『劇場版 奥様は、取り扱い注意』評価は?ネタバレ感想考察/黒幕の正体と目的は?結婚生活は継続か?
公安警察の伊佐山は、記憶喪失の妻と共に名前を変えて珠海市で暮らしてます。しかし、メタンハイドレートで活気づく街の抗争に巻きこまれた妻の久実は、驚くべき身体能力を発揮し…。菜美は本当に記憶喪失?菜美の結末は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 劇場版 奥様は、取り扱い注意 |
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日本公開日 | 2021/3/19 [予告] 上映時間:119分 |
監督・キャスト | 佐藤東弥[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝 |
日本興行収入 | 11.9億円(興行収入ランキング) |
平均評価 平均:100換算 | 65(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | TVドラマ映画化一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 伊佐山菜美=桜井久実(綾瀬はるか)珠海市の専業主婦。元特殊工作員だが記憶をなくした
- 伊佐山勇輝=桜井裕司(西島秀俊)県立高校教師。実は公安警察のエリート
- ドラグノフ(セルゲイ・ヴラソフ)ロシアの諜報員。過去に菜美と因縁あり
- 三枝礼子(前田敦子)精神科医。記憶をなくした久美のカウンセラー
- 坂上洋子(檀れい)珠海市の市長。市のためにメタンハイドレートを推進
- 池辺章(小日向文世)勇輝の公安の上司。珠海市での任務と菜美の監視を命じる
- 岩尾珠里(岡田健史)ダイニングバーを経営。コスプレが趣味。久実に近づく
- 矢部真二(鈴木浩介)勇輝と同じ高校の教師。メタンハイドレート反対派
- 神岡恭平(鶴見辰吾)勇輝の先輩。海外任務から帰国
- 横尾義文(みのすけ)メタンハイドレートの調査会社社長
- 五十嵐晴夫(六平直政)市長に立候補。メタンハイドレート反対派
- 浅沼信雄(佐野史郎)メタンハイドレート開発を裏からあやつる謎の男
ネタバレ感想『劇場版 奥様は、取り扱い注意』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
TVドラマの続編?TV版の視聴は必須?
劇場版『奥様は、取り扱い注意』は、テレビドラマの続編らしいのですが、私は未視聴だしチケット買った後にそのことを知りました。邦画実写ではかなり珍しい「スパイアクション」を期待してたので、それが前提の評価と感想になります。
前のミッションで記憶喪失になった伊佐山菜美/いさやまなみ(綾瀬はるか)は、夫の伊佐山勇輝/いさやまゆうき(西島秀俊)と共に小さな珠海市で静かに暮らしてます。専業主婦の毎日には退屈してくるが、夫との生活には満足してます。
桜井裕司と名を変えた勇輝は、公安の上司(小日向文世)の命令で妻の久実(=菜美)を見張りながら、珠海市のメタンハイドレートの利権をめぐる陰謀を調査。裕司は、公安の先輩・神岡(鶴見辰吾)とも再会します。
裕司は公安を隠して高校教師として働き、メタハイ反対派の市長候補を応援する矢部と親しくなります。一方の久美は、ダイニングバーを経営する岩尾と親しくなり、バーで働きはじめます。しかしメタハイ抗争に巻きこまれていき…
結論を言うと、TVドラマ版を全く観てなくてもストーリーを知らなくても劇場版の物語は充分理解できます。ただし伏線回収やオマージュに気づきたければ、時間あるならTV版観てからの方がいいです。劇場版の後にTV版を観たくはなりませんでした。
心情を語ったり説明セリフの多さ、回想での繰り返しの多用、大げさな言動、無意味な叫び、アクションの少なさ、戦闘時の重量の軽さ、変なスローの多用など、TVドラマでは当たり前だけどスクリーンにはなじまない表現が多すぎました。
同僚教師と市長の関係は?ヤクザを倒す仮面の正体?
珠海市は過疎化や観光客の不足により将来があやぶまれています。市長はメタンハイドレート開発により市の復興を目指すメタハイ賛成派です。裕司=勇輝の同僚教師・矢部は、市長の夫でしたがメタハイ反対で妻と対立し別居状態に。
その矢部は、珠海市の海を守るためにメタンハイドレート反対派の市長立候補者・五十嵐を助けます。しかし何者かがヤクザを使って五十嵐の支持者たちを傷つけていき、ついに五十嵐も重症を負って市長選の辞退を考えます。
そのヤクザを、謎の仮面女性が退治しはじめますが、正体はバー店長で顔が女性的な岩尾でした。岩尾は、久美=菜美にバーをまかせて得意の空手でヤクザを成敗してました。岩尾は空手部出身で、高校時の顧問は矢部でした。
仮面女性は、久美の可能性があると誤解させる演出でしたが、久美(綾瀬はるか)なら顔を隠す必要なく倒せるのでミスリードになってません。岩尾は、矢部と市長の息子だと思ってたので、ただの元教え子だとわかると少しがっかり。
メタハイ反対派の黒幕は?メタハイ描写が残念
メタンハイドレート開発は、原子力に変わる安全な新エネルギーとして注目されていますが、海が荒れてもとに戻らなくなる可能性が現実でも指摘されています。しかし調査会社の社長・横尾(みのすけ)が金をばらまいて安心をアピール。
メタハイ反対派にヤクザを送りこんでたのも横尾の指示です。しかしその裏の黒幕の正体は、開発コンサルティング会社社長の浅沼(佐野史郎)でした。浅沼の裏にも何者かいそうでしたが、今回の映画では明言されません。
せっかくメタンハイドレート開発という時事問題を題材にしたのに、ただの金儲けの材料としか描かないのはもったいないです。事実をもとにメリットとデメリットの間でゆれる人々を描けば、社会派映画としても映画賞で評価されたかもしれないのに。
公安の本当の目的とは?先輩神岡の正体は?
教師の矢部は船内パーティーに侵入し、元妻である市長にメタハイ推進派の陰謀を告げるが、横尾らに殺害されそうになります。一方、機密情報のUSBドライブを船底で見つけた勇輝も、ロシア工作員に囲まれて戦闘になります。
少し前、カウンセリングを受けてた菜美は「一番大切な者を失う」との電話をうけ、妨害する者達を倒して勇輝を助けに行きます。勇輝と菜美は「嘘ついたな」と夫婦げんかしながら敵エージェントを倒すが、宿敵ドラグノフが現れます。
屋上での戦闘でドラグノフを追いつめた菜美はとどめをさせないが、公安の神岡(鶴見辰吾)が銃殺。そこへ勇輝と公安の池辺(小日向文世)らも到着し、公安の本当の目的は、情報を外部へ流してる神岡の正体をつきとめるためだった判明。
菜美は少しの期間だけ記憶喪失だったことを利用して、池辺の命令を了承した上で、勇輝との結婚生活をつづけてました。ロシア工作員につながる裏切り者を発見するためのオトリになってたのです。最後は勇輝が撃ち、菜美は海へ落ちていき行方不明に。
実は菜美が勇輝に見せたTV番組の伏線回収で、心臓の横の「奇跡の場所」を撃ち抜かれば菜美は、心臓・肺・血管とも傷つかずに生還できました。映画上はズレてた気がしますが。数カ月後、菜美はどこかの海辺でお茶していていました。
本作で唯一といってもいい戦闘アクションシーンですが、近接格闘・銃撃戦とも小規模だし、敵が本気でかかってこないのもわかる低レベルです。ジョン・ウィック・シリーズ等を観たことある人にはかなり物足りないでしょう。
ロシア工作員、公安の情報を売る神岡、それを追う公安の池辺たち、記憶喪失だと偽った菜美、記憶戻りに感づいてた勇輝など、二重三重のだましあい(コンゲーム)が制作陣的には見どころだったのでしょうけど、意外性は感じませんでした。
神岡が単身で動いてたり、公安の動きを察知してなかったり、菜美が死ななければならない理由があいまいだったり、無防備の菜美を射殺した勇輝が罪に問われず?珠海市で暮らしてたりしたラストなど、ツッコミどころだらけ。
劇場版『奥様は、取り扱い注意』私の評価と感想と続編
テレビドラマの続編とは知らず、TV版を1話も観ずに視聴しましたが、ストーリーは単純なので理解できました。綾瀬はるかのかわいさや西島秀俊の夫婦っぷりは、観ていてほっこりできました。
ただ、スパイアクションを期待してたので、戦闘がほぼないのは不満です。また、スタントを使うためか綾瀬はるかの戦う顔があまり見られないのは残念なので、アクションもこなせる土屋太鳳、川栄李奈、広瀬すずの方がよかった気はします。
低レベルで短時間のアクションの他、説明セリフ(モノローグ)が多いのは高齢者用で仕方ないけど、メタンハイドレートを道具としてしか使わなかったり、無能にしか見えない公安や神岡などは、役者の責任ではなく稚拙な脚本のせいです。
何も考えずに家で家族と気楽に観られる作品としてはおすすめできます。綾瀬はるかと西島秀俊がまったく夫婦に見えないため、小さな子どもでも楽しめそうです。続編があれば、今度こそ2人が夫婦になれる物語を観られそうですね。
私の評価 58/100(60が平均)
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