映画『BADLANDS バッドランズ』ネタバレ感想解説/結末は?姉弟の生死は?勝者は?
大阪で特殊詐欺で生計をたててる橋岡ネリと弟の矢代ジョーは、新たな仕事を受けるが、その道中でとんでもない事件を引き起こし、悪組織や警察に追われるはめになるが…。ネリの壮絶な過去とは?弟の決断は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | BAD LANDS バッド・ランズ |
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日本公開日 | 2023/9/29 [予告] 上映時間:143分 |
監督・キャスト | 原田眞人[キャスト] |
映倫区分 | 日本:PG12(小学生指導必要) |
配給/製作 (画像出典) | 東映、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/スカイホーク=アミューズメントメディア総合学院、AMGエンタテインメント、つばさプロジェクト |
日本興行収入 | 4.1億円 興行収入ランキング |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.14更新) 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ミステリ/サスペンス映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 橋岡煉梨/ネリ(安藤サクラ)転落人生の末、特殊詐欺に関わることに
- 矢代穣/ジョー(山田涼介)ネリの弟。自称サイコパス
- 林田(サリngROCK)違法カジノのリーダー
- 曼荼羅/上松(宇崎竜童)高城の相棒だった高齢男。ネリをかわいがってた
- 高城政司(生瀬勝久)ネリ達詐欺集団のボス
- 胡屋賢人(淵上泰史)ネリの元夫。成り上がりの金持ち
- 新井ママ(天童よしみ)高城の上層組織の一員
- 佐竹刑事(吉原光夫)詐欺集団を追う刑事
- 日野班長(江口のりこ)詐欺集団を追う刑事の班長
ネタバレ感想『BAD LANDS バッド・ランズ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は小説?監督とキャストは?
映画『BAD LANDS バッド・ランズ』の原作は、直木賞作家・黒川博行の小説『勁草』です。監督の原田眞人は『関ヶ原』『ヘルドッグス』でも監督・脚本をつとめました。
主演の安藤サクラは『万引き家族』『ある男』『怪物』等に、山田涼介は『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』等に最近出演。
他、江口のりこ、生瀬勝久、宇崎竜童、吉原光夫、天童よしみ等が出演。
オレオレ詐欺は成功?詐欺ボスの正体とは?
大阪の高齢女性が銀行で520万円を出金し、詐欺犯の電話指示で天王寺から難波、淀屋橋へ受渡しに向かいます。ネリ(安藤サクラ)は「受け子」を連れて高齢女性にせまるが、警察の気配を感じて中止。やはり女性は警察のエサでした。
ネリは西成で串かつを食い、受け子にわずかな謝礼を渡します。ネリは、詐欺ボスで「名簿屋」の高城(生瀬勝久)から金を受取ります。背後にヤクザのいる高城は、オレオレ詐欺のカモを見つける電話部隊も組織化してます。
ネリは弟の矢代ジョー(山田涼介)の仕事に同行し、依頼主の違法カジノの賭博場へ行きます。しかしネリは恩ある曼荼羅のトラブル解決のため、西成へ戻ります。ジョーは賭博で勝ってたが、最後は借金250万円となり、ネリも保証人に…
以上が序盤あらすじ。オレオレ詐欺が組織化してるとは聞いたことあるが、こんなに手間と人材をかけてでも金儲けできるしくみにあらためて驚き。「持てる者が持たざる者に分配」「国のピンはねと同じ」には納得しかけたが犯罪ですよ。
大阪のあちこちが舞台なので、たまに通る道も何ヶ所か映されて親近感わきました。登場人物ぽい人達には会ったことないけど(笑)安藤サクラ、山田涼介は、関西出身なのでしょうか、大阪弁と言動には違和感なく演技もよかったです。
単純にオレオレ詐欺犯と警察との駆け引きだと予想したのだが、本筋はネリの過去をたどるストーリーでした。他邦画のような説明セリフが少ないのはいいが、胡屋との関係性はもっと早くに説明ほしかったです。周辺女性達の描写は過度かも。
姉弟がおかした事件とは?ネリの父親とは?
ジョーは仲間と一緒に違法の雀荘へ行き、銃を渡されて乗り込むが失敗して逃走。成功報酬をもらえず借金まみれのジョーは、仲間1人と組んでボスの高城を襲撃。高城に金庫を開けさせたところで、ネリが来て大混乱。
ネリは結局、ジョーを殺そうとする高城を刺し、ジョーが高城と自分の仲間も射殺。ネリは、高城が実の父であり、彼が母を捨ててから悲惨な人生を歩んできたと語ります。ネリとジョーは山に遺体を埋めてから、高城の資産をあさります。
ネリは、数年前まで銀行管理してた曼荼羅に全てを打ち明け、高城の資産の現金化を協力してもらいます。しかし高城の死から32時間も経つと、上層組織があやしみ見張りがつき始めます。ネリの発言「高城はトラブルで隠れた」が広まります。
以上が中盤あらすじ。自らサイコパスと公言するジョーは少年院にも入ってたようですが、あの年までどうやって生きてきたのか不思議なくらいの狂いよう。「高城の金を奪う」話は最初からしてたので伏線になるだろうなとは感じてました。
曼荼羅が「俺がネリを助ける」まぼろしを見たのも分かりやすい伏線でした。ネリが曼荼羅の騒動で闇カジノを離れなければ、ジョーの借金を止めただろうから、高城を殺害しなかったかもという逆説も成り立つが、いずれ起きた事でしょう。
ネリが父の高城よりもジョーを選んだ理由が分かりにくかったが、父にはいつか復讐するつもりだったのでしょうね。ネリの誕生日がATM暗証番号だったので、いびつながら父は娘を愛してはいたのでしょうか。その辺りの描写は弱すぎます。
結末は?姉と弟の生死は?逃げ切れるのか?
高城の事務所に新井ママ(天童よしみ)と手下が乗り込んできて、ネリに高城の居場所を聞きます。新井ママはネリのウソを見抜き手下に処理をまかせます。ネリはスピリットに火をつけて逃げ、戻ってきたジョーが手下を捕らえて縛ります。
ネリと曼荼羅は逃亡計画を練り、ジョーを待つが現れません。ジョーは東京で、ネリを苦しめた元DV夫・胡屋の所へ行きます。華々しい新サービス発表会準備中の胡屋は、ジョーにより射殺されます。ジョーも警備により射殺。
失意のネリだが、曼荼羅が逃亡をうながします。そして曼荼羅は寿命の火が消え自然死。ネリは、カジノ支配人による暗号資産での現金化と手数料に合意。次々と詐欺組織を逮捕して迫る警察の横を「月曜の巫女」に変装したネリが素通り。
以上がラストまでのネタバレあらすじ。スピリットと煙草、月曜の巫女が伏線回収されます。ジョーはカジノ依頼の仕事時は銃を撃つのを恐れてたが、今回撃てたのはネリのためなのでしょう。高城や仲間を殺害したジョーは報いを受けます。
ネリとジョーが高城を殺害してからは少しジャンルが変わりますが、意外とのんびり事務所に滞在し続けてたのは緊迫感なかったですね。天童よしみの新井ママの出番を無理に作ったようにも感じます。普通はもっと武闘派が来るでしょうが。
ジョー、曼荼羅、父の高城、元夫の胡屋と関係者全員が他界し、ネリは完全に1人になり心配です。しかし仮想通貨での現金化、月曜の巫女に変装しての逃亡など、生きようとする力は強いので「バッドランズ」で成り上がれるかもしれません。
映画『BAD LANDS バッド・ランズ』私の感想と評価は?
オレオレ詐欺の裏側が見られるのかと思いきや、すぐに自分たちの犯罪と逃亡計画に焦点があたり、予測できないサスペンスが最後まで続く展開は好みでした。安藤サクラ、山田涼介、サリngROCKのなりきり演技も素晴らしかったです。
一方、原田眞人監督作では恒例だが、声がかなり聞き取りづらかったのは残念。安藤サクラでさえ「噛んでる」ような話し方だったし、大阪弁に慣れてない人はもっと気になったかも?あと、ネリとジョーの関係性はもう少し描いてほしかった。
ストーリー面は、ネリの過去の時系列(チビネリ、高城が父だった時期、ジョーとの姉弟時代、胡屋の妻時代)がわかりにくくて気になりました。カジノへ寄ってからのジョー達の仕事や、高城殺害後の2人の言動も理解しづらい点があります。
とはいえ、予測できないストーリー展開、次々と登場するクセ強いキャラ達、一歩間違えば命さえ危ない状況など、面白い映画の条件は充分に満たしてたし、観て損だったとは感じない良作です。観た人が大阪をこわがらないか心配ですが…
私の評価 65/100(60が平均)
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