映画『IT イット2/THE ENDそれが見えたら終わり』ネタバレ感想/ラスト結末は?ペニーワイズの正体とは?生き残るのは?
『IT イット それが見えたら、終わり。』続編。前作から27年後「それ」が復活。負け犬7人が集結。それぞれが問題を抱えながらも、昔の思い出の品を探してピエロを葬る「チュードの儀式」に挑むが…。先住民の儀式は成功?ベンの恋は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | IT イット THE END それが見えたら、終わり。 |
---|---|
日本公開日 | 2019/11/1 [予告] 上映時間:169分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
原題/英題 | IT chapter two |
監督・キャスト | アンディ・ムスキエティ(キャスト) |
映倫区分 | 日本:R15+(15歳以上) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | ワーナー・ブラザース/ニュー・ライン・シネマ |
日本興行収入 | 18.4億円 (興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 4.7億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | (興収・評価: 2024.8.17更新) 68(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ホラー/パニック/バイオレンス映画一覧 前作『IT イット それが見えたら、終わり。』22億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ビル・デンブロウ(ジェームズ・マカヴォイ。細谷佳正)自分の責任で弟がピエロの餌食になったと思いこみながら成長。脚本・小説家
- ビル少年時代(ジェイデン・マーテル。田谷隼)
- ベバリー・マーシュ(ジェシカ・チャステイン。高垣彩陽)ルーザーズの紅一点。父と同じようなDV夫と結婚。アパレル経営者
- ベバリー少女時代(ソフィア・リリス。近藤唯)
- ベン・ハンスコム(ジェイ・ライアン。小野大輔)大幅減量してスマートに成長。ベバリーを想い続けてる。建築家として成功
- ベン少年期(ジェレミー・レイ・テイラー。田村睦心)
- リッチー・トージア(ビル・ヘイダー。諏訪部順一)おしゃべりでお調子者はそのまま成長。人気コメディアン
- リッチー少年期(フィン・ウォルフハード。平田真菜)
- マイク・ハンロン(イザイア・ムスタファ。三宅健太)両親を火事で亡くし、屠殺場の祖父母に育てられた黒人。デリーに残り成長
- マイク少年期(チョーズン・ジェイコブス。渡辺拓海)
- エディ・カスプブラク(ジェームズ・ランソン。神谷浩史)ぜんそくで臆病なまま成長。心配性で太った母に似た女性と結婚。保険屋
- エディ少年期(ジャック・ディラン・グレイザー。小林由美子)
- スタンリー・ユリス(アンディ・ビーン。平川大輔)厳格なユダヤ教司祭ラビの息子。会計士になり結婚して平穏に暮らしてる
- スタンリー少年期(ワイアット・オレフ。地蔵堂武大)
- ペニーワイズ(ビル・スカルスガルド。多田野曜平)陽気なピエロ姿だが…
- ヘンリー・バワーズ(ティーチ・グラント。坂詰貴之)27年前のいじめっ子の不良リーダーは父殺害で逮捕され刑務所暮らしだが…
- カーシュ夫人(ジョアン・グレッグソン。沢田敏子)ベバリーの父が住んでた部屋で1人住むあやしい老婆
ネタバレ感想『IT イット THE END それが見えたら、終わり。』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
監督と豪華キャストと声優陣とカメオ出演
原作はいわずと知れた、スティーヴン・キングの名作ホラー小説『IT』ですが内容は多くの点で変更されています。前作映画『IT イット それが見えたら、終わり。』を子ども編、今回のを大人編とした続編です。
監督は前作に引きつづきアンディ・ムスキエティです。彼は映画『MAMA』をギレルモ・デル・トロ製作総指揮のもと原案・監督した後に前作『IT イット それが見えたら、終わり。』監督に大抜擢され実力を示したようです。
前作は子ども時代編で子役中心でしたが、今回は大人編なのでジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・ヘイダー等の有名俳優女優が共演する点が大きな見どころです。ジェシカ・チャスティンは上『MAMA』にも出演してます。
ピエロのペニーワイズは前作同様、イケメン俳優ビル・スカルスガルドが続投です。今回は彼の素顔も登場し、メイクしてピエロに変身する姿まで披露してくれます。昔のITに比べると怖さは減少してる分、愛すべきキャラに仕上がってます。
1回目は上映時間の都合もあり日本語吹き替え版で観ましたが、主要キャラの多くは専業声優や舞台経験者が演じてることもあり素晴らしいデキでした。特にペニーワイズの恐がらせ方は、字幕では感じ取れない部分もあるので吹替おすすめです。
カメオ出演で、原作者スティーブン・キングが商店おやじで登場し、ジェイムズ・マカヴォイに自転車シルバーを高値で売りつけます。他映画の監督グザヴィエ・ドランも、冒頭で暴行されて川に捨てられピエロに喰われるゲイ役で登場します。
エンドロール後に写真付きで登場した「Warren Appleby(ウォーレン・アップルビー)」は本作の特殊効果コーディネーターでした。DCヒーロードラマ『Titans タイタンズ』シーズン2撮影中の事故で亡くなられたようです。
ホラー映画として恐いか?
本作『IT イット2 THE END』はホラー演出として、中華料理屋での小さな昆虫系クリーチャーや、ピエロのがぶりや、静止するおばあさんの全裸踊りや巨大化や、ペニーワイズのメイクアップ、ゾンビ、巨大クモ等の物理表現が多めです。
これには賛否あるでしょうけど個人的には、ホラー映画でクリーチャー等を見せすぎると恐さは減少すると思ってます。最近は『アナベル死霊博物館』『チャイルドプレイ』など愛着キャラを目指すホラーも増えてるのでその流れかもしれませんが。
冒頭のゲイ事件は何だったのか?
本作『IT2 イット THE END』の冒頭でゲイカップルが不良にからまれて暴行され、エイドリアン(グザヴィエ・ドラン監督)は川に落とされて流され、ピエロのペニーワイズに喰われてしまいます。前作から27年後のデリーでの事件です。
これら誰かが前作の大人時代なのかと思いきや全く関係ありません。この事件を違法傍受したマイクが川岸で「COME HOME」のサインを見つけ「それ」のしわざと気づき、27年ぶりにルーザーズの6人に電話するきっかけとなったのです。
ルーザーズ(負け犬)のリッチーも、子ども時代からゲイだったことが視聴者にはカミングアウトされます。不良ヘンリーらにいじられた事、エディに好意を持ってた事も描かれるので冒頭事件が気になりましたが、全く関係性はないようです。ちなみに、川に流されたエイドリアンもエディ同様ぜんそくでした。
不良ヘンリーが登場する意味は?
ヘンリーは前作『IT1 イット』でビルらを負け犬(ルーザーズ)としていじめ、太っちょ転校生ベンの腹にはナイフで名前を少し彫ったほどの傷害犯罪者で不良グループのリーダーでした。
ヘンリーがグレた最大の原因は、厳格すぎてDVぎみで警官でもある父親への反発でした。前作で父親を刺して殺害し狂ったヘンリーは、マイクも殺そうとするが反撃されて井戸に落ち、帰宅したところを警察に逮捕され刑務所行きとなりました。
27年後、ピエロのペニーワイズはルーザーズの敵としてヘンリーを赤い風船や、昔の不良の手下で「それ」の餌食となったパトリック・ホックステッターのゾンビを使って脱獄させます。その思惑どおり、ヘンリーはルーザーズを襲います。
原作小説はともかく映画本編だけで考えると、このヘンリーは不要だったと感じます。ルーザーズには幻覚だけでは「恐怖」が足らず、物理攻撃を仕掛けたい「それ」が送り込んだ刺客あつかいですが、効果的に使われてなくて雑音でした。
ヘンリーをペニーワイズの手下的に使うのなら、冒頭の不良グループとも連携させたらもう少し面白かったように思えます。もちろん最後はヘンリーも不良たちもペニーワイズに喰われれば「悪は最悪に滅ぼされる」として楽しめたはずです。
「IT それ」の正体とは?能力や弱点や結末は?
前作では図書館で調べたベンが「それ」の正体を推測しました。セミのように長期間冬眠して27年周期で目覚め、子どもを中心に「恐怖」でこわがらせた後においしく食べたり、糸で空中に浮かせて将来の食料として蓄えていました。
図書館の屋根裏部屋?でひきこもって調査してたマイクは、先住民などへの聞きこみで「それ」が「宇宙から来た3つの光(隕石)」と関係あるとをつきとめ、先住民があみだした宝具と「チュードの儀式」で封印できることをビルに伝えます。
また、ベバリーが父の住んでた部屋で遭遇した「不気味な静止する老婆カーシュ婦人」が「父ペニーワイズはサーカス団で人気のピエロだった」と発言して昔の写真も飾ってました。このことから「それ」は子どもにウケるピエロのペニーワイズを取りこんだとも考えられます。
前作ラストでも明かされたように「それ」は昆虫系エイリアンの可能性が高く、本作では「巨大なクモ型」の姿も見せます。昆虫系かピエロに近づいた者は物理攻撃し、少し離れた場所からは幻覚で恐怖させ、操って巣へ誘導するようです。
弱点は「恐怖しないこと」つまり「勇気」です。前作ではベバリーだけが恐怖しなかったため、すぐ喰われませんでした。今回ラストでは、ルーザーズが団結して勇気を言葉にして攻撃すると、巨大クモはだんだんしぼんでいきます。
そして「それ」の心臓を手にしたルーザーズはみんなで押しつぶして「それ」は退治されたのです。このラストは見ごたえなくてがっかりです。「結末が残念」と言われるビルは、スティーヴン・キング自身への皮肉になってるのでしょうか。
チュードの儀式とは?思い出の品は?
「それ」を倒すための「チュードの儀式」は原作とは大きく違って、各自の「思い出の品」を集めて集合し、先住民のピラミッド型の壺に封印するのです。しかし結論としてこの方法では先住民も成功したことがなかったとわかります。
マイクはその事実を知ってたが「勝てるという自信や勇気」を皆に抱かせるためにあえて黙って実行したのです。それにしても各自に「思い出の品」を集めさせる必要はなかった気がしますが、映画的には復習させる意味もあったのでしょう。
- ベバリー: 絵はがきの詩のラブレター
- ベン: ベバリーがハートを書いたノート
- ビル: 弟ジョージへの折り紙の黄色い船と自転車
- マイク: 皆がヘンリーら不良を追い払ってくれた石
- リッチー: ゲームセンターのメダル(ゲイサイン書いた)
- エディ: ぜんそくの吸入器
- スタンリー: 蜘蛛の巣よけのシャワーキャップ
ベバリーはラブレターの送り主をビルだと思いこんでましたが、ラストでベンだと気づきます。マイクのは屠殺銃かと思ったけど、良い思い出だと「ルーザーズに入るきっかけになった石」なのでしょうね。
ビルの「黄色い船」だけは幻覚から出た物ですが、なぜか実体化してて謎です。スタンリーのシャワーキャップはギャグかと思ったけど「蜘蛛の巣よけ」というのは、巨大クモの姿だった「それ」を予言してて伏線のようにもなってます。
ベンの恋愛が成就?スタンリー自殺のわけは?
本作『IT イット THE END』の上映時間が約3時間なのは内容からして長すぎると感じましたが、それだけ長尺になった原因の1つは主要メンバーが多すぎるからです。リッチーやエディのからみはもっと減らしてもよかった気がします。
ルーザーズで最も光が当たったのはベンです。彼はひそかにベバリーに恋しながらも、太ってるという劣等感などであきらめ、ビルとベバリーの関係を陰ながらながめてました。
しかし本作ラストでは、ベバリーがついに「絵はがきラブレター」の差出人がビルでなくベンだと気づき、キスから2人で旅行するまでに発展します。実は前作で浮きそうなベバリーにキスして救い出したのもベンでした。
この展開を期待したからこそ「大人編」を観たという人も多いでしょう。ただ、ベンは大人になってスマートになり、仕事でも成功してるキャラで負け犬のかけらも感じられない点は逆に少し残念です。独身?なのが不思議なくらいです。
ルーザーズクラブのうちスタンリーだけが集まる前に自殺しますが、その理由はラストに彼からの遺書で語られます。全員集合が原則だけど、彼は気が弱くて皆の足手まといになる(恐怖心をあおりそう)から、先に自ら命を絶ったと書いてます。
記憶を失ってた理由は?失わない理由は?
デリーに27年間住み続けてたマイクは「それ」やペニーワイズとの戦いの記憶を持ち続けていますが、デリーを離れたルーザーズクラブのメンバー達はその記憶を失ってます。人は忘れるけど、あれだけ刺激的な記憶は普通残ってるものです。
劇中では忘れた理由は明らかになりませんが、記憶が消えるのも「それ」が生存し続けるための能力だと感じます。その能力のおかげで「それ」は同じ街で子ども達を確保し続けることができたのでしょう。27年周期も自己防衛だと思います。ベバリーだけ覚えてたのは「死の光 デッドライト」をあびたからです。
「IT それ」には幻覚や悪夢を見せる能力があるので、脳内の記憶を消す能力があっても不思議ではありません。そして「それ」が倒された後は記憶消滅の能力もなくなり、ルーザーズクラブの記憶も残り続けるのでしょう。
記憶を失ってたはずのスタンリーが自殺したのは変だなと思ったけど、マイクからの電話を受けた直後にエディも動揺して交通事故したので、すぐに記憶はもどったのでしょう。
『IT2 イット THE END』私の評価と前作との比較
27年の時を経ていよいよ対決!というヒーロー映画要素はほぼなく、大人になった負け犬がかつての思い出を取り戻して「それ」との再戦に挑むという物語です。失ったものは多いけど、成就しなかった恋愛が実った展開はよかったです。
ただ、かつての負け犬(ルーザーズ)は仕事では成功して成長してるのに、「それ」は「COME HOME」と誘ったわりにはヘンリー解放以外には策もないし進化もしてないし弱点克服さえしてないので続編の敵としてはかなり物足りなかったです。
前作『IT イット それが見えたら、終わり。』は見えない敵とのホラー映画というだけでなく青春映画としても良作でしたが、今回のはその両面で後退した作品となってる点も残念です。ただしホラー初心者には見やすいのでおすすめです!
私の評価 63/100(60が平均)
シリーズやジャンル⇒ホラー/パニック/バイオレンス映画一覧