映画『ミステリと言う勿れ』ネタバレ感想解説/結末は?真犯人と真相は?一族の闇とは?
天パなおしゃべり大学生・久能整は広島で、犬童我路の知人JKの狩集汐路から「莫大な遺産相続」を勝ち取るバイトを依頼され、世代を超えた一族の闇に巻きこまれるのだが…。過去の被害者の共通点は?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ミステリと言う勿れ |
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日本公開日 | 2023/9/15 [予告] 上映時間:128分 |
監督・キャスト | 松山博昭[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/オフィスクレッシェンド |
日本興行収入 | 48.0億円 (年間8位) |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.10.17更新) 74(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | TVドラマ映画化一覧 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 久能整/くのう ととのう(菅田将暉)天然パーマのおしゃべり大学生。常識に縛られず頭の回転が早い
- 狩集汐路/かりあつまり しおじ(原菜乃華)狩集家の遺産相続候補者の1人。女子高生。犬童我路の知人
- 赤峰ゆら/あかみね ゆら(柴咲コウ)遺産相続候補者の1人。汐路のいとこ。娘のいる専業主婦
- 狩集理紀之助/かりあつまり りきのすけ(町田啓太)遺産相続候補者の1人。汐路のいとこ。臨床検査技師
- 波々壁新音/ははかべ ねお(萩原利久)遺産相続候補者の1人。汐路のいとこ。サラリーマン
- 車坂朝晴/くるまざか あさはる(松下洸平)狩集家の顧問弁護士の孫。汐路の初恋相手
- 車坂義家/くるまざか よしいえ(段田安則)狩集家の代々の顧問弁護士。朝晴の祖父
- 真壁軍司/まかべ ぐんじ(角野卓造)狩集家の代々の顧問税理士
- 狩集ななえ/かりあつまり ななえ(鈴木保奈美)汐路の母
- 狩集弥/かりあつまり わたる(滝藤賢一)汐路の父。8年前に交通事故死
- 志波一巳/しば かずみ(でんでん)広島県警の刑事。8年前の交通事故を担当
- 犬堂我路/いぬどう がろ(永山瑛太)久能整が過去の事件で遭遇した謎の青年
ネタバレ感想『ミステリと言う勿れ』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は漫画?監督とキャストは?
映画『ミステリと言う勿れ』の原作は、田村由美によるミステリー漫画『ミステリと言う勿れ』。公開時の累計発行部数は1800万部。第67回小学館漫画賞一般向け部門を受賞。2022年にフジテレビでテレビドラマ化されて話題に。
映画版では原作漫画で人気だった「広島編」が描かれそうです。監督の松山博昭はTVドラマシリーズからの続投で、映画では『信長協奏曲』『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』等を監督。
出演者は、菅田将暉、伊藤沙莉、永山瑛太などがTVドラマから続投。他、原菜乃華、柴咲コウ、鈴木保奈美、松下洸平、町田啓太、萩原利久、滝藤賢一、筒井道隆、松嶋菜々子などが出演。
TVドラマ『ミステリと言う勿れ』簡単あらすじ
大学生の久能整は、高校の同級生殺害の容疑者として、大隣書で任意取り調べを受けます。ところが天才的な推理で真犯人と動機を特定し事件解決。その後、整はバスジャックに巻きこまれ、乗客達と共に犬童家の屋敷に連行されます。
風呂光の機転で乗客達は救われるが、犬童愛珠を殺害した真犯人こそ、最近の連続殺人犯だったと判明。整は乗客の1人が愛珠の兄の犬堂我路(永山瑛太)と見抜きます。しかし殺人犯は移送中に消え、犬童家も愛珠の最後の手紙の「ジュート」という人物を探して行方不明に。
整は暗号を解きライカ(門脇麦)と知り合います。その前後と、ライカとのデート中の焼肉屋でも事件解決。解離性同一性障害の1人格であるライカとは永遠の別れ。一方、風呂光たちは新事件で、22年前の殺人犯・羽喰玄斗を追います。
犬堂我路は愛珠がカジノで働き、ある男性に恋して自殺を考えたことをつきとめます。風呂光たちは連続殺人犯が羽喰玄斗の息子だと気づきます。その人物こそ「ジュート」で、愛珠が殺してもらおうと依頼した人物でした。愛珠に自死をすすめたカウンセラーの正体は謎のまま。
狩集家の遺産相続とは?数々の殺意の犯人は?
広島の美術展を訪れた久能整(菅田将暉)は、狩集汐路(原菜乃華)に「金と命がかかってる」バイトを依頼され、強引に一族の集まりに連れて行かれます。当主の死で弁護士と税理士により遺言書が開封され、孫の誰か1人が相続することに。
当主の子の4人は8年前、汐路の父の居眠り運転に同乗してたため交通事故で全員死亡。だから孫の4人が遺産相続の対象者となり、各自に割り当てられた蔵で「あるべきものを、あるべき所へ過不足なく」した者が唯一の相続人に選ばれます。
翌朝、蔵へ行く時に汐路は落ちてきた鉢植えに当たりそうになります。蔵には7体の人形があり「3体足りない」と整は気づきます。汐路は波々壁新音(萩原利久)の蔵も見せてもらい、整は陶器の偽物に違和感。夜、赤峰ゆらが行方不明に。
狩集理紀之助(町田啓太)が探しに行った後、汐路と新音は油で階段から転げ落ちます。紀之助は赤峰ゆら(柴咲コウ)の夫と、蔵に閉じ込められたゆらを救出。整は一連の騒動の犯人は、地面にナイフ罠を仕掛けてた汐路だとあばきます。
以上が序盤あらすじ。整が「犬神家の一族?遺産相続の連続殺人が起きるやつ?」と発言したように、冒頭は犬神家のテンプレート。そもそも公平に相続すれば争いは起きないのに、1人だけに相続させるのは「直系の力」を維持するためかな。
しかし実際には「一族で殺しあう」なんて映画的なことは現代では起きないでしょ?というアンチテーゼを序盤で見せてくれるのが「ミステリと言う勿れ」らしい。「別々になるから個別に殺害される」にも納得。
汐路は、居眠り運転で責められた父の汚名返上のため「殺人説」を認めさせようとして「架空の殺人犯」を自ら演出したのです。後にも明かされるが、このような心の傷(傷ついたセメント)を持つ汐路を演じた原菜乃華の演技は見事でした。
一族の闇の歴史とは?過去の殺人の真相は?
整の「常々思ってるんですが、皆が一緒にいれば個別に殺されることはない」で4人の孫は協力することに。整は帰京する予定だったが、何者かの車で川に落とされたため、「攻撃されると攻撃的になり」最後まで関わることに。
広島県警の担当刑事から、汐路の父の交通事故時の遺品「牡丹がらの人形」「宮島焼の陶器」「USBメモリのフタ」を聞き出し、整たちは各自の蔵を調査。整は汐路の蔵で「鬼の集い」の芝居チケットを発見し、主催者に話を聞きます。
自殺した脚本家の身内が台本と録画を回収したが、イメージを描いたCDが残されてました。整は4人の孫と、弁護士の孫の車坂朝晴(松下洸平)と共にCDを視聴。150年前の明治初期、天然パーマで白い顔の異国人と2人の男が広島へ来ました。
3人は狩田家に集まった3家族を皆殺しにし、埋めた場所に4つの蔵を建設。(ゆらの)蔵の座敷牢に若妻を閉じ込め子孫を増やしました。一族の娘1人だけが逃走し行方不明に。整が家系写真で発見したとおり「天パ白顔」は代々消されました。
以上が中盤あらすじ。のんびりした風の久能整が「攻撃されると攻撃的になる」のは薄々、視聴者は気づいてましたよね?最初に容疑者になった事件でも、意地になって真犯人を見つけ出しましたし(笑)
交通事故の担当刑事、ペラペラと8年前の状況を話してたので「あやしい」と疑ったが深読みでした。というか遺品について、息子・娘たちが全く覚えてないか無関心なのは違和感。
一族の闇の歴史をCDのアニメで説明したのも少し残念。ミステリーなら、整が証拠品などから推理してたどり着いてほしかったかも。また、異国人が3家族と入れ替わったことに周辺の人々がずっと気づかなかったのもあり得ないですよね。
とはいえ、このような闇歴史は実際にもあったのでは?と思ってしまいました。予想してた以上に恐ろしくむごい黒歴史。天然パーマの雑談がここで生きてきたのは驚き。だが、歴代で殺害しつづける動機としては圧倒的に弱すぎますね。
結末は?真犯人の正体と真相は?犬堂我路は登場?
整はただの芝居ではないと考え、自殺した脚本家の宝田が、汐路の亡き祖父のいとこの弟だったとつきとめます。蔵の床下を掘ると大量の骨が出てきて警察に通報。ゆらは蔵で見つけた「汐路の父の手帳」を見せ、整はひらめきます。
整は「USBメモリの場所は宮島の干潮時の地面下」と関係者全員に連絡。USBメモリを掘り出した人物は「150年前の惨殺事件から逃げた少女」の正体を知り、その家に侵入。その現場に整たちと県警刑事が待ち伏せて犯人を確保。
8年前、みかんジュースに睡眠薬を入れて、汐路の父たちを殺害した真犯人の正体は、車坂弁護士の孫の朝晴でした。朝晴のターゲットは「天パ白顔」の汐路の父と新音の母の2人だけでしたが、4人とも交通事故死したのは誤算。
朝晴を守った車坂弁護士と真壁税理士も、脚本家殺害の罪で逮捕されます。3人の鬼(狩集、車坂、真壁の先祖)は逃げた娘の復讐を恐れ、遺産相続した子孫達が「天パ白顔」の家族を殺害してきたのが「一族の闇の歴史」です。
整は「汐路の父の紫好き」から「アメジストの魔除け」でUSBメモリを見つけ、4孫と共に「本物の狩集の子孫」(松嶋菜々子)に会いに行きます。汐路の父は真実を話し「桜と菊の人形」を返し、4孫への石飾りを依頼してました。整は汐路にカウンセリングを勧め帰京。逃亡中の犬堂我路は洋上のボートに。
以上がラストまでのネタバレあらすじ。本作で一番のツッコミどころは「皆にUSBメモリの場所を伝えたら、真犯人が掘り出した」こと。しかも干潮時に取りに行ったら、誰かに目撃されるリスクも高いし、それを伝えた整がまだ入手してないのにも違和感をおぼえたはず。
また、弁護士を目指す車坂朝晴が「将来を棒に振るリスク」をおかしてまで、一族の掟どおり殺人するとは考えられないし動機としても弱すぎます。というか「天パ白顔」以外の一族の人間もDNA照合すればバレる時代なので、殺人は無意味。
今回の遺産相続は「車坂弁護士と真壁税理士が、本物の狩集の子孫の居場所を、4人の孫につきとめさせる」のが目的でした。ただ、あんな簡単な場所に隠されたUSBメモリや、着物にくるまれた手帳を発見できなかったのも納得できません。
映画『ミステリと言う勿れ』私の感想と評価は?
TVドラマ『ミステリと言う勿れ』は、めずらしく最後まで観れた日本ドラマだったので映画版も楽しみでした。その期待を裏切らず、整のウンチクや説教もさえわたり、定番や常識をくつがえし、優しいラストではほろりとさせられました。
上でも指摘したように、ミステリーとしては弱点だらけだが、それは原作者も承知で『ミステリと言う勿れ』というタイトルにしたということなので問題ないでしょう。ミステリではなくヒューマンドラマとして楽しむのが、本作の醍醐味ですね。
原作未読だが、菅田将暉が演じる久能整は人間的・論理的・常識にとらわれない感じが本当に魅力的で、膨大な知識量からくるウンチクも毎回いい。ヒロインの原菜乃華も、声以外では多分初めて見たが、難しい役を見事に演じてたので将来楽しみ♪
少し厳しく言えば、2時間のテレビドラマでよかったのでは?と思えるほど低予算に感じたが、高齢者を中心に多くの席は埋まってたので需要はありそう。犬堂我路の活躍なかったのは残念なので、ぜひ続きも映像化してほしいですね!
私の評価 67/100(60が平均)
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