『クリード2/炎の宿敵』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?因縁の勝者は?
ロッキーシリーズのスピンオフ『クリード チャンプを継ぐ男』の続編。アポロの息子アドニスはプロボクサーとして開花し、父を葬った宿敵ドラゴが息子ヴィクターとの試合を申し出るが師ロッキーは反対し...。勝者は?死人は出るのか?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | クリード 炎の宿敵 |
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日本公開日 | 2019/1/11 [予告] 上映時間:130分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Creed II |
監督・キャスト | スティーブン・ケープル・Jr. |
キャスト 出演者 | マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン、テッサ・トンプソン、フィリシア・ラシャド、ドルフ・ラングレン |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) USA:PG-13 |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース/メトロ・ゴールドウィン・メイヤーニュー・ライン・シネマundefined |
日本興行収入 | 3.2億円 興行収入ランキング |
世界興行収入 | 2.1億USドル [出典] |
製作費 | 0.5億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.18更新) 76(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ロッキー/クリード一覧 前作『クリード チャンプを継ぐ男』4億 続編『クリード 過去の逆襲』0.9億 |
ネタバレ感想『クリード 炎の宿敵』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
シルベスター・スタローン等の俳優女優と監督交代
続編『クリード 過去の逆襲』もご参考に!
前作『クリード チャンプを継ぐ男』で注目された監督ライアン・クーグラーは、マーベル映画MCUの『ブラックパンサー』の監督に大抜擢され、スケジュールの関係で今回は監督交代となりました。
シルヴェスター・スタローンが監督もかねる案もあったようですが、彼は脚本を担当し、またしても長編での新人監督を見つけてきたようです。ロッキーシリーズで、どん底の人生から好転したスタローンは、才能ある不遇の者を応援したいのでしょうね。
シルヴェスター・スタローンはロッキーとして助演もしますが、主役は前作同様、マイケル・B・ジョーダンです。『ブラックパンサー』でも魅力ある敵キルモンガーとして飛躍したので、本作でも演技力とアクション演技に磨きがかかってます。
その恋人で聴力の衰えていくミュージシャンを演じるテッサ・トンプソンも、かわいさ、生きる強さがより感じられるようになり、それに母の強さも加わった演技力は、本作で一番だと思いました。次回作以降ではエイドリアン超えもありそうな雰囲気です。
そして本作でのもう一方の主役として、ドルフ・ラングレンとフローリアン・ムンテアヌが、ロシア出身の親子を見事に演じています。悪役ともいえる敵ですが『ロッキー4 炎の友情』以降の彼らの過去に共感できるキャラクターに仕上がってます。
フローリアン・ムンテアムは、ルーマニアの本物のヘビー級プロボクサーで、映画はほぼ初出演だそうです。身長も筋肉もパンチ力も俳優とは思えないレベルなので納得です。筋肉質のマイケル・B・ジョーダンでさえ、並んだ時には圧倒されてました。
テーマは「親から子、師から弟子への引き継ぎ・継承」「過去の克服」?
本作は4つの父子の物語です。まずアポロを継承するアドニス・クリード、2つ目はイワン・ドラゴとヴィクター、3つ目はアドニスとビアンカの娘アマーラ、そして血はつながらないけどロッキーとアドニスの義父子のような師弟関係です。
前作でアドニス・クリードは、最初は拒絶してた父アポロ・クリードを継承することを決意しました。そして本作冒頭で世界ヘビー級チャンピオンを倒し、名実ともに父アポロと並びます。そこへ父をリング上で殺害したドラゴの息子が現れ、困惑します。
ロッキーに止められようとも、アドニス・クリードは宿敵ドラゴ親子の壁を超えないと、父アポロを超えて継承したとは考えられないのでしょう。しかしロッキーがいないリングでは、2ラウンドであっさりダウンします。それはミッキーがいない場でのロッキーと同じ体験です。
その後、ロッキーがセコンドについてのロシアでのアウェーの再戦ではアドニスが勝利し、この時点でロッキーとも並び継承後に超えていく準備は万端です。そして、アドニスは父アポロがリング上で殺害されたという過去をも克服していくのでしょう。
一方、イワン・ドラゴは国家や元妻に捨てられたやりきれなさを復讐心に変換して、息子ヴィクターをチャンピオンにすることによって満たそうとしています。そんなドラコも最後は息子ヴィクターの命を気づかい、白タオルを投げて救い出します。
ドラコはアポロ殺害を悔いていて、ヴィクターをその二の舞にしたくなかったのでしょう。今後ドラゴは、息子ヴィクターに「復讐」の代りに「愛情」を教えていけるでしょう。あと、アドニスとビアンカの赤ちゃんは「難聴を継承」しています。
ストーリーは過去作の焼き直しで予想の範囲内?
前作のボクシング試合はほぼ1作目『ロッキー』をなぞったものでした。本作は冒頭で世界ヘビー級チャンピオンを倒し『ロッキー2』を超えた後、元ロシアのドラゴ親子からの挑戦を受け、まずアメリカで負け、ロシアへ遠征して勝利します。
このシナリオも、ほぼ『ロッキー4 炎の友情』の焼き直しです。大きく違う点は1試合目でアドニスが死なず、父の死と敗北を克服するために2試合目を戦います。ロッキー4では、友の死をのりこえるため敵地へ入りました。
「ホームで負けた強敵に、アウェーで勝つ」という大枠ストーリーは観る前から予想してたとおりで、イワン・ドラゴが白タオルで死人が出ることをふせいだこと以外は、ボクシングの試合についてはリブートに近い内容です。
この部分には賛否あるようですが、アドニス・クリードはロッキーと違い、アポロという元チャンピオンの血を受け継いでるので、もっと別の新しい物語を見せてほしかったです。同じ内容なのはファンサービスでうれしいだろうけど、手抜き感はあります。
ドラゴ親子の止まった人生の再生物語?本当の悪役は?
ドラゴ(ドルフ・ラングレン)は、アメリカの試合でアポロを殺害した後、ロシアに遠征してきたロッキーに倒されます。その後、国や国民に失望され、妻だったルドミラ(ブリジット・ニールセン)にも愛想をつかされ、つらい生活をおくったようです。
息子ヴィクターはまだ幼かっただろうから、自分に責任を感じたかもしれません。父ドラゴによる特訓で強くなれば、母にふり向いてもらえると思い、血のにじむ努力を重ねたのでしょう。ロッキーとアドニスを倒せば、人生が好転すると思ったでしょう。
そんなヴィクターの境遇には同情しかなく、そう考えるとヴィクターを応援したくもなります。制作陣もそう思ってか、ヴィクターを倒すべき悪役にするため、反則行為を繰り返し見せて、父イワン・ドラゴのアドバイスも手段を選ばない内容です。
2戦目の終盤、ドラゴの元妻がヴィクターが戦ってる途中で会場を出ていったのは、本作の最悪シーンです。ヴィクターは母親に認められたいがために戦ってきたのに、また愛想をつかされ、一気に戦意喪失します。この時はもう涙が止まりません。
ヴィクターは巨体ですが、心は子どものままなので、かわいそうすぎます。本当の悪役はヴィクターの母親ルドミラですね。実の息子にあそこまで冷たくできるのは、心や精神の欠陥としか思えません。続編では明確な理由が知りたいですね。
ちなみに母ルドミラを演じたブリジット・ニールセンは、ロッキー4で競演後スタローンと結婚して約2年で離婚しています。そんな関係なのに悪役を引き受けたブリジットじたいの女優魂には脱帽です。ぜひもっと深みあるキャラに描いてほしいです。
ドラゴは息子が戦意喪失後、すぐ白タオルを投げて降参します。彼も今の不幸の始まりは「アメリカでアポロ・クリードを殺したこと」だと理解して後悔しているのでしょう。殺してなければロッキーにも倒されず、国民の英雄のままだったでしょうから。
試合で敗北して抱き合ったドラゴとヴィクターは、その後も以前より親子愛が増したように感じます。2人の止まってた時間がやっと動き出した感じです。続編ではドラゴ親子の、スピンオフも観たいですね。アドニスとも友人になってほしいです。
ボクシングの試合描写が痛そう?特訓方法や戦術
ロッキー公開のころより映像や効果音の技術がかなり進歩してるので、ボクシングの試合描写はもはやまったく別物です。特にフローリアン・ムンテアヌ演じるヴィクターのパンチ破壊力は凄まじく、アドニスが肋骨を折られた瞬間は本当に痛そうでした。
アドニス・クリードがヴィクターに挑んだ再戦では、特訓した接近戦スタイルで追いつめますが、この時のアドニスのパンチもヴィクターの巨体が揺さぶられ強烈で重そうです。そしてパンチの音も迫力があるので、劇場鑑賞に最適な映画です。
再戦を決める前、アドニスはアポロ画を超えられずジムに入れません。しかし決意後はリハビルもかねてプールでシャドウボクシングします。ヴィクターもプールで特訓しましたが、これは「羊水」のメタファー(隠喩)で「生まれ変わり」を感じました。
アドニスは再戦前にロッキーに連れられて、砂漠のアウトローボクサーが集まる場所で猛特訓します。ヴィクターの強烈なパンチに耐えるため痛さに慣れる訓練や、パンチを受けても一歩も下がらないで接近戦に強くなるトレーニングを積みます。
パンチ力をつけるためには、重いハンマーで地面をたたき続けます。それらや場所はロッキーがドラゴに挑戦する時に行なったトレーニングと重なるものがあります。戦術は、超接近戦に持ちこみ、リーチの長いヴィクターのボディをねらうことです。
『クリード2 炎の宿敵』総括。ロッキーは引退か?
試合に勝ったアドニスは妻ビアンカと娘アマーラを抱いて、アポロの墓参りをしてやっと父と向き合えたのでしょう。アポロにとっての孫娘アマーラを見せますが、その耳には補聴器があったのでおそらくビアンカの難聴を遺伝したのだと思います。
ロッキーはずっと連絡してなかった息子の家へ行き、かわいい孫娘ローガンにも初めて会います。ロッキーはアドニス・クリードが試合で勝利した時、ずっと後方から見守っていました。それは選手交代の完了を意味するようにも感じます。
ロッキーのガンの進行は語られませんでしたが、意を決して息子や孫娘に会いに行ったことから、余命は短いのではないかと思います。今回も評判や評価は高そうなので、続編はありそうですが、ロッキーは最後の登場になる可能性が高そうです。
アドニス・クリードが中心に描かれますが、ヴィクターの生い立ちや戦う理由などにエモさを感じて涙した人も多いでしょう。続編で母親が戻ってきたら涙腺崩壊しそう。アドニス入場時の妻ビアンカ(テッサ・トンプソン)の歌唱シーンもアガりました!
ストーリーはほぼ『ロッキー4 炎の友情』をなぞってて新しい展開が少なった点は残念ですが、私的にはロッキーシリーズでは最高のデキだと思うし好みです。続編では新しい物語を見せてほしいです!
私の評価 74/100(60が平均)
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