『ランボー4/最後の戦場』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?誰が悪い?
ランボーシリーズ4作目。ベトナム帰還兵のアメリカ人ランボーは、ジャングルでヘビを採取して静かに暮らしてます。ある日ミャンマーへ送り届けたNGO団が、後に襲撃されたと知り…。ランボーは女性好き?非暴力か報復か?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | ランボー 最後の戦場 |
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日本公開日 | 2008/5/24 [予告] 上映時間:90分 |
製作国 | アメリカ |
原題/英題 | Rambo |
監督・キャスト | シルヴェスター・スタローン(キャスト) |
映倫区分 | 日本:R15+(15歳以上) USA:R |
配給/製作 (画像出典) | ギャガ/ミレニアム・フィルムズ |
日本興行収入 | 10.0億円(興行収入ランキング) |
世界興行収入 | 1.1億USドル [出典] |
製作費 | 0.5億USドル |
平均評価 平均:100換算 *批評家と一般は単純平均 | 69(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | ランボー映画一覧 前作『ランボー3 怒りのアフガン』評価64 続編『ランボー ラスト・ブラッド』4.5億 |
登場キャラクター(キャスト/出演者)
- ジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン。ささきいさお)ベトナム帰還兵。母国になじめずジャングルで生活
- サラ・ミラー(ジュリー・ベンツ。加藤優子)NGOの女性。マイケルと婚約
- マイケル・バーネット(ポール・シュルツ。古澤徹)NGOリーダー。医師。サラと婚約
- スクールボーイ(マシュー・マースデン。杉山大)傭兵。狙撃手。ランボーに同調
- ルイス(グレアム・マクタヴィッシュ。谷昌樹)傭兵のリーダー
- ディアス(レイ・ガイエゴス。石住昭彦)髭とバンダナの傭兵
- リース(ジェイク・ラ・ボッツ。斉藤次郎)オールバックの傭兵
- エン・ジョー(ティム・カン。飯島肇)髭とブーニーハットの傭兵
- パ・ティー・ティント(マウン・マウン・キン<本物の元ミャンマー海軍中将>)卑劣なミャンマー陸軍大佐
ネタバレ感想『ランボー 最後の戦場』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
シリーズ概要と監督シルヴェスタースタローン
ランボーシリーズは、ベトナム戦争のグリーンベレーだったジョン・ランボーがアメリカ帰国後の生活になじめず、戦場へもどって大活躍する戦争アクション映画シリーズです。2020年までに5作品が制作され、主演は全てシルヴェスター・スタローンです。
4作目『ランボー 最後の戦場』では、ついに主演だけでなく監督・脚本もシルヴェスター・スタローン本人がやってしまいます。エンタメ要素よりも「社会派要素」を重視し残酷表現やメッセージ性も強いため、大きく賛否がわかれました。
ランボーが暮らしてたのはどこ?仕事は?
前作『ランボー 怒りのアフガン』では、タイで暮らしてたランボーですが、今回もタイ北部のジャングル地帯で、ヘビ狩りやボートの運搬をして食いつないでいます。戦争後のPTSDで、アメリカでの生活は難しいのでしょう。
このタイ北部は隣国ミャンマー(旧ビルマ)と接していて、川をボートで移動して不法入国できるようです。
ミャンマーの負の歴史?軍事政権とは?
国土の大部分がイギリス領だったビルマですが、1942年に日本軍と共にアウンサンがビルマ独立義勇軍で「ビルマ国」としての独立を果たします。しかし日本が太平洋戦争で敗退すると、アウンサンは日本に蜂起し再びイギリスと協調します。
アウンサンを暗殺したウー・ソーは、1948年にイギリス連邦を離脱し「ビルマ連邦」として独立して初代首相に就任しました。1962年、ネ・ウィン将軍が軍事クーデターを引き起こし、中国に近づき「ビルマ連邦社会主義共和国」となります。
2010年まで続く軍事政権下では、多数の民族や反発者たちが犠牲となりました。本作映画もその頃が舞台です。その後「ビルマ建国の父」アウンサン将軍の娘アウンサンスーチーらの活動の結果、民政化が進みつつあります。
ランボーがミャンマーへ向かった理由とは?
世間とは隔絶した暮らしをしてたランボーは、ある日たずねてきたNGO団体に「ミャンマー内の村へ移送してほしい」と依頼されます。しかしそこは、ミャンマー軍のパ・ティー・ティント将軍がカレン族を虐殺してるエリアなので断ります。
NGOリーダーのマイケルは、本気で恵まれない人々に物資や医療を届けたい一心ですが、ランボーの心は動かせません。ところが、その恋人のサラ・ミラーが頼むと、次のシーンではあっさりとミャンマーへ向かう船をランボーが操縦してます。
途中で盗賊に襲われた時、早わざで全滅させたランボーにマイケルは「どんな理由でも殺すのはダメだ」と説教します。ランボーは「平和ボケが」と引き返そうとしますが、またしてもサラの「お願い」に屈して無事にミャンマーへ送り届けます。
ランボーが「戦場へ行ってほしい」と依頼され、最初はお断りする流れは過去作でも見ましたが、今回ほど「女性に弱い」ランボーは初めてです。「ランボーは大の女好き」をテーマにしたいのでなければ、明らかに違和感ある展開です。
ランボーが傭兵隊をミャンマーへ送り届けた理由は?
NGO団が滞在した村は、予想どおりティント将軍のミャンマー軍に虐殺され、サラやマイケル等の生きてるNGO員は拉致されます。NGO員の救出にやってきた傭兵団は、船での移送をランボーに依頼します。
かなり疑問に残る展開です。これだけのNGO団が姿を消したら国際問題になり、国家間交渉やCIAが動くと思うのですが。この時代は「傭兵団を送りこむ」だけで対処してたのでしょうか。敵の人数規模を全く把握してないのもありえません。
ランボーが傭兵隊をミャンマーへ送り届けた理由は、自分でNGO員を救いに行くつもりだからです。急いで鉄ナイフを打ってたことからも明らかです。
ランボーがNGO団を救う理由は?
イギリスのエリート特殊空挺部隊SAS出身の傭兵隊長ルイス・オールセンは、目的地に着くと足手まといになりそうなランボーに「船で待ってろ」と同行をゆるしません。そんな傭兵隊長も、敵が百人規模とわかると尻ごみして虐殺を傍観。
残虐なミャンマー兵は、捕らえたカレン族を地雷をまいた田んぼで競争させます。するとランボーが現れ、ミャンマー兵を弓矢で全滅させます。ランボーは傭兵隊の心を動かし、共にティント将軍の拠点へ侵入してNGO団を救出します。
特に傭兵隊スナイパーのスクールボーイは、ランボーの志に同意して多くのミャンマー兵を倒し、仲間のピンチも救います。ランボーがNGO団を救う最大の理由であるサラを救出時に逃げおくれるが、スクールボーイに助けてもらえます。
別行動となったルイス達はティント将軍に捕まり処刑されそうになるが、またしてもランボーが重機関銃を奪い取ってティント軍だけでなく、軍船でせまるミャンマー軍も全滅させます。正確射撃じゃないのに味方に当てないのが不思議ですが。
非暴力はアメリカ人には無理?目には目を?
乱戦の中、傭兵隊にも死傷者がでるが、最後に逃げようとするティント将軍をランボーは切腹のように殺害します。「どんな相手でも殺してはいけない」とランボーに理想像を説教したマイケルも、ついに仲間を守るために敵を石で撲殺します。
シルヴェスター・スタローンが最も描きたかったのは「平和ボケは身を滅ぼす。暴力には暴力で対抗すべし」なのでしょう。これこそ典型的なアメリカ白人の思想だとも感じます。罪ないイラクへ「911」報復した後に作られた映画なのに。
殺人を犯した後、ランボーに挨拶するマイケルには「謝罪」の表情もよみとれます。サラが駆け寄りますが、その後2人の関係がうまくいくとは思えません。これだけ多くの犠牲者を出した原因の2人が幸せになる、という脚本の意図は不明です。
ラストの救援軍の正体は?ランボーはどこへ?
ラストの乱戦時にランボーや傭兵隊を救いに来てくれた部隊は、途中まで案内してくれた地元民が連れてきたカレン反乱軍です。ティント軍を最も憎んでるカレン族が復讐を遂げたのです。ランボーと組めばもっと早く実現できたと思いますが。
生き残ったマイケルとサラのカップルを見て郷愁がわいたからか、ついにランボーも最後はアメリカの故郷アリゾナの自宅へ帰ったようです。エンドロールでその姿が映し出されて終わります。
『ランボー最後の戦場』私の評価と続編
戦場のような激しい銃撃戦や乱戦中、残酷な人体損壊の描写も繰り返されるため人を選ぶ映画です。戦争の悲惨さをきれいごと抜きに見せてくれます。非暴力の理想を掲げる反戦派も、生きるためには残酷になり生々しいです。
一方、ランボーが戦う理由は最後まで明確ではなく、ただの「戦場大好き」で「女性に弱い」変人おじさんにしか思えません。一見「英雄」に見えるけど、罪を犯したミャンマー兵は皆殺しにしてOKという「悪魔」にも思えます。
戦争アクションとしてはそれなりに見ごたえありますが、ただそれだけの映画なのが残念です。スタローン自信はもっと、テーマやメッセージをこめたかったようにも感じます。続編『ランボー ラストブラッド』では改善されてると期待したいです。
私の評価 57/100(60が平均)
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