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ジブリ映画『千と千尋の神隠し』考察ネタバレ感想/ラスト結末は?ハクの正体は?

千と千尋の神隠し 映画/ドラマ

ジブリ映画。米国アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞。ちひろは引越し中に異世界に迷いこみ、豚にされた両親をもとにもどすため湯婆婆の温泉宿で働くが…。腐れ神の正体は?湯婆婆と銭婆の関係は?(ネタバレ感想あらすじ↓)

映画名/邦題千と千尋の神隠し
日本公開日2001/7/20 [予告] 上映時間:124分
製作国東宝
原題/英題Spirited Away
監督・キャスト宮崎駿
キャスト
出演者
柊瑠美、入野自由、夏木マリ、中村彰男、玉井夕海、内藤剛志、沢口靖子、神木隆之介、我修院達也、大泉洋、小野武彦、上條恒彦、菅原文太
映倫区分日本:G(年齢制限なし) USA:PG
配給/製作
(画像出典)
東宝/スタジオジブリ
日本興行収入316.8億円 年間1位 / 歴代2位
世界興行収入3.5億USドル [出典]
製作費15億円
平均評価
平均:100換算
*批評家と一般は単純平均
(興収・評価: 2024.8.31更新)
86私の評価は含まず)
シリーズ
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ネタバレ感想『千と千尋の神隠し』解説と評価

以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!

ジブリで最も観られた映画!監督や声優について

スタジオジブリ制作の映画は大ヒットを繰り返したが『千と千尋の神隠し』はジブリで最も観られた映画というだけでなく、日本歴代興行収入でも上位です。

監督の宮﨑駿(はやお)は、日本どころか世界中で知られるアニメーター・映画監督です。ジブリ制作の映画のヒット作はほとんどが宮崎駿による監督作です。少年少女を主人公としたファンタジー作品が人気です。

『千と千尋の神隠し』も、宮崎駿の知りあいの娘から聞いた話が原案らしく、10歳くらいの少女が楽しめるアニメ映画を目指して制作されたそうです。確かに少女の記憶や初恋が描かれてますが、大人にはダークな面も見える作品です。

ジブリ作品では専門の声優ではなく俳優や芸能人などのタレント声優を使うことが多いのですが、本作でも千尋の声はまだ女優・声優としての経験も浅い柊瑠美(ひいらぎ るみ)が担当しています。最初は少し違和感ありますが慣れてきます。

ハクの入野自由もまだ駆け出しだからか、最後まであまり絵に合わない話し方だと感じました。そんな入野自由も今では多くの作品で経験値を積んで『映画 聲の形』主人公の石田将也などで素晴らしい実績を残してます。

湯婆婆(ゆばーば)と銭婆の夏木マリ、坊(ぼう)の神木隆之介、釜爺(かまじい)の菅原文太、千尋の母の沢口靖子、番台蛙の大泉洋などはセリフ少ない人もいるけど違和感ないです。千尋の父役の内藤剛志だけは少し浮いてる感じです。

テーマは「欲望による破滅や自然破壊。本当に大切なもの。名前や記憶」

『千と千尋の神隠し』はジブリ作品の中でも、かなり深い話で様々な考察がされています。テーマの感じ方も人によっていろいろでしょうけど、私は上の3つが主要テーマだと思いました。

得体の知れない食事を食べた両親は、食欲の欲求に負けてしまい豚にされます。砂金の誘惑に負けた青蛙は、カオナシに飲み込まれます。自我や「自分」を持たなかったカオナシは、欲深い人々を飲みこむうちに欲望の塊になり怪物化します。

このように食欲やお金の欲望に負けて破滅しそうになる人々とは対称的に、千こと千尋は最初の食事や砂金を断り続けて「純粋な心」を貫き通します。そして本当に大切なものである、両親とハクを救うことだけを望み行動し結果を出します。

千尋が現実に戻れたのは、そういう行動の成果ですが「名前」を忘れなかったことも幸いしてます。湯婆婆に名前を奪われると、ハクのように支配されます。千尋は引っ越し前の同級生からの手紙に「ちひろ」を見つけて名前を思い出します。

千尋は名前以外に、ハクに幼少期に救われた記憶を思い出します。銭婆は「記憶は失われない。思い出せないだけ」と言います。両親と現実に戻った後、千尋はハクや湯婆婆のことを忘れたかもしれないけど、いつか思い出すかもしれません。

千尋はハクに初恋のような感情を抱きますが、ハクの正体が川だと考えると、資本主義的な物質文明の犠牲で起こる自然破壊への抵抗にも感じられます。まだ純粋な千尋は、人間的な欲望より自然を選んだのでしょう。

両親が豚になった理由は?現実へ戻れた理由は?

千尋の両親がブタになった理由は、美味しそうな食事のにおいにつられ、欲望や欲求のままに食べてしまったからです。千尋だけブタにならなかった理由は、食事を食べたり欲望のままに行動しなかったからでしょう。

ラストで、坊の口ぞえもあり、湯婆婆は千尋にチャンスを与えます。冒険で成長して欲にもまみれない千尋は、豚の中に両親がいないことを見抜き、ついに両親をもとに戻してもらい一緒に現実社会へ帰ることができます。

「名前を奪われなかった」ことも、千尋が現実に戻れた理由の1つです。千尋は湯婆婆の契約書に、間違った本名(荻野を获野)を書いたのです。湯婆婆のうさんくささを感じからでしょうか。ハクは本名を書いてしまったのでしょう。

千と千尋の神隠し 映画/ドラマ

腐れ神の正体は?ニガダンゴとは?

腐れ神(オクサレ様)は全身が泥まみれで強烈なくさいニオイを放ちながら、湯屋へやって来て湯船につかります。その近くの食事が腐るほどです。千尋がトゲを抜くと大量のゴミが飛び出て、本来の姿「名のある河の神」にもどります。

名のある河の神(主)は、人間が捨てたゴミを長い期間蓄積してオクサレ様になったようです。名のある河の神は千尋に、丸い「ニガダンゴ」をお礼として渡し、温泉を「よきかな」と感じて、半透明の白い龍として空へ飛び立っていきます。

ニガダンゴは千尋が食べてもただの「苦い団子」ですが、傷ついた白竜のハクに無理やり食べさせると「銭婆の判子」と「判子にかけられた呪い」と「湯婆婆の支配の魔法」を体内からはき出させました。

欲望まみれで肥大化したカオナシにニガダンゴを食べさせると、喰われた青蛙や人間たちや泥などをはき出しました。千尋はブタになった両親に食べさせるつもりだったので「体内を浄化し悪い物をはき出させる薬」のような効果がありそうです。

カオナシの正体と目的とは?最後は…

カオナシの正体は、自我や「自分」を持たない黒い影のような存在です。明確な正体は本編でも明かされませんが、千尋に一目ぼれして気に入られるためにつきまとうストーカーのようで、飲み込んだ他人の自我や言葉を奪って大きくなります。

カオナシは、自分を持たず周囲の人から影響を受けたり、特別な家族や友人の偉業を自分のアイデンティティに重ねたりする現代人を皮肉ったような存在です。自分を持たないからこそ、他人のアイデンティティを取り込もうとしたのでしょう。

カオナシは飲みこんだ者の欲求を引き継ぎ、大量の食事で食欲を満たします。そのために、腐れ神の時に学習した砂金をばらまき、自らの価値を過大評価させます。カオナシの最終目的は「千尋がほしい」のですが、断られて暴走します。

暴走したカオナシは、千尋のニガダンゴを食べて全てをはき出し、元の姿に戻って静かに千尋についていきます。最終的にカオナシは、銭婆(ぜにーば)の家に引き取られます。

ハクの正体とは?その後は?

ハクの正体は、白竜にも変身できる「コハク川」の川の神で、本名は「ニギハヤミコハクヌシ」です。幼い時に川でおぼれそうになった千尋を、川の流れで救ったことがあります。今回も湯婆婆の前以外では、最後まで千尋の味方です。

湯婆婆に「名前を奪われて」忘れたため支配されましたが、千尋のニガダンゴのおかげでその魔法は解かれ、千尋の記憶により本来の名前も取り戻しました。しかしすぐ現実に戻れた千尋とは違い、元の川にもどれたかは不明です。

千尋が冒頭でトンネルをくぐってすぐに「かれた川」を見つけたり、名のある河の神がゴミから解放されて龍になって飛んで行ったのも、ハクに関する伏線だったのでしょう。自然破壊でコハク川がかれたり埋め立てられたりした状態では、元に戻れないかもしれません。

湯婆婆と銭婆は双子?坊の存在意義は?

湯婆婆と銭婆は、性格が対称的な双子の老魔女です。湯屋「油屋」を経営する湯婆婆は強欲のかたまりで、銭婆の契約の判子までハクに盗ませようとします。銭婆は「二人で一人前」と言うように、湯婆婆と違い「沼の底」で質素に暮らします。

湯婆婆は口うるさい反面、社会からあぶれた者に働き口を提供していたり、腐れ神も含めて八百万の神々に癒やしをほどこすサービスをきっちりこなしているので、なくてはならない存在です。

坊の存在意義はよくわかりませんが、忙しい湯婆婆があまりかまってやれず、おもちゃや食事を要求されるままに与えて甘やかしすぎて膨張した赤ちゃんだと感じます。ワガママ放題だった坊も、千尋との旅で成長したようです。

全ては千尋の夢?エンドロール後の意味は?

『千と千尋の神隠し』は全てが千尋の夢だったと考えると、ブタの記憶をなくした両親ともつじつまがあいますが、夢ではなかった理由がいくつかあります。

まず、両親の車の上に葉が落ちたりして数日経った形跡があります。また、出口のトンネルが入り口と形が違ったのも、異界にまぎれこんでた事実をあらわしてそうです。

最も重要なのは、銭婆からもらった「髪どめ」です。ねずみにされた坊とハエにされた湯バードとカオナシも協力して紡いだ糸を編み込んだ髪留めは「お守り」として渡されました。現実に戻り何かを思い出そうとする千尋の髪留めが光ります。

エンドロール中、千尋のなつかしい記憶を表すような静止画がつづきます。一番最後には、川に流された靴のような絵が見れますが、これはコハク川に流された千尋の靴ではないでしょうか。

ジブリ映画『千と千尋の神隠し』私の感想と評価

『千と千尋の神隠し』はスタジオジブリ制作の映画[一覧]の中では、最も深みや考察しがいのある映画で、2回目3回目と観るごとに新しい発見や気づきがあります。

両親に甘えてた千こと千尋が、仕事したり自力で問題解決していく少女の成長物語です。その過程で、名前の大切さ、なくした記憶の重要性、初恋などを体験し、やがて自立に向かいそうです。

その一方で、湯屋という水商売を連想させるような場所で小学生を働かせたり、欲望にまみれた大人の悲劇も見せたりと、かなりダークなテーマもあつかっています。キャラが多い半面、浅くしか描かれてないのは少し残念です。説明過多は望まないけど、もう少し説明がほしいなとも感じました。

私の評価 70/100(60が平均)

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