすじにそってネタバレ感想
暴風雨で海に投げ出された男は、無人島に漂着します。島には誰もいなくて絶望しそうになります。岩場の頂上から叫びますが、こだまが返るのみです。足をすべらせて岩の間の水たまりに落ちて、外へ出られなくなります。登ることもできず、潜ると横穴を見つけて、何度か躊躇した後に脱出に成功します。
『レッドタートル』は全体的にそうですが、経過した時間の長さがよくわかりません。この岩場に閉じ込められてた時間も長いのか短いのか不明ですが、1日は経ってない気がします。
ただこの後も指摘しますが、男はここで死を迎えた可能性さえあります。横穴につまって抜けられたのは霊体だけだと考えることもできます。しかしこの場面以降で、イカダで脱出をはかったりと現実的なアプローチをしてることから、この場面での死亡説は確率が低いと感じています。
またトンネルや洞窟を抜けるイメージは『アフターショック』『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』『崖の上のポニョ』のように産道を抜けて生まれ変わったことを表現している気もします。
男は無人島で1人で行きていくことを覚悟して、水と食料のヤシの実を見つけて飢えをしのぎます。無人島映画ではめずらしくサバイバル要素はほとんど描かれません。それらを期待するなら『キャスト・アウェイ』『オデッセイ』の方がおすすめです。
男は満腹で寝てしまい夢を見ます。木で作られた橋の上を走るうちに、空を飛びます。そして目をさますのですが、ここも死亡説を考えられる場面です。やがて木でイカダを作って、島からの脱出を試みますが、下から突き上げられるようにしてイカダは壊されてしまいます。
男はあきらめずにイカダを作りなおして、また沖へと漕ぎ出します。今度は周囲に気を配りますが、またしても下からイカダを壊されます。男は疲れて竹林で眠ると、今度は4人の音楽隊が現れたので追いかけますが、消えてしまいます。ここも死亡説を考えられますが、人が恋しくなって幻想を見たのでしょうか。
3度め(実際は数回目かも)のイカダはしっかり作って沖へ向かいますが、海面に浮かぶ大きなアカウミガメ(レッドタートル)に出会います。それが潜った直後にイカダが下から破壊されて、海に投げ出された男は亀に接近されますが、何もされずに亀は去っていきました。
このあたりからさらに抽象度が増してきて、レッドタートルが何を示しているのかわかりません。ただ、イカダを壊したのは亀ではない気がします。亀は「これ以上進むと壊されるよ」と警告したかっただけな気がします。あくまでも私の想像ですが。
そもそもここから脱出させない何者かとは、何なんでしょうか。映画の中ではそれさえ明確にしませんが、私は「無人島そのもの」だと思いました。または映画『惑星ソラリス』のように海が生きているのかもしれません。またはこの世界はこのエリアだけしか存在しない可能性さえあります。
いずれにしろ他に明確な犯人が見当たらないので、男はレッドタートルに怒りをぶつけるつもりで、砂浜で見つけた時にひっくり返してしまいます。どのくらい放置したのかわかりませんが、動かなくなると、男は後悔して魚を与えたり、海水をかけたりしますが反応はなく眠ってしまいます。
男はまたレッドタートルが天に昇る夢を見ます。この後のファンタジーな展開を考えると、この時点で男も天に召された可能性は捨てきれません。男が亀の蘇生を試みるうちに甲羅がわれてしまいます。さらにしばらくすると、レッドタートルは人間の女性に変化しました。
この女性は亀の甲羅を沖へ流します。男も作りかけのイカダを流します。これも抽象的で何かのメタファー(隠喩)だと思いますが、2人で一生、島を出ずに生きていくということでしょうか。聖書のアダムとイブのようにも感じました。
『レッドタートル ある島の物語』ネタバレ結末/ラストシーン
やがて子どもも生まれ、カニと遊んだりします。カニは最初から男に近づいたり、イカダに乗ったりと存在感をアピールします。カニも何かを表しているのかもしれませんが、この無人島で最も活動的な生物であり、かわいいマスコット的な要素もあります。
子どもは漂着したガラスビンを見つけてきて、男は外の世界を砂に書いて説明します。馬や象などが描かれていました。子どもは男が落ちた岩場の間の水たまりからも、わりとあっさり横穴を抜けて脱出します。その時に亀と出会いますが、これが運命の分岐点になったような気がします。
家族3人で平和に暮らしていましたが、ある日、大津波がきて3人とも流されますが、なんとか生きのびました。成長した子どもは、両親のもとから旅立つことを決意して、亀3匹とともに海へ入って巣立っていきます。親ばなれですね。結局どこかにたどり着いたのか、途中で泳ぎ疲れて死んでしまったのか、亀になったのかは不明です。
やがて男と女性も年をとります。ある日、浜辺でダンスを踊った後、満月を見ながら眠りにつきます。そして男は目を覚ますことはなく亡くなったようです。その手を握る女性はレッドタートルに戻り、海へと帰っていきました。
いろんな解釈ができる映画ですが正解はなさそうです。例えば、男は人間にあこがれた亀だった説、人間にあこがれたメスのレッドタートルが見た夢である説、3度めのイカダから海に落ちた男が意識を失い亀が陸へ運び何十年も看病してる間に男が死ぬまで夢を見てた説などです。
一番わかりにくかったのは、レッドタートルをひっくり返した男が罰をうけるどころか、生涯の伴侶をえるというハッピー展開になったことです。そう考えるとイカダを壊してたのは、やはりレッドタートルで、その理由は子孫を産むためともとらえられます。または償いのために人間にされたとも考えられます。
解釈を視聴者にゆだねるという点では絵画のようで、芸術性の高い映画なのでしょうか。エンタメ性は低いため、ジブリファンなどは面食らうでしょうし、万人うけするとは思いませんが、ぜひ1度は観てあなたなりに解釈することをおすすめしたいです!
続編前作や関連映画は、スタジオジブリ映画一覧もご参考に。
『レッドタートル ある島の物語』シリーズ順番・映画ランキングや映画賞

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