映画感想『先生の白い嘘』評価ネタバレ解説/ラスト結末は?性の格差とは?過去に何が?
高校教師の原美鈴は、親友の婚約相手が自分と関係の深い早藤だと知り困惑。そんな時、男子生徒の新妻から悩みを打ち明けられ本音をもらしてしまうが…(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | 先生の白い嘘 |
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日本公開日 | 2024/7/5 [予告] 上映時間:117分 |
映倫区分 | 日本:R15+(15歳以上) |
配給/製作 (画像出典) | 松竹ODS事業室/イノベーション推進部/松竹撮影所、RIKIプロジェクト |
日本興行収入 | |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.7.13更新) 64 |
シリーズ 関連作品 | ヒューマンドラマ/恋愛/コメディ一覧 |
参考・出典 | 公式サイトWiki上映映画館 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 原美鈴/みすず(奈緒)高校の教師。親友の渕野美奈子の婚約者とは関係が…
- 新妻祐希(猪狩蒼弥)美鈴のクラスの男子生徒。美鈴に相談するが…
- 渕野美奈子(三吉彩花)美鈴の親友。早藤と婚約
- 早藤雅巳(風間俊介)美奈子の婚約者。美鈴とは…
- 三郷佳奈(田辺桃子)美鈴のクラス生徒。和田島とつきあってる
- 和田島直人(井上想良)美鈴の生徒。クラスのムードメーカー。新妻をからかう
- 清田恵里(板谷由夏)美鈴のカウンセラー
- 池松和男(ベンガル)新妻の祖父。植木屋
ネタバレ感想『先生の白い嘘』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作は?キャストは?監督には違和感…
映画『先生の白い嘘』の原作は、鳥飼茜による日本の同名漫画。全8巻、全49話で2017年に完結してます。
主演の奈緒は『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』『#マンホール』『陰陽師0』等、三吉彩花は『犬鳴村』『十二単衣を着た悪魔』等に出演。
奈緒演じる美玲をとりまく人物として、人気グループ「HiHi Jets」の猪狩蒼弥、風間俊介、板谷由夏、ベンガルなどが共演。
監督の三木康一郎は、実写映画『弱虫ペダル』や『恋わずらいのエリー』等を最近監督。
奈緒が求めたインティマシー・コーディネーター(身体的接触などを演じる出演者の尊厳を守るため、撮影スタッフ側との意向を適切に調整する人)を採用しなかった監督には憤りを感じるし、その部分では0点です。
しかし奈緒らが演じきった映像作品としては観ておきたかったので、本記事では1本の映画としての評価感想を中心にたんたんと述べたいと思います。
美鈴のトラウマとは?生徒との関係は?
美鈴(奈緒)は、親友の美奈子(三吉彩花)が早藤(風間俊介)と婚約したと知らされ困惑。高校教師の美鈴の授業中、男子生徒・新妻(猪狩蒼弥)が不能と笑われます。新妻はバイト先の人妻と不倫してるともウワサされます。
担任として生徒の不倫を否定したい美鈴だったが、面談時に新妻は「強引にせまられた。女性がこわい」と告白。それを聞いた美鈴は涙を流しながら怒ります。過去に美鈴は早藤に暴行され「女は男に暴力で支配されて理不尽」と感じてます。
新妻は先生に謝罪するため自宅を訪ね、美鈴もなぜか招きます。新妻は先生を泣かせたことを謝罪し、先生を苦しめてる何かから解放したいと考えます。新妻は美鈴に防犯ベルを渡すが、転んで美鈴の上になり叫ばれたので驚いて逃げます…
以上が序盤あらすじ。早藤にDV被害を受けてる美鈴、そういう自己満足にしか興味ない早藤、婚約者に相手にされない美奈子、女性恐怖症になりかけの新妻、この4人の主要キャラにはそれぞれ別々の悩みがあり、それが交差する物語として期待させる導入部です。
しかし、先生が生徒を安易に自宅へまねいた描写から、何か違和感を感じはじめました。美鈴は男性恐怖症までではないし、新妻に好意を持ってたからまねいたとも考えられるが、この脇のあまさは最後まで続きます。たとえ映画の都合だとしても、美鈴の生きづらさの本質にも見えるので慎重に演出してほしかったかも。
美鈴を強くした者とは?最後の決断は?
学校を休む新妻が気になった美鈴は、庭の手入れを新妻の祖父に依頼し新妻とも再会。作業後、2人きりになった美鈴先生と新妻は心をかよわせキス。少し強さをもらった美鈴は、早藤に呼び出されるが、高圧的に対応して早藤のやる気を減退させます。
いらだった早藤は帰宅し美奈子を強引に…しかし美奈子は歓迎し、後に妊娠したことを両方の親の前で発表。予期せぬ妻の妊娠にさらにいらだつ早藤は、美鈴を守ろうと訪ねてきた新妻に、美鈴との関係を全て話してしまい…
早藤は美鈴に最後の関係をせまり、生徒である新妻を連れて来るよう命令。しかし美鈴は1人でホテルへ行き「早藤も病んでるので、今までのことはゆるす」と。そういう女性が好きじゃない早藤は、美鈴の顔をボコボコになぐります。
以上が中盤あらすじ。ここでも美鈴の軽率な行動が気になりました。早藤を撃退できたのは新妻との純愛からの成長のおかげでしょうね。2人の関係は応援したいが、教師と生徒という関係が作品のテーマを別方向に導くのは残念。
新妻が早藤を訪ねたのは「女性を守る男性」というより「好きな人を守る」という考えからかと。早藤が美鈴との関係を最後にするのは「強い女性に興味ない」からでしょう。美鈴が「早藤をゆるす」決断をしたのは納得しづらいし、1人で危険の中へ飛び込む理由も不明。
ラスト結末は?加害者の末路は?教師と生徒の関係は?
美奈子は寝た早藤のスマホを確認し、美鈴が倒れてるホテル部屋へ。美奈子は、美鈴が暴行されてるのに気づいてたようだが「早藤を救えるのは私だけだからゆるして」と。別の日 美奈子は、家で首をつってる早藤を発見し救います。
その衝撃で破水した美奈子の前で、早藤は警察に電話し暴行犯として自首。顔の包帯が取れた美鈴は、眼帯等まだ痛々しい状態で学校へ行き生徒の前ヘ。他の教師達に、生徒との関係を聞かれると、事実と認めて辞職し新妻とも別れます。
2年後、美奈子は刑務所の早藤と面会して子どもを見せ出所を待ってます。美鈴はカウンセラーに女性としての生きづらさが解消されつつあることを告げます。庭の手入れを依頼した業者の1人として新妻がやってきて、美鈴と目があいます。
以上がラストまでのネタバレあらすじ。本作では早藤の言動に全く共感できないが、美奈子の考え方にも同じくらい気持ち悪さを感じました。母性の影響もありそうだが「女性が妊娠できる能力」を使って早藤を束縛したいのでしょうか。
つまり「女性だけが妊娠する」のを「性の格差のデメリットの1つ」ととらえる者もいれば、メリットの1つと考える者もいるという描き方でしょうか。最終的にはその思惑どおり早藤は美奈子のオリに閉じ込められてしまうのですが。
一方、早藤が首をつった心境は少しは理解できるが、急に今までの罪を悔いて自首する理由は不明確。破水を見て、自分の子が生まれるのを実感したからとも推測できるけど。また、顔の完治前に学校へ行く美鈴の意図も理解できなかったです。公共の場である下駄箱での会話もあきれました…
映画『先生の白い嘘』ネタバレ感想と私の評価
原作漫画は未読の者の感想です。予想してた同性愛やマイノリティについての映画ではなく「特殊なDV犯罪者による女性搾取」と「高校教師と生徒の純愛」でした。問題提起されてる「男女の性の格差」については主題だと感じられず。
また、キャラの行動原理に一貫性ないのも気になりました。例えば男性をこわがってる美鈴が、家に男子生徒やその父親や男性だけの業者を入れたり、生徒と屋外でのキスや学校の下駄箱でのきわどい会話、理由不明で早藤をゆるしたり、その危険な部屋へ警察も呼ばず1人で行ったり等。
女性が苦手な新妻も、似た悩みを感じたとはいえ女性教師と2人きりになれるのか。また、ただの性犯罪者である早藤のキャラは一般男性にした方が「格差」に焦点があたってわかりやすかったと思うのですが…原作ではもっとうまく見せてそう。
教師と生徒の関係も禁断の恋が印象的すぎて、強くなる美鈴を応援しにくくしてますね。新妻は生徒ではなく、美鈴を本当に好きで理解しようとする大人の男性にした方が、斬新なテーマを深堀りできたと思うだけに残念です。
奈緒と風間俊介は、インティマシー・コーディネイターなしでよく仕事を引き受けたなというくらい見ててつらい役です。ただ、全員の演技は素晴らしいし、人によっては何かを考えるきっかけになるかもしれない作品だとは思います。
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