『すずめの戸締まり』感想ネタバレ解説考察/結末は?猫の正体は?忘れられた真相とは?
新海誠の映画。九州の17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、扉を探す旅の青年・草太と謎の猫ダイジンに出会う。やがて日本各地の災いを止めるため、扉閉じ師の旅に出るのだが…。謎の猫の正体は?人間に戻れる?(ネタバレ感想あらすじ↓)
映画名/邦題 | すずめの戸締まり |
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日本公開日 | 2022/11/11 [予告] 上映時間:121分 |
監督・キャスト | 新海誠[キャスト] |
映倫区分 | 日本:G(年齢制限なし) |
配給/製作 (画像出典) | 東宝/STORY inc.、コミックス・ウェーブ・フィルム |
日本興行収入 | 149.4億円 (年間3位 / 歴代16位) |
世界興行収入 | 1.3億USドル [出典] |
平均評価 平均:100換算 | (興収・評価: 2024.8.15更新) 75(私の評価は含まず) |
シリーズ 関連作品 | 新海誠の映画一覧 前作『天気の子』142.3億 |
キャラ・ランキング(キャスト/出演者)
個人的なキャラクターランキングです。
※キャラクター名(キャスト/出演者/声優)
- 芹澤朋也/せりざわ ともや(神木隆之介)草太の友人。言動は乱暴だが友達思いな青年
- 岩戸環/いわと たまき(深津絵里)すずめのおば。漁協で働く
- 岩戸鈴芽/いわと すずめ(原菜乃華/幼少期:三浦あかり)宮崎でおばと暮らす17歳の女子高生。不思議な夢を見る
- 宗像草太/むなかた そうた(松村北斗@SixTONES)日本各地の扉を閉める「閉じ師」青年。ある廃墟で鈴芽と出会う
- 岡部稔/おかべ みのる(染谷将太)漁協で勤める環の同僚。彼女に片想い
- 海部千果/あまべ ちか(花瀬琴音)愛媛の活発な少女。すずめと同年。家族経営の民宿で働く
- 謎の猫ダイジン(山根あん)人間の言葉を話す白猫。扉の近くに出現
- 二ノ宮ルミ(伊藤沙莉)神戸のスナックのママ。双子の母
- 宗像羊朗/むなかた ひつじろう(松本白鸚)草太の祖父。閉じ師の師匠。東京の病院に入院中
- 岩戸椿芽/いわと つばめ(花澤香菜)すずめの母親。環の姉。手先が器用で、料理や工作が得意
ネタバレ感想『すずめの戸締まり』解説と評価
以下ネタバレあり感想考察なのでご注意を!
原作はオリジナル?新海誠監督とキャスト
映画『すずめの戸締まり』は、新海誠 監督(作品一覧)によるオリジナル・アニメーション映画です。新海誠作では『君の名は。』が興行収入250億円突破し歴代5位に、『天気の子』も140億円のヒット作。
主人公の鈴芽(すずめ)の声優をつとめる原菜乃華は、最近『罪の声』『ヘルドッグス』等に出演。松村北斗は『ライアー×ライアー』で主演を務め『ホリック xxxHOLiC』にも出演。
他の声優キャストとして、花澤香菜、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、神木隆之介などが出演。
扉を見つけたきっかけは?男性の正体は?
九州の女子高生すずめは、母を探す夢で目覚めます。通学途中、見覚えある男性とすれ違い「この辺の廃墟」を聞かれたので廃村を教えます。気になったすずめも廃村へ行くが、見つけた扉を開け、そばの変わった石をぬきました。
すずめが学校へ戻ると地震があり、山から巨大な煙が立ちこめます。すずめは、自分にしか見えてない煙は扉からだと確信し飛び出します。先ほどの男性が後ろ戸を閉じようとするのを、すずめも手伝います。男性は「閉じ師」で草太と名乗ります。
突然現れた白猫が「すずめ すき」と言葉を話し、草太を「すずめのイス」に変えてしまいます。イス草太は白猫を追い、SNSでアップされます。すずめも追って愛媛行きフェリーに乗ってしまうが、猫は別船に飛び乗ります。
以上が序盤のあらすじです。いきなりの「あやしい扉」からの星空や要石(かなめいし)が動物に変わったり、巨大ミミズが地震を引き起こしてたり、と引きこまれる始まりです。設定の紹介も説明しすぎにならずスムーズです。
鈴芽が要石(かなめいし)をぬいたので、災いが現れた原因を作ったのは鈴芽では?と思ったけど、宮崎以外のミミズや地震の原因は要石ではなったようですね。ただし誤解をまねく表現だとは思います。
巨大ミミズが鈴芽にしか見えないのは、要石や扉に触ったからでしょうか。それとも過去に扉をくぐった人間だからでしょうか。草太が廃村ですぐに現れなかった理由は気になりました。
宮崎から愛媛の次はどこへ?白猫の名は?
愛媛で山奥の廃墟に「巨大みみず」を見つけたすずめとイス草太は、みかんを運ぶ少女ちかのバイクに近くまで乗せてもらいます。廃校の中学校の後ろ戸を、イス草太の代わりにすずめが閉めて鍵をかけると地震がおさまります。
その晩はちかの民宿を手伝って泊めてもらい、同じ年のちかといろいろ話します。翌朝、SNSで大臣のような顔の「ダイジン」と名付けられた白猫が神戸にいると分かります。バスを待ってたすずめは、双子の母ルミの車に乗せてもらえます。
神戸でルミのスナックを手伝うすずめは、白猫ダイジンを見つけて追い、廃墟遊園地の観覧車からあふれ出る巨大みみずを発見。イス草太はダイジンを捕らえたが、後ろ扉の先で落下しそうなすずめを助けに行き、一緒に閉じます。
以上が中盤あらすじです。宮崎では頼りがいある青年に見えた草太がイスになったことで、鈴芽が「閉じ師」の重要な役割をになうことになります。また、片想い相手が人間ではなくなったことで、恋愛の直接表現も不可能に。
そういう意味では、これまでの新海誠作品のような単なる「ガール・ミーツ・ボーイ」物語ではなく「好きな人が正常でなくなった時にも愛せますか?」というやや重めのテーマも感じます。イスにもキスできる鈴芽に迷いはありません。
本作『すずめの戸締まり』は日本中を縦断するロードムービーの側面もあります。フェリー、ヒッチハイク、新幹線、電車、なつメロのカーステ付ドライブでの日本旅行は、海外で観られることも想定してそうな種類の豊富さ。
白猫ダイジンの目的は後に判明(後述)しますが、草太をイスに変えたり、廃墟遊園地で鈴芽が落下死しそうだったのを考えるとあまり好きにはなれません。目的がブレてると感じます。ネコの気まぐれかもしれませんが…
イス草太が要石に?草太を救う方法とは?
次は新幹線で東京へ。大学生の草太の部屋へ寄り、古文書で「東の要石」について調べます。過去に2本抜けた時は「関東大震災」が発生。すずめが抜いた「西の要石」は白猫ダイジンの姿で逃亡中。すずめは巨大みみずを見つけたので止めに行きます。
扉の場所がわからず、成長した巨大みみずが地面に落ちそうな時、ダイジンは「イス草太が要石だ」と。東京の100万人以上の住民を守るため、すずめはイス草太を要石として刺して巨大みみずを鎮めました。
すずめは草太の入院中の祖父を訪ね、草太を救うには「人生でたった1つの『常世へ行ける後ろ戸』を見つけること」だと教わります。すずめは、幼少期に実家近くで見た扉と常世を思い出し、東北の岩手県へ行くことに決めます。
すずめは、草太を救うために草太の友人の芹澤/せりざわに頼み、夢で見た東北の実家へ車で連れてってもらいます。そこへすずめの叔母たまきや白猫ダイジンも合流し、たまきに取りついた黒猫サダイジン(もう1つの要石)も同行。
以上が終盤あらすじです。全国に2つある要石(かなめいし)についてはもう少しくわしい説明がほしかったです。1つ抜くとどうなるのか、なぜ猫になるのか、他の者を要石にする理由や、草太を選んだわけなど不明な点だらけなので。
おばのたまきが合流するとは思ってなかったので意外だけど、男性芹澤と女性すずめだけで車に乗る描写をさけるために保護者同伴にしたように感じます。『天気の子』でもホテル宿泊時は弟の凪が同伴してました。
「こぶ(育児中の子。鈴芽のこと)付きだと婚活成功率が低いので婚期をのがした」という環(たまき)と鈴芽が本音でぶつかりあう姿を見られただけでも合流した価値はあるのでしょうね。芹澤と環のやりとりも微妙に面白いし。
トリビアネタですが、芹澤がかけたなつメロ曲の1つ松任谷由実の『ルージュの伝言』は、ジブリの代表作『魔女の宅急便』の主題歌でした。ジブリの後継者とも言われる新海誠のジブリ・リスペクトでしょうか。
結末は?すずめが忘れてた真実とは?草太とのその後は?
サダイジンが話せたことに驚き、芹澤の車は路肩へ。すずめとたまきは自転車で岩手県の実家跡へ。幼少期の日記を掘り起こしたすずめは「3月11日」の東日本大震災の日が黒くぬりつぶされてるのと「扉」の場所を見つけます。
後ろ戸から「常世」へ入ったすずめは、今までダイジンが後ろ戸の場所を教えてたことに感謝。「自分が要石になる」と言うすずめを、ダイジンも助け自分が要石に戻ります。すずめと草太は、ダイジンとサダイジンでミミズを消滅させます。
全ての時間が共存する「常世」で母を亡くした幼いすずめに、女子高生すずめは「母のイス」を手渡して「現し世」に帰します。草太と別れたすずめは環と帰宅し、母と同じ看護師を目指し勉強中。同じ場所で草太と再会します。
以上がラストまでのあらすじです。鈴芽が見てた夢は、大震災時に後ろ戸をくぐり常世で「すずめと草太」に出会った過去の記憶でした。東日本大震災の日の日記が真っ黒にぬりつぶされてる描写は深く考えるとつらくなります。
「すずめの子になれなかった」ダイジンがあっさり要石に戻ったのは少し拍子抜け。「もう要石にはなれない」と言ったのは何だったのでしょうか。単に草太が気に入らなかっただけ?すずめのことが本当に好きだっただけ?
ラストで主人公の男女が再会する展開は『君の名は。』『天気の子』と同じ。そこから新しい恋がはじまりそうな予感を見せて物語は終わります。
映画『すずめの戸締まり』私の感想と評価
映画『君の名は。』で映画にハマり始めたので、新海誠の作品は毎回楽しみ。『すずめの戸締まり』も期待以上の映像表現で、魅力あるキャラ、斬新な設定と先が気になるストーリー展開など安定のクオリティで大満足。
一方で『君の名は。』の大成功を越えようとしてか過剰宣伝や見せすぎる予告編などで、新鮮な劇場体験が損なわれてる気がして少し残念。前情報だけで予想できたストーリーを大きく上回ってないので、意外性や驚きも少なめ。
2週間前に公開の『天間荘の三姉妹』で先に似たテーマを観たのも、その作品に罪はないが『すずめの戸締まり』の新鮮さを感じられなかった要因の1つです。
すずめの年齢は女子大生の方がよかったと思うけど、心配したおばが追いかけてきて秘めた不満をぶちまける展開も見どころなので、やはりJK設定はありなのかも。あやしい感じだった芹澤が意外といい役割を果たしてて好みでした。
私的には『君の名は。』>>>『天気の子』>=『すずめの戸締まり』の順ですが、新海誠監督のメッセージは最も強く感じる意欲作だと思うので、多くの人に観てほしい映画です!
私の評価 68/100(60が平均)
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