『レジェンド&バタフライ』感想ネタバレ解説考察/結末は?本能寺の変の謎とは?
尾張の織田信長は、敵対する隣国・美濃の濃姫と政略結婚するが最悪な出会いに…。そこへ今川義元の大軍勢が押し寄せ、絶望の信長は濃姫に励まされ勝利。2人は天下統一へ歩みだすのだが…。濃姫が信長を天下人に?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | レジェンド&バタフライ |
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日本公開日 | 2023/1/27 [予告] 上映時間:168分 |
監督・キャスト | 大友啓史[キャスト] |
映倫区分 | 日本:PG12(小学生指導必要) |
配給/製作 (画像出典) | 東映/東映京都撮影所 |
日本興行収入 | 24.7億円(年間23位) |
製作費 | 20億円 |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 71(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 実話/歴史/時代/西部/戦争映画一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 織田信長(木村拓哉)尾張の小大名。大うつけ。敵対する隣国から濃姫をめとるが…
- 濃姫=のうひめ/通称 帰蝶=きちょう(綾瀬はるか)政略結婚で信長の正室に。男まさり
- 各務野/かがみの(中谷美紀)濃姫の筆頭侍女。尾張へも一緒に来る
- 福富平太郎貞家/ふくずみへいたろう さだいえ(伊藤英明)濃姫の侍従。嫁いだ濃のお供で織田家へ
- 木下藤吉郎(音尾琢真)織田五大将の一人。農民出身だが頭角を表す
- 明智光秀(宮沢氷魚)織田五大将の一人として頭角を表す
- 森蘭丸(市川染五郎)信長の小姓
- 斎藤道三(北大路欣也)濃姫の父親。美濃のマムシと呼ばれる戦国大名
- 徳川家康(斎藤工)信長に安土城に招かれる
ネタバレ感想『レジェンド&バタフライ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
東映70周年記念作?監督とキムタクやキャストについて
『レジェンド&バタフライ』(THE LEGEND & BUTTERFLY)は、東映70周年記念作品として制作される「織田信長(=レジェンド)と濃姫(=帰蝶=バタフライ)」の劇場映画です。総製作費20億円と発表されるのは珍しいので自信作なのでしょう。
監督の大友啓史は、るろうに剣心 実写版シリーズを成功に導き、最近は『億男』『影裏』などを手がけてます。
主演のキムタクこと木村拓哉は、最近は『検察側の罪人』『マスカレードホテル』『マスカレードナイト』等、綾瀬はるかは『劇場版 奥様は、取り扱い注意』『はい、泳げません』等に出演。
他も豪華キャストで、伊藤英明、中谷美紀、宮沢氷魚、斎藤工、市川染五郎、北大路欣也などが出演。
桶狭間の戦いの戦術は濃姫が?
戦国時代、小国の尾張の嫡男・織田信長(キムタク=木村拓哉)は、隣国の美濃の濃姫(綾瀬はるか)と婚姻。父が美濃の斎藤道三に敗戦したため政略結婚。気の強い濃姫は、信長をバカにして従わず、いずれ美濃の属国にしたいと考えてます。
しかし美濃の戦で道三は長男の義龍に討たれ、人質の意味がなくなった濃姫は自害しようとするが信長に止められます。1560年、今川義元が大軍勢で尾張へ。気力なくした信長を、濃姫が鼓舞し2人で考えた戦術で大将首を取り奇跡の勝利!
以上が序盤のあらすじです。織田信長と濃姫=帰蝶との夫婦物語に焦点をあててるため、織田家の内部抗争や、美濃や今川家との因縁などは一切描かれません。時間も限られるのでそれには賛成ですが、鷹狩りもカットできたのでは?
本作は制作費20億円と宣伝してるので、桶狭間の戦い、長篠の戦いともう1つくらいは合戦シーンを期待してたのにどれも描かれず…。昨年『キングダム2 遥かなる大地へ』で合戦シーンに興奮したので比較するとがっかり。どこに20億円も使ったのでしょうか?
それでも、濃姫が嫁いできて信長と反発しあい、桶狭間の戦いの戦術を一緒に思いついた展開は結構好き。これ以降も濃姫が軍師的ポジションになれば面白そうだったのに…。残念ながら、桶狭間の前までが個人的にはピークでした。
明智は比叡山焼討ちで何を想う?濃姫と離婚?
信長は桶狭間の戦い後、美濃も制圧して岐阜城を手に入れます。将軍・足利義昭からの依頼には、家臣は反対するが、濃姫に背を押された信長は上洛協力することに。京都でスリにあった信長は、濃姫を救うために貧民街の人々を虐殺。
信長は朝倉義景の討伐中、妹のお市を嫁がせた北近江の浅井長政に裏切られます。明智光秀、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の活躍で撤退。信長は、朝倉勢をかくまい敵対した比叡山延暦寺を女子どもまで焼き討ちに。明智光秀は結構ノリ気。
自らを「第六天魔王」と称した織田信長は浅井・朝倉も滅ぼし、明智光秀は彼らの頭蓋骨=しゃれこうべに酒をくみ信長に差し出します。一方、信長の子を流産後、濃姫=帰蝶は、心を失いつつある信長との距離を縮められず離縁することに。
以上が中盤のあらすじです。合戦シーンは一切なく、僧侶との小競り合いだけ見せられ何が要因かもわからないうちに比叡山焼き討ち。浅井・朝倉との戦闘も会話だけで処理されので、信長映画としてはかなり悪手だと感じます。
それなのに、信長と濃姫が貧民街で正当防衛とはいえ虐殺するシーンにはたっぷり時間使います。「貧しい人々を救いたい」と考えがちな場面なのに驚きました。つり橋効果で2人が近づくためとはいえ、全く賛同できないシーンです。
少しずつ明智光秀が目立ち始めます。明智は将軍家や宗教を信仰してたと描かれることも多いけど、今回は「魔王 信長」に心酔するキャラ設定のようです。延暦寺焼き討ちや、頭蓋骨での酒など狂気に満ちた言動が後の下剋上につながります。
結末は?本能寺の変の真相とは?
信長は天下統一に向けて戦争を続けてます。武田家との長篠の戦いで勝利後、戦死者に止まるチョウチョを見て帰蝶を思い出します。信長は、病で倒れた濃姫=帰蝶を訪ね、安土城で療養させることに。その頃、徳川家康も招きます。
信長は家康を萎縮させるため、明智光秀を蹴飛ばす演技をするが、家康には見抜かれます。そんな信長に「魔王」を感じなくなった明智は、本能寺の変で信長を倒し、自分が魔王になろうと考えます。森蘭丸など少数の兵の奮戦むなしく炎上。
多くの敵を斬り倒した後、燃える本能寺の奥へ行った信長は、床の抜け道から濃姫を迎えに行き、約束どうり2人で南蛮行きの船へ…。という夢を見た信長は、日本刀で自害。同じ頃、濃姫も琵琶のような楽器を演奏しながら他界。
以上が終盤からラストまでのネタバレあらすじです。織田信長の物語では「本能寺の変の真相」が脚本家の腕の見せどころですが、本作のはかなり微妙な理由。明智光秀が、人間らしく戻った信長に失望しての下剋上だが心情の描き方が薄い。
濃姫と一緒に南蛮船に乗船した時、東映や監督はこれが描きたかったのかと思ったが「夢」として処理されがっかり。その前にも夢シーンあったし、最近 別の邦画実写でも「もしもな夢」を観たので、この手法の逃げの多用はひかえてほしいかも。
映画『レジェンド&バタフライ』私の感想と評価は?
今年2023年最初の邦画実写の大作で、キムタクと綾瀬はるかという二大キャストを看板にしただけあり制作陣の意気込みを感じました。濃姫のエピソードはほぼ知らなかったので、信長との夫婦関係の変遷は興味深く観れました。
一方、制作費20億円を宣伝文句にしてる割には、大合戦シーンが1つもなく、全て前後の会話で処理してるのは心底がっかり。邦画実写の悪い傾向が全面に出てしまってます。火縄銃の有効利用や、西洋人との交流も一切ないのは物足りない。
劇場映画なのに会話劇中心なのはもったいないと思ったし、ストーリーに盛り上がりや起伏が少ないのは退屈だったが、年配層は笑ったり泣いたりして楽しんでたので、単に私が対象層じゃなかっただけなのでしょう。
予想以上に「キムタク&綾瀬はるか」で2人の演技はよかったので、前半のようなツンデレ夫婦展開をもっと見せてほしかったとは思います。戦国の戦記ファンには勧めにくいが、出演者が好きな人は楽しめると思うのでぜひ。
私の評価 57/100(60が平均)
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